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平成20年3月19日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成19年(行ケ)第10216号審決取消請求事件
平成20年2月18日口頭弁論終結
判決
123
原告X,X,X
訴訟代理人弁理士肥田正法,上羽秀敏,竹添忠
被告特許庁長官肥塚雅博
指定代理人間中耕治,新海岳,森川元嗣,森山啓
主文
1原告らの請求を棄却する。
2訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
特許庁が不服2006−9931号事件について平成19年4月24日にし
た審決を取り消す。
第2当事者間に争いのない事実
1特許庁における手続の経緯
原告らは,発明の名称を「過熱蒸気発生装置」とする発明につき,平成15
年3月24日,特許を出願し(優先権主張の基礎平成14年4月2日出願の
特願2002−100174号,同年8月5日出願の特願2002−2270
07号,同年12月27日出願の特願2002−379645号,以下「本件
出願」という。),平成17年11月25日付け手続補正書により補正を行っ
たが,平成18年4月18日付けの拒絶査定を受けたため,同年5月16日,
審判を請求した。
特許庁は,上記審判請求を不服2006−9931号事件として審理した結
果,平成19年4月24日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決
をし,同年5月21日,審決の謄本が原告らに送達された。
2特許請求の範囲
平成17年11月25日付け手続補正書(甲第5号証)による補正後の本件
出願の請求項1(請求項は全部で14項である。)は,次のとおりである。
発生させた水蒸気を案内する導管の途中に金属製の過熱タンクを配置しその
外側に高周波交流電源に接続したコイルを配置した電磁誘導式の過熱蒸気発生
装置において,過熱タンク内にその軸芯と直角に磁性体である多数の板材によ
って隔壁を形成し,隔壁とタンクとを一体化し,直列に配置した区画室を連通
させる透孔を隔壁に多数穿設した過熱蒸気発生装置。
(以下,審決と同様に,請求項1に係る発明を「本願発明」といい,上記補正
後の明細書を「本件明細書」という。)
3審決の理由
別紙審決書の写しのとおりである。要するに,本願発明は,国際公開第02
/04033号パンフレット(甲第1号証。以下,審決と同様に「引用例1」
という。)記載の発明(以下「引用発明」という。)並びに特開平11−94
203号公報(甲第2号証。以下,審決と同様に「引用例2」という。)及び
特開2002−22107号公報(甲第3号証。以下,審決と同様に「引用例
3」という。)の記載に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたも
のであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないと
するものである。
審決は,上記結論を導くに当たり,引用発明の内容並びに本願発明と引用発
明との一致点及び相違点を次のとおり認定した。
(1)引用発明の内容
発生させた水蒸気を案内する導管の途中に金属製の筒状タンクを配置しそ
の外側に高周波交流電源に接続したコイルを配置した電磁誘導式のスーパー
蒸気発生装置において,筒状タンク内にその軸芯と直角に多数の板材によっ
て隔壁を形成し,隔壁と筒状タンクとを一体化し,直列に配置した区画室を
連通させる流孔を設けたスーパー蒸気発生装置
(2)一致点
「発生させた水蒸気を案内する導管の途中に金属製の過熱タンクを配置し
その外側に高周波交流電源に接続したコイルを配置した電磁誘導式の過熱蒸
気発生装置において,過熱タンク内にその軸芯と直角に多数の板材によって
隔壁を形成し,隔壁とタンクとを一体化し,直列に配置した区画室を連通さ
せる連通孔を設けた過熱蒸気発生装置」である点
(3)相違点
[相違点1]
本願発明では,「磁性体である多数の板材によって隔壁を形成」するのに
対して,引用発明では,多数の板材によって隔壁を形成するが,多数の板材
が磁性体であるか否か不明である点
[相違点2]
本願発明では,「区画室を連通させる透孔を隔壁に多数穿設した」のに対
して,引用発明では,区画室を連通させる流孔を設けるが,この流孔が隔壁
に多数穿設されたものか否か不明である点
第3審決取消事由の要点
審決は,引用発明の認定を誤り,本願発明と引用発明との一致点を誤認して
相違点を看過し(取消事由1),相違点1及び相違点2についての判断を誤っ
た(取消事由2及び3)ものであるところ,これらの誤りがいずれも結論に影
