弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

       主   文
一 原判決中、控訴人らの訴訟提起に基づく保護変更決定処分取消請求に係る部分
を取り消す。
二 被控訴人福岡市東福祉事務所長が平成二年六月二八日に亡Aに対してした保護
変更決定処分を取り消す。
三 被控訴人福岡市東福祉事務所長に対するその余の控訴及びその余の被控訴人ら
に対する控訴をいずれも棄却する。
四 訴訟費用は、控訴人らと被控訴人福岡市東福祉事務所長との間においては、第
一、二審を通じて三分し、その二を控訴人らの、その余を同被控訴人の各負担と
し、控訴人らとその余の被控訴人らとの間においては、控訴費用を全部控訴人らの
負担とする。
       事実及び理由
第一 当事者の申立て
一 控訴人ら
1 原判決中、被控訴人福岡市東福祉事務所長(以下「被控訴人福祉事務所長」と
いう。)が平成二年六月二八日に亡Aに対してした保護変更決定処分取消請求に係
る部分を取り消す。右部分に係る事件を福岡地方裁判所に差し戻す。
2 原判決中、金銭の支払請求に係る部分を取り消す。
 被控訴人国及び同福岡市は、連帯して、控訴人Bに対して金七五万円、同Cに対
して一二五万円及びこれらに対する平成二年六月二八日から支払済みに至るまで年
五分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。
二 被控訴人ら
1 控訴人らの控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。
第二 事案の概要
一 本件は、生活保護を受給中に積み立てたいわゆる学資保険の満期保険金を収入
として認定され、生活保護費減額の変更処分を受けた被保護世帯の世帯主及び同一
世帯に属するその子ら(控訴人ら)が、右変更処分及びこれに先立ち市の生活保護
担当職員らが右学資保険の解約を慫慂するなどした行為が違憲、違法であると主張
し、処分庁である福祉事務所長に対して右変更処分の取消しを求めると共に、市及
び国に対して国家賠償法一条一項に基づき損害賠償(国家賠償)を求めた併合訴訟
の事案である。
二 争いのない事実等
1 当事者
(一) 控訴人ら
 一審原告A(昭和六年二月二四日生。以下「亡A」という。)は、その妻D(昭
和一七年二月一三日生。以下「亡D」という。)との間に、長男E(昭和四四年八
月一四日生)、長女控訴人B(昭和四七年一一月二一日生。以下「控訴人B」とい
う。)、二女控訴人C(昭和五一年一二月二七日生。以下「控訴人C」という。)
がいるが、昭和五〇年八月六日以降、被控訴人福岡市から右の者らを同一世帯とす
る生活保護費を受給してきたところ、亡Dは平成三年三月一〇日、亡Aは平成五年
一月二一日にそれぞれ死亡した。
 長男Eは昭和六〇年四月、控訴人Bは昭和六三年四月いずれも福岡市内にある同
じ私立の高等学校(以下「高校」と略称する。)に入学したのち、卒業したが、同
Cは平成四年四月福岡市内にある別の私立高校に入学したものの中途退学した。な
お、長男Eは、平成二年四月に高校卒業と同時に独立して右世帯から離れた。
(二) 被控訴人ら
(1) 被控訴人国は、日本国憲法及び生活保護法(以下「法」ともいう。)に基
づき、生活に困窮している住民に対し、その困窮の度合いに応じて必要な保護を行
い、被保護者の最低限度の生活を保障すると共に、その自立を助長すべき法律上の
責務を有する。
(2) 被控訴人福岡市は、国からの機関委任事務に基づき、生活保護の実施機関
である福岡市東福祉事務所を設置し、これを管理し、生活保護を実施すると共にそ
の費用を負担しているものである。
(3) 被控訴人福祉事務所長は、生活保護法による保護等を実施する福岡市の機
関である。
2 本件学資保険と本件変更処分
(一) 亡Aは、昭和五〇年八月六日、その世帯について生活保護法に基づく保護
の申請をした。これに対し、被控訴人福祉事務所長は、昭和五〇年九月二三日、右
申請日にさかのぼって保護開始の決定をし、以後、亡Aは、生活扶助及び住宅扶助
等を受けることとなり、後記の本件変更処分がされる直前の平成二年六月分の保護
費として合計一八万円余を受給していた。
(二) 亡Aは、昭和五一年六月一七日、控訴人Bを被保険者とする郵政省の保険
全期間払込一八歳満期学資保険(満期平成二年六月一六日、保険料月額三〇〇〇
円、満期保険金五〇万円。以下「本件学資保険」という。)に加入し、その後、本
件学資保険から貸付けを受ける一方、その返済をしていたが、平成二年六月一九
日、本件学資保険の満期保険金のうち、右貸付けに対する弁済金等を控除した残金
四四万九八〇七円(以下「本件返戻金」ともいう。)を受領した。
(三) 被控訴人福祉事務所長は、平成二年六月二八日、法四条一項及び同八条一
項に基づき、本件返戻金のうち四四万五八〇七円を収入認定した上、同年七月分か
ら同年一二月分までの保護受給額を月額九万五一七五円(ただし、同年七月分は九
万五一六八円)に減額する旨の本件変更処分をした。
(四) 亡Aは、本件変更処分を不服として、平成二年八月二一日福岡県知事に対
して審査請求をし、同三年二月二五日これが棄却されたため、同年三月二八日厚生
大臣に対して再審査請求をしたが、同年一〇月七日これも棄却された。
(五) 亡A及び控訴人らは、平成三年一二月二四日、被控訴人福祉事務所長に対
し、本件変更処分の取消しを求める本件訴訟を提起し、さらに、同四年三月二六
日、その余の被控訴人らに対し、国家賠償法一条一項に基づき損害賠償を求める本
件訴訟を提起した(両訴訟は併合審理)が、亡Aは、前記のとおり、原審訴訟係属
中の平成五年一月二一日に死亡した。
 なお、控訴人らは、控訴人ら自身としては本件変更処分について審査請求の申立
て等をしていない。
三 争点
1 本件変更処分の取消しを求める訴えの適否
(被控訴人福祉事務所長の主張)
 控訴人らは、亡Aと同一世帯に属する者として、本件変更処分の取消しを求める
利益(原告適格)を有するとしても、法六九条により、本件変更処分の取消しを訴
求するためにはこれに先立って本件変更処分について審査請求及びこれに対する裁
決を経ることを要するところ、控訴人らにおいて右審査請求等を経ていないから、
本件変更処分の取消しを求める訴えは不適法である。
 また、亡Aによる本件変更処分の取消請求訴訟は、生活保護法に基づく保護受給
権が、当該個人の一身専属の権利であって相続の対象にはなり得ないから、右訴訟
は、亡Aの死亡により終了し、控訴人らにおいてその訴訟上の地位を承継するいわ
れはない。
 よって、控訴人らによる本件変更処分の取消しを求める訴えは、不適法であって
却下を免れない。
(控訴人らの主張)
(一) 被保護世帯に属する者の保護変更処分の取消しを求める利益ないし当事者
適格
 法一〇条は、保護実施の原則として「世帯単位の原則」を採用しているが、同条
ただし書が、個人を単位として定めることができる旨規定していることなどからも
明らかなように、法は被保護世帯においては当該世帯を構成する者すべてを被保護
者としている。そして、被保護者が生活保護を受けるのは法的権利であって、保護
受給権というべきものである。したがって、本件世帯を構成する控訴人らも本件変
更処分の取消しを求める訴えの利益(原告適格)を有するものと解すべきである。
(二) 審査請求前置の要件の充足
 訴訟提起者自身が審査請求を経ていなくとも、第三者が審査請求を経ており、両
者が当該処分に対し一体的な利害関係を有し、実質的にみればその者のした審査請
求が同時に訴訟提起者のための審査請求でもあるということができるような特段の
事情のある場合には、処分庁(行政庁)としても、再考の機会や争点の整理を行う
等の機会が与えられ、審査請求前置の趣旨は尽くされているものということができ
るから、当該訴訟提起は審査請求を経たものと同視して適法と解すべきである。
 控訴人らは、亡Aの子であり、同人の死亡するまで同人と同一の世帯を構成し、
その世帯を単位として支給された生活保護により生活を共にし、本件変更処分の影
響を直接受ける立場にあった者であって、亡Aと一体的な利害関係にあるものとい
うことができる。また、亡Aは、自ら本件変更処分について適法に審査請求をした
が、これは本件変更処分の名宛人である同人が、世帯を構成する家族全員のために
いわば世帯を代表して行ったものであって、実質的にみれば、同時に控訴人らのた
めの審査請求ともいうことができるから、右審査請求には、前記特段の事情がある
ものというべきである。
 よって、控訴人らにより本件変更処分の取消しを求める本件訴訟は、法六九条の
審査請求前置の要件を充足するものとして適法である。
(三) 亡Aの地位の承継
 本件変更処分が取り消されれば、被控訴人国は、従来の支給額との差額の支払を
免れ、法律上の原因なくして不当に利得したこととなり、かつ、被控訴人福祉事務
所長を通じて亡Aに対して変更前の支給額を支給すべく拘束を受けることとなる。
したがって、被控訴人国は、亡Aにその利得を返還しなければならず、これを亡A
の側からいえば、同人は、右金額について不当利得返還請求権を有することにな
る。この権利の相続性は否定することができないのであって、控訴人らは、亡Aの
右不当利得返還請求権を相続することになるが、控訴人らがこの請求権を行使する
ためには、本件変更処分が取り消されることが当然の前提となるものであるから、
右の権利を相続した控訴人らは、本件変更処分の取消しによって回復すべき法律上
の利益(相続人において将来その相続に係る権利又は法律関係を訴求するために訴
訟を継続していく利益)を有するものというべきであり、訴訟を承継すべき適格を
有する。
