弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     控訴費用は控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴人は「原判決を取消す。旧軍人Aの戦死による遺族扶助料に関する控訴人の
訴願につき、被控訴人が昭和三十五年十二月三日付でした裁決はこれを取消す。訴
訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人の指定
代理人は「本件控訴を棄却する。」との判決を求めた。
 当事者双方の事実上の主張及び証拠関係は
 控訴人において
 控訴人は大正八年八月二十二日Bと事実上の婚姻をしたが、当時Bは旧民法によ
るC家の法定推定家督相続人であつたため婚姻届出をすることができなかつた。大
正九年五月Bは懐姙したが、控訴人とBは、両名の婚姻届出が為されていないの
で、生れてくる子供を両名の嫡出子として届出でることが不可能であることに苦慮
し、窮余の策として控訴人は大正十年一月二十二日Bの父D及びその妻Eと婿養子
縁組の届出をし、同時にBとの婚姻届出を了した。同年三月十四日Aが出生、両名
の長男として届出でをした。昭和二年十一月二十一日控訴人はD及びその妻Eとの
養子離縁の届出をしたが、長男AはC家の代襲家督相続人としてC家に釘付けにさ
れた。これ正に個人を人為的、社会的に束縛した旧家族制のもたらした結果であ
り、本件の禍因となつたものである。事実は控訴人はB入嫁後同人と、A出生後は
親子三人で終始京城に同居生活をしたのであり嘗て養親と同居した事実はない。然
るところAは召集を受け、昭和十七年一月二十五日京城の父、控訴人の許を出発、
翌二十六日午前九時控訴人に伴なわれて平壊第四十四部隊に入隊し、控訴人はAの
脱ぎ捨てた衣類を抱えてトボトボと帰宅し感慨無量のものがあつた。Aは昭和十九
年七月二十八日グアム島で戦死したが、当時同人は軍医大射であつた。Aは基本的
人権尊重、民主主義国家建設、世界殖民地解放のいしずえとなり二十三才五ケ月十
五日の短い生命を終つたが、愛児を失つた控訴人の悲嘆、慟哭は筆舌の及ぶところ
ではない。Aの戦死は当時の上官であつた作戦主任参謀Fの確認証言により、昭和
三十二年五月十一日その旨戸籍に記載された。
 戦死者Aの母は右のとおりBであり、Bの母はGである。本件の扶助料を現に受
けているEはGの没後Bの父Dの後妻として入籍したもので、Bの父の妻であり、
Aの祖父の妻である。A死亡当時同人と同一戸籍内に在つたのはこのEのみであ
る。このEを恩給法上の祖母と見立て、これにA戦死にかかる扶助料を昭和二十八
年から支給し、控訴人の受給権を侵害したのは違法である。Eに対する扶助料支給
の裁定が被控訴人主張の日になされたことは争はないと述べ、立証として甲第一、
二号証を提出し、被控訴人指定代理人において、控訴人の各主張事実中戸籍関係、
Aの入隊戦死の事実、その日時、A戦死による扶助料を昭和二十八年四月分以降の
扶助料をEに支給している事実はいずれもこれを認めるが、爾余の事実は不知。な
お総理府恩給局長がAの死亡による遺族扶助料をEに支給する旨の裁定をしたのは
昭和三十年五月二十八日であると述べ、甲第一、二号証の成立を認めると述べ
た外原判決の事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。
         理    由
 一、 控訴人の長男Aが昭和十九年七月二十八日旧軍人(当時軍医大尉)として
戦死したことは当事者間に争がなく、成立に争のない甲第一、二号証と本件弁論の
全趣旨を合はせ考えると、右Aの身分及びその生活関係等について大要次の事実を
