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裁判例


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平成15年3月6日宣告
平成14年(わ)第1502号,第1677号決闘罪に関する件違反,恐喝被告事件
   判決
   主文
被告人を懲役3年6月に処する。
未決勾留日数中70日をその刑に算入する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
   理由
(犯罪事実)
第1(平成14年(わ)第1502号・同年11月5日付け起訴分)
   被告人は,暴走族「A」を統括していた者であるが,「A」及び対立する暴走族
「B」の各構成員から互いに代表者を出し合って各代表者同士が決闘するこ
とを企て,「A」の構成員C及び同Dほか5名と共謀の上,
 1 平成14年7月22日午前1時40分ころ,福岡市西区ab丁目c番のd公園内
で,Cが,「暴威」の構成員E(当時16歳)と互いに組み合い,殴打し合うなど
して決闘をした。
2 同日午前2時ころ,前記場所で,Dが,「B」の構成員F(当時17歳)と互いに
組み合い,殴打し合うなどして決闘をした。
第2(平成14年(わ)第1677号・同年12月2日付け起訴分) 
   被告人は,G(当時19歳),H(当時19歳)及びI(当時19歳)から迷惑料の名
目で金員を脅し取ろうと企て,J及びKら数名と共謀の上,平成14年7月20日
午前零時30分ころ,福岡市城南区ef丁目g番h号付近路上で,Gらに対し,
「俺は,ここに住んでいる。いつも酔っ払いが小便をしたり吐いたりして迷惑し
ている。」「お前達10万円払え。」「友達から借金して払え。」「殺してしまう
ぞ。」などと強く迫って脅迫した上,KらがGの手足を抱え上げる暴行を加え,
その要求に応じなければGらの生命・身体等に更に危害を加えるかもしれな
い態度を示してGらを怖がらせた。その結果,同日午前2時30分ころ,同じ場
所で,Gらから現金合計10万円を脅し取った。
(法令の適用)
罰 条
 第1 包括して刑法60条,決闘罪に関する件2条,刑法施行法19条1項,2項,
2条
 第2 包括して刑法60条,249条1項
併合罪加重 
  刑法45条前段,47条本文,10条(重い第2の罪の刑に法定の加重。ただし,
短期は第1の罪の刑のそれによる。)    
未決勾留日数の算入  刑法21条
訴訟費用の負担    刑事訴訟法181条1項本文
(量刑の理由)
1 事案の概要
  本件は,被告人が自己の統括する暴走族の構成員と共謀の上,他の暴走族と
決闘を行い(第1),自己の住むアパートの敷地に嘔吐した者らから現金を脅し
取った(第2)という事案である。
2 被告人にとって不利な事情
 (1) 決闘罪について
  被告人は,かつて自己が所属していた暴走族「A」を復活させた上,暴走族とし
ての箔を付けさせるとともに暴走族への被告人自身の影響力を強めるために他
の暴走族との決闘を行っており,暴力によって勢力を拡大しようという暴力団類
似の論理に基づく犯行動機に酌量の余地は全くない。
  そして,被告人らは,深夜,公衆のために設けられた公園内に暴走族を集合さ
せ,多数の見物人のいる中で暴走族の代表者同士による私闘を行うなど,地域
社会に大きな不安を与える態様で本件決闘を行っており,また,本件決闘を行
った者のうち1名は,左胸部,左上腹部,左大腿部前面を刺され,生命に危険
を及ぼすほどの約1か月半の加療を要する重傷を負うという傷害事件に発展し
ているのであって,本件決闘の犯行態様は危険かつ悪質である。
  そして,被告人は,「A」の構成員に対し,「B」に喧嘩の申入れをするよう積極
的に働きかけたり,本件決闘に備えてバットなどの凶器を用意するよう指示した
上,決闘の現場において,決闘を行う者を囲むように見物人に輪を作ることを指
示したり,本件決闘の進行役を務めるなど,本件決闘の首謀者として中心的な
役割を果たしている。
(2) 恐喝罪について
  被告人は,被害者の1人が被告人の住むアパートの敷地に嘔吐したことに因
縁を付け,迷惑料の名目で,共謀の上,恐喝に及んだもので,利欲的かつ短絡
的な犯行動機に酌量の余地はない。
 また,被告人は,事前に恐喝の口実となる警告文を作成した上,被害者の嘔
吐に乗じて直ちに恐喝に及んでおり,本件恐喝には計画性がうかがわれる。
 この点,被告人は,公判廷において,主に嘔吐行為をやめさせるために警告
文を張ったと主張しているが,金額が10万円と法外であることなどから,被告人
には経済的利益を得ようとする意思が存在したことは否定できない。
 そして,被告人は,支払いを拒んだ被害者らに対し,多人数で,約2時間にわ
たり暴行・脅迫を加えて,現金を脅し取っており,その犯行態様は執拗かつ悪質
である。
 さらに,被害者らは10万円を支払わされただけでなく,長時間の暴行・脅迫を
受け,殺されてしまうかもしれないと思うほどの恐怖を感じており,被害結果は重
大で,被害者の処罰感情が厳しいのも当然である。
(3) その他の事情
  被告人は,平成13年10月25日,窃盗罪により,懲役1年,4年間の保護観察
付き執行猶予の言い渡しを受け,その保護観察付き執行猶予期間中であるに
もかかわらず,本件各犯行をいずれも主導的に行っており,被告人の遵法精神
や更生意欲は乏しいといわざるをえない。
 そして,被告人は公判廷においても暴力団である二代目W会二代目X会Y組
を脱退するつもりはないと述べており,被告人の前妻による監督にも多くを期待
することはできない。
3 被告人にとって有利な事情
 (1) 本件決闘に関して,被告人は,素手による決闘を予想しており,決闘の相手
方がナイフを使用することは,被告人にとっては予想外の出来事であった。
 (2) 恐喝に関しては,被害者の1人が酒に酔って被告人方敷地に嘔吐したこと
が犯行のきっかけとなっており,被害者側にも若干の落ち度が認められる。ま
た,弁護人を通じて被害弁償がされており,現時点では,財産的被害が回復
されている。
 (3) さらに,情状証人として出廷した前妻に加え,被告人には被告人の更生の
支えとなる家族がおり,被告人も,本件各犯行を大筋で認めた上で,「もう犯
罪になるようなことはしない。」と述べて反省の態度を示している。
4 結論
 そこで,以上の事情を総合考慮し,前件の刑の執行猶予が取り消される見込み
であるという事情も考慮して,被告人を主文の刑に処するのが相当であると判断し
た。
(求刑 懲役5年)
平成15年3月6日
福岡地方裁判所第3刑事部
裁判長裁判官   陶  山  博  生
     裁判官   國  井  恒  志
      裁判官古  賀  英  武     

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