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裁判例


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主文
1 被告が原告に対し平成13年5月7日付けでした行政文書開示決定(北総総第
92号により通知されたもの)中の「平成12年度アルバイト出勤簿」を不開示と
した部分のうち、氏名欄及び押印欄中印影の氏名を表す部分並びに発令整理番号欄
を除く欄を不開示とした部分を取り消す。
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用はこれを3分し、その2を原告の負担とし、その余を被告の負担とす
る。
事実及び理由
第1 請求
1 被告が原告に対し平成13年5月7日付けでした行政文書開示決定(北総総第
91号により通知されたもの)のうち「自動車運転手の氏名及び印影」及び「車両
番号」を不開示とした部分を取り消す。
2 被告が原告に対し平成13年5月7日付けでした行政文書開示決定(北総総第
92号により通知されたもの)のうち「平成12年度アルバイト出勤簿」を不開示
とした部分を取り消す。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
第2 事案の概要
1 事案の要旨
 本件は、原告が、被告に対し平成13年4月3日付けでした、行政機関の保有す
る情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条に基づく「平成13年3月
の自動車運行管理簿」の開示請求に対し、被告が、同年5月7日付けで、同管理簿
の「自動車運転手の氏名及び印影」部分及び「車両番号」部分を不開示とし、それ
を除く部分の開示決定(以下「本件決定1」という。)をしたこと、並びに、被告
に対し同年4月3日付けでした、同条に基づく「平成12年度アルバイト出勤
簿」、「平成11年5月25日付(総会第33号はか1課合同事務運営指針)『非
常勤職員に対する通勤手当相当の給与の支給について』」「平成13年3月13日
付事務連絡『平成13年度アルバイト賃金の配賦単価について』」の各行政文書の
開示請求に対し、被告が
、同年5月7日付けで「平成12年度アルバイト出勤簿」を不開示とし、その余の
文書の開示決定(以下「本件決定2」という。)をしたことはいずれも違法である
として、同各処分のうちそれぞれの不開示部分の取消しを求めるものである。
2 判断の前提となる事実(証拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)
(1) 原告は、被告に対し、平成13年4月3日付けで、法4条1項の手続により、
北沢税務署が保有する「平成13年3月の自動車運行管理簿」という名称の行政文
書の開示を求める行政文書開示請求をした。
 これに対し、被告は、同年5月7日付けで、法9条1項に基づき、同管理簿のう
ち、「自動車運転手の氏名及び印影」部分については法5条1号に該当し、「車両
番号」部分については同条4号に該当するとして不開示とし、その余の部分につい
て開示する旨の決定(本件決定1)をし、原告に対して、同日付けの行政文書開示
決定通知書(北総総第91号)により通知した。
(2) 自動車運行管理簿は、官用自動車の適切な管理を目的として、自動車運転手が
作成し、自動車の管理責任者である総務課長に対して報告する文書である。自動車
運行管理簿には「自動車運行管理簿(一般用)」という表題、決裁欄、運行した年
月日欄、車両番号欄、運転者の所属及び氏名欄、補給燃料欄、同乗者の所属及び氏
名欄、用務先欄、官用車利用の内訳欄、走行の指針及びキロ数欄があり、該当日
に、北沢税務署のある特定の自動車運転手が公用車を運転して各欄記載のとおりの
運行を行ったことを示す書面であって、本件運行管理簿には補給燃料欄を除くほ
か、各欄に所要の記載が、また、運行者の氏名欄には氏名の記載に加え、運行者の
押印がされている(弁論の全趣旨)。
(3) 原告は、被告に対し、平成13年4月3日付けで、法4条1項の手続により、
北沢税務署が保有する「平成12年度アルバイト出勤簿」「平成11年5月25日
付(総会第33号はか1課合同事務運営指針)『非常勤職員に対する通勤手当相当
の給与の支給について』」「平成13年3月13日付事務連絡『平成13年度アル
バイト賃金の配賦単価について』」という名称の各行政文書の開示を求める行政文
書開示請求をした。
 これに対し、被告は、同年5月7日付で、法9条1項に基づき、「平成12年度
アルバイト出勤簿」について、法5条1号に該当するとして不開示とし、その余の
文書について開示する旨の決定(「本件決定2」)をし、原告に対して、同日付け
の行政文書開示決定通知書(北総総第92号)により通知した。
(4) 北沢税務署のアルバイト職員は、人事院規則8-14(非常勤職員等の任用に
関する特例)の規定によって任用される定員外の一般職の国家公務員であり、臨時
的作業又は緊急の用務のために特に必要がある場合に、常勤職員と異なり競争試験
又は選考のいずれにもよらないで、雇用期間を3ヶ月以内として任命権者である北
沢税務署長から任命される非常勤職員である。個々のアルバイト職員は、事務の必
要性及びアルバイト職員側の都合等個々の実情に応じて、1日当たりの勤務時間
(○時から○時まで、1日当たり○時間)や勤務を要する日(例えば「○曜日を除
き雇用する」)など)が決定され採用されることになる。アルバイト職員の勤務形
態は、事務の必要に応じ、①1日の勤務時間が5.5時間以内、②1日の勤務時間
が6ないし7時間で、
1ヶ月の勤務日数が15日以内、③1日の勤務時間が6ないし7時間で、全日数出
勤のいずれかとされ、職務の内容は、書類の整理、発送準備事務、入力事務など、
内部事務のうち簡易な事務で常勤職員の補助的事務を行うことが主なものであっ
て、税務署長の分担する事務における意思決定に関与するものではない。アルバイ
ト職員の賃金は、アルバイト職員側の都合や事務の必要性から勤務時間が異なるた
め時間給であり、交通費相当額については1日当たり400円を上限として出勤に
要する実費が支給される(乙11ないし14)。
(5) アルバイト出勤簿は、当該職員の人事管理のため、当該職員の勤務状況を記録
する基本簿書であり、かつ給与支給上の基本簿書として各人ごとに毎月一枚ずつ作
成され、その様式は、常勤職員の例に応じて、機関の長が適宜定めることとされて
いるもので、「出勤簿」、「平成○年○月分」の表示と、所属、氏名、発令整理番
号、曜日、日付、押印欄、発令時間、勤務時間数の計算欄、交通費の計算欄から成
り立っている(乙7、弁論の全趣旨)。本件アルバイト出勤簿には、記載事項に即
して当該欄に所要の記載がされている。
 所属欄は、当該職員の所属している部課名を、氏名欄は、当該職員の氏名を、発
令整理番号欄は、発令の都度各個人ごとに付される番号を、それぞれ示す欄であ
る。
 押印欄は、当該職員の出勤した日(なお、発令時間と異なる時間の勤務を行った
ときは、その実際の勤務時間が付加して記される。)、勤務を要しない日、勤務し