響を及ぼすことは明らかであるから,違法なものとして取り消されるべきであ
る。
1取消事由1(一致点の誤認による相違点の看過)
引用例1には,過熱蒸気発生装置に用いるタンクが「長方筒」であること,
すなわち断面四角形の筒体であることが記載され(2頁25行),図3(断面
図)においては,上下に取り付けた蒸気流入口C及び蒸気流出口Dの連結部に
は細線が描かれているのに対し,蒸気の流路が迷路状に形成する板材の間隙
(符号Eの引き出し線の先端位置)には2本の細線が描かれていない。したが
って,引用例1の「流孔E」は,「孔」という文字が使用されていても,その
実体は,正面手前の壁面から反対側の壁面の間の全長にわたって四角形の一辺
と平行に形成された隙間であり,その形態は,一定の幅を有する「スリット状
の孔」である。
特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律施行規則19条(図面の様
式)に規定する様式10の備考9においては,「図の各要素は,その理解のた
めに欠くことができない場合を除き,図中の他の要素のそれぞれに対して妥当
な比率のものとする。」とされている。前記図3は,この様式10に従って作
成されたものであって,図面の各要素の概略の寸法からすると,当業者は,中
央に位置する間隙の幅が流路の幅とほぼ同じであること,左右に位置する間隙
の幅が中央に位置する間隙の幅の約2分の1であることを容易に把握すること
ができる。
以上によれば,別紙1のように,引用例1のタンクの内部には,四角形のタ
ンクの一辺と平行に流路の幅に略等しい幅のスリットを中央部に全長にわたっ
て形成した板と,左右の端部側に上記スリットの半分の幅のスリットを同じく
全長にわたって形成した板とを上下交互に配置し,内部で蒸気が分流及び合流
を円滑かつ整然と行えるように全長にわたって断面積が同じ迷路状の連続する
流路が形成されていると認められる。したがって,上記の板は,蒸気を横方向
に移動させる流路を形成するためのガイド板であって,引用例1の流孔Eは,
上下の流路を単に連通させる「孔」ではなく,ガイド板と一体となって断面積
を同じくする流路それ自体を形成するためのスリットであるから,本願発明の
「隔壁」には相当しない。
本願発明では,タンク内の蒸気は,区画室で乱流を生じさせながらも隔壁の
透孔を通過することによって,全体としてタンクの軸方向に移動するのに対し
て,引用発明のタンク内の蒸気は,迷路状の流路に沿って蛇行しながら基本的
には横向きに移動するものである。この蒸気の流れ方を勘案すると,引用例1
のタンク内には,隔壁及び隔壁によって形成される区画室の存在は認められず,
区画室を連通させるための連通孔も存在していないというべきであるから,審
決が,「多数の板材によって隔壁を形成」する点,「直列に配置した区画室」
が存在する点及び「区画室を連通させる連通孔」を設けた点を一致点と認定し
たことは誤りであり,上記の相違点を看過したものである。
2取消事由2(相違点1についての判断の誤り)
本願発明は,タンク内の温度の昇降を緩慢に行わせるという技術的課題を達
成するために(本件明細書段落【0004】),過熱タンクを金属製としたに
もかかわらず,あえて隔壁を磁性体としたものであり,過熱タンクを金属製と
し,かつ,隔壁を磁性体とするという本願発明の構成(組合せ)は引用例1な
いし3のいずれにも記載されていない。
また,本願発明において,隔壁を磁性体としたのは「交番磁界により磁化さ
れた隔壁が交番磁界に対して抗力として働き,過熱タンクに発生するうず電流
を弱くする」作用を奏するためであるところ,引用例1ないし3のいずれにも,
タンク内の温度の昇降を緩慢に行わせるという本願発明の課題について動機付
けとなり得る記載はないから,隔壁を磁性体とし,金属製の加熱タンクととも
に誘導加熱することは当業者が容易に想到し得たことであるとした審決の判断
は誤りである。
3取消事由3(相違点2についての判断の誤り)
本願発明では,過熱蒸気が各区画室内において過熱,膨張させられることに
よって乱流状態となり,膨張,乱流,隔壁との接触,透孔からの噴出を繰り返
しながら各区画室を順次通過するようにしている。そのため,本願発明の透孔
は,単に区画室を連通させるだけではなく,区画室内で蒸気を膨張させるとと
もに,多数穿設された透孔を蒸気が通過するときにもその蒸気を加熱する作用
を果たしている。これに対し,引用例1における流孔Eは,流路の断面積を損
なわないように広幅のスリットとして示されているし,いずれの引用例におい
ても「加熱タンク内にその軸芯と直角に隔壁を設けて区画室を直列に配置」し
た構成は示されておらず,隔壁に多数の孔を穿設したものは存在しない。した
がって,「区画室内で蒸気を膨張させると共に,多数穿設された透孔を蒸気が
