弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役壱年に処する。
     原審並びに当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人山内甲子男並びに被告人各提出の控訴趣意書に、それ
ぞれ記載するとおりであるから、ここにいずれもこれを引用する。
 弁護人山内甲子男の論旨第一点の一、について、
 起訴状記載の本件公訴事実は、いずれも着服横領となつているにもかかわらず、
原判決が訴因変更の手続を経ずして、これをいずれも費消横領と認定していること
は、所論のとおりである。しかしながら、本件において、検察官主張の着服横領と
いい、原判決認定の費消横領というも、いずれも被告人が原判示A及びBこと同B
より売却方の依頼を受け、原判示C並びにDに対して売却した原判決にいわゆる住
宅並びに局舎の各売買代金を原判示日時頃、同人らからそれぞれ交付を受け、右A
らのため、預り保管中、当時該金員を、それぞれ不法に領得したという事実に係る
ものであつて、両者は共に刑法二五二条一項の横領罪に属し、かつ、その間不法領
得意思実現の態様を異にするところはあつても、被告人が原判示日時頃前示の各売
買代金について不法領得意思の実現行為があつたという具体的事実関係において、
両者に異るところはないばかりでなく、着服横領とあるのを費消横領と認定しても
本件における被告人の攻撃防禦になんらの消長をきたすものではない。されば、原
審が着服横領の起訴に対し、訴因変更の手続を経ずして費消横領と認定しても、所
論の違法があるとはいえない。
 同第一点の二について、
 所論は、公訴事実(一)ないし(四)には、Cより交付を受けた各金員を着服横
領したとあるのに、原判決は、これをそれぞれEより交付を受けた各金員を費消横
領したものと認定し、(五)(六)の各公訴事実(論旨に、(四)(五)(六)の
公訴事実とあるのは、(五)(六)の誤記と認める。)については、D方において
同人から交付を受けた各金員を着服横領したとあるのに、原判決は、これをそれぞ
れJ方においてDから各交付を受けた金員を費消横領したものであると認定してい
るのであつて、公訴事実と原判決認定事実との間には、横領の目的物を異にし、原
判決には、刑訴法三七八条三号に該当する違法があるという。しかしながら、本件
記録並びに原判決引用の各証拠によれば、本件起訴の対象となつている各横領の目
的たる金員も、原判決が認定した各横領の目的たる金員も、共に前記一について説
明したとおり本件住宅並びに局舎の売買代金として被告人が原判示日時ころ、相手
方買受人たるC並びにDからそれぞれ支払いを受けた金員に係るものであることは
明らかであり、起訴状に記載するところと、原判決の認定するところとの間に、所
論の(一)ないし(四)については、現実に、この金員を被告人に手交した者を、
(五)ないし(六)については、その各交付を受けた場所を異にするところがある
が、そのことの故に、被告人が各横領した金員の特定性をいささかも害するもので
はないから、所論は、とうてい採用できないものである。
 同弁護人の論旨第二点の一について、
 所論は、原判決摘示の事実冒頭に、被告人は、「自ら右局舎の売却仲介の労をと
り相当の金員を入手せんと企て」というが、そこにいう相当の金員とは、いかなる
意味か不明であり、更に、これを売買の仲介手数料をこえ、売却代金相当の金員を
入手する意図のものと解するならば、被告人は、売買代金受領のとき、すでにこれ
に対する横領の犯意があつたものというべく、原判決が金員費消のとき、はじめて
横領の犯意を生じたものと認定するのは矛盾であるという。なるほど、後でも判断
するとおり、原判決には不用意かつ余剰の記載が多く、所論の「相当の金円を入手
せんと企て」とあるのも、果していかなることを意味するものか不明であるが、そ
の前後の記載に徴すれば、右は、原判決の認定した各費消横領の動機とみるべき事
実を記載したものであるから、それが売買仲介の手数料をこえるものであるかどう
かが明らかでないからといつて、未だ理由不備の違法があるものとはいえず、更
