弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決(被告人A、同Bに対する無罪部分を除く)を破棄する。
     被告人A、同Bを夫々懲役一年に処する。但し、右被告人両名に対し本
裁判確定の日から三年間いずれも右懲役刑の執行を猶予する。
     被告人Aより金一万円を追徴する。
     訴訟費用中第一審及び原審における証人C、原審証人D、同Eに各支給
した分は被告人A、同Bの負担とする。
     被告人Aに対する公訴事実中物価統制令違反幇助の事実、同Bに対する
公訴事実中物価統制令違反の事実及び同F、同Gに対する公訴事実について各被告
人を免訴する。
         理    由
 職権を以て調査するに、被告人Aに対する公訴事実中収賄の事実と併合罪の関係
ありとされている物価統制令違反幇助の事実、被告人Bに対する公訴事実中贈賄の
事実と併合罪の関係ありとされている物価統制令違反の事実及び被告人F、同Gに
対する物価統制令違反の公訴事実については、昭和二七年政令一一七号一条八七号
により大赦があつたので右事実に対する上告趣意については判断するまでもなく、
刑訴施行法二条、三条の二、刑訴四一一条五号、旧刑訴四四八条、四五五条、三六
三条三号により右各被告人に対する原判決(但し、被告人A、同Bに対する無罪部
分を除く)を破棄し、右各事実について各被告人に対し免訴の言渡をすべきものと
する。
 そこで、被告人A、同Bに対する右免訴にかからないその余の公訴事実に関する
弁護人海野普吉、同位田亮次の上告趣意について判断する。
 論旨第一点及び第二点について、
 しかし、記録を精査するも、原判決が事実認定の証拠に採用した所論各聴取書記
載の被告人等の供述が強制によるものであると認めることができないから、所論は
その立論の前提を欠き刑訴四〇五条の上告理由として採用できない。
 同第三点及び第五点について、
 所論は事実誤認乃至量刑不当の主張であつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由
にあたらない。
 同第四点について、
 所論は憲法三一条違反を云為するけれども、その実質は採証の法則違反を主張す
るに帰し、刑訴四〇五条の上告理由として採用できない。(なお、原判示事実はそ
の挙示する証拠から肯認できる。)
 よつて、原判決が証拠により確定した右大赦にかからない事実、すなわち、原判
示第一、第二の各事実を法律に照すに、被告人Aの原判示第二の収賄の所為は刑法
一九七条一項前段に該当するので、その所定刑期範囲内において同被告人を懲役一
年に処し、被告人Bの原判示第一の贈賄の所為は同法一九八条、一九七条一項に該
当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、その刑期範囲内において同被告人を懲役
一年に処し、右被告人両名に対し、情状刑の執行を猶予するのを相当と認め、同法
二五条により、いずれも本裁判確定の日から三年間右各刑の執行を猶予するものと
し、被告人Aの収受した賄賂については同法一九七条の四後段を適用し、同被告人
よりその価額金一万円を追徴するものとし、訴訟費用は刑訴施行法二条、旧刑訴二
三七条に則り主文第四項掲記のとおり負担させるものとする。
 この判決は、裁判官全員一致の意見である。
 検察官 吉河光貞関与
  昭和二八年一月二三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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