認め得る。
 控訴人(旧名H、当時の本籍広島県豊田郡a村大字bc番地)は、大正八年頃広
島県豊田郡d村大字ef番屋敷Dの長女B(旧名チクヨ)と事実上の婚姻をした
が、当時控訴人は戸主であり、Bもまた戸主Dの法定推定家督相続人であつたため
簡単に婚姻の届出ができなかつた関係上、未届のままであつたところ、Bが懐姙し
たので、生れてくる子供を嫡出子として届出でたいために控訴人は廃家の上大正十
年一月二十二日、Bの父Dとその後妻E(旧民法上、Bの継母)との間に養子縁組
をしてDの家籍に入り、同日Bとの婚姻届をすませ、同年三月十四日前記Aが控訴
人とその妻Bとの間の長男として出生した。その後控訴人は昭和二年十一月二十一
日D夫婦と協議離縁し、一家を創立して再びHの氏に復り妻Bも控訴人の家籍に入
つたのであるが、AだけはDの推定家督相続人としてDの家籍に残された。しかし
右のような戸籍上の変動はともかくとして、控訴人はBと結婚して以来引続き朝鮮
に居住しており、Aも朝鮮で生まれ、出生以来終始父母である控訴人夫婦と同居
し、その手許で養育されてきたものである。なおAは未婚者であつて戦死当時妻も
子供もなかつたものである。
 以上の事家が認められる。
 二、 ところで次の事実は当事者間に争がない。
 控訴人は昭和二八年法律第一五五号恩給法の一部を改正する法律(以下昭和二八
年法律第一五五号という)に基いて、昭和三十四年四月十七日総理府恩給局長(以
下単に恩給局長という)に対し、旧軍人Aの戦死による遺族扶助料はAの実父母で
ある控訴人夫婦に支給さるべきものであるとして扶助料の請求をしたところ、恩給
局長は同年十一月二十八日付で、控訴人はAの死亡当時同人とその属する戸籍を異
にしたので、Aの死亡当時施行されていた恩給法(昭和二十三年法律第一八五号に
よつて改正せられる前の恩給法)第七二条第一項に規定する「公務員死亡の時これ
と同一戸籍内に在るもの」に該当しないとの理由によつて控訴人の請求を棄却する
旨の裁定をした。控訴人は右裁定を不服とし同年十二月十日恩給局長に具申をした
が、恩給局長は昭和三十五年三月二十四日付で右具申を棄却する旨の裁決をした。
そこで控訴人は右裁決を不服とし更に同年四月十四日付で被控訴人に対し訴願をし
たところ、被控訴人は同年十二月三日付で右訴願を棄却する旨の裁決をした。なお
恩給局長は昭和三十年五月二十八日Aの戦死による遺族扶助料を、同人の死亡当時
同人と同一戸籍内にあつた前記D(同人は昭和十一年十月二十六日死亡)の後妻E
に支給する旨の裁定をし、昭和二十八年以降同人に扶助料を支給している。
 以上の事実は当事者間に争のないところである。
 三、 昭和二十年十一月二十四日、連合軍総司令部から日本政府に対し、「恩給
及び恵与」に関する覚書が発せられ、政府はこれにもとずいて昭和二十一年二月一
日勅令第六八号をもつて「恩給法の特例に関する件」(以下旧勅令第六八号とい
う)を公布し、これによつていわゆる軍人恩給は原則的に廃止され、旧軍人及び旧
準軍人(以下旧軍人等という)に対する恩給及びその遺族に対する扶助料は支給さ
れないこととなつた。ところがその後前記昭和二八年法律第一五五号(昭和二十八
年八月一日から施行)の附則第一〇条により旧軍人等及びその遺族に対しても恩給
を受ける権利または資格が与えられるにいたつた。そして本件における唯一の争点
は、同法条によつて支給されることとなつたAの戦死による遺族扶助料の受給権者
が誰であるかという点にあるのである。
 四、 右附則第一〇条の規定中、本件の争点に関するものは同条第一項第二号
イ、ロの部分であつて念のためこの関係部分の規定を摘出すれば次のとおりであ
る。
(第一項)恩給法の一部を改正する法律(昭和二十一年法律第三十一号、以下「法