なかった日を示す欄である。押印欄については、出勤した日には当該職員の印影の
下部にその実際に勤務した時間が付加されて記されている。そして勤務を要しない
日にはアスターリスクマーク(「*」)ないしは斜線、勤務をしなかった日には、
1月から9月分までの出勤簿では「休」、10月から12月分までの出勤簿では
「欠勤1日」又は「年次休暇1日」マークが記載されている。なお、研修や出張の
記載は全くない。
 アルバイト職員の勤務時間は、任命権者が事務の必要や本人の希望等に応じ、ア
ルバイト職員ごとに任意に決めて発令し、本人に通知しており、発令時間欄はこの
ようにして任命権者が定めた発令時間を示す欄である。
 勤務時間数の計算欄は、当該職員の1日当たりの勤務時間の別とその勤務時間の
日数を明示した上、1ヶ月の勤務時間の合計を示す欄である。
 交通費計算欄は、当該職員の出勤に要する実費と勤務日数を明示の上、同人に支
給すべき1ヶ月分の交通費を示す欄である(弁論の全趣旨)。
4 当事者の主張
(1) 被 告
ア 本件決定1の適法性
(ア) 「自動車運転手の氏名及び印影」の不開示について
a 法5条1号前段該当性
 自動車運行管理簿の記載中、自動車運転者の氏名及び印影は、当該運転手の個人
に関する情報で、かつ、氏名ないし印影により同人を識別できるものであるから、
法5条1号前段に該当することは明らかである。
b 法5条1号ただし書ハ該当性
 法5条1号ただし書ハは、公務員の職務の遂行にかかる情報が、公務員の氏名、
職及び職務遂行の内容によって構成されるものが少なくないことにかんがみ、この
うち、公務員の氏名については、公にした場合、公務員の私生活等に影響を及ぼす
おそれがあり得ることから、私人の場合と同様に個人情報として保護に値すると位
置づけ、公務員の職と職務遂行の内容については、説明義務の観点から開示するこ
ととしたものである。すなわち、職及び職務遂行の内容にかかる情報とは、各個の
公務員の職名並びに当該公務員の具体的な職務遂行の過程及び結果を直接に表した
情報をいうと解され、公務員の氏名については法5条1号ただし書ハにより不開示
情報から除外されるものではない。
 したがって、自動車運転手の氏名及び印影が、法5条1号ただし書ハに該当する
余地はない。
c 法5条1号ただし書イ該当性
 法5条1号ただし書きの各規定は、同号本文によって不開示にされる情報から例
外的に除外されるものを定めたものであり、開示請求者がその適用を求めるべき規
定であるから、ただし書該当性については、原告がこれに該当する事実の主張立証
責任を負うと解すべきところ、原告は、北沢税務署の運転手の氏名を公にし、又は
公にすることを予定することを根拠付ける法令の規定の存在や、また、慣習として
当該情報が現に公衆が知り得る状態に置かれていることを基礎付ける具体的事実に
つき主張立証をしていない。
 なお、北沢税務署の運転手の氏名を公にし、又は公にすることを予定することを
根拠付ける法令の規定は存在しない(情報公開法の規定自体をもってここでいう
「法令の規定」に当たると解することができないことは当然である。)。また、一
般に販売されている税務署職員等の職員録において、運転手、用務員、電話交換手
等の氏名を記載したものはなく、北沢税務署の運転手の氏名もこれら職員録に記載
されていない。また、内閣府においては「内閣府における法第5条第1号に係る公
務員の氏名の取扱いについて」により、職務遂行にかかる公務員の氏名は慣行とし
て公にされているものとして取り扱う方針が定められているが、北沢税務署は内閣
府に置かれる機関ではなく、また、北沢税務署においては、内閣府における上記の
ような方針は定められ
ておらず、公務員の氏名を公にしている慣行も存在しない。
(イ) 車両番号について
a 北沢税務署における公用車の運行形態
 北沢税務署には公用車が一台あり、税務署における公用車が一般用自動車と調査
用自動車に大別されるうち、一般用自動車に区分されている。しかし、北沢税務署
においては、この自動車を現金搬送のほか、税務署幹部等の移動及び送迎に使用し
ているほか、調査、徴収等の事務、すなわち納税者宅等の調査先への移動、又は差
押物件等の搬送のために使用することもある。税務署には、現金等を取り扱う出納
官吏が多数おり、毎日、現金等を扱っている。そして、当該領収現金等について
は、現金領収の日又はその翌日には日本銀行(日本銀行代理店を含む。)へ払い込
まなければならないし、還付金等支払のためには小切手を日本銀行へ交付する必要
がある。このような北沢税務署の公用車の運用形態からすると、同車の車両番号を
公にした場合、当該公
用車を標的とした犯罪行為により現金搬送時の安全が害されるおそれがあり、ま
た、税務署長が行った課税処分等に対する威圧的な調査妨害や税務署幹部の生命身
体への不法な侵害のほか、業務妨害、職務強要等の犯罪行為を誘発するおそれがあ
るところであり、税務署における車両の使用に関しては、その特性に照らし、車両
番号を秘匿する必要性が高い。
b 法5条4号該当性
 法5条4号は、「行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」とい
う規定の仕方を採っているが、これは、同号に該当する情報については、その性質
上、開示・不開示の判断に高度の政策的判断を伴うという特殊性があり、諸外国に
おいても他の情報と異なる特別の考慮が払われている場合が少なくないことによ
り、公共の安全等に関する情報の該当性の判断については、行政庁に比較的広範な
裁量権が付与されているものとし、司法審査においては、裁判所は、法5条4号に
該当するこれらの情報が記録されているかどうかについての行政機関の長の第一次
的な判断権を尊重し、その判断が合理性を持つものとして許容される限度内のもの
かを審理・判断するのが適当であるとの考え方を示したものである。
 そうすると、これに対する司法審査は、行政事件訴訟法30条により、処分の存
在を前提として、当該処分に社会通念上著しく妥当性を欠くなど裁量権を逸脱・濫
用したと認められる点があるかどうかを審査する方法によるべきであり、裁判所が
行政庁と同一の立場から当該処分に係る判断をし、その結果と行政庁の処分とを比
較して処分の適否を審査する実体的判断代置方式によるべきものではない。また、
行政機関の長の裁量権に基づく判断が、裁量権の範囲を超え、又はその濫用があっ
たことを基礎付ける事実については、原告が主張立証責任を負担するというべきで
ある。
 原告は、被告の判断が裁量権の範囲を超え、又はその濫用があったことを基礎づ
ける事実を主張立証しておらず、原告の主張は失当というべきである。
 よって、上記車両番号を法5条4号に該当するとした被告の判断が合理性を欠く
ものとは認められない。
c 法5条6号該当性
 前記a記載の公用車の運用形態によれば、北沢税務署の公用車の車両番号を公に
した場合、犯罪行為を誘発するには至らなくても、当該公用車を標的とした種々の
妨害行為が発生するなどして、税務署の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれが
あり、また、調査・徴収の事務に使用される場合に、当該事務の適正な執行に支障