 もっとも、相続人が被保護者たる地位にない場合には、前記不当利得返還請求権
等の相続を否定されることがあり得るとしても、控訴人らは、前記(二)のとお
り、亡Aの死亡の前後を通じて亡Aと同一の世帯に属する保護受給権者であるか
ら、右相続、したがって、亡Aの訴訟上の地位の承継を否定されるべきいわれはな
いものというべきである。
(四) 結論
 以上、いずれの点からみても、控訴人らによる本件変更処分の取消しを求める訴
えは、適法というべきである。
2 本件変更処分等の適否ないし合憲性等
(控訴人らの主張)
(一) 本件学資保険は、本件世帯が控訴人らの高校修学の費用に充てる目的で、
保護費等を原資として蓄えたものであって、このような預貯金等は、後記のいわゆ
る補足性の原理の対象とはならず、これを収入認定した上で既に決定された生活保
護費を減額する処分は、憲法二五条が保障する生存権の具体化であり権利として確
定した保護受給権を否定するもので、法五六条の正当な理由があるものとはいえ
ず、違憲、違法である。
(二) 補足性の原理の解釈適用
 被控訴人福祉事務所長は、本件変更処分の前提として、法四条一項及び八条一項
に基づき、本件学資保険の満期保険金を亡Aの世帯(以下「本件世帯」という。)
の収入として認定したが、本件学資保険は、本件世帯が、控訴人ら亡Aの子弟の高
校修学の費用に充てるため、支給された保護費及び既に収入認定を受けた収入(以
下「保護費等」ともいう。)を節約して捻出した金員をその掛け金(保険料)とし
て積み立てたものであって、本件学資保険の満期保険金は、法四条一項の本件世帯
の最低限度の生活維持のために活用すべき「資産、能力その他あらゆるもの」(以
下「四条一項の資産等」という。)又は同八条一項所定の要保護者の「金銭又は物
品」(以下「八条一項の金銭等」という。)に当たらない。
(1) すべて国民は、憲法一三条により、幸福追求の権利に由来するものとし
て、自己決定権を保障されているが、生活保護受給者といえども例外ではなく、ど
のような生活を送るかは個人の自由にゆだねられている。そして、憲法二五条の具
体化としての生活保護法は、すべての国民に対し、最低限度の生活を保障すると共
に、その自立の助長をその目的として掲げている(法一条)が、自立助長すなわち
被保護者の自主独立の内在的可能性の助長育成が図られることによって最低限度の
生活保障も実質化されるものであって、両者は、人間の尊厳の原理に根ざす憲法二
五条の生存権保障の理念の実現を図るという目的との関連の中で統一的に理解され
るべきものである。したがって、最低限度の生活を保障するものとして支給される
保護費について、これをどのように使用するかは、支給の趣旨目的に反するもので
ない限り、原則として、受給権者の自由にゆだねられているというべきであり、実
際にも、生活を切り詰めることにより、最低限度の生活を維持しながら、保護費等
の一部を貯蓄にまわすことも可能である(特に、勤労収入がある場合には、基礎控
除や特別控除等の勤労控除の制度により、それだけやりくりの幅が広がる。)。ま
た、被保護世帯の子弟の高校修学は、子どもの教育を受ける権利および親の子ども
を教育する自由ないし責務として、憲法二六条によって保障されているが、さらに
子どもの自立ひいては被保護世帯の自立助長に役立つものであるから、子どもの高
校修学の費用に充てるため、保護費等を節約して学資保険として貯蓄することは、
生活保護法の目的にもかなうものである。
(2) ところで、法四条一項は、保護の要件として、「保護は、生活に困窮する
者が、その利用し得る資産、能力その他のあらゆるものを、その最低限度の生活の
維持のために活用することを要件として行われる」旨、いわゆる保護の補足性の原
理について定め、さらに、これを承けて、法八条一項は、「保護は、厚生大臣の定
める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物
品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする」旨規定して
いる。
 しかしながら、右各規定は、資本主義制度の下における公的扶助を支える自己責
任の原則を一般的に規定したものであるところ、保護費等を原資とする預貯金は、
被保護者自らの資産等ではなく、国が最低生活費として保有を認めたものが形を変
えたものであり、他面、最低限度の生活といっても、それぞれの世帯によって異な
る多様性のあるものであるから、右各規定も、要保護者の保有するすべての資産等
を最低限度の生活のために使い切った上でなければ保護が許されないとするもので
はなく、その文言からもうかがわれるように、多様な最低限度の生活維持のために
活用できる資産等をそれに適した仕方で活用することを要求するものであり、ま
た、それで足りるとする趣旨に解するのが相当である。
(3) そうすると、被保護者がその子弟の高校修学の費用に充てる目的のため保
護費等を原資として蓄えた学資保険等の預貯金は、その積立ての経緯や目的に照ら
し、四条一項の資産等や八条一項の金銭等には当たらないものというべきであり、
そのように解しないと、生活を切り詰めて保護費の一部を貯蓄に回した被保護者の
意思を無に帰せしめ、生活保護法一条に違反しひいては憲法が保障する被保護者の
自己決定権(憲法一三条)、教育を受ける権利(憲法二六条)及び生存権(憲法二
五条)を侵害することとなる。
(三) 裁量権の逸脱・濫用
 仮に、本件学資保険の満期保険金が法四条一項の資産等や八条一項の金銭等に当
たるとしても、被控訴人福祉事務所長が本件学資保険の満期保険金を収入認定した
上でした本件変更処分は、裁量権の逸脱・濫用に当たり、違憲、違法である。
 すなわち、
(1) 本来、保護費等を原資とする金融資産については、前記(二)のとおり、
法四条一項や八条一項の収入認定の対象となる資産等に当たるかどうかについて疑
義がある一方、保護行政実務上も、例えば耐久消費財等の購入費用に充てる目的で
預貯金等をする場合のように、被保護者が保護費を節約し、これを貯蓄に回すこと
は、単にこれが容認されているにとどまらず、被保護世帯の自立助長に役立つもの
として奨励されているところであり、また、自立助長に適する場合には、資産等の
保有を認め、例えば他から得られる恵与金等や保護費をもって保険料の支払に充て
た生命保険等についてもこれを収入認定の対象としない扱いがされている。
(2) ところで、中卒者の大部分が高校に進学しており、したがって、高卒以上
の学歴を有することが一般的である現在の就職状況の下においては、被保護世帯に
とっても、子どもの高校進学は、憲法二六条が保障する教育を受ける権利にかかわ
る問題であるにとどまらず、前記の生存権の保障としての生活保護法の目的である
被保護世帯の自立助長のためにも極めて重要な意味を有するものであるところ、本
件世帯は、世帯主である亡A及び亡Dが病弱であって将来的にもその十分な就労が
見込まれないため、世帯の自立更生のためにも子どもの高校修学が不可欠であっ
て、自らもそのように認識し、控訴人らを含む三人の子どもの高校修学を強く希望
していた世帯である。このような世帯に対する保護の実施機関のケース処遇のあり
方としては、世帯自らがその子どもらの高校修学費用を準備できるよう配慮し、援
助すべきものであり、実際上もそうしているのが一般的である。
(3) 高校修学費用は、保護実務上も保護の対象とされていない一方、奨学金等
の制度によっては、これをまかなうのに限界があるところ、亡A及び亡Dは、控訴
人らの高校修学の費用に充てる目的で、本件学資保険に加入したものであるが、持
病の疾患を抱え、必ずしも満足に働くことができる健康状態ではなかったにもかか
わらず、これを押して働く一方、日々の生活を切り詰めることによって最低限度の
生活を維持しながら、国から支給される保護費の一部や収入認定された右勤労収入
(なお、勤労収入については、収入認定に際し、就労に伴う経費等として、基礎控
除や特別控除等の勤労控除が認められ、勤労収入がない場合に比して、それだけ手
取額が増えるため、生活をやりくりする幅が広がることになる。)を本件学資保険
の保険料の支払に充ててきたものである(その金額も月々わずか三〇〇〇円にすぎ
ない。)。
(4) 以上の諸点に照らすと、本件学資保険の満期保険金を収入認定した上でし
た本件変更処分は、本件世帯がその自立更生のために一般に容認されている方法に
よって行った努力の成果を無に帰せしめるものであって、本件世帯にとって極めて
酷なものであると共に実務の運用にも違背しており、裁量権の逸脱・濫用として、
違憲、違法というべきである。
(被控訴人らの主張)
 本件変更処分は、法二五条二項に基づき、本件返戻金を本件世帯の収入として認
定した上、被控訴人福祉事務所長の裁量により従前の保護費の額を減額するもので
あるが、本件学資保険の満期保険金は、右収入認定の対象となるべき四条一項の資
産等ないし八条一項の金銭等に当たり、また、国が定めた運用基準にも合致してお
り、本件変更処分には、法五六条の正当な理由がある。
(一) 補足性の原理の解釈適用
(1) 生活保護法は、生活に困窮するすべての国民に対し、最低限度の生活を保
障すると共に、その自立の助長を図ることを目的としている。そして、最低限度の
生活は、健康で文化的な生活水準を維持するものでなければならないところ、その
内容それ自体、価値評価を含む抽象概念であり、時代とともに変化する国民の一般
的な生活水準、国民感情等、種々の要素を総合考慮して決すべきものであるところ
から、その具体化は、厚生大臣の裁量判断にゆだねられ、法も、最低限度の生活を
維持するための保護は、厚生大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基
