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平成22年4月27日判決言渡
平成21年(行ケ)第10147号審決取消請求事件
平成22年3月2日口頭弁論終結
判決
原告トムソンライセンシング
同訴訟代理人弁理士伊東忠彦
同大貫進介
同山口昭則
同伊東忠重
同杉山公一
被告特許庁長官
同指定代理人藤原敬士
同加藤浩一
同國方康伸
同岩崎伸二
同小林和男
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
3この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日
と定める。
事実及び理由
第1請求
特許庁の不服2007−11579号事件に対する平成21年1月27日付
け審決を取り消す。
第2事案の概要
1特許庁における手続の経緯
ゼロックスコーポレイション(以下「当初出願人」という。)は,発明
の名称を「高性能薄膜構造用ヒロック・フリー多層メタル線」とする発明につ
き,平成7年(1995年)4月20日,特許出願をし(特願平7−952
31号。パリ条約による優先権主張平成6年(1994年)4月28日,
米国。出願時の請求項の数は3であった。以下「本願」という。),平成1
7年5月24日付け拒絶理由通知を受け(甲11),同年8月30日付け手
続補正書(甲12)を提出したが,平成19年1月16日付けの拒絶査定を
受けた。これに対し,当初出願人は,同年4月20日,審判請求をするととも
に(不服2007−11579号事件),同日付け手続補正書を提出した。特
許庁は,平成20年5月9日付けの拒絶理由通知をした。当初出願人は,同
年11月12日付け手続補正書(甲8)を提出したが(この手続補正後の請
求項の数は2であった。以下,この手続補正後の明細書を「本願明細書」と
いう。),特許庁は,平成21年1月27日,「本件審判の請求は,成り立た
ない。」との審決をし(付加期間90日),その謄本は,同年2月9日に当初
出願人に送達された。
その後,本願の特許を受ける権利は譲渡され,平成21年5月15日付け出
願人名義変更届が提出されて,現在の出願人は原告である。
2特許請求の範囲
平成20年11月12日付け手続補正書(甲8)による補正後の本願の請求
項1は,下記のとおりである。
【請求項1】「製造工程によって組み立てられる薄膜構造であって,基板と,
ベースメタル及びバリアメタルの複数の交互層とを備え,前記複数の層は,前
記基板上に支持され,前記ベースメタルの各層は,アルミニウムで構成され,
ヒロック・フリーでありかつ800Å(オングストローム)以下の厚みを有
し,前記バリアメタルの層は,前記ベースメタルのあらゆる二つの層の間に挿
入され,前記バリアメタルは,高融点メタル合金を備えている,ことを特徴と
する薄膜構造。」(以下,この発明を「本願発明1」という。)
3審決の内容
別紙審決書の写しのとおりである。要するに,本願発明1は,特開昭63−
155743号公報(甲1),特開昭63−29548号公報(甲2),特開
平3−222333号公報(甲3)及び特開昭64−45163号公報(甲
4)(以下,甲1を「引用例1」,甲4を「引用例4」という場合がある。)
の記載及び周知技術(甲5,6)に基づいて,当業者が容易に発明をすること
ができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることが
できない,とするものである。
審決は,上記結論を導くに当たり,引用例1記載の発明(以下,「引用発明
1」という。)の内容並びに本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点を
次のとおり認定した。
(1)引用発明1の内容
「半導体基板上に形成される,厚さ5∼40nmのアルミニウム層と,1
∼20nm厚のCu,Ti,Si,C,Mo,W,Cr,Pt,Auおよび
Agの少なくとも一種からなる他の金属層とを交互に繰り返し積層形成した
多層膜であり,移動性の低い該他の金属層によってアルミ原子の移動そのも
のをブロックすることにより,アルミニウム層のエレクトロマイグレーショ
ンおよびストレスマイグレーションを防止し得る配線膜の構造。」
(2)一致点
「製造工程によって組み立てられる薄膜構造であって,基板と,ベースメ
タル及びバリアメタルの複数の交互層とを備え,前記複数の層は,前記基板
上に支持され,前記ベースメタルの各層は,アルミニウムで構成され,80
0Å(オングストローム)以下の厚みを有し,前記バリアメタルの層は,前
記ベースメタルのあらゆる二つの層の間に挿入されている,薄膜構造。」で
ある点。
(3)相違点
ア相違点1
本願発明1では,ベースメタルの各層がヒロック・フリーであるのに対
し,引用発明1では,Cu,Ti,Si,C,Mo,W,Cr,Pt,A