が生じるおそれがある。これによれば、北沢税務署の公用車の車両番号が、法5条
6号の本文の情報に該当するといえる。
イ 本件決定2の適法性
a アルバイト職員の雇用の実情
 アルバイト職員は、上述のとおり、競争試験によって採用する必要がなく、臨時
的に雇用するものであるため、税務署長は、時間給の単価や1日当たりの勤務時間
数等の雇用条件を明示して、アルバイト職員を募集する。特に、確定申告時期には
一時に数十名のアルバイト職員を必要とすることから、北沢税務署では、税務署の
近隣の複数の大学の構内にアルバイト募集の広告をしてアルバイト職員を募ってい
る。また、アルバイト職員を採用するに当たっては面接を行うが、この際にも時間
給の単価等賃金に関する条件を明示している。
 また、アルバイト職員の1日当たりの出勤に要する実費については、400円を
上限として支給されることと規定されているため、超過分の通勤費を負担してま
で、アルバイトをしようとするものが少ないと考えられることから、アルバイト職
員の居住地は、北沢税務署から片道の交通費200円の範囲に事実上限定されるこ
ととなる。
b 法5条1号該当性
 アルバイト出勤簿には前記3(4)の事項が記載されているのであって、氏名欄にお
ける氏名、押印欄における印影をはじめとして、その記載により特定の個人を識別
できるから、アルバイト出勤簿が「個人に関する情報であって、当該情報に含まれ
る氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」
が記録されている行政文書に当たることは明らかである。
c 法5条1号ただし書ハ不該当性
 法5条1号ただし書ハが、個人に関する情報であっても、例外的に、当該個人が
公務員である場合において「当該情報がその職務の遂行に係る」場合に限って開示
すべき旨を規定しており、「職及び職務遂行の内容に係る」情報とは、各個の公務
員の具体的な職務遂行の過程及び結果を直接に表した情報をいうと解されるのは、
前記ア(ア)aのとおりであって、例えば、公務員の情報であっても、職員の人事上
保有する健康情報、休暇情報等は、管理される職員の個人情報として保護される必
要があり、本規定の対象となる情報ではない。また、職員の出勤に関する情報につ
いても、単に職員の人事管理上、職員が出勤した事実を記載しているものにすぎ
ず、職務遂行の内容に係る情報には当たらない。
 本件アルバイト出勤簿に記録されている情報も、当該アルバイト職員の人事管理
上、もっぱら当該アルバイト職員個人を特定し、その勤務状況を明らかにするため
のものにすぎず、当該アルバイト職員の具体的な職務(例えば資料情報の整理事
務)との直接の関連を有しない情報であって、当該アルバイト職員の「職務遂行の
内容に係る部分」は全く含まれていない。
 仮に、原告の主張するように、本件アルバイト出勤簿に記載されている情報のう
ちに同号ただし書ハの「当該公務員の職及び当該職務遂行の内容にかかる部分」に
該当する何らかの情報があるとしても、少なくともアルバイト職員の氏名はこの部
分に含まれないから、アルバイト出勤簿を全部開示することはできない。
d 部分開示の可否について
(a) 法6条について
 法5条本文は、前述のとおり、開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録され
ている場合は、その記録されている部分が当該行政文書の一部であっても、当該行
政文書を開示することはできない旨を定めた規定であるが、最大限の開示を実現す
るため、法6条1項は、当該行政文書に記載されているひとまとまりの情報につい
て、不開示情報と開示情報とを区分した上で、開示情報を開示すべきことを定め、
法6条2項は、法5条1号の特定の個人を識別することができる情報(いわゆる個
人識別情報)が記載されている行政文書について、当該情報のうち、氏名、生年月
日等の個人識別部分を除くことにより、公にしても個人の権利利益が害されるおそ
れがないと認めるときは、当該個人識別部分を除いた部分は同号の情報に含まれな
いものとみなして、
法6条1項の部分開示に関する規定を適用する旨定めている。
 法6条2項の規定は、個人に関する情報であって特定の個人を識別することがで
きるものであっても、特定の個人が識別される要素を除去することにより誰の情報
であるかがわからなくなれば、残りの部分については、通常、個人情報としての保
護の必要性は乏しくなることから、一つの不開示情報をさらに細分化して開示すべ
きことを定めたものであると解される。そして、法6条2項の「特定の個人を識別
できるもの」とは、文言上、法5条1号に規定する「他の情報と照合することによ
り、特定の個人を識別することができることとなるものを含む」ものと解すべきで
ある。
(b) 「所属」について
 北沢税務署の部門編成は、おおよそ、総務課のほか7つの部門に大別され、アル
バイト職員の職務内容は内部事務のうち簡易な事務又は常勤職員の補助であるか
ら、所得税等の確定申告の時期を除き、各部門のアルバイト職員の員数は1名であ
ることが多い。例えば、本件アルバイト出勤簿でいえば、ある月のアルバイト出勤
簿の枚数は13枚で、資産課税部門及び個人課税部門を除く部門ごとの出勤簿の枚
数は各1枚である。
 税務署においては、その管轄する地域の納税者が多数来署することから、事務室
内に看板等で部門を表示している。そして、前述のとおり、アルバイト職員の居住
地は税務署の近隣に事実上限定されることになる。その上、アルバイト職員が事務
室内で着用しているIDカードは常勤職員のそれと一見して区別できるようにピン
クの線が大きく表示されている。
 以上のような実態を踏まえると、所属を開示した場合には、当該出勤簿が誰の出
勤簿か特定することができることとなる。
 したがって、所属の記述は、所属の記述それのみでは特定の個人を識別すること
はできないとしても、本件アルバイト出勤簿自体に含まれる情報と照合することに
よって、特定の個人を識別することができる記述であるということができる。
(c) 「発令時間」について
 本件アルバイト出勤簿のうち、ある特定の月のアルバイト出勤簿は35枚存在す
る。そして、そのうち、ある部門のアルバイト出勤簿は3枚あり、そのうち1枚の
みが発令時間が異なっている。また、他の部門のアルバイト出勤簿は4枚あり、そ
のうちの1枚のみが発令時間が異なっている。さらに別の部門のアルバイト出勤簿
は20枚あり、発令時間は2種類存在し、15枚と5枚に分けることができる。ま
た、さらに別の部門のアルバイト出勤簿は5枚あり、発令時間は2種類存在し、2
枚と3枚に分けることができる。これ以外の部門のアルバイト出勤簿は1枚ずつで
あり、部門によって発令時間が異なる。
 このように、発令時間の記述は部門の記述と照合することによって、個人を識別
することができることとなるから、法6条2項により開示することはできない。
 仮にこの点をおくとしても、このように各個人によって異なっている発令時間を
公にすることは、アルバイト職員間で不公平感を形成することとなり、アルバイト
職員相互間の人間関係等に悪影響を与えるおそれがあるから、アルバイト職員個人