とすべきものとし(八条一項)、その基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成
別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の
需要を満たすに十分なものであって、かつ、これをこえないものでなければならな
いとしている(八条二項)。しかし、同時に、資本主義の下における社会保障制度
としての公的扶助制度は、補足的な役割を果たすものであるから、法は、保護は、
生活に困窮するものが、その利用し得る資産、能力その他のあらゆるものを最低限
度の生活の維持のために活用することを要件として行われる旨いわゆる保護の補足
性の原則について定める(四条一項)と共に、具体的に、保護は、要保護者の金銭
又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする旨規定
している(八条一項)。さらに、法九条がいわゆる必要即応の原則について規定
し、保護は、要保護者の年齢、性別、健康状態等その他個人又は世帯の実際の相異
を考慮して、有効適切に行うものとするとしていることなどに照らすと、法八条一
項にいう「金銭又は物品」には、その取得の経緯や要保護者の意図等のいかんを問
わず、要保護者において現に保有する一切の資産や金銭等が含まれるものと解する
のが相当である。
(2) これを、控訴人らが主張するように、子弟の高校修学の費用に充てるため
に保護費等を原資として蓄えた預貯金等を、四条一項の資産等や八条一項の金銭等
に当たらないものと解すると、次のような不都合な点が生じる。
 すなわち、① 保護費等によって金融資産を形成すると、その間、被保護者は、
最低限度の生活を下回る生活を余儀なくされるが、これを容認することは、被保護
者が保護を受けながら最低限度の生活を下回る生活を送ることを認めることにな
り、また、いったん最低限度の生活を下回る生活を送った以上もはやこれを回復す
る余地はないから、最低限度の生活を保障する法の趣旨に反する結果となる。② 
保護費等によって形成された金融資産は、その原資の性質からすると、それまでに
下回った最低生活の回復あるいは維持のために活用すべきであるということができ
ても、これを最低限度の生活に含まれない子弟の高校修学の費用に充てることを認
める根拠とはなり得ない。③ 新たに生活保護を受けようとする世帯に高校修学を
予定している子弟がおり、学資保険等の金融資産を蓄財している場合には、その活
用が求められ、その保有を継続することが許されないことと均衡を失し、法二条の
無差別平等の原則に反する。④ 仮に新たに生活保護を受けようとする世帯との均
衡を図るため、金融資産の保有目的を考慮すべきこととすると、その目的どおりに
使用されたかどうかその使途についても問題になるところ、保護の実施機関にとっ
ては、前者の保有目的いかんを識別すること自体に困難が伴う上、金融資産の使途
が限定されていない以上、後者の使途の識別については一層の困難が伴うこととな
り、不都合である。
(二) 補足性の原理の適用の例外と実施機関の裁量
(1) 前記(一)のとおり、要保護者が保有し、又は取得するすべての資産ない
し収入が補足性の原理の対象となる資産ないし金銭等に当たるものと解した上、こ
れをすべて最低限度の生活維持のために活用すべきものとすると、その資産の処分
のためにかえって費用がかかったり、また、要保護者に当該資産等を取得させた者
の意図やその目的に反するなど、最低限度の生活の保障と共に被保護者の自立助長
を図ることとしている法の趣旨目的や社会通念に照らして、相当でない場合が生ず
る。そこで、補足性の原理の適用については、その例外を認めざるを得ないが、そ
の判断は、前記のとおり、厚生大臣の裁量判断にゆだねられている最低限度の生活
との均衡を図る必要があると共に、右自立助長や社会通念という観念それ自体が一
義的に明確であるとはいえないものであるところから、保護の決定及び実施に当た
る行政庁の裁量判断にゆだねられているものと解するのが相当である。そして、右
行政庁の裁量判断に当たっては、保護を無差別平等に行うために、し意を防止し
て、全国的な統一を確保する必要があるから、国は、厚生事務次官通達によりその
裁量基準を定め(昭和三六年四月一日付け発社第一二三号各都道府県知事指定都市
市長宛厚生事務次官通達「生活保護法による保護の実施要領について」。以下、
「次官通達」という。)、一定の資産について最低限度の生活のために活用しない
場合(次官通達第3の1ないし5)や一定の収入についてこれを収入として認定し
ない場合(収入認定除外。同第7の3の(3))を定めている。しかしながら、特
例的に認められるこれらの補足性の原理の例外の場合は、要保護者の資産や収入に
ついて、これを最低限度の生活保持のために活用しないことないし収入認定除外す
ることが、自立助長に役立つ場合であるか、又はそうすることが、社会通念から要
請される場合に限られており、また、そのいずれの場合も、これらの資産や収入を
最低限度の生活維持のために活用しなくとも、要保護者の生活が最低限度の生活を
下回るものではないこと、すなわち最低限度の生活が確保されていることが、その
前提となっているのであって、これらのことは、右例外の場合が認められる趣旨に
照らしてむしろ当然のことといえる。
(2) 他方、学資保険は、貯蓄性が強く、その保有目的も限定されていないとこ
ろから、一般の金融資産に当たるものというべきであるが、金融資産は、その保有
自体が最低限度の生活維持あるいは自立助長に役立つものとはいえず、その保有目
的が限定されない上、最低限度の生活維持のために活用することが容易である。加
えて、これが特に保護費又は収入認定された収入を原資として形成されたものであ
る場合には、その形成に際し、被保護者が最低限度の生活を下回る生活を余儀なく
されたことになるのであるから、社会通念に照らしても妥当を欠くことになる。右
いずれの見地からみても、金融資産、したがって、学資保険もまた、前記例外が認
められる場合に当たるものとはいえない。
 なお、次官通達を受けて規定された課長通達(昭和三八年四月一日付け社保第三
四号各都道府県、指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局保護課長通達)第
3の問11によると、一定の要件を満たす場合には、被保護者が生命保険を保有す
ることを認めている。しかし、これは、生命保険が、学資保険等とは異なり、資産
形成としての性格を持つものではなく、世帯主の死亡等の危険対策としての意味を
持つことから、その保有を健康で文化的な最低限度の生活の内容として容認してい
るにすぎず、したがって、生命保険であっても、危険対策としての意味を持たない
場合、例えば、被保護者が任意にこれを解約した場合の解約返戻金や、満期保険金
については、全額収入認定するか、又は法六三条に基づく返還を求める扱いがされ
ているのであって、学資保険をこれと同視することはできない。
(3) 仮に、本件学資保険が、控訴人らの高校修学費用に充てる目的で加入し、
積み立てられたものであっても(そうでないことは、後記(四)に主張するとおり
である。)、生活保護法上、義務教育費とは異なり、高校修学費が生活保護の対象
となっていないことからも明らかなように、高校修学は最低限度の生活の内容とな
っていないから、右目的を理由に保護を実施する上で、一般の金融資産と異なる扱
いをすることはできない。もとより、子弟の高校修学は、被保護世帯の自立助長の
ために役立つものであり、そのため、生活保護行政の運用上も、最大限の配慮を
し、社会の実情に相応するように数次にわたって次官通達等を改正する一方、高校
修学者についていわゆる世帯内修学を認めてその生活費を保護の対象とすると共
に、高校修学のための他からの恵与金等を収入認定除外にするなどの扱いをしてい
る。しかしながら、高校修学は、最低限度の生活の内容をなすものではないのであ
るから、それ以上有利な扱いすることは許されず、まして、生活保護制度の上で最
も優先すべき最低限度の生活維持を犠牲にして、最低限度の生活に含まれない目的
のために保護費ないし収入認定された収入を蓄えるということは社会通念に照らし
ても是認できるものではない。
(4) 以上のとおり、本件学資保険及びその満期保険金は、次官通達が、補足性
の原理の適用除外の場合として認める場合に当たらないところ、次官通達には何ら
不合理な点はなく、その裁量基準は合理的であって、これに従って行われた本件変
更処分も、裁量権の逸脱・濫用はなく、適法である。
(三) 本件学資保険の原資について
 本件世帯は、本件学資保険に加入した昭和五一年六月ころには、他に簡易保険
(保険料一〇八〇円。ただし、生活保護を受給するに際して保有することが容認さ
れていた。)及び住友生命保険の養老保険(同一八七〇円)を保有しており、さら
に、昭和五四年三月二日には、福祉事務所に無断で千代田生命の生命保険(同一万
二五一五円)に加入した。その結果、本件世帯が負担すべき月々の保険料は合計一
万八四六五円にのぼっているが、これは、本件世帯が右資産を保有していることを
意味すると共に、他に右保険料に充てるための収入があったことを推認させるもの
である。
 そして、本件世帯は、昭和五六年一一月二〇日から平成二年九月二〇日までの間
に、本件学資保険の満期保険金以外に本件学資保険及び前記生命保険からの貸付
金、解約返戻金、生存給付金及び入院給付金として合計一八一万四九六五円(右満
期保険金を受け取った平成二年六月一六日までに一七三万六六八五円)を受け取っ