律第三十一号」という)による改正前の恩給法第二十一条に規定する軍人(以下
「旧軍人」という)もしくは準軍人(以下「旧準軍人」という)又はこれらの者の
遺族のうち左の各号に掲げる者は、この法律施行の時から、それぞれ当該各号に掲
げる恩給を受ける権利又は資格を取得するものとする。
 一、 (略)
 二、 左に掲げる者の一に該当する旧軍人又は旧準軍人の遺族で、当該旧軍人又
は旧準軍人の死亡後恩給法に規定する扶助料を受ける権利又は資格を失うべき事由
に該当しなかつたものについては、旧軍人又は準軍人の遺族の扶助料を受ける権利
又は資格。
 イ 旧勅令第六十八号施行前に扶助料を受ける権利の裁定を受けた者及びその後
順位者たる遺族。 ロ 本号イに掲げる以外の者でこの法律施行前に公務に起因す
る傷病のため死亡した旧軍人又は旧準軍人の遺族であるもの。
 ハ (略)
 五、 ところでAの戦死について、旧勅令第六八号の施行前に同人の遺族として
扶助料を受ける権利の裁定を受けた者の存しないことは本件弁論の全趣旨に徴し明
らかである。従つて本件の場合には、右附則第一〇条第一項第二号イの規定を適用
する余地はなく、同号ロの規定が適用さるべきであることは多言を要しない。
 そして本件における当面の問題は要するに、右附則第一〇条第一項第二号ロに規
定する「旧軍人又は旧準軍人の遺族であるもの」とある「遺族」とは、Aの死亡当
時施行されていた恩給法すなわち昭和二三年法律第一八五号によつて改正される以
前の恩給法第七二条第一項(以下旧法という)に規定する「遺族」を指すのか、も
しくは右法律によつて改正された恩給法第七二条第一項(以下新法という)に規定
する「遺族」を意味するかの点に帰着するのであつて、本件における唯一の争点も
結局は右のような法律上の問題にほかならないのである。
 六、 旧法第七二条第一項は、「本法において遺族とは、公務員又はこれに準ず
べき者の祖父、祖母、父、母、夫、妻、子及び兄弟姉妹にして、公務員又はこれに
準ずべき者の死亡の当時これと同一戸籍内に在るものを謂う。」と規定し、新法第
七二条第一項は、「本法において遺族とは、公務員の祖父母、父母、配偶者、子及
び兄弟姉妹にして、公務員の死亡当時これにより生計を維持し、またはこれと生計
を共にしたるものを謂う。」と規定する。すなわち新旧法条とも、公務員の死亡当
時、これと特定の親族関係にあることをもつて遺族たる一要件としたことは全く同
じであるが遺族たる他の要件につき、旧法条が「公務員の死亡当時これと同一戸籍
内にあること」と規定したのを、新法条は「公務員の死亡当時これにより生計を維
持し、またはこれと生計を共にしたものであること」に改めたものである。そして
かかる改正が行はれた所以のものは、旧法条中、「公務員の死亡の当時これと同一
戸籍内にある」ことをもつて遺族たる要件とした部分は、日本国憲法と同時に施行
せられた「日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律」(以下応急措
置法という)第三条にいう「家に関する規定」にあたるものとしてその適用が排除
されるにいたつたため、これを日本国憲法の趣旨に反しないように改めることを不
可避としたのによるものと理解し得る。
 <要旨>七、 右法律第一五五号の改正案が第十五回国会に提出された際の提案理
由によつて明らかなとおり法律第一五五号附則第一〇条の制定の趣旨は、第
一に同条が昭和二十一年勅令第六八号によつて廃止された軍人恩給やその遺族の扶
助料につき、かつてその受給権を有していた者に再びこれを与え、又は右の廃止が
なかつたなら当然受給資格を取得したであろうところの者に、かかる受給資格を与