は、これらの情報を開示されないことにつき正当な権利利益を有しているというこ
とができる。また、発令時間は当該アルバイト職員の希望も踏まえて適宜決定され
ているところ、発令時間が開示されれば、当該アルバイト職員の私生活の様子が明
らかになってしまう。アルバイト職員個人は、こうした私的情報をみだりに公にさ
れないことについて、正当な権利利益を有していると解されるから、発令時間の記
述を公にしても、個人の権利利益を害するおそれがないということはできず、この
点からしても、当該
記述を法6条2項により開示することはできない。
(d) 「勤務時間数の計算」欄について
 勤務時間の計算欄は、当該職員の1日当たりの勤務時間の別とその勤務日数を明
示した上、1ヶ月当たりの勤務時間の合計を示す欄であるところ、勤務時間数は、
出勤又は出勤しなかった結果を取りまとめ、勤務した時間数を表示する記述である
ことから、アルバイト職員1人1人が異なる勤務時間となる。
 そのため、勤務時間数を公にするだけで、特定の個人を識別することが可能とな
るから、勤務時間数の計算欄は、法6条2項により開示することはできない。
 そして、アルバイト職員の1時間当たりの賃金単価は一般に入手可能な情報であ
るから、勤務時間数に当該単価を乗じることにより、当該アルバイト職員の1ヶ月
の収入が判明することとなる。また、アルバイト職員の出勤を要する日や1日当た
りの勤務時間は個別に決定されていることから、勤務時間数ごとの日数の記載によ
って、当該職員の勤務条件がある程度推測されることとなる。このような収入や勤
務条件といった極めて私的な情報については、他人に知られない利益を有してお
り、また、これが公になることにより、アルバイト職員間で不公平感を形成し、ア
ルバイト職員相互間の人間関係等に悪影響を与えるおそれがあることからすると、
アルバイト職員個人は、これらの情報を開示されないことにつき正当な権利利益を
有していることができ
る。したがって、これを公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないとい
うことはできないから、法6条2項により開示することはできない。
(e) 「交通費の計算」欄について
 交通費の単価は、自転車通勤で片道2キロメートル以上の場合100円、徒歩又
は自転車通勤片道2キロメートル未満の場合0円、その他交通機関を利用する場合
には1日当たりの実費が記載されていることから、交通費の単価の記載により当該
職員の通勤手段及び居住地域を推測することが可能となり、交通費の単価が公にな
ると、当該アルバイト出勤簿がいかなるアルバイト職員のものであるかという外延
が相当程度限定されることとなる。その上、交通費は、交通費の単価及び出勤日数
が1人1人異なることから、交通費単価が0円であるものを除いて、金額が同一で
あるアルバイト出勤簿は存在せず、さらに、交通費単価が0円のものについても出
勤日数が同一のものはない。
 したがって、交通費の計算欄は、当該情報に関連する他の情報と照合することに
より、容易に特定の個人を識別することができるから、これを法6条2項に基づき
開示することはできない。
 そして、交通費支給額は、当該職員の収入の一部であり、また、交通費の計算欄
には、出勤日数が記載されていることから、当該アルバイト職員のおおよその賃金
の額が推測される。さらに、上述のとおり、交通費の単価により、当該アルバイト
職員の通勤手段及び居住地域を推測することができることとなる。したがって、通
勤手段、居住地域、収入といった指摘事項に関する情報は、他人には知られない利
益を有しており、これを開示すると少なくとも当該職員の知人同僚であれば容易に
個人を識別でき、これらの情報を知らしめることとなるのであるから、これらの部
分を公にした場合、個人の権利利益が害されるおそれがある。したがって、交通費
の計算欄を公にすることにより、個人の権利利益が害されるおそれがないというこ
とはできないから、
これを法6条2項に基づき開示することはできない。
(f) 「平成 年 月」、「日付」、「曜日」の記述について
 当該記述の部分を開示しても、これだけでは単なるカレンダーにすぎず、もはや
アルバイト職員の出勤簿としては意味をもたない情報である。したがって、これら
の記述は有意の情報であるということはできないから、法6条2項により開示する
必要はない。
(g) 氏名欄・押印欄
 前記イのとおり氏名欄及び押印欄は法5条1号に該当する情報であることは明ら
かである。そして法5条1号ただし書ハの「当該情報のうち、当該公務員の職及び
当該職務遂行の内容に係る部分」には、公務員の氏名は含まれないのであるから、
アルバイト職員の氏名及びその公務員の氏名が記載された押印が法5条1号ただし
書ハに該当するとの原告の主張は、失当である。また、法5条1号ただし書ハの
「職務遂行の内容に係る」部分とは、各個の公務員の具体的な職務遂行の過程及び
結果を直接に表した記述をいうと解されるところ、アルバイト出勤簿の押印欄の印
影は、人事管理上、特定のアルバイト職員個人について、「特定の部門に所属する
特定の個人が特定の年月日曜日に出勤した」ということが記録されている部分であ
って、当該職員が遂行
した職務の内容、すなわち、当該職員の具体的な職務遂行の過程及び結果を直接に
表した記述ではないから、法5条1号ただし書ハに該当しない。
 実際に勤務した時間を付加して記載している部分については、常勤職員の場合と
は異なり、単に勤務をした時間が記載されているだけであって、当該職員が遂行し
た職務の内容、すなわち、当該職員の具体的な職務遂行の過程及び結果を表した記
述ではないから、法5条1号ただし書ハに該当しない。
 また、アスターリスクマーク、斜線、休、欠勤1日、年休1日の記述には、アル
バイト職員が特定の日に勤務しなかったということを示すものであり、当該アルバ
イト職員の生活の方針や健康状態等の私生活の内容に関わる休暇等に関するもので
あるから、アスターリスクマーク等の記述を含む休暇等に関する情報は、そもそも
法5条1号ただし書ハにいう「職務の遂行にかかる情報」ではないし、アスターリ
スクマーク等の記述が「職務の遂行の内容に係る部分」に当たるという余地もな
い。よって、法5条1号ただし書ハの適用はないことが明らかである。
 仮に、アルバイト職員の印影が「職務遂行の内容に係る部分」に該当すると想定
しても、出勤した日を示す印影部分を開示するとなると、開示されていない部分は
出勤していない日であることが自ずと明らかになり、「特定の日に勤務しなかっ
た」という当該アルバイト職員の私生活の内容に関わる休暇等に関する情報を必然
的に明らかにすることとなる。したがって、当該職員の出勤に関する情報(のうち
印影部分)と当該職員の休暇等に関する情報とは不可分一体となっており、これを
容易に区分することができないから、結局、印影部分を開示することはできない。
 また、実際に勤務した時間を付加して記載している部分につき、仮に実際に勤務
した時間が「職務の遂行の内容に係る部分」であったとしても、この記載は同時
に、当該日の記載された時間以外の時間は休みを取得した又は勤務しなかったこと