ており、このうち住友生命保険の解約返戻金七二万二六三四円を除く一〇九万二三
三一円については、いずれも、被控訴人福祉事務所長に収入申告がされておらず、
これについては収入認定の対象とされていない。
 右事実によれば、本件学資保険は、保護費又は収入認定がされた収入のみを原資
とするものということはできないから、本件変更処分を違法とする控訴人らの主張
は、その前提事実を欠くものであって、失当である。
(四) 本件学資保険保有の目的について
 ①本件学資保険は、控訴人Bを被保険者とし、同控訴人が一八歳になる年の保険
加入の日に対応する日に満期保険金が支給される一八年満期のものであるところ、
満期保険金が支給される時点では既に同控訴人の高校修学期間は残りわずかであ
り、他方、控訴人Cにおいては、中学二年生であって高校進学までにまだ間がある
こと、②亡Dは、担当のケースワーカーに対し、本件学資保険の満期保険金のう
ち、約一五万円を生活費に使い、残金約三〇万円については控訴人Bの就職の支度
費に充てる意向を表明していたこと、③本件変更処分前には、亡D及び亡Aからケ
ースワーカー等に対して控訴人らの高校修学費用を調達するために本件学資保険を
保有する旨の届出がされていないことからすると、本件学資保険は、控訴人らの高
校修学費用に充てることを目的とするものではないものというべきである。
 したがって、本件学資保険が控訴人らの高校進学費用に充てる目的で加入された
ことを前提に、本件変更処分の違法をいう控訴人らの主張も失当である。
3 被控訴人市及び同国の責任並びに控訴人らの損害
(控訴人らの主張)
(一) 被控訴人福祉事務所長の本件変更処分は、違法であり、少なくとも重大な
過失によるものということができるところ、被控訴人国は、生活保護に関する事務
の帰属主体であり、また、被控訴人福岡市は、東福祉事務所を設置・管理し、その
費用を負担しているものであるから、同被控訴人らは、被控訴人福祉事務所長がそ
の故意、少なくとも重過失により控訴人らに対してした本件不法行為につき国家賠
償法に基づき連帯して責任を負うものである。
(二) 亡A及び控訴人らは、本件変更処分により、生活を切り詰め、節約を重ね
てきた努力を無にされ、また、控訴人Cの高校進学の費用を準備するために従来に
もまして生活を切り詰めざるを得ない事態となり、「最低限度」の生活以下の生活
を強いられ、著しい精神的苦痛を被った。特に控訴人Cは、高校受験を前に高校進
学の夢を奪われかねない事態となり、耐え難い精神的苦痛を被った。
 これらの、精神的苦痛をあえて金銭的に評価すれば、亡A及び控訴人Bは、それ
ぞれ五〇万円、同Cは一〇〇万円の損害を被ったものというべきである。
 なお、控訴人らは、亡Aの死亡により、その被控訴人国及び同福岡市に対して有
する損害賠償請求債権を各二分の一の割合により相続した。
(被控訴人福岡市及び同国の主張)
(一) 仮に、本件変更処分が違法であるとしても、被控訴人福祉事務所長がその
違法性を認識していたと認めることは到底できず、また、本件変更処分についての
裁量権の逸脱・濫用があったとしても、同被控訴人にとってそのことが容易に理解
することが可能であったということはできないから、その違法性を予見すべきであ
ったということもできず、過失があるものとはいえない。
 また、被控訴人福岡市に対する請求については、生活保護に関する事務の帰属主
体は被控訴人国であり、被控訴人福祉事務所長は機関委任事務としてこれを取り扱
っているにすぎないから、被控訴人福岡市においてその責任を負うべきものではな
く、同請求は失当である。
(二) 本件変更処分は、被控訴人らが主張する事実関係の下にされたものであ
り、控訴人らに慰謝されるべき精神的苦痛が発生した事実はない。
第三 証拠
 証拠関係は、原審及び当審記録中の各証拠関係目録記載のとおりであるから、こ
れを引用する。
第四 当裁判所の判断
一 争点1(本件変更処分の取消しを求める訴えの適否)について
1 訴えの利益(原告適格)について
 生活困窮者は、すべて、国から保護を受ける権利(保護受給権)を有するが、生
活保護は、原則として、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとされて
おり(法一〇条)、具体的な保護ないしその変更処分も、被保護世帯の各構成員に
対して個別にされるものではなく、世帯主を名宛人として行われることとされてい
る。しかしながら、これは、一般的に、被保護世帯の構成員が、世帯主と共同生活
を営み、生計を共にするところから、生活の資となる保護費の支給など保護を決
定、実施する上においても、世帯を単位として扱うのが相当かつ便宜であることに
よるものである(甲七二号証)。したがって、被保護世帯の構成員も、生活困窮者
である以上、それ自体保護受給権を有するものであって、右規定もこれを否定する
ものではないと解すべきである。結局、世帯主は、当該世帯ないしその構成員のい
わば代表として、当該処分等の名宛人となるものということができる。しかして、
右処分等の効果は、その名宛人である世帯主にとどまらず、世帯の構成員全体に及
ぶから、世帯主はもとより、それ以外の構成員も、その取消しを訴求する利益ない
し原告適格を有するものと解するのが相当である。そうすると、亡Aの世帯に属し
た控訴人らは、本件変更処分について、その取消しを訴求する原告適格を有するも
のというべきである(当事者間に争いがない。)。
2 訴訟承継ないし審査請求前置の要件の充足
(一) ところで、保護受給権は、被保護者自身の最低限度の生活を維持するため
に与えられた一身専属の権利であって、他にこれを譲渡することも(法五九条)、
相続の対象とすることもできず、また、被保護者の生存中の扶助ですでに遅滞にあ
るものの給付を求める権利も、同様であって、当該被保護者の死亡により当然に消
滅し、相続の対象とはなり得ないものである(最高裁昭和三九年(行ツ)第一四号
同四二年五月二四日大法廷判決・民集二一巻五号一〇四三頁参照)。しかしなが
ら、世帯単位でされる生活保護においては、前記1のとおり、被保護世帯の構成員
が、それぞれ、保護受給権を有し、保護変更処分等を争う適格を有する一方で、右
保護変更処分等の効果は、世帯全体ないしその各構成員全体に等しく及び、世帯主
は、被保護世帯ないしは保護受給権者のいわば代表として当該処分の名宛人となる
ものである以上、これに対する不服の申立てについても、世帯を代表してこれを行
うことができ、また、その構成員が現に各別に不服の申立て等を行っているのでな
い限り、原則として、名宛人である世帯主が行った不服の申立て等は、当該世帯な
いしその各構成員を代表して行ったものとして、その効果は世帯構成員全体に及ぶ
ものと解するのが相当である。
(二) そうすると、保護変更処分の取消請求訴訟を提起した世帯主が訴訟係属中
に死亡しても、これにより直ちに訴訟は終了せず、右世帯主によって代表された他
の受給権者がこれを承継する(すなわち、世帯主によって代表され潜在化していた
他の構成員の地位が顕在化することになる)ことができるものというべきである。
また、保護変更処分の取消請求訴訟を提起するには、その前提として、当該処分に
ついての審査請求についての裁決を経ることを要する(審査請求前置主義、法六九
条)ところ、右と同様の理由により、世帯主がした審査請求及びこれに対する裁決
の効果は、各構成員に及ぶから、世帯主が右裁決を経ている以上、他の受給権者で
ある世帯構成員も、いわゆる審査請求前置の要件を充足するものというべきである
(なお、審査請求前置主義の制度は、行政処分に不服のある者に、裁判所に出訴す
る前にまず当該行政処分の当否についてこれを是正すべき権限のある行政庁に対し
て再考の機会を与え、その処分を是正させ、これによって行政訴訟の提起を不必要
ならしめようとするものであるが、世帯を単位とする保護ないし保護受給権の前記
性質に照らすと、世帯主が審査請求前置の要件を充足する以上、他の受給権者の関
係でも、その目的は達しているものというべきである。)。
3 結論
 以上から、前記「第二 事案の概要」中、「二 争いのない事実等」の欄に判示
のとおり、控訴人らが提起した本件変更処分の取消しを求める訴えは、控訴人ら自
身としては審査請求の申立てをしておらず、したがって審査請求前置の要件を満た
していないものの、世帯主である亡Aにおいて審査請求前置の要件を満たしている
のであるから、適法ということができる。なお、亡Aも、控訴人らと共に本件変更
処分の取消しを求める訴えを提起しているが、右のとおり、控訴人らにおいて、併
合訴訟として、同内容の本件変更処分の取消しを求める訴えを提起している以上、
亡Aによる右訴訟提起は、被控訴人らを代表するものではなく、自らの保護受給権
の行使としてのみこれを提起したものであって、控訴人らによって訴訟承継すべき
理由もその利益もないから、原審における亡Aの死亡により、終了したものという
べきである。
二 争点2(本件変更処分等の適否ないし合憲性等)について
1 本件変更処分は、被控訴人福祉事務所長が、法二五条二項に基づいて行った従
前の保護費の額を減額する不利益変更処分であるが、このように、既に決定された
保護を不利益に変更する処分をするについては、法五六条によって、正当な理由が
なければならないとされているところ、本件変更処分は、その前提として、法四条
一項ないし八条一項に基づいて本件学資保険ないしその満期保険金を本件世帯の収
入として認定したことによるものである。
 ところで、法は、生活保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力
その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件と