uおよびAgの少なくとも一種からなる移動性の低い他の金属層によって
アルミ原子の移動をブロックすることにより,アルミニウム層のマイグレ
ーションを防止し得るものの,同アルミニウム層をヒロック・フリーとし
ていない点。
イ相違点2
本願発明1では,バリアメタルが高融点メタル合金を備えているのに対
し,引用発明1では,それが明らかでない点。
第3取消事由に係る原告の主張
審決は,①引用発明1に関する認定を誤り(取消事由1),②相違点1の認
定を誤り(取消事由2),③相違点1に関する容易想到性の判断を誤ったもの
であるから(取消事由3),取り消されるべきである。
1取消事由1(引用発明1に関する認定の誤り)
審決は,引用発明1について,5∼40nmと薄くしたアルミニウム層を含
むとして,引用発明1が,エレクトロマイグレーションやストレスマイグレー
ションを防止するために粒径(グレインサイズ)が大きくなるのを避けるとい
うことを目的とする発明であると認定した。しかし,同発明は,本願出願日前
後における当業者の技術常識に反する内容を目的とする発明であるから,審決
の認定は誤りである。
すなわち,引用例1によれば,エレクトロマイグレーションを防止するため
には,アルミニウムの粒径(グレインサイズ)を非常に小さく抑えて移動によ
る影響を少なくするとしている。しかし,このような技術思想は,本願出願日
前後におけるエレクトロマイグレーション対策に関する技術常識に反するもの
である。アルミニウム粒界拡散を抑制してエレクトロマイグレーションを防止
する方法としては,アルミニウム配線の結晶粒径を非常に小さくすることでは
なく,結晶粒径を増大させることが,本願出願日前後における技術常識であっ
た(甲4,6,10,18ないし20)。したがって,エレクトロマイグレー
ションやストレスマイグレーションを防止するために粒径(グレインサイズ)
が大きくなることを避けるために,アルミニウム層の厚さを限定するという技
術は,本願出願日前後における技術常識に反するものである。
また,引用例1には,積層界面から5nm程度の深さまでアルミニウム層と
金属層が混在することが示されている一方で,他の金属層がかかる混在層より
も薄い厚さであることが示されている点で技術的な矛盾が存する。
したがって,審決は技術常識に反する引用例1に基づいて引用発明を認定し
た結果,本願発明1と引用発明1とが,「前記ベースメタルの各層は,アルミ
ニウムで構成され,800Å(オングストローム)以下の厚みを有し」との点
で一致するとの誤った認定をし,それを前提に容易想到性の判断をしているの
で,審決の結論に影響を及ぼす違法がある。
2取消事由2(相違点1の認定の誤り)
(1)ヒロック・フリーに関し,本願発明1と引用発明1とは,本願発明1で
は,「ベースメタルの各層が,製造工程においてヒロック・フリーであるよ
うな厚みを有する」のに対し,引用発明1では,「Cu,Ti,Si,C,
Mo,W,Cr,Pt,AuおよびAgの少なくとも一種からなる移動性の
低い他の金属層によってアルミ原子の移動をブロックすることにより,使用
時の電流密度増加に起因するアルミニウム層のマイグレーションを防止し得
る」ものの,「同アルミニウム層を製造工程においてヒロック・フリーとす
る厚みにすることを開示していない」点において相違している。
すなわち,甲9,10によれば,ヒロックの発生状況としては,①製膜時
の発生,②絶縁膜で覆われたAl電極が熱処理により圧縮応力を受け,応力
緩和のためにAl原子が拡散し,ヒロックを形成する場合(ストレスマイグ
レーション),③電流を流すことにより誘起されるAl拡散(エレクトロマ
イグレーション)がある。本願発明1は,上記①に相当するものであるのに
対し,引用発明1は上記②,③に相当するものであり,本願発明1が対象と
している製造工程におけるヒロックと引用例1に開示された使用時における
ヒロックとは発生メカニズムが全く異なるものである。
審決は,相違点1の認定に当たって,上記の相違点を看過した結果,本願
発明1におけるベースメタルの各層が製造工程においてヒロック・フリーで
ある厚みを有するという技術的特徴が引用発明1において開示されていない
点を看過し,相違点1の容易想到性の判断を誤ったものであるから,違法で
ある。
(2)被告は,本願発明1において,「ベースメタルの各層(54)がヒロック形
成臨界厚み以下である」点及び「製造工程中におけるヒロックの発生を阻
止」するために「ベースメタル各層の厚みをヒロック・フリーである厚みに
した」点について,このような限定をする文言は記載も示唆もないと主張す
るが,失当である。
「ベースメタルの各層(54)がヒロック形成臨界厚み以下である」点につい
ては,本願の請求項1には,ベースメタル各層がヒロック・フリーである厚
みを有することが記載されているし,本願明細書の発明の詳細な説明の記載