通過時に再度それを加熱するための透孔」を多数設けることは,当業者が容易
に想到することができたものではない。
第4被告の反論の骨子
審決の認定判断はいずれも正当であって,審決を取り消すべき理由はない。
1取消事由1(一致点の誤認による相違点の看過)について
一般に,特許出願における図面は,基本的には発明の理解を助けるための概
念図であり,製図法に従った描き方が求められているが,設計図面や製造図面
のような厳密な記載が求められているものではない。この見地からみれば,引
用例1の図3には,筒状タンクの内部に,その軸芯と直角に多数の板材が設け
られ,その板材には「流孔E」が設けられていることが記載されている。板材
が筒状タンク内部を区切る隔壁に相当する部材であることもこの図から明らか
であり,流孔Eは,「孔」と明記されているのであるから,引用例1の記載ど
おり「孔」として認定すべきものである。したがって,審決の認定に何ら誤り
はなく,引用発明の板が蒸気を横方向に移動させる流路を形成するためのガイ
ド板であって,本願発明の「隔壁」と位置付けることはできないとする原告ら
の主張には,何ら根拠がない。
また,一般に,断面積の大きい空間から,断面積の小さい絞り状の孔を通過
して,隣接する断面積の大きい空間に流れる流体は,絞り効果により,高速で
絞り状の孔を通過し,下流側で圧力降下を伴いながら膨張,噴出する性質があ
り,絞り状の孔を高速で通過した気体が,乱流となり易いものであることも,
当業者が予測することができることである(乙第1ないし第3号証)。引用発
明が「内部で蒸気が分流,合流を円滑且つ整然と行えるように迷路状の連続す
る流路が形成されている」ものであるとする原告らの主張は,引用例1に実際
に記載された事実に基づくものではないし,当業者の技術水準からみても何ら
根拠のないものである。
2取消事由2(相違点1についての判断の誤り)について
引用例2は,発熱体を強磁性体の導電性材料として,誘導加熱することが好
ましいことを強く示唆しているから,引用例2に接した当業者が本願発明の
「過熱タンクを金属製とし,かつ,隔壁を磁性体とする」構成に至る十分な動
機づけがある。
また,そもそも,蒸気過熱装置に限らず,温度の調整が求められる技術分野
において,昇温又は降温のオーバーシュートを少なくするために,温度の昇降
を緩慢に行わせることは,技術常識であって,蒸気過熱装置に係る技術分野に
おいても,自明の課題といえるものであり,動機づけとしての課題がないとは
いえない。
原告らは,本願発明には「交番磁界により磁化された隔壁が交番磁界に対し
て抗力として働き,過熱タンクに発生するうず電流を弱くする」効果があると
主張するが,本願発明には隔壁が弱磁性体で構成される場合も含まれていると
ころ,隔壁が弱磁性体の場合には,上記の効果をほとんど期待することができ
ないから,「タンク内の温度の上昇をゆっくりとする」という効果は,本願発
明の特有の効果とはいえない。
3取消事由3(相違点2についての判断の誤り)について
前記1(取消事由1に対する反論)に述べたとおり,引用例1には,隔壁に
連通孔を設けたものが記載されているし,本願発明は,透孔を「多数穿設し
た」点を除き,引用発明と何ら変わらないものであって,その作用も当業者が
予測し得るものにすぎない。
区画室を連通させる流孔を設けるに際して,当業者が最初に考え得る最も一
般的な手法は,室を仕切って区画する板状部材に孔を多数穿設することが,最
も加工が容易な方法である(乙第4ないし第6号証)。
したがって,審決が「引用例1発明において,区画室を連通させる流孔を設
けるに際して,隔壁に多数の透孔を穿設することは,当業者が容易に想到し得
たことである。」と判断したことに誤りはない。
第5当裁判所の判断
1取消事由1(一致点の誤認による相違点の看過)について
(1)引用例1(甲第1号証)には,図面とともに下記の記載がある。
ア「本発明は,(1)蒸気を,約20∼30KHzの高周波電磁場誘導加熱手段に
よる幅射熱によって,超高温化することを特徴とするスーパー蒸気発生方法,
(2)超高温が,300∼1000℃である前記1の方法,(3)蒸気が循環式
に再利用される前記1又は2の方法,(4)スーパー蒸気を発生させる装置が,
長方筒からなる蒸気発生系であって,端部で発生させた蒸気が装置を移動し,高
周波電磁誘導加熱手段による輻射熱によって,超高温化される前記1∼3の何れ
かの方法,(5)端部で発生させた蒸気が,沸騰手段によって発生した蒸気であ
る前記4の方法,(6)沸騰手段による蒸気発生と輻射熱による超高温化が別個
の室で行われる前記5の方法,(7)前記1∼6の何れかの方法でえたスーパー
蒸気を利用した滅菌・ウイルス/遺伝子組換え関連物の不活化方法,(8)滅菌・