して行われる(四条一項)として、いわゆる補足性の原理について定め、その具体
化として、保護は、厚生大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基と
し、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度に
おいて行うものとしている(八条一項)。この補足性の原理は、国が国民に対して
保障する最低限度の生活及び自立の助長という生活保護法の目的(一条)、保護の
無差別平等の原理(二条)及び健康で文化的な生活水準の維持を内容とする最低生
活の原理(三条)と共に、生活保護法の基本原理とされている(五条)が、これ
は、保護実施の要件に関するものであるところ、保護は、要保護者の年齢別、性
別、健康状態等その個人又は世帯の必要の相違を考慮して有効かつ適切に行うべき
(九条)であって、保護を開始する場合はもとより、これを維持継続する場合にも
妥当するものというべきである。したがって、既に保護を受けている被保護者が新
たに資産や収入を得た場合も、法八条一項に基づき被保護者の収入として認定し、
それに応じて保護費を減額するが許されることは当然のことであり、このような変
更処分には、法五六条の正当な理由があるものというべきである。
 しかしながら、法が、五六条により、あえて被保護者についてこれに対する不利
益変更の禁止を定めた趣旨からすると、被保護者に対し補足性の原理を理由に保護
費の減額処分をすることができるためには、法四条ないし八条にいう資産や収入の
存在が積極的に認められる場合であることを要し、保護実施機関としては、右規定
に該当するかどうかも含めてその立証責任を負うものというべきである。そこで、
本件変更処分の適否は、被控訴人福祉事務所長が、本件学資保険の満期保険金を法
四条一項にいう資産等や八条一項にいう金銭等に当たるとして、同条に基づいてこ
れを収入認定したことの適否いかんにかかることになる。
2 控訴人らは、本件において、本件学資保険は、亡Aが、とりわけ控訴人らの高
校修学費用に充てる目的で、本件世帯に支給された保護費(扶助費)ないし収入認
定された収入を節約して積み立てたものである旨主張するものであるところから、
まず、そのようなものとしての本件学資保険ないしその満期保険金が、法四条一項
の資産等ないし八条一項の金銭等に当たるかどうかについて判断する。
(一) この点について、被控訴人らは、学資保険を含む預貯金等の金融資産が保
護費等を原資とするものであっても、いったん預貯金等として積み立てられた以
上、保護費等としての性格を失い、一般の金融資産と何ら変わるところがない上、
保護は、その時々の要保護者の保護の要否、程度のいかんに基づいて決すべきもの
であり、法四条及び八条も、金融資産の原資いかんや積立ての目的等を格別区別、
考慮することなく、要保護者の利用し得る資産等及び金銭等のすべてをまず最低限
度の生活を維持するために活用すべきものとしているところから、本件学資保険な
いしその満期保険金も、これらの資産等ないし金銭等に当たり、最低限度の生活維
持に充てるべく、いわゆる収入認定の対象になる旨主張する。
 しかし、本来、保護費や収入認定された収入は、国によって、被保護者の最低限
度の生活を維持するために活用すべきものとして支給され、又は保有が認められた
ものである以上、これを原資とする預貯金は通常存在することはあり得ず、したが
って、法四条及び八条の規定の適用に関しても、直接的には、このような預貯金の
存在を前提とすることはできないものというべきである。また、法四条一項は、そ
の文言上も、保護の前提として、要保護者が「その利用し得る」資産等を、その最
低限度の生活を維持するために「活用する」ことを要件としているのであって、要
保護者の保有し、又は取得するすべての資産、又は収入等を最低限度の生活に充て
ることを絶対的な要件とするものではない上、これら資産等を充てるべき対象も、
法三条によると健康で文化的な生活水準を維持することができるような生活でなけ
ればならないのである。そして、当該資産等が要保護者の利用し得るものに当たる
かどうか、また、これをいかにすれば健康で文化的な生活水準を維持するために活
用することができるか等といったことは、その主体である要保護者との関係におい
て相対的に決まる事項であるから、右資産等に当たるかどうかも、単にその客観的
な性質による一義的に決まるものではなく、それと共に、その資産が形成されるに
至った経緯やその目的、さらには客観的にうかがわれる要保護者の意思等をも総合
的に考慮して決すべき問題というべきである。
 もとより、被控訴人らが主張するように、要保護者の保有する資産等が法四条一
項にいう資産等に当たる場合に、実際にこれを最低限度の生活を営むために活用さ
せるべきかどうか、すなわち収入認定すべきかどうかは、保護政策と絡む問題であ
って、その決定は、基本的には、これを実施する国ないし保護実施機関の裁量に属
するということができるが、その前提としての当該資産が収入認定の対象としての
資産等に当たるかどうかはやはりこれとは区別されるべき法律解釈に係る問題とい
わざるを得ない。
 ところで、いったん収入認定された収入や支給された保護費は、最低限度の生活
を維持するために用いることが前提となっており、保護実施機関がそれ自体を再度
の収入認定の対象とすることは許されず、したがって、法四条一項の資産等や、八
条一項の金銭等に当たらないものというべきであるが、例えば、生活扶助費は、原
則として一か月を限度として前渡されることとされているため(三一条二項)、右
期間経過後は時の経過と共に、このような保護費としての性格が希薄になり、ま
た、これを貯蓄することによっても、同様の面のあることを否定することができな
い。しかしながら、法も、保護費等を一定の期間内に使い切ることまでは要求して
おらず、被保護者が、使用を留保した保護費等をその支給の趣旨目的に沿う目的を
設定して貯蓄した場合には、これによって、なお、保護費等としての性格を失うも
のではないと解すべきである。
 もっとも、前記のとおり、生活保護は、要保護者がその利用し得る資産等を最低
限度の生活維持のために活用することを要件として行われ(四条一項)、その程度
も、その者の金銭等によっては、最低限度の生活を満たすことのできない不足分を
補う程度において行うもの(八条一、二項)とされているほか、七つの保護の種類
やそれぞれについて保護の対象となる事項が定められている(一一条ないし一八
条)上、実施機関において、要保護者の資産状態等の調査を行うことができる(二
八条)ほか、被保護者の生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導、指
示をすることができ(二七条一項)、被保護者はこれに従わなければならず(六二
条一項後段)、これに違反した場合には、保護の変更、停止又は廃止を受けるもの
(六二条三項)とされている。そこで、被保護者が、最低限度の生活を維持するた
めに使用すべきものとして支給された保護費等を預貯金等として蓄積することが許
されるかどうかが問題となる。しかしながら、法四条及び八条は、国が保護を実施
する上での国に対する行為規範であり、保護の内容も、医療扶助の場合を除き使途
が限定されない金銭の給付を原則とするものである(三〇条ないし三七条)とこ
ろ、金銭は価値そのものであってその占有の移転と共に所有権が移転し、直ちに被
保護者においてこれを自由に処分し得る状態となる。のみならず、憲法二五条の生
存権保障を具体化するものとしての生活保護制度は、被保護者に人間の尊厳にふさ
わしい生活を保障することを目的としているものであるところ、人間の尊厳にふさ
わしい生活の根本は、人が自らの生き方ないし生活を自ら決するところにあるので
あるから、被保護者は収入認定された収入はもとより、支給された保護費について
も、最低限度の生活保障及び自立助長といった生活保護法の目的から逸脱しない限
り、これを自由に使用することができるものというべきである。そうである以上、
しかも、実際の生活にも幅があり、支出の節約を図り最低限度の生活を維持しなが
ら保護費等の一部を貯蓄に回すことが可能である(法六〇条は、被保護者は、常
に、能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り、その他生活の維持向上に努めな
ければならないとする。)ことをも考慮すると、被保護者において、支給された保
護費等を直ちに費消せず、将来の使用に備えてその一部を貯蓄に回すことも、それ
が国ないし保護実施機関によって最低限度の生活維持のために使用すべきものとし
て支給ないし保有が認められたものであるとの一事をもって、許されないものと速
断することはできない。
 本来、保護費が被保護者においてその時々の最低限度の生活維持のために使うべ
きものであるという観点からみると、これを蓄えた預貯金等は、被保護者がその最
低限度の生活を犠牲にした努力の結果という面を有すると共に、それは被保護者が
右犠牲を払ってまでも達成しようとした将来の目的に対する価値評価の高さないし
その実現に向けた意欲の大きさの現れとみることができるから、保護の実施機関
が、このような預貯金を収入認定の対象とすることは、被保護者からいったん下回
った最低限度の生活を回復すべき機会を失わせ、右犠牲による成果を無に帰せしめ
ると共に、被保護者の価値評価を否定するものであって、被保護者に対して過酷な
ものといわざるを得ないところ、右収入認定は、このような性質を不可避的に内包
するものである。
 そして、そもそも、法が、補足性の原理について定め、これを保護実施の要件と