【0008】,【0012】,【0013】,【0014】において,「ベ
ースメタル各層(54)がヒロック形成臨界厚み以下である」ことは説明されて
いる。また,「製造工程中におけるヒロックの発生を阻止」する点について
は,本願の請求項1に「製造工程によって」という文言があるし,本願明細
書の発明の詳細な説明【0002】,【0003】,【0010】,【図1
】において,「製造工程中におけるヒロックの発生を阻止する」ことは説明
されている。
3取消事由3(相違点1に関する容易想到性の判断の誤り)
(1)審決は,相違点1の容易想到性について,「アルミニウム層のマイグレ
ーションを防止できれば,それに伴い,アルミニウム層のヒロックも抑制で
きることは明らかであるから,引用発明1において,アルミニウム層と他の
金属層との交互の積層構造により,該アルミニウム層のマイグレーションを
防止することに代えて,同様の積層構造により,同アルミニウム層をヒロッ
ク・フリーとすることは,当業者が容易に想到し得たものと認められる。」
と判断したが,誤りである。
本願発明1においては,ベースメタルの各層が製造工程においてヒロック
・フリーであるような厚みを有することにより,アルミニウム層をヒロック
・フリーとしているのであって,アルミニウム層と他の金属層との交互の積
層構造により,同アルミニウム層をヒロック・フリーとしているわけではな
い。本願明細書の【0008】,【0012】,【0013】を参酌すれ
ば,本願発明1において,バリアメタル層はヒロックを阻止しているもので
はなく,ベースメタル層を互いに隔離すべく作用するものであることは明ら
かである。
また,引用例1は,本願発明1のようにベースメタルの各層が製造工程に
おいてヒロック・フリーであるような厚みを有することにより,アルミニウ
ム層をヒロック・フリーとしていることの開示や示唆はない。そのため引用
例1には,本願発明1の上記特徴点に到達するためにしたはずであるという
示唆等が何ら存在していない。
したがって,ベースメタルの各層が製造工程においてヒロック・フリーで
あるような厚みを有することにより,同アルミニウム層をヒロック・フリー
としている本願発明1は,引用発明1に基づいて当業者が容易に想到し得た
ものではない。
(2)審決は,相違点1の容易想到性の判断に当たって,引用例4及び周知技
術(甲5,6)を適用しているが,誤りである。引用例4及び周知技術はい
ずれも,製造工程中のヒロック形成を阻止するという問題点に着目しておら
ず,また,その問題点を解決する手段であるヒロック形成臨界厚み以下のヒ
ロック・フリー厚みを有するベースメタル層を開示していない。
(3)被告は,「製造工程中においてヒロック・フリーとする厚み」は,引用
発明1においても既に達成されていると主張する。しかし,引用例1には製
造工程中におけるヒロック・フリーに関する記載も示唆もなく,また前記の
ように製造工程中におけるヒロック形成と使用時のエレクトロマイグレーシ
ョンとは発生状況が異なるから,ヒロック・フリーが引用例1において解決
されているということはできない。被告の主張は失当である。
第4被告の反論
原告主張の取消事由には理由がなく,審決に違法はない。
1取消事由1(引用発明1に関する認定の誤り)に対し
甲10(280頁右欄)に記載された粒界での金属原子の流れ量を示す式
は,(平均)粒径及び他のパラメータを含めて構成されており,粒径(グレイ
ンサイズ)のみで特定されていないこと,甲10(281頁左欄)には,エレ
クトロマイグレーション寿命が,グレインの大きさのみならず,その分布,膜
中の不純物,結晶性,配線の幅や膜厚,周囲の絶縁膜の種類などによっても大
きく変わることが説明されており,マイグレーションの大きさは,粒径(グレ
インサイズ)のみでは決められないことを示しているものである。そして,ア
ルミニウムの結晶粒径の小さなものはストレスマイグレーションに対する耐性
において優れている傾向があることは周知の技術である(乙1ないし4)。
したがって,引用発明1に関する認定の誤りをいう原告の主張は,理由がな
い。
2取消事由2(相違点1の認定の誤り)に対し
(1)本願の請求項1には,薄膜構造が製造工程によって組み立てられたもの
であることは記載されているが,薄膜構造が,「ベースメタルの各層(54)が
ヒロック形成臨界厚み以下である」点及び「製造工程中におけるヒロックの
発生を阻止」するために「ベースメタル各層の厚みをヒロック・フリーであ
る厚みにした」点については,このような限定をする記載も示唆もなく,ま
た,これらの点は,当該技術分野において自明の技術的事項でもない。原告
の主張は,本願の請求項1の記載に基づかないものであって,失当である。
(2)原告は,甲9,10を提出して,本願発明1と引用発明1との相違点を
主張するが,甲10の記載によれば,原告主張の②のストレスマイグレーシ
