弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を札幌高等裁判所に差戻す。
         理    由
 上告代理人弁護士大塚守穂、同大塚重親の上告理由について、
 原判決は、本件解約の申入を結局本訴状送達の日である昭和二三年三月三〇日行
われたものと認定したことは所論のとおりである。そして借家法一条の二によれば、
建物の賃貸人は正当の事由ある場合でなければ解約の申入を為すことができないも
のであること勿論であるが、その正当の事由あることは解約申入の有効要件に外な
らないものであるから一旦有効になされた解約の申入が爾後の事情の変動によりそ
の正当性を喪失し無効に帰すべきいわれはない。しかるに、原判決は、前記解約申
入当時の上告人の生活状態のほか、解約申入の効力発生後である昭和二三年一二月
二五日頃又は昭和二四年六月以降における事情、就中第一審判決後の昭和二五年一
月頃以降において上告人に存した事情を以て本件解約申入の正当性を否定している
のである。されば、本論旨は、その理由があつて、原判決は破棄を免れない。
 よつて民訴四〇七条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    入   江   俊   郎

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