したのは、公的扶助といえども、資本主義制度下での社会保障制度にあっては、ま
ず自らの責任において事態に対処すべしとする自己責任の原則がその基礎にあるか
らであり、また、保護を実施する上において、財政的な裏付けが不可欠であるとこ
ろから、一般の国民感情をも考慮する必要があるからであるが、被保護者が支給さ
れた保護費等をいったん貯蓄した上でこれを自立更生のために使用しても、これに
よって国や保護実施機関に対して新たな経済的負担を求めるものではない以上、自
己責任の原則に反するものでないのはもとより、国民感情の観点からみても、これ
を排斥すべきいわれはないのである。
 以上の諸点をかれこれ勘案すると、保護費等を原資とする預貯金は、その貯蓄の
目的や態様(金額を含む。)等に照らして、要保護者の最低限度の生活の保障とそ
の自立助長を図ることを目的とする生活保護法の趣旨目的を逸脱するようなもので
はなく、かつ、一般の国民感情に照らしても違和感を覚えるようなものでない限
り、収入認定の対象となるべき被保護者の資産等には当たらないものというべきで
ある。
 なお、被保護者が保有する預貯金等の金融資産は、そのものとしては、収入認定
の対象となる資産等に当たるとしても、これが保護受給中に貯蓄されたものである
場合は、その原資についてこれが他からの収入によることが明確であるなどの事情
が認められない限り、事実上、保護費ないし収入認定された収入を原資とするもの
と推定すべきである。
(二) そこで、被保護世帯がその子弟の高校修学の費用に充てるため、いわゆる
学資保険等として、保護費等を節約して積み立てることが、前記目的に反するもの
であるかどうかについて判断する。
(1) 生活保護法上、被保護世帯の子弟の義務教育に伴う費用は、教育扶助とし
て保護の対象とされている(一一条一項二号、一三条)が、高校修学に要する費用
は、保護の対象とされておらず、したがって、高校修学は、最低限度の生活に含ま
れるものではないというべきである(この点、当事者間に争いがない。)。これ
は、法が、義務教育については、親に子どもを修学させる義務を負わせると共に授
業料は徴収しないこととし(憲法二六条二項、教育基本法四条)、また、学齢児の
就業を原則として禁止している(労働基準法五六条)のに対し、高校教育について
は、その修学者が稼働年齢に達していることとも対応するものである。
 ところで、中学校卒業者の高校進学率は、年々上昇の傾向にあり、その全国平均
は、生活保護法が制定された昭和二五年度に四二・五パーセントであったものが、
後記のいわゆる世帯内修学が認められた昭和三六年度には六二・三パーセント、亡
Aが本件学資保険に加入した昭和五一年度には九二・六パーセント、亡Aの長男E
が高校に入学した昭和六〇年度には九三・八パーセント、本件処分がされた平成二
年度には九四・四パーセントにそれぞれ達し、また、福岡市内における高校の高校
進学率も、現在、九五パーセントを超える状況にある(甲三〇、八四号証、乙一一
号証、原審における証人F、同G)。
 右進学率の変化に対応して、被保護世帯の子弟の高校修学についての行政実務の
運用については変遷がみられる。すなわち、当初は、子弟(修学者)の生計を当該
保護世帯から分離するいわゆる世帯分離によって高校修学を容認する方法がとられ
たため、教育費(高校修学の費用)だけでなく修学者の生活費も保護の対象となら
ず、高校に修学するためには、自ら又は他からの援助によってこれらの費用をまか
なうことができる場合に限られた。その後、高校修学が被保護世帯の自立助長に資
するとの観点から、昭和三六年以降、世帯内修学、すなわち子弟が被保護世帯と生
計を共にし、したがって、生活費等について保護を受けながら高校修学を認める運
用がされるようになり、その対象となる学校の範囲も順次拡大されていった結果、
昭和四五年にはすべての高校について、さらに昭和五一年には高校に準ずる各種学
校についてそれぞれ世帯内修学が一般的に認められるようになった。また、教育費
調達先の要件も緩和され、修学費用に充てる目的で他から修学者に対して恵与され
た収入等については、これを最低限度の生活を維持すべき収入として扱わない旨の
収入認定除外の運用がされるようになったため、子どもの稼働能力を活用しなくと
も、被保護世帯の子弟が高校に進学することができる余地が広がった(甲七二、七
三、七八、八三号証、乙一、二、八、一〇、一六号証、原審における証人H、同
G)。
 しかし、高校修学のためには、学費等の学校教育費のほか、制服制帽等の購入費
や通学費などの間接的な経費を要する(これらの経費が生活保護の対象とされてい
ないことはいうまでもない。)上、入学に際しては、受験料、入学申込金、施設費
及びその他の校納金等のまとまった金員を要し、特に私立高校に修学する場合に
は、その金額も多額であるところ、これらの費用に充てるため各種の奨学金や貸付
金の制度を利用するにしても、その対象者が成績優秀者に限られていたり、借受け
について保証人を要するなどその要件が厳格であるほか、金額の点でも、また、貸
付け時期の点でも、一般の被保護世帯が、これらの制度を活用することによってそ
の子弟を高校に修学させるのは、事実上、困難な状況にある(甲三一、三二、三
五、三六、三八号証、四〇ないし四三号証、四四号証の3、4、七八、八三、八
五、一〇三、一〇九、一一三、一一四号証、乙一一号証、原審における証人F、同
G)。
 なお、控訴人Bの高校修学に要した費用は、入学時に、受験料、入学申込金、施
設費及び諸費用(制服代、教科書代、体操服代等)約二五万円であり、入学後年額
四二万四三二〇円(授業料、生徒会費、交友会費、後援会費、家庭科実習費、修学
旅行積立金及び交通費)であった(乙一三号証、弁論の全趣旨)。
(2) もとより、生活保護制度の中において子どもの高校修学をどのように位置
付けるかは、子どもの教育を受ける権利及びこれと対応関係にある親の子どもに対
する教育を受けさせる義務や、子どもの稼働能力の活用等の問題とも密接に関連す
るが、前記(1)の高校進学率の推移等に照らすと、高校修学は、現行の生活保護
制度が発足した当時に比してその社会的な意味合いが変容し、いまや、一般的な家
庭における生活の一部を構成しているということができるのみならず、このように
高水準の高校進学率は、とりもなおさず、就職する子どもの学歴が高校卒業以上で
あるのが一般的であることを意味し、子どもの高校修学は、前記行政実務の運用の
変遷からもうかがわれるように、子どもの自立ひいては当該被保護世帯の自立助長
にも深くかかわるものであることが明らかである。そして、高校修学費用について
の手当てが、現行の奨学金等の制度によっては必ずしも十分でないこと前記のとお
りであるとすれば、被保護世帯としては、それ以外の何らかの手段を自ら講ずるほ
かなく、子弟の高校修学の費用に充てるため、保護費等を節約して、これを学資保
険等の預貯金として蓄えることは、要保護者(被保護世帯)の最低限度の生活保障
とその自立助長を目的とする生活保護法の趣旨目的から決して逸脱するものではな
いものというべきである。
3 本件学資保険及びその満期保険金の原資について
(一) 証拠(甲一号証の1ないし3、二ないし六号証、六一号証の1ないし6
2、六二号証、六三号証の1ないし24、六四号証の1ないし17、六五号証の1
ないし177、六六号証、六七号証の1ないし6、六八、七〇号証、一一〇号証の
1、2、一一五号証の1ないし3、一一六号証の1、2、一二六、一四三号証、乙
一七号証、一八号証の1、2、一九号証、原審における証人F、同控訴人C、原審
及び当審における控訴人B)及び弁論の全趣旨によると、以下の事実が認められ
る。
(1) 控訴人らの父である亡A(昭和六年二月二四日生)は、昭和四三年五月二
二日、妻亡D(昭和一七年二月一三日生)と婚姻し、同四四年八月一四日長男E、
同四七年一一月二一日長女控訴人B、同五一年一二月二七日控訴人Cを儲けた。亡
Aは、原審訴訟係属中の平成五年一月二一日死亡し、亡Dも、平成三年二月ころ後
記持病の貧血により外出中に倒れ、敗血症のため、同年三月一〇日、死亡した。
 E及び控訴人らは、それぞれ、地元の小中学校を卒業後、Eにおいては昭和六〇
年四月、控訴人Bにおいては昭和六三年四月、いずれも福岡市内にある同じ私立高
校に進学したが、Eは、二年留年して平成二年三月に高校卒業と同時に就職して同
年四月一日付けで本件世帯から転出し、控訴人Bは、平成三年三月高校卒業後、亡
Dの死亡のため内定していた他県での就職を断念して、福岡市内で就職した。ま
た、控訴人Cは、平成四年四月に福岡市内の私立高校に進学したが、平成五年六
月、右高校を中途退学し、以降、福岡市内で就職して稼働している。
(2)亡Aは、築造されたコンクリート製建築物等の型枠をはずしたあとの出張り
等を剥がしとっていく「はつり」を主な仕事とする日雇職人であったが、常時補聴
器を必要とするほどの難聴の障害を抱えてたため(そのため障害者手帳の交付を受
けていた。)賃金が安く、建築現場等を回る仕事のため就労の機会が安定しなかっ
た上、糖尿病や肝臓病の持病により入退院を繰り返していたこともあって、その収
入は限られたものであった。なお、亡Aは、右疾患のほか、突然病的に眠り込んで
しまう原因不明の疾患にもかかっていた。
 また、亡Dも、貧血、神経性胃炎、慢性気管支炎等の持病を抱えていたが、控訴
人らが幼小のころは、食料品店でパートで働いたり、内職の仕事(一個当たり三五
〇円のこんぶ結び)などをしたものの、勤務中貧血で倒れるなど、病弱で就労でき
る状態にはなかった。
(3) 亡Aは、昭和五〇年六月、前記突然病的に眠り込んでしまう原因不明の疾
患が原因で、バイクを運転中交通事故に遭い、その際に負った傷害の後遺症の影響