ウイルス/遺伝子組換え関連物の不活化方法が,乾燥状態,半乾燥状態,液体状態
の何れかの状態にある滅菌・ウイルス/遺伝子組換え関連物の不活化の対象物に対
しておこなわれる前記7の方法,(9)容器内にある滅菌・ウイルス/遺伝子組換
え関連物の不活化の対象物に対して,間接的に作用させる前記8の方法,(1
0)滅菌・ウイルス/遺伝子組換え関連物の不活化の対象物に対して,直接作用さ
せる前記9の方法,(11)蒸気が水蒸気である前記l∼6の何れかの方法に使
用する機能を備えた装置,(12)蒸気が水蒸気である前記7∼10の何れかの
方法に使用する機能を備えた装置,からなる。」(2頁21行∼3頁14行)
イ「図面の簡単な説明
【図1】スーパー蒸気による滅菌・微生物不活化装置の正面断面図である。
【図2】スーパー蒸気による滅菌・微生物不活化装置の側面断面図である。
【図3】スーパー蒸気の発生装置の正面断面図である。
【符号の説明】
1:チャンバー
2:扉
3:覗き窓
4:覗き窓
5:架台
6:コンベアー
7:可変式モーター
8:中間ギアーヘッド
9:直交ギアーヘッド
10:スーパー蒸気発生装置
11:コイル
12:インバーター
13:キャスター
A:スーパー蒸気回収用流出口
B:滅菌処理部位
C:蒸気流入口
D:スーパー蒸気流出口
E:流孔」(3頁16行∼4頁15行)
ウ「発明を実施するための最良の形態
滅菌・ウイルス/遺伝子組換え関連物の不活化処理は,蒸気を,約24KHz
の高周波電磁場誘導加熱手段による輻射熱によって,超高温化し,えられた超高
温化蒸気を使うことを特徴とする。
本発明で蒸気とは,水蒸気,アンモニアなど加熱によって,容易に蒸気になる
物質が選択される。特に,蒸気の状態において,輻射熱の吸収効率のよい媒体が
好ましい。後述する実施例では水蒸気を最良の態様として選択したがこれに限ら
れるものではない。最初の蒸気の発生は,後の輻射熱発生と同一室内でおこなっ
てもよいし,別の室で行ってもよい。好ましくは,別室がよい。輻射熱発生の室
は,300℃∼1000℃の高温となるので,そのような高温に耐える構造・材
料を使う必要があるからである。最初の蒸気の発生は,沸騰による。沸騰は,水
等の蒸気原料を適宜供給しおこなう。沸騰のためには,効率的には,高周波交流
電源によって電磁場を形成させ,渦電流によるジュール熱で加熱する。
高周波とは,通常20KHz以上,好ましくは20∼30KHzである。電磁
場の形成は,熱伝導性に優れた例えば銅製(その他,銀やアルミニウム)の筒状
タンクを断熱性物質例えばセラミックでおおい,この断熱性物質の外面を導電性
線材(例えばガラス繊維で被覆された銅線等)で巻回して誘導コイルを形成させ,
高周波交流電源を流して,ジュール熱を発生させる。一方で蒸気原料例えば水を
タンク内に供給し,上記の熱によって,沸騰・蒸気化せしめる。この処理により,
沸騰蒸気の発生を連続的に数秒で行うことができる。蒸気原料の供給は,一般的
には1∼100ml/秒で行われる。あるいは,蒸気原料の一定量をタンク内に
留置させる手段を導入してもよい。
沸騰蒸気は,ついで,20KHz以上,好ましくは20∼30KHzの高周波
を使った電磁場誘導加熱手段による輻射熱による加熱処理がされる。加熱容器は,
上記と同様の構造であるが,より高熱となるため例えば300℃∼千数百℃の高
熱にたえうる構造,材料,厚さを形成することが必要である。好ましくは,構造
として,多数のフィン構造の導入(空冷法),水冷法の導入を考慮することが必
要である。冷却法として,誘導コイルに中空コイルを利用して,コイル内を冷却
媒体を流すことによっても効率的に温度調節が可能である。
沸騰蒸気は,順次この輻射熱手段のタンクに送り込まれ,ここで上記と同じ高
周波交流電源−誘導コイルによる電磁場による加熱処理が行われる。高周波とは
前記と同じである。タンクに送り込まれた沸騰蒸気は,発生した輻射熱を効率的
に吸収して,急速な温度上昇が達成される。約500℃になるのに数秒である。
温度調整は,送り込まれる沸騰蒸気量と高周波電源の通電量,及び冷却手段によ
って行われる。かくして,300∼千数百℃のスーパー蒸気が極めて容易に調製
される。」(4頁17行∼6頁7行)
エ「【実施例】
以下に実施例で本発明を説明する。
【実施例1】(滅菌・微生物不活化用スーパー蒸気発生盤置)
図1は,スーパー蒸気による滅菌・微生物不活化処理装置の正面断面図であり,
図2は,その側面断面図である。蒸気発生装置によって約100℃に調製された
蒸気は,蒸気流入口Cから,スーパー蒸気発生装置10(図5)に流入する。ス
ーパー蒸気発生装置10は,高耐熱性の材料で作製され,図3に示すように蒸気
の流路である迷路状の流孔Eを有しており,超加熱状態を調整する機能をもつ。
