弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件を東京高等裁判所へ移送する。
         理    由
 本件記録によれば、東京地方裁判所は、昭和四六年一一月二四日Dの承継人Eの
申立によりFの承継人である申立人ほか四名に対し建物収去を命ずる決定をし、同
決定正本は同月二八日申立人に送達されたところ、申立人は弁護士森山庸躬に訴訟
委任をして同年一二月六日抗告裁判所である東京高等裁判所に抗告状を提出したが、
同裁判所は、右抗告(即時抗告)が法定抗告期間経過後に提起された不適法のもの
で、その欠缺を補正することができないものとして、これを却下したことが明らか
である。
 ところで、本件不服申立の書状の標題は、特別抗告状となつているが、その申立
の趣旨を善解すれば、東京地方裁判所の前記決定に対する申立人の法定抗告期間は、
一二月五日が日曜日であるため翌六日をもつて満了すべく、したがつて同日提起し
た右抗告は適法であるから、原決定を取り消して再審理を求めるというにあるもの
と解することができる。
 ところで、一二月五日が日曜日であることは公知の事実であるから、右抗告は適
法な抗告として取り扱うべきであるにもかかわらず、東京高等裁判所は、この点に
ついて職権調査を尽くすことなく、不適法として却下したものであつて、この抗告
却下決定は、ひつきよう、決定に影響すべき重要な事項につき判断を遺脱したもの
といわなければならない。それゆえ、本件申立は、民訴法四二九条、四二〇条一項
九号所定の再審事由を主張して、いわゆる再審抗告を申し立てたものと解するのが
相当である(最高裁昭和四二年(ク)第二七〇号同四四年二月二七日第一小法廷決
定、裁判集民事九四号四八九頁参照)。
 しかるに、東京高等裁判所は、本件申立を特別抗告の申立と解して、これに対す
る判断を示すことなく、当裁判所に送付してきたものであるが、これを再審抗告の
申立と解すべきものであるとすれば、その審判は、同法四二九条、四二二条一項に
よりその不服の申立ある決定をした裁判所の専属管轄に属するから、同法三〇条一
項に従い、本件を管轄裁判所である東京高等裁判所へ移送するのが相当である。
 よつて、裁判官全員の一致で、主文のとおり決定する。
   昭和四七年六月八日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    藤   林   益   三
            裁判官    下   田   武   三
            裁判官    岸       盛   一

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