に、被告人が、仮りに本件住宅並びに局舎の売却代金を、前記Aらに交付せず、こ
れを領得しようとする意図が当初からあつたものとしても、横領罪としては、被告
人が交付を受けた金員について、現実に不法領得意思の実現行為があつたとき、は
じめて成立するものであるところ、原判決は、その引用の証拠により、被告人が原
判示の各交付を受けた金員を費消することにより、はじめて不法領得意思の実現行
為があつたものと認定しているのであるから、原判決には所論のごとく理由にくい
ちがいのある違法の存するものとはいえない。論旨は理由がない。
 同第二点の二について、
 所論は、原判決の摘示するところでは、被告人の各横領した金円が果して何人の
所有に属するものか、あるいは、又該金円を何人のために保管していたものか不明
であるというが、なるほど、原判決は所論の各事実についてこれを明示するところ
がない。しかしながら、原判決が被告人に対する各犯罪事実として判示するところ
を全体として通読すれば、原判示の各金円は、いずれも被告人がA、同Bらの所有
に属する原判示住宅並びに局舎を同人らの依頼を受けその代理人としてC並びにD
に各売却し、その代金として同人らから支払いを受けたものであつて、該金円は、
いずれも右A、同Bらの所有に属し、被告人は、同人らのために、いずれもこれを
保管していたものであることが明らかであるから、この点の論旨も理由がない。
 同第二点の三について、
 論旨は先ず、原判決は費消、横領の各犯罪事実を認定するについてその各費消の
日時、場所、目的(費消した金員の使途)を逐一具体的に明示しない違法があると
いう。しかし、原判決は、第一の(一)ないし(四)及び第二の(一)(二)の各
横領の事実を判示するについて、その各犯行の日時として、被告人が判示の各金円
の交付を受けた日時をそれぞれ判示し、各そのころ、当該受領にかかる金円を費消
したと判示しているのであつて、その各犯行の時を判示するについて欠くるところ
はなく、更に、その各費消の場所を、いずれも愛知県南設楽郡a村地内等と判示
し、その費消の目的をいずれも埋蔵物発堀事業費等(但し、第一の一事実について
は、併せて遊興費に費消したことをも判示している。)と判示し、その費消の場所
がa村地内以外のいかなる場所をいうものか、あるいは、費消の目的が右埋蔵物発
堀事業費以外のいかなる使途をいうものか明らかでないうらみはあるが、原判示第
一の(一)ないし(四)並びに第二の(一)(二)の各費消横領の事実は、それぞ
れ各一罪を構成するものとして、原判決は認定しているのであるから、その各一罪
を構成する各費消横領の事実について、更に逐一具体的に費消の場所、使途を巨細
に判示する必要はなく、また、費消横領の事実を判示するについては、その費消の
目的が物の所有者本人のためにするものでなくて、自己の用途に供するものである
ことを明らかにすれば足りるばかりでなく、原判示事実を、その引用の各証拠、特
に、被告人の原審公判廷の供述(第五回一八一頁以下)と対照すれば、前記各金員
の費消の場所は、すべて前記a村であり、その費消の目的も、すべて被告人の自己
の用途、すなわち前記埋蔵物発堀の事業費に充てるためのもので、前示原判決にa
村地内等、あるいは埋蔵物発堀事業費等とある各「等」の記載は、余剰な修辞語に
過ぎないものと認められるので、この点の論旨も理由がない。
 次に、論旨後段は、被告人の司法警察員並びに検察官に対する各供述調書によれ
ば、被告人は、原判示の各費消に先立ち領得の音思を表示したことを窺い知ること
ができるのであつて、判示各費消はいずれも領得後の処分行為にすぎないという
が、所論の被告人の各供述調書は、原判決が証拠として引用しなかつたものであ
り、原判決引用の各証拠、特に、被告人の原審公判廷における供述によれば、被告
人が原判示各費消のときに、はじめて、不法領得の意思を実現したものと認定でき
ないことはないのであるから、所論の理由にくいちがいがあるとの主張は理由がな
い。(もつとも、本件は、原判決引用の各証拠に、当裁判所において取り調べた証
拠を併せ考えれば、後段説明のとおり、被告人は、原判示各費消にさきだち、原判