を表している。そして、上記のとおり、休みを取得したあるいは勤務をしない原因
は私生活に関する内容であって職務遂行の内容に係る部分ということはできない。
したがって、実際に勤務した時間を付加して記載している部分は、不開示部分とそ
れ以外の部分とが不可分一体となっており、これを容易に区分することができない
から、この部分も開示することはできない。
 したがって、押印欄の印影等の部分が法5条1号ただし書ハに該当するという原
告の主張は失当である。
 アルバイト職員が出勤したことを示す印影部分は、仮にこれが「職務遂行の内容
に係る部分」に該当すると解したとしても、前述のとおり、出勤した日を示すこと
は必然的に「特定の日に勤務しなかった」という当該アルバイト職員の私生活の内
容に関わる休暇等に関する情報を明らかにすることとなるから、当該印影の氏名の
部分だけをマスキングしたところで、不開示部分とそれ以外の部分が不可分一体と
なっており、容易に区分できないことに何ら変わりはない。
(2) 原 告
ア 本件決定1の適法性の主張について
(ア) 「自動車運転手の氏名及び印影」の不開示について
a 法5条1号ただし書ハ該当性
 自動車運転手であっても北沢税務署の職員であり、自動車の運転は、自動車運転
手の本来的な業務、職務であるから、自動車運転手の氏名・印影も職務情報に当た
るものである。
 そして、法の目的は、国民に対する説明責任を全うするとともに、国民の的確な
理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進を図ることであって、自動車の運
転も職務行為の一内容と認められる以上、その責任の所在を明らかにするために氏
名等を開示することは当然である。
b 法5条1号ただし書イ該当性
 法は、行政機関の保有する文書の公開を図ることを目的としているのであるか
ら、一般に販売されている書籍では公開されていない文書についても開示が認めら
れるべきであり、開示の可否を一般に出版されている名簿等により決することは、
法を無意味にするものである。
 本件とは別のケースではあるが、情報公開審査会による答申において、出勤簿の
公開が認められたものがあり、同答申は、氏名及び押印についても開示するべきで
あるとの内容であった。
(イ) 車両番号について
a 法5条4号・6号不該当性
 本件車両が、いわゆる「覆面パトカー」に類する車であればともかく、本件車両
が一般車両であることは被告も認めているところであるから、開示したとしても
「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ」は生じないし、「事務又は事業
の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」もない。
 本件車両は、甲第3号証にみられるように、通常人の目に付くような状況に保管
されていたのであり、法5条4号や6号に該当するのであれば、そのような保管を
するとは考えられない。
イ 本件決定2の適法性の主張について
(ア) 法5条1号ただし書ハ該当性
 アルバイト出勤簿は、具体的にどのような職務遂行がされたかについての重要な
証跡となり、具体的な職務遂行の対価として給与が支払われる以上、給与の支払も
職務遂行と密接に関連した情報であるといえる。
(イ) 部分開示の可能性
 アルバイト出勤簿には個人情報に属さない部分も多く含まれ、部分開示がされる
べきものであり、それを行わなかった被告の処分は違法である。具体的には、「所
属」、「平成 年 月分」、「曜日」、「日付」、「発令時間」、「勤務時間数の
計算欄」、「交通費の計算欄」は個人情報に該当しないことが明らかであり、ま
た、「氏名欄」・「押印欄」については個人情報に該当するが法5条1号ハに該当
するものであるから公開されなければならない。また、押印欄については、押印の
事実等は公開されなければならない。
 なお、発令整理番号欄については、法5条1号の個人識別情報に該当しかつ同号
ハの事由に該当しないため、公開を求めない。
5 争点
(1) 「自動車運転手の氏名及び印影」部分の法5条1号ただし書ハ及びイ該当性
(争点1)
(2) 「車両番号」部分の法5条4号該当性(争点2)
(3) アルバイト出勤簿の各欄の法5条各号該当性(争点3)
(4) アルバイト出勤簿中、法6条に基づき部分開示を検討すべき部分の範囲と、こ
れを公にしても当該アルバイト職員の権利利益が害されるおそれがないと認められ
るか否か(争点4)
第3 争点に対する判断
1 争点1(「自動車運転手の氏名及び印影」部分の法5条1号ただし書ハ及びイ
該当性)
(1) 法5条1号ただし書ハ該当性
 法5条1号ただし書ハは、法5条1号において、行政機関の保有する情報のうち
「個人に関する情報」であって、「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記
述により特定の個人を識別することができるもの」や「公にすることによりなお個
人の権利利益を害するおそれがあるもの」を原則不開示情報としたのを受け、それ
らの情報のうち当該個人が公務員であり、当該情報がその職務の遂行に係る情報で
あるときは、「当該公務員の職」及び「当該職務遂行の内容」に係る部分について
例外的に公開するというものである。すなわち、行政機関の保有する「個人に関す
る情報」が、行政情報であると同時に個人に関する情報でもあるとの前提の下、
「職務の遂行に係る情報」については説明義務の観点から情報は可及的に公開する
ものとしながら、個人
情報の保護を図るべく、「当該公務員の職務の遂行の内容」及び「当該公務員の
職」については公開するものの、公務員の私生活における個人識別のための基本情
報ともいえる公務員の氏名、生年月日等、「当該公務員の職務の遂行の内容」及び
「当該公務員の職」以外の情報については、個人情報保護の観点から公開しないも
のとしたものといえる。この理は、1号本文において、氏名、生年月日が例示され
ていながら、ハにおいては記載されていないことからも当然のものといえる。
 そして、「自動車運転手の氏名及び印影」部分は、当該運転手の具体的氏名を識
別可能とする情報であるが、自動車運転手という職に係る情報ではないし、また、
自動車運転手の職務の遂行の内容に係る情報でもない。
 したがって、「自動車運転手の氏名及び印影」部分は、法5条1号ただし書ハに
該当しない情報であると認められる。
 原告は、説明責任及び職務の責任の所在の明確化の観点から、「自動車運転手の
氏名及び印影」部分も開示すべきである旨主張するが、法が、説明責任を可及的に
尽くすとの観点をも考慮した上、本来個人情報の側面をも有する法5条1号の情報
のうち、同号ただし書記載の情報のみを例外として開示すべきと規定していること
は前記のとおりであって、原告の主張は、少なくとも上記部分が同号ただし書ハに
該当するかについては採用し難く、同号ただし書イに該当するか否かを検討する際
の考慮要素となるにすぎないものと考えられる。
(2) 法5条1号ただし書イ該当性
 本件各証拠中に、「自動車運転手の氏名及び印影」が「法令の規定により又は慣
行として公にされ、又は公にすることが予定されている」ことを直接的に認めるに
