弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告はこれを棄却する。
         理    由
 本件上告趣旨は末尾添付の弁護人芳井俊輔名義上告趣意書と題する書面記載の通
りである。
 当裁判所はこれに対し次のように判断する。
 昭和二十二年十二月三十日農林省令第百三号食糧管理法施行規則第一条は市町村
長が米麦の生産者の政府に売渡すべき米麦等の数量(以下供出割当数量と仮称す
る)を定むるには府県道知事の指示に従い市区町村食糧調整委員会(以下委員会と
略称する)の議を経なければならない旨規定している。けれども委員会が決議を為
すに先ち、所論の如き作柄実態調査の手続、即ち耕作田地の各筆につき検見を為す
べきこと、検見には生産者を立会せしむること、生産者の意見を聴取すべきこと等
の点に関しては何等規定していない。加之かかる事項について栃木県知事より判示
大内村村長に対し指示があつた事跡も存しない。それ故に委員会の決議の資料とな
つた米麦等収穫高測定に関する検見、その他の調査方法の不当を云為して委員会の
決議そのものの無効を主張<要旨第一>し供出義務の履行を拒否することは法令上許
されないところである。即ち昭和二十二年度産米供出割当については市
町村長に於て委員会の議を経て供出割当数量を定め、これを生産者に通知し且公示
したならばこれにより生産者は割当られた数量につき供出を義務ずけられ同規則第
一条第三項所定の改定なき限り義務の範囲に消長を来たさないのであつて右割当数
量に対する異議申立の途は当時は未だ法令上に規定されていなかつたのである。た
だ然し生産者に対し供出割当を為すに当つてはその前提として収穫予想高を出来得
る限り、正確ならしめて供出に無理の生じないようにすることが妥当の措置であ
り、その為には耕作田地の各筆毎に検見を行い、これに生産者を立会せしめてその
意見を聴いた上、割当量を決めることが理想的であり且又生産者をして供出を納得
せしむる所以でもある。然しながら全耕地に亘り各筆につき検見を行うことは時間
上からも亦労力の関係からいつても実施至難であることは周知の事実であり、論旨
援用の証人Aの証言に徴しても亦首肯し得るところである。而して右証言に依れば
判示大内村に在つては従来部落毎に数年の標準田を選定して検<要旨第二>見を行
い、その結果を基準として附近耕地の作柄を見てその収穫量を測定するのを通例と
し、本件に於ては被告人の耕作田の中二筆が選ばれてそれぞれ標準田の
意味でこれにつき検見が行われ、しかも被告人はこれに立会したのであり、委員会
はこれ等の調査資料を基本とし被告人の意見をも参酌検討して判示供出割当量を議
定したことが認められる。然らば右査定方法はその実質上から見ても敢て不当であ
るとは謂い難い況んや右供出割当が前記の如く同施行規則第一条第一項第二項の規
定に従つて適法に行われたるものなるに於ておやである。
 原判決は右の趣意に於て判示供出割当の合法なることを是認しこれを前提として
不供出罪を断じたものであつてその判示及び証拠説明に欠ぐるところなく又審理不
盡ありと云うを得ない。
 弁護人が援用する当裁判所の判例は供出割当につき単に食糧調整委員幹事会の議
決があつたのみで食糧調整委員会の議決を経なかつた事案に関するものであり本件
の如く適法なる委員会の議決を経た事件とはその事例を異にするものであるから右
判例を以て本件を律するのは当らない。論旨は理由がない。
 仍て旧刑事訴訟法第四百四十六条に則り主文の通り判決する。
 (裁判長判事 佐伯顕二 判事 久礼田益喜 判事 三宅多大)

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