弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は被告人及び弁護人吉井規矩雄提出の各控訴趣意書(弁護人の控
訴趣意に関する補充陳述書を含む)記載のとおりであり、これに対ずる答弁は検察
官検事粂進提出の答弁書記載のとおりであるからこれを引用し、これに対し、当裁
判所は次のように判断する。
 弁護人の控訴趣意(法令適用の誤)について
 所論は、本件において被告人が立ち入つた場所である国鉄A駅構内は同駅駅長の
看守する建造物であつて、刑法第百三十条に定める「人ノ看守スル建造物」に該当
する。そして軽犯罪法第一条第三十二号に定める「入ることを禁じた場所」とは、
右刑法第百三十条の侵入客体を含まずそれ以外の場所をいうのであるから、被告人
の本件所為を刑法第百三十条の建造物侵入罪を以て処断するのは格別右軽犯罪法第
一条第三十二号に違反するものとして処断することはできない。仮に被告人の立ち
入つた場所が駅長の看守しない建造物であるとしても、右場所は鉄道営業法第三十
七条に定める「停車場其ノ他鉄道地内」に該当するものと解すべきであり、同条の
罪は前記軽犯罪法第一条第三十二号の罪に対する特別罪であるから、被告人の本件
所為については法条競合により右鉄道営業法第三十七条の規定を適用すべきであ
る。従つていずれにしても、軽犯罪法の規定を適用して処断した原判決には法令の
解釈適用を誤つた違法があるというのである。
 <要旨第一>案ずるに、原判決の挙示する証拠によれば、被告人が立ち入つたのは
A駅正面玄関を入つたところの出札窓口附近のホールでありその当時同
駅の営業時間中であつたことが明らかである。そして当審証人Bの尋問調書によれ
ば、右ホールは同駅舎屋の一部として同駅駅長が上級鉄道管理局長の事務の分掌と
して管理しているものであり、営業休止中出入口にシヤツターを降して閉鎖してい
るような場合を除いては、原則として旅客、送迎人、駅内施設の利用者等鉄道営業
及びその付帯施設の業務に関連する用務で出入する公衆のため開放しているのであ
るが、事実上は右のような用務の有無にかかわらず自由に人の出入を許してこれを
制限していないのが実情であり、特に人の出入を監視したり或いはみだりに人の侵
入するのを防止するための設備を設けたりしているわけではないことが認められる
のであつて、このような状態にある限り、これを目して刑法第百三十条にいわゆる
看守があるものとはなし難い。従つて右のような状態にある前記ホールへ立ち入る
行為を以て、直ちに同条の住居侵入罪が成立するものと解することはできない。次
に前記当審証人Bの尋問調書及び原判決が証拠として挙示するA駅長の答申書によ
れば、同駅構内には「許可なくして鉄道用地内で物品の販売、演説、勧誘等その他
営業行為はかたくおことわりいたします」「乗車券の販売、乗車口への割込、車内
の座席売、物品の販売配布、演説、勧誘、寄附行為その他客引の目的で駅構内に立
ち入ることはできません」等の掲示をして無用者の立入を禁止しているのであるか
ら、乗車券の販売、車内の座席売等の目的をもつて同駅構内に立ち入ろうとする者
に対しては、同駅構内は軽犯罪法第一条第三十二号に定める「入ることを禁じた場
所」にほかならない。従つていわゆる所場売り及び闇切符売りの目的をもつてみだ
りに同駅構内の一部である前記ホールに立ち入つた被告人の本件所為は、軽犯罪法
の右規定に触れるものというべきである。もつとも鉄道営業法第三十七条は「停車
場其ノ他鉄道地内ニ妄ニ立入リタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス」と定めてお<要旨第
二>り、被告人の本件所為は同法条の罪にも該当すると考えられるのであるが、右軽
犯罪法第一条第三十二号と鉄道営業法第三十七条とは、所論のように一
般法、特別法の関係にあるものと解すべきではなく、被告人の本件所為は一個の行
為にして右両法条の罪名に触れるものとするのが相当であり、従つて重い軽犯罪法
第一条第三十二号の罪の刑をもつて処断すべきものである。してみると、結局右軽
犯罪法の規定を適用して処断した原判決には、所論のような法令適用の誤はなく、
論旨は採るを得ない。
 (その余の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 長谷川成二 判事 白河六郎 判事 小林信次)

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