足りる証拠はなく、他方、乙1ないし5によれば、市販されている職員録、便覧等
の刊行物に北沢税務署の運転手の氏名の記載はないから、本件情報が、法5条1号
ただし書イに該当するとは認められない。
 原告は、情報公開審査会の答申で、出勤簿の公開が認められた他の事案におい
て、同出勤簿中の氏名及び押印部分の公開を認めたものが存在する旨を主張し、本
件においても職員である自動車運転手の氏名及び印影が公開されるべき旨を主張
し、そのようなものとして平成13年11月13日付答申(沖縄総合事務局総務部
庶務課の平成12年出勤簿の不開示決定に関する件(平成13年諮問第19号)、
沖縄総合事務局総務部庶務課の平成11年出勤簿の不開示決定に関する件(平成1
3年諮問第20号)、甲第5号証)を指摘する。これらに加えて、原告が指摘する
ように、行政機関にはその活動を国民に説明すべき責務があり(法1条参照)、そ
の一環として、公務の遂行についてその責任の所在を明確にすべきことが求められ
ていると考えられること
からすると、少なくとも国民に対して直接的に遂行された公務については、その職
務の責任を明確にするため、これを現に遂行したものの氏名をそのものの職務上の
地位を問わずに公にすることが予定されていると考える余地がないでもなく、上記
答申に引用された内閣府における取扱い(平成13年4月16日付け「内閣府にお
ける法第5条第1号に係る公務員の氏名の取扱いについて」)もこのような考え方
に立脚するものと理解することも可能である(被告は、情報公開審査会の他の答申
(乙10)を引用して、上記の取扱いが内閣府独自の取扱いであるかのように主張
するが、被告引用の事例は、決裁文書中の下級職員の押印の公開の可否が問題とな
ったものであって、当該下級職員自身が国民に対して直接に公務を遂行したもので
はなく、より上位の
決裁権者を補佐するため内部的に当該事務に関与したにすぎないのであるから、上
記の考え方を被告の引用する答申とは何ら抵触するものではない。)。
 しかし、このように考えるとしても、本件でその「氏名及び印影」の公開の可否
が問題とされている公務員は、運転手であって、専ら自動車運転という事務を行っ
ているにすぎないのであって(一般職の職務の給与に関する法律別表第一、ロ備考
欄参照)、本件文書中に記載された職務の内容も国民に対して直接的に遂行された
ものとは認め難く、そのような職務についてまでこれを行った職員の氏名等を公に
することが予定されていると解すべき根拠は見当たらず、他に、これについて法5
条1号ただし書イに該当すると認めるに足りる事情も見当たらない。
(3) したがって、「自動車運転者の氏名及び印影」欄は法5条1号の情報に該当し
また、イないしハの除外事由には該当しないから、被告が法6条1項及び2項によ
り部分開示の義務を負うものではないと認められる。
2 争点2(「車両番号」部分の法5条4号・6号該当性)
(1) 被告の主張する(第2、4(1)ア(イ)a)、本件車両が一般自動車に区分され
ているものの、現金や小切手の搬送、税務署幹部等の移動及び送迎、調査先への移
動等の調査事務、差押物件の搬送等の徴収事務に使用されている事実は、原告も明
らかにこれを争わないところであるため、これを前提に判断すると、このような車
両の車両番号を一般に公にした場合、それにより知り得た車両番号をよりどころに
して、運搬中の現金や小切手、差押物件等を狙った犯罪行為、税務署幹部等に対す
る威圧を目的とした不法な侵害、調査等の妨害を目的とした犯罪行為が誘発された
り、容易になったりするといえ、被告が、本件情報を公にすることによって、「公
共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」との判断をしたことは合理的
であるといえる。よっ
て、「車両番号」部分は、法5条4号に該当すると認められる。
 原告は、本件車両が甲第3号証のように車庫シャッターが開いたままの状態で保
管され、本件の車両番号は通常人の目に付くような状況にあったと主張するとこ
ろ、同号証及び甲第4号証によれば、本件車両が車庫内にあるときも運行され車庫
内にないときも車庫のシャッターが常時閉められていたとの被告の主張は不自然で
あるといわざるを得ず、職員通用門を通る者や通用門の面した通りを通る者が本件
車両の車両番号を知り得る状態で保管されていたことは否定し得ないところであ
る。しかし、これは、本件車両の保管状況が不適切なものであったというにすぎ
ず、このことによって、北沢税務署が本件車両の車両番号を積極的に公にしたり、
公にしても構わないと考えていたとまではいえないし、本件車両の車両番号を公に
することによって、公にし
ない場合と比べて前記の各行為を惹起する可能性が増大することは明らかであっ
て、被告が原告の本訴提起を機に本件車両の保管状況を改め、車両番号が容易には
通常人の目に触れないようにしていることを考え合わせると、被告の上記判断が合
理性を欠くとまでは認められない。
(2) 以上によれば、「車両番号」の記載は、法5条4号の不開示事由に該当すると
認められるから、本件処分1において理由とされていない同条6号該当性を主張す
ることの可否及び同号該当性について判断するまでもなく、「車両番号」は、法5
条所定の不開示事由に該当することとなる。
3 争点3(「アルバイト出勤簿」の各欄の法5条各号該当性)
(1) 原告は、本件訴訟において、主位的にはアルバイト出勤簿の全部開示を求める
ところ、本件文書に記載されたアルバイト職員の氏名が法5条1号本文に該当する
情報であることは明らかである。そして、前記1(1)で判示したとおり、公務員の氏
名は、法5条1号ハの「職」及び「職務遂行の内容」に係る情報に該当しないもの
であるから、アルバイト出勤簿に記載されたアルバイト職員の氏名は、法5条1号
ただし書ハの事由に該当しないものといわざるを得ない。
 よって、アルバイト出勤簿は、法5条1号に掲げる不開示事由に該当する文書で
あるから、被告が、これを全部開示する義務はないものといえる。
4 争点4(アルバイト出勤簿中、法6条に基づき部分開示を検討すべき部分の範
囲と、これを公にしても当該アルバイト職員の権利利益が害されるおそれがないと
認められるか否か)
(1) このように、アルバイト出勤簿が法5条1号の情報を含む文書であることを前
提にすると、被告が同文書につき法6条2項により部分開示をする義務を負うか否
かが問題となり、これを検討するには、アルバイト出勤簿中どの部分が法5条1号
にいう不開示情報に該当するかを特定することが必要となる。
 そして、法6条2項にいう前条(法5条)1号の情報とは、法5条1号にいう個
人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日、その他の記述等に
より特定の個人を識別することができるもの(法6条2項かっこ書きの規定により
同号後段の特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個
人の権利利益を害するおそれがあるものは含まれないものとされる。)をいい、法
5条1号かっこ書にいう他の情報と照合することにより、特定の個人を識別するこ