示各金員をそれぞれ着服横領したものと認定すべきものであるが、この点の各事実
の認定の誤は、未だ原判決に影響を及ぼすこと明らかなものとはいえない。
 同第三点の一について、
 所論は、横領罪は、占有者が寄託の本旨に背きその寄託関係を変更することを成
立上の要素とするのであるから、横領罪の罪数を定めるについては、寄託関係が一
個であるか、数個であるかにより、これをきめるべく、必ずしも不法領得意思実現
の事実上の行為の数によるべきものではないところ、本件の寄託関係は単一である
から、たとえ金員費消の事実が原判示のとおりであつても、単純一罪を構成するも
のというべきで、これを併<要旨>合罪として処断した原判決は、法律の適用を誤つ
たものであるという。なるほど、横領罪においては、寄託関係における寄託
者と受寄者間の信頼関係の違背という要素のあることは否定できないが、同罪にお
いては、背任罪におけると異り、専ら他人のために、保管中の特定物を、不法に領
得する行為が違法とされ処罰の対象となつているもので、いわゆる領得罪にいれて
考えるべきものであるから、横領罪の罪数を定めるについては、必ずしも所論のご
とく寄託関係の個数を標準として、これを決すべきものではない。ところで、本件
において、原判決は、判示第一の(一)ないし(四)、並びに第二の(一)(二)
の各金員について、被告人がそれぞれこれを預り、前記A、同Bらのために保管
中、原判示各日時頃、当該各金員をそれぞれ費消し、そのつど、これを横領したと
いうのであつて、被告人の原判示各金員に対する領得意思の実現行為は、それぞれ
別個のものであり、これを全体として一個のものと認めることはできないのである
から、右各金員の保管関係が所論のごとく、原判示A、同Bらと被告人間の一個の
委任関係に基くものであつても、このことから直ちに原判示名横領の事実を全体と
して、一個の横領罪を構成するものと考えるべきものではない。それ故、論旨は理
由がない。
 同第三点の二について、
 所論は、原判決が執行猶予の期間を経過し、すでに刑の言渡の効力を失つた被告
人の前科を、その理由冒頭において摘示し、しかも、本件犯罪は、被告人の前科た
る詐欺罪に親しみが深いと判示しているのは、刑法二七条の解釈適用を誤つたもの
であるという。原判決が、所論のごとく、すでに刑の言渡の効力を失つた被告人の
前科をことさら判決文の冒頭に掲記したのは、果して、どのような意図によるもの
か、明らかではないが、被告人の本件各犯罪の成立を左右するものとして、これを
摘示したものでないことは、原判決後段の量刑事情として原判決に説示するところ
と対照すれば、自ら明らかである。そして、刑法二七条に、刑の言渡はその効力を
失うというのは、執行猶予の言渡を取消さるることなく、その猶予の期間を経過し
たときは、最初から刑の言渡がなかつたと同一の状熊に復するという趣旨であつ
て、各種の法律関係において、刑の言渡に伴う各種の法律効果を帰せられないとい
う意味に他ならないものというべく、被告人の経歴として、過去において刑の言渡
を受けたことがあるという歴史的事実そのものは否定できないのであるから、右の
規定があればとて、すでに刑の言渡の効力を失つた前科を、ある場合犯罪の情状、
特に被告人の悪しき性格を認定する一つの資料(事実上の素材)とすることまで許
されないものとは、解することができない。この点の論旨も理由がない。(なお、
原判決は、証拠の標目として、検察事務官作成の被告人の前科調書をあげているの
であつて、原判決が、どのような必要からこのような措置に出たものか、不明であ
るが、原判決が、これを、被告人の有罪認定の資料としてあげたものであれば、明
らかに、違法かつ不謹慎である。しかしながら、原判決判示事実は、これを除いて
も優にこれを認定できるのであることを考慮すれば、この点の違法は、原判決に影
響を及ぼすことが明らかなものとはいえないから、未だ原判決破棄の理由とはなら
ない。)
 被告人の事実誤認の論旨について、
 所論は、被告人は、Bから、原判示住宅、局舎の売却方の依頼を受けるについ
て、その売却が当時困難な事情にあつたので、被告人が各買受人から各交付を受け