ョンによるヒロック形成時の熱処理が製造工程中の1つであることは明らか
であるから,原告主張の①ないし③のいずれの状況の場合においてもヒロッ
クが生じることは,よく知られた事項である。そして,本願の請求項1に
は,ヒロックが発生する具体的状況についての特定がなされていないから,
本願の請求項1に記載された「ヒロック・フリー」の文言は,上記①ないし
③のいずれの状況においても「ヒロックが発生していない」ことを意味す
る。
(3)原告は,引用発明1は,使用時の電流密度が増加するために生じるエレ
クトロマイグレーションによる断線を問題としており,製造工程中のヒロッ
ク形成を阻止するという問題点に着目しておらず,またその問題点を解決す
る手段であるヒロック形成臨界厚み以下のヒロック・フリー厚みを有するベ
ースメタル層を開示していないと主張する。
しかし,引用例1は,その記載によれば,使用時の電流密度が増加するた
めに生じるエレクトロマイグレーションによる断線のみならず,製造工程中
のストレスマイグレーションも問題としており,その問題については,「厚
さ5∼40nmのアルミニウム層と,1∼20nm厚の・・他の金属層との
交互に繰り返し積層形成した多層膜」にすることでその解決を図っており,
使用時に限っての問題点の解決のみを記載したものではない。原告の主張は
失当である。
3取消事由3(相違点1に関する容易想到性の判断の誤り)に対し
(1)引用発明1が「他の金属とアルミニウム層とを交互に繰り返し積層形成
した多層膜」において,アルミニウム層の厚さを「5∼40nm」すなわ
ち「50∼400Å」としていることは,本願発明1において特定された上
限値としての800Å又は実施例で挙げられた600Åのいずれの厚さより
も薄いことから,両者よりも製造工程のより高い最大温度にも耐え得るもの
であることは容易に認識し得ることであり,原告が主張する「製造工程中に
おいてヒロック・フリーとする厚み」は,引用発明1においても既に達成さ
れているといえる。
審決の相違点1に関する容易想到性の判断に誤りはない。
(2)原告は,引用例4及び周知技術は,製造工程中のヒロック形成を阻止す
るという問題点に着目しておらず,その問題点を解決する手段であるヒロッ
ク形成臨界厚み以下のヒロック・フリー厚みを有するベースメタル層を開示
していないと主張する。
しかし,上記引用例4及び周知技術は,引用発明1におけるマイグレーシ
ョンとヒロックとの関係を補うために引用したものであり,引用発明1と引
用例4及び周知技術とは,半導体装置のアルミ配線に関する技術分野におい
て同一の技術課題を有しているものである。原告の上記主張は失当である。
第5当裁判所の判断
当裁判所は,原告主張の取消事由には理由がなく,原告の請求を棄却すべき
ものと判断する。その理由は,以下のとおりである。
1本願明細書(甲7,12)の記載
本願発明1の内容は,前記第2,2記載のとおりであるが,本願明細書の発
明の詳細な説明には,以下の記載がある。
(1)「【0002】【従来の技術】・・・低抵抗及びコストの視点から,ア
ルミニウムが望ましい線メタルである。
アルミニウムは,しかしながら,ある一定の被着条件下で,“ヒロックス
(hillocks)”と呼ばれる,欠陥を形成する不利な傾向を有する。これらの欠
陥は,基板に並行でかつそれから離れてアルミニウムの側面上に形成する突
起によって特徴付けられる。突起がアルミニウムの上に横たわっている複数
の層を通って“パンチ(punch)”しうる(穴をあけうる)ので,ヒロックス
は,しばしばICまたはアクディブマトリクスの正確な動作に対して致命的
である。これらの理由により,製造工程中にヒロックスの形成を阻止するた
めに多くの試みがなされている。」
(2)「【0006】【発明が解決しようとする課題】温度とは別に,ヒロッ
クスの成長は,被着メタル層の厚みにも依存する。一般規則として,層の厚
みが厚くなると,膜のひずみエネルギーが大きくなり,そしてヒロックスが
所与の温度で形成される可能性が高くなる。それゆえに,問題となるメタル
層の厚みを縮小することによって所与の温度におけるヒロック形成の量を縮
小することが可能である。所与の温度に対して,それ以下ではヒロックスが
形成されにくい−“臨界”厚みが存在することがよく知られている。
しかしながら,臨界厚み以下にメタル層の厚みを縮小することは,比較的
薄いメタルが比較的高い抵抗率を有するという,一つの大きな欠点を有す
る。高性能薄膜構造の目的に対して,薄いメタル層は,一般に受け入れられ
ない。
それゆえに,メタル層の抵抗率を縮小することなくメタル層におけるヒロ
ックスを阻止することが必要である。」
(3)「【0007】【課題を解決するための手段】本発明は,最大温度を有
している製造工程によって構成された薄膜構造であって,基板と,ベースメ
タル及びバリアメタルの複数の交互層とを備え,複数の層は,ベースメタル