この装置は,スーパー蒸気が約300∼1000℃程になるので,種々耐熱性の
ための自体公知の材料・構造・付加手段の導入が必要である。スーパー蒸気発生
装置10は,約25kHzの高周波交流電流をコイル11を通電させることで,
磁場が形成され,流入した蒸気は,輻射熱を吸収して数秒で約300∼1000
℃の温度に上昇し,スーパー蒸気となる。スーパー蒸気は,スーパー蒸気流出口
Dから滅菌・微生物不活化処理部Bに放出され,滅菌処理部位Bに搬入された被
処理物のシャワー滅菌・微生物不活化がなされる。滅菌・微生物不活化は数秒で
完了し,スーパー蒸気は蒸気回収用のスーパー蒸気流出口Aから再利用のため蒸
気発生装置に回収される。かくして調製された装置は,静かで,小型で,極めて
効率的な滅菌・微生物不活化装置を提供する。」(7頁24行∼8頁17行)
オ図1
カ図2
キ図3
(2)上記キ(図3)は,スーパー蒸気の発生装置の正面断面図であるところ,
確かに,原告らの主張するとおり,符号Eが示す板材の間隙部分の上下には,
線が描かれていない。そして,引用例1には,図3の符号Eで示される部分
について「スーパー蒸気発生装置10は,高耐熱性の材料で作製され,図3
に示すように蒸気の流路である迷路状の流孔Eを有しており,超過熱状態を
調整する機能をもつ。」と記載されている(上記イ,エ)だけで,同部分の
平面図や斜視図は記載されておらず,上記記載以外の記述もない。「流孔
E」に関する上記記載及び前項エの記載によれば,引用発明の実施例におい
て,スーパー蒸気は蒸気流入口Cからスーパー蒸気発生装置10に入り,流
孔Eを通って上記排出口Dへ移動するものであるところ,図3によれば,蒸
気流入口Cから入ったスーパー蒸気は,スーパー蒸気発生装置内に同装置の
軸心方向に同装置本体と一体的に設けられた仕切板に当たった後,同仕切板
に設けられた正面視左右にある二つの間隙を通ってそれぞれ蒸気排出口方向
に進行し,次の仕切板に当たった後,同仕切板に設けられた正面視中央部に
ある間隙部を通って蒸気排出口方向に進行し,以後,同様の挙動を繰り返し
ながら蒸気排出口方向に向うものであることが認められる。
以上によれば,流孔Eは蒸気流入口から流入したスーパー蒸気を蒸気排出
口Dへ排出させる連通空間を形成するものであり,また,多数の仕切板がス
ーパー蒸気発生装置10の内部に多数の区画を直列に配置して設けているこ
とも図3から明らかというべきである。
そして,「孔」とは,一般に「くぼんだ所」,「穴ぼこ」,「反対側まで
突き抜けてあいている空所」などの意味を有する用語で,その形状を問わな
い概念であるから,引用発明の「流孔」が原告ら主張のようにスリット状の
形状をしていたとしても,これを「孔」と呼ぶことに何ら支障はないものと
いわなければならない。ちなみに,本願発明においても「区画室を連通させ
る透孔」と規定されているだけで,「透孔」の形状は何ら規定されているも
のではない。
(3)原告らは,特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律施行規則19条
(図面の様式)に規定する様式10の備考9を根拠にして,図3の各要素の
概略の寸法からすると,当業者は,中央に位置する間隙の幅が流路の高さと
ほぼ同じであること,左右に位置する間隙の幅が中央に位置する間隙の幅の
約2分の1であることを容易に把握し,別紙1のように,引用例1のタンク
の内部には,四角形の一辺と平行に流路の幅に略等しい幅のスリットを中央
部に全長にわたって形成した板と,左右の端部側に上記スリットの半分の幅
のスリットを同じく全長にわたって形成した板とを上下交互に配置し,内部
で蒸気が分流及び合流を円滑かつ整然と行えるように全長にわたって断面積
が同じ迷路状の連続する流路が形成されていると主張する。
そこで検討するに,本件明細書には以下の記載がある。
「【0003】上記の過熱蒸気発生装置では,磁力線の発生がもたらすジュー

ル熱による加熱がタンク内の急激な温度の上昇をもたらすため,電源を開閉する
だけでは温度のコントロールが極めて困難となり,…
【0004】
【技術的課題】タンク内の温度の昇降を緩慢に行なわせるようにすることを課

題としたものである。」
【0005】
【技術的手段】
この技術的課題を解決するための技術的手段は,(イ)過熱タンク内にその軸
芯と直角に磁性体である多数の板材によって隔壁を形成し,(ロ)隔壁とタンク
とを一体化し,(ハ)直列に配置した区画室を連通させる透孔を隔壁に多数穿設

したこと,である。
【0006】
第一の技術的手段において,電磁誘導過熱タンク内には磁性体である多数の板
材からなる隔壁が形成されているから,高周波交流電源を入れて発生する磁力線