とができることとなるものも含まれることとなる。
 ここにいう「他の情報」がいかなる範囲のものを指すかは同法の文言のみからで
は明らかではない。この点につき、他の情報について一般人が容易に入手し得る情
報に限定せず、当該個人と特別に関係のあるもののみが有している情報をも含むと
の考え方が存し、情報開示請求の主体に何らの限定がなく、当該個人と特別の関係
にある者も開示請求をし得る点にかんがみれば、傾聴に値するものではある。しか
し、個人に関する情報のすべてを情報公開の対象外とすることは、情報公開法が想
定しているところではないのであって、同法も、本来は、そのうち公開によって個
人の権利利益を害するおそれがあるもののみを不開示とすべきところ、この点を個
々の情報ごとに吟味して決定することには多大の困難が伴うため、やむを得ず個人
識別情報は、それが
当該個人の権利利益を害するものか否かを問わず、一律に不開示と定めたものであ
る。そして、上記「他の情報」を組み合わせることによって、特定の個人を識別し
得る情報をも不開示とした点は、それをさらに広げる附加的な規定であるから、こ
れによって不開示情報の範囲が本来の個人識別情報の範囲を大きく超えて拡大する
ことは、同法の想定していないところであると考えられる。したがって、この点に
ついては、開示された情報のみでは特定の個人を識別できるとはいい難いが、ほと
んどそれと等しい結果を招くもの、すなわち、一般人が容易に入手し得る情報と組
み合わせると特定の個人が識別される場合には、本来の個人識別情報と同様に取り
扱わざるを得ないという趣旨に解するのが相当である。もっとも、上記のような解
釈によって個人識別
情報に該当しないとしても、当該個人と特別の関係にある者が開示請求によって得
た情報と自己の有する情報を組み合わせることにより、当該個人に関する情報を取
得することで、当該個人の権利利益が害されるおそれがある場合には、法6条2項
により、部分開示ができないものと取り扱われることはいうまでもなく、このこと
によって当該個人の権利利益の保護に欠けるところはないと考えられる。
(2) 以下、上記の観点から、本件文書に記載された各欄について、個人を識別する
に足りるものであるか、また、個人を識別するに足りないとした場合に公にしても
個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるかについて検討する。
ア 「氏名」欄・「押印」欄
(ア) 本件文書中の氏名欄、そして押印欄のうち印影の氏名を表す部分について
は、法5条1号や法6条2項において例示されているもので、個人識別情報の最た
るものであるから、これが個人を識別するに足りるものであることは明らかといわ
ざるを得ない。
(イ) 他方、押印欄の記載中、印影のうち氏名を表す部分を除いたものについて
は、印影が存在することそのものは、職員が当該日に出勤したことをあらわすとい
う意味で有意な情報である(法6条1項ただし書参照)一方、当該情報のみによっ
て、当該個人を識別し得るものであるかについて疑問がある上、仮に識別が可能で
あるとしても、当該情報は職務の遂行にかかる情報であり、職務遂行の内容に係る
部分に該当し、法5条1号ただし書ハ所定の情報であるといわざるを得ない。(こ
の点、被告は、法は「職務遂行の内容」に係る部分と定めている以上、職務をした
か否かそのものについてはこれに当たらない旨の主張をするが、職務遂行の内容に
係る部分に限られているのは、職員の人事管理上保有する情報等の具体的な職務遂
行と直接の関連のない
情報を公開しないために定められたものであり、職務の内容に係る情報について説
明責任を全うする観点から公務員の氏名を除き職と職務遂行の内容について公開を
する旨を定めた本条の趣旨にかんがみれば、「職務遂行の内容に係る部分」を判断
するに当たっては、具体的な職務に関する情報のうち、その具体的内容に該当する
か、そうでない外延の部分かという観点で判断するのではなく、具体的な職務に関
する情報であるか、職務と直接の関係を有するのか否かによって判断すれば足りる
というべきであり、勤務を行ったか否かを表す情報も「職務遂行の内容に係る部
分」に該当するというべきである。)。
(ウ) 押印欄には、勤務をしていない日について、アスターリスクマーク、斜線、
休、欠勤1日、年休1日といった記載がされているが、これらの情報は、当該職員
が当該日時においては職員として従事していないことを示すにすぎず、そのような
記載のみから、前記の記載を当該アルバイト職員の私生活に関わる情報であると認
めることはできない。その上、前記のとおり、氏名にかかわる情報について開示が
されない前提で判断をすれば、どの日に休暇を取ったかによって一般人が特定の個
人を識別し得る情報であるともいい難いものである。そうすると、当該情報を公に
することにより当該個人の権利利益に支障が生じるのは、休暇の情報を知ることに
より、同僚等の個人を識別する可能性がある極めて限られた範囲の者が個人を識別
した場合であるが、
そのような範囲の者はそもそも当該個人の休暇等について認識をしていることが通
常であり、公にすることにより改めて当該個人に支障が生じるとは考え難い。した
がって、同欄については、法6条2項を適用すべきであるというべきである。
(エ) 被告は、押印欄に休暇に関する記載があり、印影と休暇に関する記載は不可
分一体であるから、押印欄の印影の氏名の部分のみをマスキングしても容易に区分
し得ない旨を述べるが、前記のとおり、本件においては、休暇の情報についても部
分開示をすべき義務を負うものであるから、被告の主張は、その前提において失当
といわざるを得ない。
イ 「所属」欄
 本件文書の所属欄には、総務課、管理部門、徴収部門等、当該アルバイト職員の
所属が記載されることとなるが、前記のとおり、氏名欄及び押印欄のうち印影の氏
名を表す部分を開示しないとした場合には、この所属の情報のみから当該アルバイ
ト職員個人が識別されるとは考えられない。被告は、アルバイト職員が各部門に1
名ないしごく少数であること、交通費の制限からアルバイト職員の募集の範囲がご
く限られて地域に限定されていること、アルバイト職員が常勤職員と一見して区別
できるようなIDカードをつけていること等から所属を開示することにより、他の
情報と照合することにより当該アルバイト職員の識別が可能である旨主張する。し
かし、本件文書は平成12年分の出勤簿であって、アルバイト職員の雇用期間が3
ヶ月以内とされてい
ることからすると、本件処分時はもとより本件開示請求時においては、本件文書に
記載されたアルバイト職員は改めて雇用されていない限り北沢税務署において勤務
していないし、そのものが現に勤務しているか否かについても一般人には知り得な
いことなのであるから、被告主張の方法でアルバイト職員の識別が可能なのは、税
務署職員や税務署に頻繁に出入りする者などに限られることとなる。そして、アル
バイト職員がどのくらいの人数雇用されているかや、アルバイト職員のIDカード
にピンク色の線が引かれていること等は一般人には知り得ない情報であり、前記
3(2)アの解釈によれば、これらを「その他の情報」として照合すべきではないので