てBに引渡すべき金員については、この金員をもつて消費貸借の目的とすることを
被告人とBとの間に契約ができていたのであるから、被告人において該金員を費消
したとしても、横領罪の成立はないというのである。しかしながら、原判決引用の
各証拠並びに当審における証人Bの証言及び被告人の供述と、証第三号の被告人か
らAあて、昭和二八年八月三一日附金六拾万円の借用証書、証第六号のAの署名捺
印のある金三千百円の受領証、証第五号の昭和二八年九月一日附Aの被告人あて書
状各一通によれば、A、同Bらは、原判示日時、被告人に対し、本件住宅、局舎の
売却方を委任するに際し、その売却価格を、住宅について金三五万円、局舎につい
て金六〇万円と各指定し、それが、それぞれ他に売却された場合、各買主より被告
人に交付される売買代金は、直ちに、これをA、同Bらに引き渡すべきことを約定
したものであつて、被告人において、これを他に流用費消するがごときことは、全
く許容されておらず、まして、その代金の引渡しを、被告人の主張するように、三
年なり五年なり猶予されていたというような事実は、少しも認められないのであ
る。もつとも、前記証第三号の借用証書及び証第六号の受領証及び証人Bの当公判
廷における証言によれば、被告人が昭和二八年八月三一日頃局舎売買代金のうち金
一〇万円を、その金員の趣旨を明らかにすることなく、A方に持参した際、局舎が
売却された事実を他から聞知したBから、その売買代金の交付方を督促されたが、
被告人としては、当時、住宅並びに局舎の売買代金の大部分を自己の埋蔵物発堀資
金に流用費消していたばかりでなく、手許に残つていた残金も同資金に充てる意図
ですでにこれを着服しAらに引き渡す意思がなかつたので、被告人は、むりにBに
頼み込んで、被告人が原判示C及びDとした本件住宅及び局舎の売買代金合計七〇
万円から、すでにBに交付ずみの前示金一〇万円を差し引いた残りの金六〇万円に
ついて、同額の準消費貸借契約をすることとし、ここに前記証第三号の借用証書が
作成されたものであり、その後、被告人が、右金六〇万円に対する利息として、同
年一〇月二日に九月分の、同年一一月二日に一〇月分の利息各金三千百円を、Bに
対し支払つている事実が認められる。)もつとも、同人としては、右準消費貸借の
目的となつた金六〇万円は、内心住宅の売買代金を除いて局舎の売買代金の残金だ
けだと考えていたようであるが、同人においてそのような錯誤があつたとしても、
被告人が本件住宅及び局舎の売買を委任されたことに基いて、A、同Bらに引渡し
の義務を負うべき金円は、前示C及びDから被告人が現実に支払を受けた金円に限
られるのであり、前示準消費貸借契約も、この被告人がAらに対し引渡しの義務を
負う金円についてなされたものと認むべきである。)ところで、被告人の当公判廷
の供述によれば、被告人は、右準消費貸借契約成立の当時までに、前にも説明した
ように、原判示各買受人から原判示第一の(一)ないし(四)第二の(一)(二)
の各金員を受取つた頃、すでにこれをA、同Bらに引渡す意思なく、ほしいままに
着服して、そのつど横領していたものであることが認められるから、その後におい
て、右各金員について準消費貸借契約が結ばれようとも、すでに完成した被告人の
右横領罪の成否に消長をきたすものでないことは明らかである。従つて、この点の
論旨もとるをえないものである。
 弁護人の論旨第四点量刑不当の主張について、
 本件記録を検討し、原判決引用の証拠並びに原裁判所及び当裁判所において各取
り調べた証拠について考えてみるのに、被告人の本件各犯罪の動機、その態様その
他の情状に徴すれば、原判決が被告人に対し、科するに懲役二年の刑をもつてした
ことは、必ずしも首肯できないわけではないが、反面、たとえ本件犯罪の成立後で
はあつても、いちおうその各横領した金員について、前示のとおり被告者との間に
準消費貸借が成立していること、本件において、A同Bの側においても、被告人を
信頼するについて、多少軽卒のそしりを免れないものがあつたこと、及び本件のご
とき単純横領罪に対する科刑一般の情況を考えあわせると、右被告人に対する原審
の最刑は、重きに過ぎ不当であると認めざるを得ない。論旨は理由があり、原判決