の各層が最大温度に対する臨界厚みよりも薄くかつバリアメタルの層がベー
スメタルのあらゆる二つの層の間に挿入されるように,基板上に支持される
薄膜構造によって達成される。
本発明では,ベースメタルは,アルミニウムを含むように構成してもよ
い。
本発明では,ベースメタルは,アルミニウム及びアルミニウム合金を含ん
でいる一群から選択されるように構成してもよい。」
(4)「【0008】【作用】本発明は,ベースメタルとバリアメタルの交互
層を備えている新規の多相構造である。ベースメタルは,所与の層におい
て,それを越えると所与の温度に対してヒロックスが形成されやすい−ヒロ
ック形成に対するその臨界厚みよりも少ない厚みに被着される。ベースメタ
ルのそのような各層の間に,バリアメタルの層が挿入される。バリアメタル
の介在層(interveninglayer)は,ベースメタルを互いに隔離すべく作用す
る。各層は,臨界厚み以下であるので,ヒロックスが形成されない。・・」
(5)「【0012】本発明は,ベースメタルとバリアメタルの交互層を備え
ている新規の多相構造である。ベースメタルは,所与の層において,それを
越えると所与の温度に対してヒロックスが形成されやすい−ヒロック形成に
対するその臨界厚みよりも少ない厚みに被着される。ベースメタルのそのよ
うな各層の間に,バリアメタルの層が挿入される。バリアメタルの介在層
は,ベースメタルを互いに隔離すべく作用する。各層は,臨界厚み以下であ
るので,ヒロックスが形成されない。
本発明の一つの利点は,高性能薄膜構造に対する低抵抗メタル線を生成す
ることである。線の抵抗率がメタル層の断面に反比例するので,本発明の多
層構造は,ヒロックスの形成を阻止すると同時に,ベースメタルの単一層よ
りも大きなベースメタルの総断面を提供する。
本発明の別の利点は,小さな線幅である。本発明のバリアメタルは,ベー
スメタル上に層をなし,かつベースメタルをキャッピングしないので,線に
は追加の幅が加えられない。・・・」
(6)「【0013】薄膜構造は,多数の製造段階を含む製造工程によって構
築される。各段階は,対応付けられた温度を有する。それゆえに,Al(ア
ルミニウム)が露出される全製造工程に対する知られた最大温度(maximum
temperature)がある。従って,Al層の各被着がその最大温度に対して決定
された臨界厚みよりも薄いということが確保される。・・・
・・・本発明の重要な態様は,ベースメタルのあらゆる層が臨界厚みより
少ない(薄い)ことでありかつベースメタルのあらゆる二つの隣接する層が
ある形式のバリアメタルによって分離されていることである。
あらゆる所与の製造条件に対する臨界厚みが当業者に周知であるというこ
とも注目すべきである。アルミニウムに対して,この臨界厚みは,特定の製
造条件により,約300∼800Å(オングストローム)であることが知ら
れている。・・・」
(7)「【0014】SiO(二酸化ケイ素)の基板上に600ÅのAl,12
50ÅのTiW及び600ÅのAlを備えている3層スパッタ被膜(threel
ayersputterdepositedfilm)は,ヒロック形成なしで一時間の間400℃
に耐えうることが示された。この膜スタックのシート抵抗率は,同じ厚みの
Al膜(2%銅を含んでいる)について0.25オーム/sq.であるのに
対し,0.36オーム/sq.であることが計測された。
本発明は,ベースメタルと一群のバリアメタルの交互層を備えている新規
の多相構造である。ベースメタルは,所与の層において,それを越えると所
与の温度に対してヒロックスが形成されやすい−ヒロック形成に対するその
臨界厚みよりも少ない厚みに被着される。ベースメタルのそのような各層の
間に,バリアメタルの層が挿入される。バリアメタルの介在層は,ベースメ
タルを互いに分離すべく作用する。それゆえに,臨界厚み以下に各ベースメ
タル層の実効厚みを維持する。」
(8)「【0015】【発明の効果】本発明の薄膜構造は,最大温度を有して
いる製造工程によって構成された薄膜構造であって,基板と,ベースメタル
及びバリアメタルの複数の交互層とを備え,複数の層は,ベースメタルの各
層が最大温度に対する臨界厚みよりも薄くかつバリアメタルの層がベースメ
タルのあらゆる二つの層の間に挿入されるように,基板上に支持されるの
で,高性能薄膜構造に対して低抵抗メタル線を生成することである。また,
線の抵抗率は,メタル層の断面に反比例するので,本発明の多層構造では,
ヒロックスの形成を阻止すると同時に,ベースメタルの単一層よりも大きい
ベースメタルの総断面を提供する。更に,本発明のバリアメタルは,ベース
メタル上に層をなし,かつベースメタルをキャッピングしないので,追加の
幅が線に加わらない。即ち,小さな線幅を有することができる。」
2引用刊行物の記載
引用例1(甲1)には,以下の記載がある。
