弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 被上告人は本件上告を不適法であると主張し、上告却下の判決を求めるのである
が、本件原判決は第一審判決を取り消し事件を第一審裁判所に差戻したのであつて、
かゝる判決もこれを終局判決と解すべくこれに対し民事訴訟法三九三条によつて当
裁判所に直に上告すこるとができるものと解するを相当とする。(昭和二六年一〇
月一六日当裁判所第三小法廷判決判例集五巻一一号五八三頁参照)
 本件上告理由は別紙記載のとおりである。
 論旨は、本訴は行政事件訴訟特例法施行以前に提起せられたものであるにかかわ
らず、原判決が出訴期間について、右特例法五条四項と同趣旨の下に、訴願裁決を
知つた日から計算すべきものとし、本訴を適法な訴であると判示したのは法令の解
釈を誤つた違法があるというに帰する。
 行政事件訴訟特例法施行以前においては、同法二条で規定するいわゆる訴願前置
の規定はなかつたのであつて、農地買収計画に対しては自作農創設特別措置法(以
下単に自創法と略称する)七条による異議訴願を経ないで直ちに裁判所にその取消
又は変更を求めて訴を提起することができたものと解せざるを得ない。すなわち、
当時においては、農地買収計画の違法を理由にその取消又は変更を求めるためには、
異議訴願によることもできるし、裁判所に出訴することもできたものと解するを相
当とする。而して論旨は行政事件訴訟特例法の施行されていなかつた当時において
は買収計画に不服のある者が自創法七条による異議訴願を申し立て斥けられた場合
においても、買収計画に対する出訴期間は買収計画を知つた日から計算すべしとい
うのであつて、所論は法令の解釈として一応合理的なようにも考えられる。
 しかしながら、右所論のように解しても訴願裁決のあつた後、裁決庁たる県農地
委員会を被告として、訴願裁決の取消又は変更を求めて訴訟を提起する場合におい
ては、その出訴期間の起算日は訴願裁決のあつたことを知つた日とすべきことは当
然であつて論旨もこれを否定するものではなく、かえつて論旨第二点では訴願裁決
の取消を求める訴の提起がゆるされる以上、買収計画に対する出訴期間を原判決の
ように訴願裁決を知つた日から計算すべきものとし本訴を適法な訴と解する理由は
ないと主張するのである。
 おもうに訴願裁決は行政庁の行為である点においては一面行政処分たる性質を有
し、従つて取消変更を求める訴の対象となり得るものではあるが、他面行政庁の行
う争訟裁判の一つの形式であつて、その判断の対象は原買収計画の当否にほかなら
ない。従つて原買収計画を是認し訴願を棄却した裁決について、その取消を求める
訴は、通常の場合はその実質において買収計画の取消を求める訴と少しも変りはな
いのである。換言すれば訴願裁決に対する出訴期間内は原買収計画はなお関係者に
よつて争われ得る状態にあるものと言うことができる。従つて行政事件訴訟特例法
施行以前にもいてお買収計画について異議、訴願を経た場合は、右買収計画に対す
る出訴期間は訴願裁決を知つた日から計算して少も支障はないのであつて、原判決
に違法の点はなく、論旨はこれを採用することができない。
 以上説明のとおり論旨は理由がないから本件上告を棄却すべきものとし民訴三九
六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致をもつて主文のとおり判
決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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