は、この点において、破棄を免れない。
 よつて、刑訴法三九七条に則り原判決を破棄するが、本件は、原裁判所及び当裁
判所において取り調べた証拠により直ちに判決することができるものと認められる
ので、同法四〇〇条但書に従い、更に判決することとする。
 (罪となるべき事実)
 被告人は、昭和二八年三月ころ、二男であるb郵便局長Fを介し、同人の知人で
ある名古屋市c区d町e丁目f番地元g郵便局長A及び同人の母BことBより、同
人等の共有に係る(1)岐阜県加茂郡g町hi番地のj所在、宅地六九坪六合七
勺、地上建物一一坪四合八勺、木造瓦葺二階建居宅一棟及び建坪一一坪一合瓦葺二
階建土蔵一棟(以上の各物件を以下本件住宅と略称する。)を代金三五万円位、
(2)同所在、宅地五五坪六合一勺、地上建物建坪三一坪六合八勺、木造瓦葺二階
建店舗(元郵便局舎)及び建坪四合五勺木造瓦葺平家建浴室一棟(以上の各物件を
以下本件局舎と略称する。)を代金六〇万円位で、それぞれ売却方の委任を受け、
本件住宅及び局舎に関する登記済証、売渡証書、委任状その他登記申請に必要な一
切の書類の交付を受けたものであるが、第一、同年五月初旬ころ、前示加茂郡g町
hk番地のlCに対し、本件住宅を代金三五万円で売り渡すこととし(但し、買受
名義人は、書類上Cの息子であるGとした。)
 (一) 同日ころ、同町hm番地H方において、Cの妻Eから右代金のうち、二
〇万円を受け取り、前記A、同Bらのため預り保管中、そのころ、これを同町内に
おいてほしいままに自己の用に供する目的で着服して横領し、
 (二) 同年六月一〇日ころ、前記C方において、同人妻Eから右代金のうち金
七万五千円を受け取り、前同様預り保管中、そのころ、これを同町内において、前
同様着服して横領し、
 (三) 同年六月二九日ころ、右C方において、同人妻Eから右代金のうち、二
万五千円を受け取り、前同様預り保管中、そのころ、これを同町内において、前同
様着服して横領し、
 (四) 同年八月二三日ころ、右C方において、同人妻Eから、右代金のうち五
千円を受け取り、前同様預り保管中、そのころこれを同町内において、前同様着服
して横領し、
 第二、 同年八月一七日ころ、前示加茂郡g町hn番地のoDに対し、本件局舎
を代金三五万円で売り渡すこととし(但し、買受名義人は書類上Dの妻Iとし
た。)
 (一) 同日ころ、同町hp番地酒類製造業J方において、右Dから右代金のう
ち五万円を受け取り、前記A、同Bらのため預り保管中、そのころ、これを同町内
において、ほしいままに自己の用途に供する目的で着服して横領し、
 (二) 同年八月二六日ころ、右J方において、右Dから残代金三〇万円を受け
取り、前同様保管中、そのころそのうち二〇万円を同町内において、前同様着服し
て横領し
 たものである。
 (証拠の標目)
 (イ) 判示事実全部につき、
 一、 被告人の原審並びに当公判廷における各供述の一部(但し、前者について
は、原審第五回公判調書中の被告人の供述記載)
 一、 原審における証人A、同Bの各供述調書(原審第二回公判調書中のもの)
 一、 証人Bの当公判廷における供述、
 (ロ) 判示第一の各事実につき、
 一、 原審における証人C、同E、同G、同Hの各供述調書(原審第三、四回各
公判調書中のもの)
 (ハ) 判示第二の各事実につき、
 一、 原審における証人D、同Fの各供述調書(原審第一三回各公判調書中のも
の)
 (法令の適用)
 被告人の判示第一の(一)ないし(四)、第二の(一)(二)の各所為は、それ
ぞれ刑法二五二条一項に該当するところ、右は同法四五条前段の併合罪であるか
ら、同法四七条本文、一〇条により、犯情最も重いと認められる判示第一の(一)
の罪の刑に法定の加重をし、その刑期範囲内において、被告人を懲役壱年に処し、
原審並びに当審における訴訟費用は、刑訴法一八一条一項本文に従い、全部被告人
をして、これを負担させることとする。
 よつて、主文のとおり判決した。
 (裁判長判事 滝川重郎 判事 渡辺門偉男 判事 谷口正孝)

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