は隔壁の磁力に影響され,うず電流は若干弱いものとなる。このうず電流によっ
て発生するジュール熱は,タンク内の隔壁をも加熱してしまうため,タンク内の
温度の上昇がゆっくりと行なわれることになる。
過熱タンクと隔壁とが一体に構成されているから,ジュール熱の隔壁への伝導
が円滑に行なわれ,熱効率を高めることができる。
【0007】
タンク内で区画室を直列に配置している隔壁には,区画室を連通するための透
孔が穿設されているから,蒸気は,タンク内を通過する際に加熱された隔壁及
び透孔にも接触してさらに加熱されて過熱蒸気となる。過熱蒸気は,各区画室を
順次通過することによって効率よく膨張させられ,高温高圧の状態でタンクの排
…」
出側へ臨ませられ,排出側から勢いよく噴出させられることになる。
以上によれば,本願発明においては,電磁誘導過熱タンク内の温度の昇降
が緩慢に行われるようにコントロールすることを技術的課題とし,①上記タ
ンク内にその軸心と直角方向に多数の板材を設置して隔壁を形成すること,
②隔壁(板材)とタンクを一体化させること,③タンクと一体化された隔壁
によって形成された区画室を連通させるために隔壁に透孔を多数穿設するこ
とであり,これにより上記の【0007】に記載された効果を奏するものと
認めることができる。
他方,引用発明においては,前項に認定したように,①スーパー蒸気発生
装置内にその軸心と直角方向に多数の仕切板を設置して隔壁を形成し,②仕
切板とスーパー蒸気発生装置は一体化されており,③スーパー蒸気発生装置
と一体化された仕切板によって形成された区画室を連通させるために仕切板
に流孔を設けたものであるから,その構成は審決が摘示した相違点を除いて
一致することは明らかである。
したがって,審決が引用発明を「筒状タンク内にその軸芯と直角に多数の
板材によって隔壁を形成し,隔壁と筒状タンクとを一体化し,直列に配置し
た区画室を連通させる流孔を設けた」ものとして認定した点に誤りはない。
また,本願発明の構成は,「過熱タンク内にその軸芯と直角に…多数の板
材によって隔壁を形成し,隔壁とタンクとを一体化し,直列に配置した区画
室を連通させる透孔を隔壁に…穿設した」という構成であり,透孔の形状や
隣接する隔壁に穿設した透孔相互の位置関係については,特許請求の範囲に
おいて何ら規定されていないばかりか,発明の詳細な説明にも上記の点に言
及した記載はないから,上記の引用発明の構成と一致するものといわざるを
得ない。
(4)以上によれば,審決に,原告らの主張する一致点の誤認による相違点の看
過はない。
2取消事由2(相違点1についての判断の誤り)について
(1)引用例2(甲第2号証)には次の記載がある。
ア「【0011】図1において,蒸気製造装置1は,ボイラ部2と,過熱部3と,
制御部4と,処理部5とからなり,過熱蒸気発生用に構成されている。なお,過
熱部3は必須ではなく,ボイラ部2に処理部5を接続したものであってもよい。
【0012】ボイラ部2は,垂直上向きの管体11内に,発熱体12を収納し,
管体11に励磁コイル13を巻回したものである。管体11は耐熱性,耐蝕性及
び耐圧性に優れたセラミック等の非磁性材料によりパイプ状に形成されたもので
ある。管体11内に収納された発熱体12は,前記励磁コイル13により発生す
る磁界変化により発熱する金属等の導電性材料により多数の通路を形成したもの
である。即ち,ボイラ部2は電磁誘導加熱部として構成されている。…
【0014】過熱部3は,水平横向きの管体31内に,発熱体32を収納し,管
体31に励磁コイル33を巻回したものである。管体31は耐熱性,耐蝕性及び
耐圧性に優れたセラミック等の非磁性材料によりパイプ状に形成されたものであ
る。管体31内に収納された発熱体32は,前記励磁コイル33により発生する
磁界変化により発熱する金属等の導電性材料により多数の通路を形成したもので
ある。即ち,過熱部3も電磁誘導加熱部として構成されている。また,過熱部3
の出口側には,処理部5が接続されている。図示例の処理部5は過熱蒸気で食品
を調理できるように構成されている。」(2頁2欄43行∼3頁3欄28行)
イ「発熱体12,32には,強磁性体の導電性材料であって,且つ耐蝕性に優れた
マルテンサイト系ステンレスが好ましいが,これに限らない。非磁性又は弱磁性
の導電性材料であるSUS304であってもよいし,非磁性の導電性材料である
炭素又は炭素化合物(セラミック)も使用可能である。」(5頁7欄31行∼3
6行)
(2)引用例3(甲第3号証)には次の記載がある。
ア「【0022】[実施例1]加熱装置は過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生装置
と,加熱対象物を収納して過熱蒸気により加熱する加熱容器を有している。
