弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告人および上告補助参加人の上告理由第一点について。
所論の点については原審で主張されていないのであるから、原判決に判断のない
こと当然であつて、原判決には所論の違法はなく、論旨は理由がない。
同第二点について。
被上告人が、昭和五年三月、熊本県阿蘇郡a町D部落において、D要の三男とし
て出生し、その後養子縁組によりCと改姓するに至るまで二十余年間D姓を称し、
また要がもとa町長を勤めた知名士で、被上告人はその子として知られ、被上告人
の姓を呼ぶには「C」というよりも、むしろ「Dのひでちやん」と呼ぶ方がふさ、
わしいと感じている者が現在でも少なくない等、原審の確定した事実関係のもとに
おいては、所論「D英雄「D秀男「D英男「D英夫」および「D(平仮名)ひ」」」
でお」と記載された投票を、他の候補者「D八州男」または「D寅一」の姓と被上
告人C英男の名を混記したものではなく、被上告人の旧姓名を記載したその有効得
票であるとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の
違法はなく、論旨は理由がない。
同第三点について。
所論「カナせトミオ」という投票は、上告補助参加人に対する有効投票とは認め
られないとした原審判断は正当として是認することができる。原判決には違法はな
く、論旨は理由がない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官岩田誠
裁判官入江俊郎
裁判官長部謹吾
裁判官松田二郎
裁判官大隅健一郎

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