えようとしたもので、形式的には法律上新たな権利の附与であるが、実質的にはこ
れらの者が過去において有していた既得権ないしは期待的利益の喪失に対して、部
分的にその復活をはかつたものということができるのであり、第二に新憲法施行前
に死亡したいわゆる文官の遺族扶助料については、軍人の場合におけるような恩給
廃止がなかつた関係上、その死亡当時における恩給法の規定により、そこにいう遺
族に該当する者のみが扶助料受給権を取得していたことにかんがみ、これとの均衡
をはかるため旧軍人らの遺族扶助料の受給資格を右のとおり定めたものということ
ができるのである。従つて勅令第六八号の公布施行前に戦死した旧軍人等の遺族に
対する扶助料支給についても、戦死当時戦死者とある程度の身分関係を有した者
(通俗にいわゆる遺族)のうち何人を恩給法上の遺族とするかを決するについて
は、当然戦死当時施行されていた恩給法の規定によらなければならないものといわ
なければならない。
 八、 右法律第一五五条附則第二八条には「旧軍人もしくは旧準軍人またはこれ
らの者の遺族に給する恩給については、この法律の附則に定める場合を除くの外、
恩給法の規定を適用する」と規定する。右にいう「恩給法の規定」とは給与事由の
生じた当時における恩給法の規定を指すものと解するから本件の場合においてもA
の遺族が誰にあたるかは同人の戦死した昭和十九年七月二十八日当時の恩給法すな
わち前示旧法第七二条第一項によつてきまるものであるとしなければならない。
 九、 既に六において述べたとおり、遺族の定義をした旧法第七二条第一項も新
法第七二条第一項を見ても、恩給法においては公務員の死亡当時において遺族を確
定する建前をとつていることは不変の原則であつて、公務員の死亡当時遺族であつ
た者が、公務員の死亡後遺族でなくなるとか、公務員の死亡当時遺族でなかつた者
が、公務員の死亡後に遺族となるような趣旨が設けられたことがないことから判断
すると、昭和二十三年法律第一八五号施行前なかんずく応急措置法施行前に死亡し
た公務員の遺族は旧法第七二条第一項に規定するところに従い、右法律第一八五号
施行後死亡した公務員の遺族は新法第七二条第一項に規定するところに従い、夫々
決定すべきものと解する。
 一〇、 控訴人は法律第一五五号はその附則により既に廃止された旧軍人及びそ
の遺族に対する恩給を新に附与することになつたものであり、この法律がすでに日
本国憲法施行後相当の年月を経て制定されたものであるからには、憲法の趣旨にて
いしよくするものとして憲法施行と同時にその適用が排除された前示旧法第七二条
第一項の適用を是認するような趣旨の規定を設けるものとはたやすく考えられない
ところであり、右の認定を正当とするなら右の附則は「家族制度」の否定を建前と
する憲法の趣旨に反する規定とみられる虞なしとしない、と主張する。然しながら
控訴人自身も旧軍人又は遺族に対する恩給又は扶助料の附与を以て憲法違反とする
ものでないことは本訴の提起自体によつても明かであり、法律第一五五号附則第一
〇条第一項第二号イの旧勅令第六八号施行前に扶助料を受ける権利の裁定を受けた
者及びその後順位者たる遺族が扶助料の支給を受けることは、既成の事実を尊重す
る趣旨において、これを憲法違反とするものでないことは弁論の全趣旨により明ら
かである。控訴人の主張に従えば法律第一五五号の附則が新に旧軍人の遺族に扶助
料を給する場合、殊にイの裁定を受けた者が当然戦死者の死亡当時これと同一戸籍
内にあつた者との家族制度の制約に基いて決定されたものであることを是認するこ
ととなり、このことは控訴人が単に裁定なる既成の事実を尊重する旨の言訳にかく
れて、明白な憲法違反に自ら目を塞ぐ結果に帰着し甚だ不合理といわなければなら