【0023】図1は本実施例の加熱装置に用いた蒸気過熱器(1)を示した図である。
過熱蒸気発生装置(1)は2重の筒状の容器からなっている。内側の容器となる蒸気
発生容器(2)が外側の容器となる蒸気過熱容器(3)の内側に配されている。
【0024】蒸気発生容器(2)と蒸気過熱容器(3)とは共に金属製であり,略同心
円上に配され,底部を共通としている。又,両者の上端部は連通し蒸気が通るこ
とのできる連通部(10)が形成されている。
【0025】外側に位置する蒸気過熱容器(3)の周囲には断熱材(4)が配されてお
り,外周部には断熱材(4)の外側に電磁誘導用コイル(5)が巻かれている。」(4
頁5欄3行∼17行)
イ「【0029】蒸気過熱容器(3)の内周と蒸気発生容器(2)の外周との間には金属
製で螺旋状の仕切板(11)が設けられている。この蒸気発生容器(2)の外周部と,蒸
気発生容器(3)の外周部と螺旋状の仕切板(11)により螺旋状の流路(12)が形成され
る。
【0030】この流路(12)は蒸気過熱容器(3)の下部に設けられた過熱蒸気取出口
(8)につながっており,連通部(10)を通って蒸気過熱容器(3)の内周と蒸気発生容
器(2)の外周との間に入ってきた蒸気は,この螺旋状の流路(12)に沿って下方に移
動する。
【0031】過熱用の電磁誘導コイル(5)に高周波電流を流すと流路(12)を構成す
る蒸気過熱容器(3)と蒸気発生容器(2)と仕切板(11)が誘導加熱により加熱され,
流路(12)を通過する蒸気を加熱する。これにより,蒸気が過熱蒸気となる。」
(4頁5欄44行∼6欄8行)
(3)引用発明におけるタンクは金属製であるが,タンク内で隔壁を形成する多
数の板材が金属製であるか否か,また,磁性体であるか否かは不明であると
ころ,引用例3には,「流路(12)を構成する蒸気過熱容器(3)と蒸気発生容
器(2)と仕切板(11)が」いずれも金属製であり,誘導加熱により加熱される
ことが記載されている(上記(2)イ)から,引用発明において隔壁を形成す
る板材についても,タンクと同様に発熱体となるよう金属製とすることは,
当業者が容易になし得る程度のことである。また,引用例2に,過熱蒸気発
生用の発熱体として,強磁性体の導電性材料が好ましいことが記載されてい
る(上記(1)ア)ことに照らせば,金属を磁性体のものとすることは,当業
者が適宜なし得る程度のことであって,その結果,相違点1に係る本願発明
の構成が得られるから,引用発明において,相違点1に係る本願発明の構成
とすることは,当業者が容易に想到することができたものというべきである。
(4)原告らは,本願発明において,隔壁を磁性体としたのは「交番磁界により
磁化された隔壁が交番磁界に対して抗力として働き,過熱タンクに発生する
うず電流を弱くする」作用を奏する目的であるところ,引用例1ないし3の
いずれにも,本願発明の課題について動機付けとなり得る記載はないと主張
する。
そこで,検討すると,本件出願の請求項1においては,隔壁が「磁性体で
ある」ことが規定されているにすぎず,本件明細書には,「【0012】本
発明における磁性体として,弱磁性のものを使用すると,温度の上昇及び下
降をより緩慢に行わせることができる。」,「【0013】磁性体としては,
鉄などの強い磁性の金属,ステンレススチール430・403・304,ニッケル,
チタン等の弱い磁性の金属の他,カーボンセラミックを使用することができ
る。」との記載があるが,上記原告ら主張のような記載はない。以上の記載
によれば,本願発明の磁性体に磁性の強いものから弱いものまで含んだ金属
が含まれることは明らかである。そこで,引用例2及び引用例3の上記各記
載に基づけば,引用発明の板材を磁性体の金属とし,相違点1に係る本願発
明の構成とすることは当業者が容易に想到することができたものといえるの
であり,容易に同一の構成に至る以上,本願発明において,過熱タンクを金
属製とし,隔壁を磁性体とすることの目的がどのようなものであっても,上
記の判断を左右するものではない。
(5)以上によれば,相違点1について,「引用例2には,過熱蒸気発生装置に
おいて,過熱部内に収納した発熱体を磁性体として,誘導加熱した点が記載
され,…引用例3には,過熱蒸気発生装置において,流路を構成する蒸気過
熱容器と,その中に配置した仕切板とを,ともに誘導加熱した点が記載され
ている。」ことを認定した上で,引用発明において,隔壁を形成する多数の
板材を磁性体とし,金属製の過熱タンクとともに,誘導過熱することは,当
業者が容易に想到し得たことであるとした審決の判断に誤りはない。
3取消事由3(相違点2についての判断の誤り)
原告らは,本願発明の透孔は,単に区画室を連通させるだけではなく,区画
室内で蒸気を膨張させるとともに,多数穿設された透孔を蒸気が通過するとき
