弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人納谷信造、同斎藤忠雄の上告理由について。
 仮処分はそれが係争物に関するものであると(民訴七五五条)仮の地位を定める
ものであると(同七六〇条)を問わず、金銭の債権でない権利につきその本来の内
容そのものを保全することを目的とするものである。(この点において仮差押が金
銭の債権又は金銭の債権に換ふることを得べき請求について動産又は不動産に対す
る強制執行を保全すること、すなわち窮極において権利の金銭的価値を保全するこ
とを目的とするのと対照をなす。民訴七三七条参照)しかし特種の場合にあつては、
権利本来の内容を保全することが、窮極にもいて金銭的価値を保全することでその
目的を遂げ得るような場合がないではない。例えば担保物権そのものを保全するこ
とは、それらの権利が金銭債権についての優先弁済を受けることを内容とするもの
であることに徴し、必ずしもその目的物につき仮処分をなすことを要せず、債務者
をして金銭的保証を立てきせることによつて債権者を満足せしめることができるの
である。かかる場合債権者が担保物権そのものの保全を目的とする仮処分の方途を
選んだとしても、(この場合債権者は金銭の債権に換ふることを得べき請求の主体
として仮差押を求めることもできる。)債務者をして不必要に不利益を忍ばせてま
で、債権者を保護すべきでないこと勿論であるから、かかる仮処分は債務者をして
保証を立てさせることによりこれを取消し得るものとすることが妥当であると考え
られる。この考え方は更らにそのほか、債権者が仮処分によつて受ける利益に比し
債務者がそれによつて受ける不利益が著しく多大であるような場合にあつても当事
者双方の利害関係を衡量して、債権者をして金銭的保証を以て満足せしむべきもの
とすることにまで進展する。特別事情による仮処分の取消を規定した民訴七五九条
はかくの如き考慮の下に立法せちれたものと解せられるのである。
 本件において、原審はその挙示する証拠により疏明せられたとする判示諸般の事
情を考察して、結局上告人申請の仮処分は判示目的物件の所有権を保全せんとする
にあるから「金銭的補償をうることによつてその目的を達し得べきものである」と
し、しかも本件仮処分をめぐる当事者双方の利害を衡量すると「本件仮処分によっ
て受ける被上告人等の損害は……普通の場合に比し遥に多大である」から、民訴七
五九条にいわゆる特別の事情あるものと判断したのである。この点に関する原判旨
は首肯し得るところであり、原判決には所論のような違法はない。また、民訴七五
九条により債務者をして立てさすべき保証の額は、裁判所の自由なる意見により前
示立法趣旨に合すべき金額を定むべきものであること勿論であるが、この点におい
ても原審は疏明せられた判示諸般の事情を斟酌した上、被上告人等をして上告人に
対し各金一〇万円の保証を立てさせることを以て足ると判示している。そしてこの
原審の裁定は必ずしも所論のように経済事情を無視し実験則に反し、その裁量権の
範囲を逸脱した違法なものであるとは考えられない。それ故論旨は採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔

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