や折からの不況のため職を失い、収入を得ることができなくなったため、同年八月
六日、生活保護受給の申請をしたところ、被控訴人福祉事務所長は、同年九月二三
日、本件世帯について右申請日にさかのぼって保護開始の決定をした。本件世帯
は、それ以降、生活扶助や住宅扶助のほか、Eや控訴人らの義務教育期間中は教育
扶助について生活保護を受けることとなった(ただし、昭和五〇年八月分は医療扶
助のみ受給した。)が、亡Aは、保護受給後も、ある程度体調が回復すると仕事に
復帰したものの、仕事の効率も悪く従来の収入額を得るまでには至らなかった。亡
A及び亡Dらは、それぞれ得た収入については所定の手続に従って申告をし、収入
認定を受けたが、こうして収入認定された本件世帯の収入は、亡Aの就労によるも
のとわずかな亡Dの内職等によるもののほかは、児童扶養手当及び亡Aの交通事故
による慰謝料の一部と福祉事務所の指示によって保護開始当初から昭和五四年四月
まで姉夫婦によって交付された月額五〇〇〇円の援助等があるにとどまった。
 なお、福祉事務所が算定した本件世帯の基準額は、例えば平成元年四月一日認定
分が合計二三万六一二〇円(生活扶助費二二万二〇四〇円、住宅扶助費九九〇〇
円、教育扶助費四一八〇円)であるところ、就労収入は九万七五〇〇円であるがそ
のうち二万二九四〇円が就労に伴う基礎控除として除外されたため、収入認定され
た収入は七万四五六〇円であり、結局、右基準額からこれを控除した合計一六万一
五六〇円(うち生活扶助費一四万七四八〇円)が保護費として支給された。
(4) 本件世帯の生活実態
 本件世帯が被保護世帯となって以降、亡Aの就労による収入は原則として同人が
管理する一方、支給された生活扶助費等は、全額、亡Dがこれを受け取って生活費
等に充て、不足する分を亡Aに請求した。亡Dは、家計簿をつけて収入の計画的な
支出に心がけ、月初めに保護費が支給されると、まず、これから水道光熱費等の公
共料金、教育費、米代及び本件学資保険の掛け金等に充てる金額を区分して確保し
た上、残金を食料品や衣料品等の購入費等に充てた。そして、食料品や衣料品等の
購入に当たっても、安売り店やスーパー等を利用し、また、知人と共同で安い品物
を購入して分け合うなど節約に努めた。本件世帯の生活は、極めて質素であり、子
どもらを遊びに連れて行くなど一般家庭にみられるような楽しみの機会も少なかっ
た。
 しかし、特に、亡Dは、その中学校時代、貧困のため修学旅行にも参加すること
ができなかったなど到底恵まれたとはいえない学校生活を送った自らの経験から、
自分の子どもには不自由をさせたくないとの思いが強く、E及び控訴人らの修学に
は特に意を用い、これに必要な支出を惜しまず、また、子ども育成会やPTAの活
動にもむしろ積極的に参加した。
(5) 本件学資保険の加入等
 亡Aは、長男Eが小学校に入学した年の昭和五一年六月一七日、三歳の控訴人B
のため、本件学資保険(契約者亡A、被保険者控訴人B、受取人亡D、満期保険金
五〇万円、保険料月額三〇〇〇円、名称簡易保険全期間払込み一八歳満期学資保
険)に加入した。当時、控訴人Cは生まれておらず、同年一二月二七日に出生し
た。また、亡Aは、亡Dと婚姻する前の昭和四二年六月二日、住友生命保険(満期
平成九年六月一日、満期保険料五〇万円、死亡保険金一〇〇万円、保険料当初月額
一九〇〇円、昭和六二年四月以降一八七〇円)に加入していたほか、控訴人Bが小
学校に入学した年の昭和五四年三月二日、自らの病弱を案じ、千代田生命保険(被
保険者亡A、受取人亡D、普通死亡保障額一〇〇〇万円、基本保険金額一〇〇万
円、六〇歳に達するまでの保険料月額一万二五一五円)に加入した。なお、千代田
生命保険に加入した当時の亡Aは、平均して一か月一五日以上にわたって就労し、
これによる収入が比較的多かったため、収入認定された収入や支給された保護費以
外に就労に伴う経費として認められた基礎控除や特別控除による金額も少なくな
く、その金額だけでも、本件学資保険やその他の生命保険の保険料をまかなうこと
が可能な状況であった。
 なお、亡Aは、本件生活保護受給の申請の際、前記住友生命保険のほかさらに一
口の生命保険に加入している旨の届出をしているが、その詳細は不明である。
(6) 本件学資保険等を担保とする借受け等
 本件世帯は、子どもらが成長するにつれて、出費もかさむようになり、亡Aは、
長男Eが高校に、また、控訴人Bが中学にそれぞれ進学した昭和六〇年四月以降、
E及び控訴人Bの高校進学費用に充てるため、本件学資保険及び前記各生命保険を
担保に金員を借り受けるなどした。すなわち、亡Aは、昭和六〇年五月二日千代田
生命保険から一八万六一〇〇円、同年六月二五日住友生命保険から九万九八〇〇
円、本件学資保険から昭和六三年三月七日二〇万円、同月一四日一〇万三一五一
円、同月三〇日住友生命保険から一〇万円をそれぞれ借り受け、昭和六三年七月一
八日、控訴人Bの高校進学(昭和六三年四月入学)に伴うお祝い一時金として本件
学資保険から五万円の支給を受けた。なお、亡Aは、昭和五六年一一月ころ、再び
交通事故に遭い、千代田生命保険から、入院給付金として、同年一一月二〇日二三
万円、同五七年三月二四日四万五〇〇〇円の支払を受けた。
 ところで、本件学資保険及び前記千代田生命保険への加入は、亡Aが被控訴人福
祉事務所長に無届けで行ったものであるところ、平成元年一〇月ころこれが同被控
訴人の知るところとなり(ただし、本件学資保険の保有が発覚したのは、同二年一
月のことである。)、亡Aは、福祉事務所から、亡Aにとって有利な千代田生命保
険のみを残し、住友生命保険及び本件学資保険を解約するよう指導指示を受けた。
そこで、亡Aは、結局、住友生命保険を解約し、平成二年四月九日ころ、その解約
返戻金七二万二六三四円を受領した。また、亡Dは、同年六月二九日、本件学資保
険の満期が到来したため、その受取人として、その満期保険金等から前記借受金残
金等を控除した四四万九八〇七円の本件返戻金の支払を受けた。
(二) 以上に認定事実、とりわけ、亡A及び亡Dが病気を抱え十分な労働能力を
有しなかったこと、本件世帯が生活保護を受給するようになってからも、亡Aらは
就労したが、その就労収入等については所定の手続により逐一申告していること、
本件世帯の質素な生活実態、亡Dの子どもらの高校修学に対するかねてからの希望
やその対応、他方で、特に亡Aの勤労収入に対する基礎控除や特別控除等の勤労控
除により、本件学資保険やその他の保険の保険料を捻出することが可能であったこ
と等の事情を勘案すると、本件世帯は生活保護を受けるようになって以降、専ら収
入認定された収入(勤労控除の金額を含む)及び生活保護費のみを生活の資とした
ものであり、本件学資保険の保険料もこれを原資とするものと認めるのが相当であ
る。
 この点、被控訴人らは、亡Aにおいて前記各保険から多額の借入れをしており、
このような収入も本件学資保険の保険料に充てられたものであるなどとして、本件
学資保険ないしその満期保険金は、保護費等を原資とするものではない旨主張す
る。確かに、亡Aに被控訴人ら主張の借入れがあったことは、前記認定のとおりで
あるが、これらの借入れがそのまま本件学資保険の保険料の支払に充てられたこと
を認めるに足りる的確な証拠がない上、これらの借入れが月々の保険料の納付を前
提に将来支払われるべき保険金を担保としたものであることが明らかであり、ま
た、そのいずれも融資であってその返済を要するものであるところ、右保険料の納
付に加えて右返済金の支払が、収入認定された収入及び支給された生活保護費をも
って充てられたものである(他に格別の収入があったことを認めるに足りる証拠は
ない。)以上、右借入金の一部が本件学資保険の保険料の支払に充てられたとして
も、全体として、本件学資保険ないしその満期保険金は、右収入認定された収入及
び支給された生活保護費を原資とするものということができるのであって、前記認
定判断を左右するものではない。
4 本件学資保険加入の目的等について
(一) いわゆる学資保険は、郵政省を事業主体とし、子どもを被保険者、親を契
約者とする養老保険の一種であって、加入年齢は、子ども零歳から一二歳、親二〇
歳から五〇歳、保険金額は五〇万円から七〇〇万円までであり、種類として一五歳
満期コースと一八歳満期コースに分かれ、一八歳満期コースでは子どもの一五歳の
高校入学時に、保険金の一割に当たる生存保険金(お祝い金)が支払われる仕組み
になっている。子どもの死亡や第一級後遺障害に対しては、それぞれ死亡保険金や
重度障害保険金が支払われるが、親の死亡等に対してはその後の保険料の支払が免
除されるにとどまり、満期には満期保険金と配当金が支払われ、これを子どもの進
学費用に充てることになる。したがって、学資保険は、親の万一の場合に備えなが
ら子どもの保障と教育費を準備することを目的とするものであり、他の子ども保険
等と比較すると、親に対する保障性よりも、貯蓄性を重視した保険とされている。
(甲五三号証、弁論の全趣旨)
 ところで、本件学資保険は、亡Aが、昭和五一年六月一七日、控訴人Bの三歳の
時に同人を被保険者として加入した一八歳満期の学資保険であり、その高校入学時
の昭和六三年七月にお祝い一時金(生存保険金)として五万円の給付を受けている
ほか、その入学直前の本件学資保険を担保に金員を借り受けていること、その加入
は、長男Eの小学校入学直後のことであるのみならず、その時点で、既に亡Dが控
訴人C(同年一二月二七日生)を懐妊し、その出産を約半年後に控えていたこと、
特に亡Dは自らが不遇な学校生活を送ったため、生活を切り詰めて節約し、控訴人
ら子どもの修学(特に高校進学)を最優先に考えていたこと、控訴人らは、高校卒