(1)「1.集積回路の配線膜が,アルミニウム層と1∼20nm厚の他の金
属層とを交互に積層形成した多層膜であることを特徴とする半導体装置。」
「3.前記他の金属層がCu,Ti,Si,C,Mo,W,Cr,Pt,
AuおよびAgの少なくとも一種からなることを特徴とする特許請求の範囲
第1項記載の半導体装置。」(特許請求の範囲請求項1,3)
(2)「〔概要〕集積回路のアルミニウム配線のエレクトロマイグレーション
およびストレスマイグレーションを防止するために,配線をアルミニウム層
と1∼20nm厚の他の金属層との交互積層膜にしたものである。」(1頁
左下欄19行∼右下欄4行)
(3)「〔従来の技術〕アルミニウムの微細配線では使用時の電流密度が増加
するために,エレクトロマイグレーションによる断線が,そして高温放置(
125℃以上)でこの配線に加わる引っ張り応力に起因するストレスマイグ
レーションによる断線が配線の信頼性確保の妨げとなっていた。そこで,ア
ルミニウム配線中の結晶粒界に析出してアルミニウム原子の粒界拡散を抑制
するCuを添加したAl・Cu(2∼4%)合金又はAl・Cu・Si合金
が使われるようになっている。また,チタン(Ti)をCuの代りに含有す
るAl・Ti・Si合金も提案されている。それでも,配線幅がサブミクロ
ン程度となると,Al配線幅がアルミニウムのグレインザイズよりも小さく
なることがあり,耐マイグレーション性が十分でない。」(1頁右下欄14
行∼2頁左上欄11行)
(4)「〔作用〕アルミニウム層をスパッタリング法,真空蒸着などで形成し
ているときにはそのグレインが大きくなることが多いが,アルミニウム以外
の金属層(薄膜)をアルミニウム層がはさんでいるようにしてアルミニウム
層厚さを限定し,かつそのアルミニウム層の厚さが200nm以下とするの
が好ましい。このような構造的にアルミニウム配線のそれぞれを規定してい
るので,大きなAlグレインの成長が阻止できる。配線膜として通常の電流
許容度を有するためには一般的に1000nm程度の厚みを必要とするの
で,アルミニウム層を少なくとも5層形成し,これらアルミニウム層の間に
他の金属層を少なくとも4層形成することになる。
他の金属層はCu,Ti,Si,C,Mo,W,Cr,Pt,Auおよび
Agの少なくとも一種からなり,一層当り厚さは1∼20nm,好ましくは
2∼10nm,である。20nmよりも厚いと,この金属層とアルミニウム
層との熱膨張係数の差による熱ストレスが発生することになり,ストレスマ
イグレーション発生の要因となる。・・・また,実際にアルミニウム層と金
属層を積層形成すると,その界面では相互拡散が室温∼100℃でも5nm
程度の深さで自然となされている。
要するに,微細配線を相対的に大電流が流れる時の発熱によってアルミニ
ウム原子が移動して結晶粒界面での切断を招くという状況を,(1)粒径(
グレインサイズ)を非常に小さくおさえて移動による影響を少なくし,そし
て(2)移動性の低い「他の金属」によってアルミ原子の移動そのものをブ
ロックすることで改善する。」(2頁右上欄6行∼左下欄19行)
(5)「例えば,アルミニウム層から半導体ウェハ上へスパッタリングで形成
するとして,厚さ5∼40nmのアルミニウム層と厚さ1∼6nmの金属(
チタン)層とを繰り返し積層することによって合計厚さが1000±50n
mの配線膜を形成した。この配線膜は耐マイグレーション性が従来のアルミ
ニウム合金(Al−Cu)配線よりも優れていた。」(3頁右上欄4∼10
行)
3取消事由1(引用発明1に関する認定の誤り)について
(1)原告は,引用発明1につき,「5∼40nmのアルミニウム層」との審
決の認定は,「エレクトロマイグレーションを防止するために,アルミニウ
ムの粒径(グレインサイズ)を非常に小さく抑える。」との本願出願日前に
おける技術常識に反する事項に基づくものであるから失当であると主張し,
同旨の意見を述べた鑑定書(甲18,19)等を提出している。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は採用することができない。
すなわち,前記2で認定した引用例1の記載によれば,引用発明1は,エ
レクトロマイグレーション及びストレスマイグレーションの発生の防止を技
術的課題として,その課題解決のために,集積回路の配線膜を所定の厚さ範
囲のアルミニウム層と1∼20nm厚の他の金属層(Cu,Ti,Si,
C,Mo,W,Cr,Pt,AuおよびAgの少なくとも一種)とを交互に
積層形成した多層膜とすることによって解決を図っており,単にアルミニウ
ムの粒径を小さくすることのみによって上記技術的課題の解決を図るもので
はない。また,前記引用例1には,「粒径(グレインサイズ)を非常に小さ
くおさえて移動による影響を少なくし」と記載され,同記載は,粒径が小さ
