弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人秋山泰雄、同小池貞夫の上告理由について
 一 上告人の本訴請求は、上告人の支部組合であるA労働組合昭和瑞穂支部がか
ねてD郵便局長から掲示物の掲示の一括許可(以下「本件許可」という。)を受け
て、その掲示場所として指定された同郵便局庁舎内の国の設置にかかる本件掲示板
を組合活動のための掲示物の掲示に専用してきたところ、D郵便局長が違法に本件
許可を撤回して本件掲示板を撤去したとして、被上告人に対し、本件掲示板が設置
されていたのと同一の場所にそれと同一規格の掲示板を設置してこれを上告人に使
用させるべきこと(以下「本件原状回復請求」という。)及び債務不履行若しくは
不法行為又は国家賠償法一条一項の規定に基づく損害賠償の請求をするものである。
そして、郵政省庁舎管理規程(昭和四〇年一一月二〇日公達第七六号。以下「庁舎
管理規程」という。)二条は、各郵便局庁舎の庁舎管理者を当該各郵便局長とする
ものと定め、同規程六条は、庁舎管理者は庁舎等において広告物等の掲示等をさせ
てはならないものとするとともに、庁舎等における秩序維持等に支障がないと認め
る場合に限り、場所を指定してこれを許可することができるものとしているところ、
原審が適法に確定した事実関係によれば、本件許可はD郵便局長が右規程六条の規
定に基づいてしたものであることが明らかである。
 二 そこで、本件許可の性質について考えるのに、庁舎管理規程は、郵政省に属
する行政機関の遂行する事業及び行政事務の用に供される土地、庁舎等における秩
序の維持等を図るため、庁舎管理権に基づく右土地、庁舎等の取締りに関し必要な
事項を定めたものであつて(一条)、同規程四条以下の庁舎等における諸行為の規
制に関する規定も専らその趣旨で設けられたものであること、他方、右土地及び庁
舎についての国有財産法一八条三項の規定によるいわゆる行政財産の目的外使用の
許可については、別に、郵政事業特別会計規程(昭和四六年三月一七日公達第一〇
号)第一一編四条において、許可権者、許可の要件、その手続等に関する規定が設
けられていること等に照らすと、庁舎管理規程六条に定める庁舎管理者による庁舎
等における広告物等の掲示の許可は、専ら庁舎等における広告物等の掲示等の方法
によつてする情報、意見等の伝達、表明等の一般的禁止を特定の場合について解除
するという意味及び効果を有する処分であつて、右許可の結果許可を受けた者にお
いて右のような伝達、表明等の行為のために指定された場所を使用することができ
ることとなるとしても、それは、その者が許可によつて禁止を解除され、当該行為
をする自由を回復した結果にすぎず、右許可自体は、許可を受けた者に対し、右行
為のために当該場所を使用するなんらかの公法上又は私法上の権利を設定、付与す
る意味ないし効果を帯有するものではなく(したがつて、使用の対価を徴すること
などは、全く予定されていない。)、もとより国有財産法一八条三項にいう行政財
産の目的外使用の許可にも当たらないと解するのが相当である。そうすると、D郵
便局長が庁舎管理規程六条の規定に基づいてした本件許可によつては、上告人は本
件掲示板ないし庁舎壁面についての使用権ないし利用権を取得するものではないか
ら、上告人の本訴請求のうち、かかる権利を有することを前提とする本件原状回復
請求及び右権利に対応する債務の不履行を理由とする損害賠償請求は、いずれも理
由がないというべきである。
 また、D郵便局長が本件許可を撤回し又は本件掲示板を撤去するに至つた経緯及
び事情についての所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照
らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。そして、庁
舎管理規程六条の定める許可の制度の先にみたような趣旨に徴すれば、庁舎管理者
は、庁舎等の維持管理又は秩序維持上の必要又は理由があるときは、右許可を撤回
することができるものと解すべきところ、原審が適法に確定した事実関係のもとに
おいては、D郵便局長がした本件許可の撤回又は本件掲示板の撤去が違法ではない
とした原審の判断も、正当として是認することができる。したがつて、本件許可の
撤回又は本件掲示板の撤去が違法であることを前提とする上告人のその余の請求も、
失当たるを免れない。
 三 以上のとおりであるから、上告人の本訴各請求をいずれも理由がないものと
して排斥した原判決は、結論において正当ということができる。論旨は、判決の結
論に影響を及ぼさない点についての原判決の違法をいうか、又は原審の専権に属す
る証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    中   村   治   朗
            裁判官    団   藤   重   光
            裁判官    藤   崎   萬   里
            裁判官    谷   口   正   孝
            裁判官    和   田   誠   一

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