業又は高校中退後いずれも就職し、さらに上級の学校には進学していないこと前記
認定のとおりであって、これらの事実に、前記のとおり、一般に学資保険が貯蓄性
のある養老保険の一種ではあっても、その本来の目的が子どもの教育費を準備する
ことにある上、本件学資保険は控訴人Bにおいて一八歳すなわち高校三年生になっ
た年に満期保険金が支給されるものである一方、控訴人Cも中学卒業を控えていた
こと、さらに原審における証人Fの証言及び同控訴人らの供述を併せて考慮する
と、本件学資保険は、被保険者である控訴人Bにとどまらず同Cの高校修学の費用
に充てることをも目的として加入したものと認めるのが相当である。
 なお、被控訴人らは、① 本件学資保険の満期保険金の支払時期が、控訴人Bに
おいては高校三年生の時であってその高校修学のためには遅すぎる一方、同Cにお
いては中学二年生であってその高校修学のためには早すぎること、② 現に亡Aら
は支給された本件学資保険の満期保険金のうち一五万円を生活費に充てたほか、残
金についても控訴人Bの就職の支度金に充てる意向を有していたこと、③ 本件変
更処分以前に亡A等からケースワーカーに対して控訴人らの高校修学費用を調達す
るために本件学資保険を保有する旨の申出がされていないことなどを理由として、
本件学資保険は、控訴人らの高校修学費用に充てることを目的として加入されたも
のではない旨主張する。しかし、①の点については、確かに、控訴人B及び同Cを
それぞれ被保険者とする一五年満期の学資保険に加入すれば、その各満期保険金を
それぞれの高校修学の費用に充てることができ、その目的を達成するのに効果的で
あったということができる。しかし、そのためには、二倍の保険料を要するとこ
ろ、本件世帯は、自立更生のため三人の子どもを高校に進学させることを最優先に
考えながら、生活保護費等を節約することによってしかその資金を捻出できる経済
力がなく、一家の支えとなるべき亡A及び亡Dが病弱等のため就労ができず、将来
にわたってもこのような状態が続くことが懸念された世帯であったことは前判示の
とおりである。そうであれば、世帯主である亡Aが、少ない資金をより効果的に生
かすため、当時三歳の控訴人Bを被保険者として、毎月の保険料の最も少ない(し
たがって、満期保険金額の最も少ない)一八年満期の本件学資保険に加入し、これ
を同控訴人の高校修学のために活用する(現に、亡Aは、控訴人Bの高校入学に際
して、本件学資保険からお祝い金の支給を受けているほか、これを担保に借入れを
している。)一方、併せて、約半年後に生まれてくる控訴人Cの高校修学のために
もその満期保険金を活用することを考えることは合理的かつ当然のことであって、
本件世帯もそのように考えたものと推認することができる。また、②の点について
は、現実の生活は、予算を計画どおり取り崩すことによって営まれるものでなく、
足らざるところを補い合い、相互に融通しながら成り立っているのが通常であるか
ら、本件世帯が控訴人らの高校修学費用に充てる計画を立てていた本件学資保険の
満期保険金を生活費等に流用しても、これによって、本件学資保険積立ての目的が
変容を来すものではない。なお、③の点は、単なる一事情にすぎず、本件学資保険
加入の目的が高校修学費用に充てるためであったことを否定する根拠とはならな
い。よって、本件学資保険加入の目的についての被控訴人らの主張は失当である。
(二) 以上からすると、本件学資保険ないしその満期保険金は、その積立ての目
的及び経緯はもとより、その月々の保険料の額及び満期保険金の額も、現に控訴人
Bの高校修学のために要した費用の額との対比によっても、一般の国民感情に照ら
して違和感を覚えるようなものであるとは到底いえない。
5 結論
 よって、本件学資保険の満期保険金は、収入認定の対象となるべき収入ないし資
産等に当たらないものというべきところ、これを当たるものとして従前の保護費を
減額した本件変更処分は、法五六条にいう正当な理由があるものとはいえず、違法
であって、取消しを免れない。
三 争点3(被控訴人市及び同国の責任並びに控訴人らの損害)について
 国や地方公共団体の公権力の行使に当たる公務員が職務を行うについて違法に他
人に損害を加えた場合であっても、国や地方公共団体が損害賠償の責(国家賠償責
任)を負うためには、当該公務員について故意又は過失があることを要する(国家
賠償法一条)ところ、本件変更処分のように、公務員が積極的に公権力の行使とし
ての行政処分を行う場合、通常、これにより私人の権利利益を侵害することになる
から、権利の侵害の結果を予見しただけでは右故意、過失があったものとはいえ
ず、これが違法であることを認識し、又は認識することが可能であったことをも要
すると解すべきである。そこで、被控訴人福祉事務所長が本件変更処分をするにつ
き、これが違法であることを認識し、又は認識することが可能であったかどうかに
ついて判断する。
 本件変更処分は、被控訴人福祉事務所長が、同国の同福岡市に対する機関委任事
務の実施機関として、次官通達等国の定めた裁量基準に基づいて行ったものである
が、証拠(甲七一ないし七三号証、七六、七九、九〇、一三二、一三五号証、乙一
ないし三号証、九号証の1、2、一〇、一四、一五、二四、二五号証、原審におけ
る証人H、同G)及び弁論の全趣旨によると、次官通達には、補足性の原理の適用
の例外として、一定の資産について最低限度の生活維持のために活用することを求
めない場合(次官通達第3の1ないし5)や一定の収入についてこれを収入として
認定しない場合(収入認定除外。同第7の3の(3))を定めているところ、預貯
金等のいわゆる金融資産は、このような例外的な場合に含まれておらず、また、こ
れら例外的な扱いの対象となる資産ないし収入について、その原資が保護費等であ
るかどうかによる区別をしていないこと、次官通達は、昭和三六年四月一日に発せ
られたものであるが、それ以降、保護の実施機関は、この次官通達に依拠して保護
を実施してきており、保護費ないし収入認定された収入を原資とする預貯金等であ
っても、これを収入認定除外しないのが従前の一般的な実務の運用であることが認
められ、この認定に反する原審における証人Fの証言並びに当審における証人Iの
証言及びその供述書(甲一二七号証)は、前掲各証拠や次官通達の内容及びその性
質に照らしてにわかに採用することができない。そして、このような補足性の原理
の適用についての次官通達、したがって、実務の運用は、被控訴人らの主張するよ
うに、法四条一項の資産等や八条一項の金銭等の解釈として、要保護者が保有し、
又は取得する一切の財産及び収入がこれに含まれ、その原資によって区別されるも
のではないとの見解に立つものであることはいうまでもないが、証拠(甲五六、五
七、七六号証)及び弁論の全趣旨によると、本件変更処分後である平成五年四月二
三日、保護費を原資とする預貯金を収入認定した上で保護費を減額した保護変更処
分について被保護者がその取消しを求めた訴訟(秋田地方裁判所平成二年(行ウ)
第一号保護変更処分取消等請求事件)において、その請求を認容する判決が言い渡
され、これが確定したものの、それまでは、右行政解釈を否定するような司法判断
等がされることもなかったことが認められる。
 以上の行政解釈や、その具体化としての実務の運用及びその推移等に加えて、本
来、要保護者の最低限度の生活維持のために使用すべきものとして支給される保護
費等を被保護者が預貯金等として蓄えることを認容べきものとすることは、要保護
者の最低限度の生活保障をその責務とする国ないし保護実施機関に対し、難きを強
いる面のあることをも併せて考慮すると、被控訴人福祉事務所長が、本件変更処分
を行うに当たって、本件学資保険の満期保険金が収入認定の対象となる収入等に当
たるとした上、具体的にも収入認定除外の対象にならないと判断したことは無理か
らぬものであって、本件変更処分が違法であることを認識することが可能であった
ということもできない。
 よって、被控訴人福祉事務所長において、本件変更処分を行うにつき故意又は過
失があったものと認めることはできないから、控訴人らの損害賠償(国家賠償)請
求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。
四 以上の次第で、控訴人らの請求のうち、被控訴人福祉事務所長に対する本件変
更処分の取消請求は理由がある(ただし、亡Aの訴訟提起に基づく本件変更処分の
取消請求については、亡Aの死亡により、訴訟が終了した。)が、その余の被控訴
人らに対する損害賠償請求はいずれも理由がないところ、原判決中、控訴人らが提
起した本件変更処分の取消請求に係る訴えを却下した部分は失当であるからこれを
取り消すとともに、原審において、その実体審理が尽くされ、右損害賠償請求との
関連で実質上その実体判断が示されているとみることができるから、事件を原審に
差し戻すことなく、当審において本件変更処分を取り消し、原判決その余の部分は
相当であって、被控訴人福祉事務所長に対するその余の控訴(訴訟終了宣言に係る
もの)及びその余の被控訴人らに対する控訴はいずれも理由がないから棄却するこ
ととし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法七条、民訴法六七条、六五条、
六四条、六一条の各規定を適用して、主文のとおり判決する。
(平成九年一二月五日 口頭弁論終結)
福岡高等裁判所第二民事部
裁判長裁判官 山口忍
裁判官 西謙二
裁判官宮良允通は転補につき署名捺印することができない。
裁判長裁判官 山口忍

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