い場合に原子の移動が生じることを前提に,その移動による影響を少なくす
ることを意味するものと解される。この点は,前記鑑定書が指摘する,アル
ミニウムの粒径が小さい場合には移動がしやすくなり,その結果エレクトロ
マイグレーションが起きやすくなるとの見解とも必ずしも矛盾するものでは
ない。したがって,仮に引用発明1のアルミニウム層が粒径の小さいものを
採用することを含み,エレクトロマイグレーションを防止するためにアルミ
ニウムの粒径を小さく抑えるとの事項が本願出願日(優先権主張日)当時の
技術常識に反するとしても,引用発明1が直ちに技術常識に反することを目
的とした発明であるとはいえない(本願発明1のアルミニウム層も粒径の下
限がなく,引用発明1と同じく粒径の小さいものも含み得るものであ
る。)。
(2)また,原告は,引用例1に記載のストレスマイグレーションについて
も,アルミニウムの粒径を小さくするとかえってその発生を助長することは
本願出願当時の技術常識であるから,引用発明1はかかる技術常識に反する
事項に基づくものであると主張する。そして,上記鑑定書(甲18,19)
にも同様の指摘があり,公開特許公報(甲20)にも「薄膜中の粒径が小さ
いと抵抗率が高くなり,またエレクトロマイグレーション耐性やストレスマ
イグレーション耐性が悪化する。」との記載がある。しかし,本願出願前の
公知文献(乙1ないし3)には,アルミニウムの結晶粒径の小さなものはス
トレスマイグレーションに対する耐性に優れている傾向がある旨の記載があ
る。すなわち,アルミニウムの粒径とストレスマイグレーションとの関係に
ついては,本願出願日(優先権主張日)当時見解が分かれており,確定的な
技術常識は存しなかったものというべきであり,引用例1に記載された事項
がただちに本願出願当時の技術常識に反するとまではいえない。原告の主張
は理由がない。
(3)さらに,原告は,アルミニウム層から半導体ウェハ上へスパッタリング
で形成するとして,厚さ5∼40nmのアルミニウム層と厚さ1∼6nmの
金属(チタン)層とを繰り返し積層することによって合計厚さが1000±
50nmの配線膜を形成することで引用例1の第1図の配線膜を形成するこ
とは,金属間化合物や酸化物の発生等の現象が生じ得るので,極めて困難な
いしは実質的に不可能であると主張し,上記鑑定書(甲18,19)でもか
かる意見が述べられている。しかし,一般に,形成された金属層の状態は,
製造条件に依存するものであるし,上記鑑定書においても,甲18において
は,アルミニウム層とチタン層が反応して金属間化合物(AlTi)がで3
きると述べているのに対し,甲19においては,アルミニウム層もチタン層
も酸化して酸化膜が形成されていると述べており,それぞれが前提とする製
造条件の違いによって異なる事象が生じるものといえる上,当業者であれ
ば,そもそもこのような物質が形成される製造条件を採用しないものといえ
る。そして,引用例1に他の金属層として挙げられた「Cu,Ti,Si,
C,Mo,W,Cr,Pt,AuおよびAgの少なくとも一種からなる」金
属には,本願明細書で高融点メタル合金として例示されたTiW等を含む。
したがって,引用発明1が実施できない発明であるとはいえず,原告の主張
は採用できない。
(4)原告は,引用例1では,相互拡散が5nm程度でなされることと,他の
金属層の一層当たりの厚さが1∼20nmであることが技術的に矛盾してい
ると主張する。しかし,引用例1には,アルミニウム層と他の金属層との界
面を基準に,相互拡散による層がすべて他の金属層にできるとの記載はない
から,技術的な矛盾は生じていない。原告の主張は,理由がない。
4取消事由2(相違点1の認定の誤り)について
(1)原告は,本願発明1が対象としている製造工程におけるヒロックと引用
例1に開示された使用時におけるヒロックとは発生メカニズムが全く異なる
ものであるにもかかわらず,審決はかかる相違点を看過していると主張す
る。しかし,以下のとおり,原告の主張は失当である。
すなわち,確かに,前記1で認定した本願明細書の発明の詳細な説明によ
れば,製造工程中におけるヒロック形成の抑制を目的とした記載がされてい
る。しかし,本願発明1に係る特許請求の範囲の記載は,単に,「製造工程
によって組み立てられる薄膜構造であって,・・・前記ベースメタルの各層
は,アルミニウムで構成され,ヒロック・フリーであり,かつ800Å(オ
ングストローム)以下の厚みを有し,・・ことを特徴とする薄膜構造。」と
されている。同特許請求の範囲の記載中,「800Å以下の厚み」がどのよ
うな製造条件ないし製造過程における厚みを指すかは,本願明細書の発明の
詳細な説明に記載がないから,製造工程中におけるヒロック・フリーに係る
厚みを限定したものと解することはできない。
上記のとおり,「ヒロック・フリー」については,製造工程の具体的製造
