弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴はこれを棄却する。
     当審の訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は末尾に添附してある弁護人福田力之助作成名義控訴趣意書と題
する書面記載の通りである。
 これに対し当裁判所は左の如く判断する。
 論旨第一点について。
 原判決が没収した物件は捜査官が押収したもので裁判所において押収したもので
ないことは所論の通りであ<要旨>る。しかしながら刑法第十九条の没収の条件には
特に裁判所で押収したものに限る旨の制限はないから捜査官が押収したもの
でも右刑法第十九条の条件に適合するものはこれを没収するに何等差支はないので
ある。又物件自体について証拠調をしてなくても当該物件が刑法第十九条により没
収すべきものであるかどうかの取調がしてあり、しかうして没収すべきものである
ことが明らかであればこれを没收しても差支ないのである。本件記録を精査すると
原審公判廷において大蔵事務官A同B作成の犯則事件報告書及び差押目録が証拠と
して取調べられており、これによると差押えられた本件物件は総て被告人が原判示
犯行に使用したもので被告人の所有であることが判るから原審は本件物件を没收し
たについて手続上も実体上も何等違法はないものというべきである。論旨は理由が
ない。
 (裁判長判事 吉田常次郎 判事 保持道信 判事 鈴木勇)

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