弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人袴田重司の上告理由について。
 (イ) 本訴請求が、被上告人から上告人に対し民訴七五九条にいわゆる特別の
事情あることを理由として、さきに昭和二一年一一月二八日山形地方裁判所酒田支
部で、上告人を申立人とし、被上告人を被申立人としてなされた「被上告人が籾摺
機、脱穀機等の製作に使用していた機械全部に対する占有を解き、本案判決確定ま
で執行吏に保管させる」旨の仮処分命令の取消を求めるものであることは記録上明
白である。されば所論のボール盤二個が右仮処分命令の目的物件中に包含されてい
ることが争われていない以上、該物件につき仮処分の執行がなされているか否かは、
仮処分そのものの取消を求める本訴には関係のない事項に外ならない。されば原審
が所論執行の点に関する釈明を完結することなく、また右ボール盤二個を目的物件
中から削除することなく、判決したからとて、それを目して違法ということはでき
ない。
 (ロ) 原判決が所論の機械類が「死蔵されていた……」と説示したのは、前示
仮処分により、目的物件たる機械器具が被上告人の占有を解かれその工場から持出
され、執行吏の保管に付されたため他の倉庫内に移されるに至り、何人もこれを使
用し得ない状態にあつたことを判示しているに外ならない。そしてこの判旨は前示
仮処分の内容に徴し正当である。論旨は上告人において右物件を利用し得ることを
前提としているが、右仮処分ではただ目的物件につき被上告人の占有を解き執行吏
に保管を命じただけで上告人にこれが使用を許容してはいないのであるから、所論
の採るべからざることは多言を要しないところである。
 (ハ) 原審の是認した第一審判決が、さきに上告人の申請にもとずいてなされ
た仮処分命令を変更したのは、目的物件を保管する執行吏においてその物件をもと
あつた場所でその状態を変更しないことを条件として被上告人に使用させることが
できるとした点だけであつて、本案判決確定に至る迄目的物件に対する被上告人の
占有を解き上告人の委任する執行吏に保管させるという前示仮処分命令の主たる内
容はこれを維持しているのである。論旨摘録にかかる原判旨は前示の如く仮処分命
令の内容を変更しても、それはただ目的物件をそのものが従来あつた場所で、その
状態を変更しないことを条件として被上告人に使用させるだけのことであつてこれ
によつて上告人に金銭で償うことのできないような損害を与えるものではなく、か
かる通常の用法に従う使用によつて上告人に生ずべき損害の保障としては金五〇〇
〇円の保障を以て足ると判示したものに外ならない。この点に関する原判旨は正当
であり原判決には所論のような違法はない。また、仮りに本件目的物件につき仮処
分の執行があり、しかも本案訴訟の解決が長引くことによつて物価の変動に伴う損
害が上告人に生ずることがあるとしても、それは本件取消事件の判決とは何等の関
係もない。
 本件目的物件が執行吏の保管に移されているのは、上告人自らの申請により発せ
られた前示仮処分命令を上告人自らの委任にもとづき執行吏をして執行せしめた結
果に外ならない。本件は被上告人が自らの利益のために前示仮処分命令の取消を求
めた訴であるからその要求が全部排斥せられるとしても、前示仮処分命令が維持せ
られるまでのことであつて、それ以上の不利益を被上告人に帰せしめることはでき
ない。されば上告人自らが求めた仮処分の執行により上告人に生ずべき損害の保障
を本件において被上告人に命じ得ないことは多言を要しないところである。論旨は
採るを得ない。
 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔

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