ない。遺族扶助料の受給権者でありながら、偶々手続の都合上裁定を受けるに至ら
なかつた者も亦扶助料を受ける法律上の利益を期待しうる者であつてこれ又一つの
既成事実といわなければならない。イの場合は旧法第七二条第一項の規定に従つて
差支ないが、ロの場合にはこの規定によるべきでなく新法第七二条第一項の規定に
従わねばならないとする理論上の根拠をいずれに求めるのであろうか。のみならず
勅令第六八号は前記のように占領軍の覚書に源を発するものであり、連合軍による
占領中は為政者が右勅令による旧軍人の恩給又はその遺族の扶助料の廃止を復活す
ることは占領軍に対し多分の気兼ねを有つたことは容易に想像しうるところであ
り、法律第一五五号は日本国が独立を許された後むしろ速かに前記勅令の不合理を
是正するために制定施行されたと見るべきであるから、憲法施行後の年数のみによ
つて同法附則第一〇条第一項第二号イロの規定を異にして解釈することは妥当では
ない。
 一一、 次に前記附則第一〇条第一項第二号イロにおいて、新憲法施行前に死亡
した旧軍人等の遺族として扶助料を受くべき権利又は資格を有する者を当該軍人等
の死亡当時これと同一戸籍に在つた者に限定した部分が、控訴人の主張するように
憲法第一四条の法の下の平等の規定に反し、また「家」の制度を認めるものとして
同法第一三条、第二四条の各規定に違反するかどうかを検討する。
 新憲法が右各条文に現わした精神に基き旧民法時代における「家」の制度を全く
認めない立場をとつている以上その新憲法のもとに制定された前記法律第一五五条
の中の冒頭規定の中で、遺族の要件を旧法第七二条第一項と同様な「家」の観念を
前提として定めたことは、前記憲法の各条文に違反するのではないかとの疑念を生
ずることは一応尤もなことである。しかし右イロの規定の中に家の存在を認めた部
分があつたからといつて、そのことから当然にその規定が憲法の上記各規定に違反
するものとは做し難い。
 右規定が憲法の規定に違反するというためにはその規定が「家あ存在を積極的に
是認し、又はこれを復活するごとき意味ないし機能をもつものでなければならない
ものと解するのが妥当である右附則は既に述べたように法律上は新たな権利の付与
の体裁をもつが、実質的には既得の権利ないしは期待的利益の喪失の復活をはかつ
たものであり、他面文官の遺族扶助料受給権者との均衡をはかつた趣旨に出たもの
である。すなわち旧軍人が新憲法施行前に死亡した場合その死亡した旧軍人と同一
戸籍内に在つた者のみが扶助料の受給権ないしは受給資格を有するものとされてい
るのであるからその適用を受けるべき者の範囲は限定され、将来において無制限に
増加する可能性をもつものではなく、むしろ時の推移によつてその数は漸次減少
し、早晩一人もいなくなることが予想されるのである。旧軍人等が新憲法施行後に
死亡した場合は法律第一五五条は第七二条第一項の規定により扶助料受給権者を合
憲的に定めているのである。右イロの規定が「家」の存在を積極的に是認し「家」
の復活を助長する意味ないし機能を有するものでないことは明らかであるといわな
ければならない。従つてこれらの規定が上述の観点から憲法の上記規定に違反する
ものとする控訴人の主張は採用しがたい。
 一二、 以上述べたところにより控訴人の本訴請求は認容しがたいからこれを棄
却すべきものとする。これと同旨に出た原判決は相当であつて本件控訴は理由がな
い。
 よつて民事訴訟法第三八四条第九五条第八九条に則り主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 谷本仙一郎 裁判官 堀田繁勝 裁判官 野本泰)

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