条件が,格別特定されていないこと,本願発明1は「薄膜構造」という物の
発明であることに照らすならば,「ヒロック・フリー」が,製造工程中に発
生するものに限定されると解することはできない。
したがって,本願発明1における「ヒロック・フリー」は,製造工程中の
みならず使用中を含めたものであるから,製造工程中に限定されることを前
提として,審決の相違点1の認定に誤りがあるとする原告の主張は採用でき
ない。
なお,平成20年11月12日付け手続補正書(甲8)による補正前の請
求項1には,「最大温度を有している製造工程によって構成された薄膜構造
であって」(甲7)と記載されていたことが認められるが,このような補正
前の文言からベースメタルが製造工程中におけるヒロック・フリーである厚
みであること,又は,薄膜構造の構成が明確であることを裏付けることはで
きない。
(2)原告の主張に対し
ア原告は,引用発明1のアルミニウム層は,製造工程においてヒロック・
フリーであるような厚みを有するものではないから,審決はかかる相違点
を看過していると主張する。
しかし,前記1で認定した本願明細書の記載(段落【0013】)によ
れば,本願発明1において,想定される製造条件における臨界厚みの最も
薄い場合が約300Åであると解されるから,引用発明1において,少な
くとも「厚さ5∼30nmのアルミニウム層」(注50∼300Å)の
部分は,常に臨界厚みより薄い厚みを有しているといえるし,また,引用
発明1の「厚さ5∼40nmのアルミニウム層」(注50∼400Å)
は,本願発明1における上限値の800Å及び本願明細書の実施例(段落
【0014】)記載の600Åのいずれの厚さよりも薄いことから,引用
発明1は,本願発明1の実施例において採用された製造条件に対して,「
製造工程においてヒロック・フリーであるような厚みを有する」ものであ
ると認められ,引用発明1において,本願発明1の技術的思想は,既に達
成されているともいえる。
したがって,引用発明1の「厚さ5∼40nmのアルミニウム層」は,
800Å以下の厚さで,少なくとも「製造工程においてヒロック・フリー
であるような厚みを有する」ものを含んでいるから,原告の指摘する相違
点の看過はない。
イ原告は,①本願発明1が対象としている製造工程におけるヒロックは「
製膜時の発生」(甲9,10)に相当する,②本願発明1と引用発明1と
は,ヒロックの発生メカニズムも抑制策も異なると主張する。
しかし,前記1で認定した本願明細書の記載によれば,本願発明1は,
熱処理に起因するヒロックの形成(ストレスマイグレーション)をも課題
とするものであり,引用発明1も,ストレスマイグレーションを課題の1
つとした発明であるから,両発明は共に,応力に起因するヒロックの形成
を想定としているものと解される。また,仮に,両発明のヒロック発生の
発生メカニズムが相違するとしても,本願発明1と引用発明1は,共に,
薄いアルミニウム層と他の金属層との積層構造によって,ヒロック形成を
抑制していると認められるから,両者のヒロックの抑制策について,格別
の相違も認められない。原告の上記主張は採用することはできない。
5取消事由3(相違点1の容易想到性に関する判断の誤り)について
(1)前記のとおり,原告主張の取消事由1及び取消事由2に係る原告の主張
には理由がない。取消事由3は,引用発明1に関する認定の誤り,相違点1
の認定の誤りを前提とするものであるから,この点に関する原告の主張は,
主張自体失当であって,採用できない。
(2)原告は,引用例4及び周知技術は,製造工程中のヒロック形成を阻止す
るという問題点に着目しておらず,その問題点を解決する手段であるヒロッ
ク形成臨界厚み以下のヒロック・フリー厚みを有するベースメタル層を開示
していないと主張する。しかし,かかる主張は,本願発明1における「ヒロ
ック・フリー」は製造工程中に限られることを前提としている点で失当であ
るし,上記引用例4及び周知技術はマイグレーションとヒロック形成に関す
る事項であり,引用発明1とは,半導体装置のアルミ配線に関する技術分野
において同一の技術課題を有しているものであるから,これらの技術を適用
して,容易想到性の有無を判断することは否定されない。原告の主張は,理
由がない。
6結論
以上のとおり,原告の主張する取消事由には理由がない。原告はその他縷々
主張するが,審決を取り消すべき違法は認められない。
したがって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文の
とおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官
飯村敏明
裁判官
中平健
裁判官上田洋幸は,転補により署名押印することができない。
裁判長裁判官
飯村敏明

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