あって、その場合に、所属を示すことのみから当該アルバイト職員を識別するのは
困難といわざるを得ず
、「所属」の情報は、特定の個人を識別することができる記述であるとは認められ
ない。そして、「所属」欄記載の情報が公にされても、特に当該個人の権利利益が
害されるとは認められず(前記のごく限られた者が当該アルバイト職員を識別する
可能性は否定し得ないが、そのような者は、当該部門に所属する職員が誰であるか
をもともと認識していると考えられ、公にすることにより個人の権利利益が害され
るとは認められない。)、所属欄は法6条2項を適用すべきものであると認められ
る。
ウ 「発令時間」、「勤務時間数の計算欄」の各欄
 発令時間欄には、当該アルバイト職員の勤務時間の開始と終了の時刻及び1日当
たりの勤務時間が記載されているところ、乙第14号証の陳述書及びそれに添付さ
れたアルバイト募集要項によれば、平成14年度においては20名が募集され、期
間により就業時間に差異があるものの、職員ごとに勤務時間が異なることはうかが
われず、勤務時間欄の記載のみから、当該アルバイト職員が識別されるとはいい難
い。被告は、部門欄の記述と照合することにより個人を識別することが可能である
旨の主張をするが、前記認定によれば、同一のアルバイト職員においても勤務時間
が変更される可能性が存するなど、発令時間に差異が生じるのは必ずしもアルバイ
ト職員が異なることによるものではないし、また、仮に被告の主張(第2、4(1)イ
d(c))によるとし
ても、前記イのとおり一般人には部門欄の記載により、個人を識別したり限定する
ことも困難なのであるから、部門の記載と照合したとしても、個人を識別すること
はできないと認められる。
 そして、勤務時間は、応募の段階で一般に公表されているのであって、同僚のア
ルバイト職員には、自ずと知られているものなのであるし、アルバイト職員は時間
給の仕組みが取られている以上、異なる発令時間が公にされたとしても、そのこと
によりアルバイト職員間で不公平感が生じたり、人間関係に悪影響が及ぶことはな
いし、私生活の様子が明らかになることなどもなく、そのような観点から、アルバ
イト職員の個人の権利利益が害されるとの被告の主張を採用することはできない。
 さらに、勤務時間数の計算欄は、前記の発令時間と実際の勤務時間数により算出
されるものであるが、一般人が特定のアルバイト職員の勤務時間数を知り得ること
はないのであり、その計算欄と他の了知可能な他の情報を照合することにより個人
を識別することはあり得ないし、この情報により個人を識別し得ると思われる範囲
の者は、そもそも当該職員のおよその勤務時間数も知り得るし、公開されている時
給から換算すれば、それにより得られる賃金も容易に了知できる者といえる(逆
に、それらを知り得ない者は個人を識別することが困難なのである。)から、この
情報を公にすることにより、新たに個人の権利利益が害されるおそれはない。
エ 「交通費」欄
 交通費欄の記載そのものから、一般人が当該アルバイト職員を識別するのは困難
であることは明らかであり、そのことは、アルバイト職員の交通費の上限が400
円であることを考慮しても変わりはない。すなわち、本件アルバイト職員の勤務地
の交通手段が限られたものであるならともかく、北沢税務署は、京王井の頭線東松
原駅、小田急線梅ヶ丘駅の経営主体の異なる複数の駅から徒歩で通勤することが可
能であり(乙14号証添付の募集要項参照)、また、両線とも近くに乗換駅が存す
る上、近隣に通学している学生が従事する可能性や、多少、交通費を自己負担して
も従事する可能性も否定し得ないのであるから、仮に400円が交通費の上限であ
るとしても、その金額のみから乗車先を特定するのは困難といわざるを得ない。よ
って、交通費欄の記
載により個人が識別されるというのは困難といわざるを得ない(被告は出勤日数等
の情報と照合することにより特定の個人が識別可能と指摘するが、そのような照合
による識別は、一般人には不可能であって、税務署職員等限られた者にしかできな
いのであるから、先に説示したとおり、そのような情報との照合を前提に個人の識
別の可否も論ずることはできない。)。そして、交通費が実費として支払われてい
るものであり、その金額も僅かなものであることからすると、このような情報が公
にされ、その受領者がごく限られた範囲のものに識別されたとしても、なんら当該
個人の権利利益が害されるおそれはなく、この欄の記載も法6条2項が適用される
べき情報である。
オ 「平成 年 月」、「日付」、「曜日」の各欄
 被告の主張するとおり、他の欄を公開しないことを前提にすれば、この欄は有意
な情報とはなり得ないが、前記アないしエのとおり、氏名欄等を除く少なからざる
部分については法6条2項を適用すべきであるのであって、それらの情報を組み合
わせることにより、上記各欄の記載も有意な情報となるから被告の主張は失当とい
わざるを得ない。
カ 「発令整理番号」欄
 発令整理番号については、はたして法5条1号本文の情報に該当するか否かにつ
き疑問がないでもないが、原告がこの部分の部分開示を求めない旨明言している以
上、法6条2項による部分開示義務を負うことはないものと判断せざるを得ない。
(3) 小括
 以上によれば、アルバイト出勤簿については、その氏名欄及び押印欄の印影のう
ち当該アルバイト職員の氏名を示した部分並びに発令整理番号部分については、被
告に部分開示義務がなく不開示とせざるを得ないが、その余の部分については法6
条2項及び1項の適用により、被告が部分開示を行う義務を負うものであるといえ
る。
第4 結論
 以上によれば、原告の各請求のうち、本件決定2のアルバイト出勤簿の氏名欄、
押印欄のうち印影中氏名を表示する部分及び発令整理番号の各欄を除く欄を不開示
とした部分については違法であるから、原告の請求をこの限度で認容し、その余の
請求はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事
件訴訟法7条、民事訴訟法61条、64条1項本文をそれぞれ適用して、主文のと
おり判決する。
東京地方裁判所民事第3部
裁判長裁判官   藤山雅行
   裁判官   廣澤 諭
   裁判官   加藤晴子

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残り応募人数(2019年5月1日現在)
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連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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71期修習生 72期修習生 求人
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ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
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