にもその蒸気を加熱する作用を果たしているのに対し,引用例1における流孔
Eは,流路の断面積を損なわないように広幅のスリットとして示されているし,
いずれの引用例においても「加熱タンク内にその軸芯と直角に隔壁を設けて区
画室を直列に配置」した構成は示されていないから,「区画室内で蒸気を膨張
させると共に,多数穿設された透孔を蒸気が通過時に再度それを加熱するため
の透孔」を多数設けることは,当業者が容易に想到することができたものでは
ないと主張する。
(1)前記1のとおり,引用発明は,「過熱タンク内にその軸芯と直角に…多数
の板材によって隔壁を形成し,隔壁とタンクとを一体化し,直列に配置した
区画室を連通させる透孔を隔壁に…穿設した」という構成において本願発明
と一致するものである。したがって,引用例1ないし3のいずれにおいても
「加熱タンク内にその軸芯と直角に隔壁を設けて区画室を直列に配置」した
構成は示されていないとの原告らの主張は,採用することができない。
そして,引用発明が上記構成において本願発明と一致する以上,「直列に
配置した区画室を連通させる透孔を隔壁に…穿設した」という構成によって
生じるとされる「蒸気は,タンク内を通過する際に加熱された隔壁及び透孔
にも接触してさらに加熱されて過熱蒸気となる。過熱蒸気は,各区画室を順
次通過することによって効率よく膨張させられ,高温高圧の状態でタンクの
排出側へ臨ませられ,排出側から勢いよく噴出させられることになる」作用
(本件明細書段落【0007】)においても,本願発明と差異があるという
ことはできない。
(2)引用発明では,区画室を連通させる流孔が隔壁たる板材に多数穿設された
ものか否かは不明であるが,引用発明を実施するに際して,当業者としては,
区画室を連通させる流孔を具体的にどのようなものとするかについて,設計
上当然決定しなければならないものと認められる。
前記1(1)エのとおり,引用例1には,実施例の説明として「蒸気発生装
置によって約100℃に調製された蒸気は,蒸気流入口Cから,スーパー蒸
気発生装置10(図5)に流入する。スーパー蒸気発生装置10は,高耐熱
性の材料で作製され,図3に示すように蒸気の流路である迷路状の流孔Eを
有しており,超加熱状態を調整する機能をもつ。…スーパー蒸気発生装置1
0は,約25kHzの高周波交流電流をコイル11を通電させることで,磁
場が形成され,流入した蒸気は,輻射熱を吸収して数秒で約300∼100
0℃の温度に上昇し,スーパー蒸気となる。スーパー蒸気は,スーパー蒸気
流出口Dから滅菌・微生物不活化処理部Bに放出され(る)」との記載があ
る。引用発明である「スーパー蒸気発生装置」は,その内部に形成された流
路に蒸気を流すものであるから,所望の量の蒸気を流すために必要とする程
度の流孔を形成することは,当業者であれば当然に想起し得る程度のことと
いうべきである。
本願発明において,隔壁に穿設された透孔が「多数」である点について,
「多数」とは具体的にどの程度の数であるのか特定する記載は,特許請求の
範囲にも,本件明細書にも存在せず,単に,抽象的,一般的に「多数」であ
ることをいうにとどまるものと解される。そのため,透孔が多数であること
によって生じる作用も,結局のところ,程度の違いにすぎない。
そして,上記のとおり,流孔を多数形成することが,当業者であればまず
想起し得る程度のことであることに照らせば,相違点2に係る本願発明の構
成によって生じる作用が当業者にとって予測し得ないほどのものということ
もできない。
(3)以上によれば,引用発明において,相違点2に係る本願発明の構成とする
ことは,当業者が設計上適宜行うことができる程度のことである。したがっ
て,相違点2について,審決が「引用例1の第3図に記載されるような筒状
タンクにおいて,直列に配置した区画室を連通させるに際して,当業者が最
初に考え得る最も一般的な手法は,隔壁に多数の透孔を穿設することである。
したがって,引用例1発明において,区画室を連通させる流孔を設けるに際
して,隔壁に多数の透孔を穿設することは,当業者が容易に想到し得たこと
である。」と判断したことに誤りはない。
4結論
以上に検討したところによれば,審決取消事由はいずれも理由がなく,審決
を取り消すべきその他の誤りは認められない。
よって,原告らの請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判
決する。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官
田中信義
裁判官
古閑裕二
裁判官
浅井憲

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