弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
一 被告らは、北九州市<以下略>「ミニクラブ・水晶」および同市<以下略>
「クラブ・キヤツツアイ」において、別添楽曲リスト、同Ⅱおよび同Ⅲ各記載の音
楽著作物を営業のために演奏してはならない。
二 彼告らは、連帯して、原告に対し、金一、三四一万一、五〇〇円および内金
一、一二九万九、五〇〇円に対する昭和五五年七月二五日から、内金二一一万二、
〇〇〇円に対する昭和五七年五月一日から、各完済に至るまで年五分の割合による
金員を支払え。
三 訴訟費用は被告らの負担とする。
四 この判決は仮に執行することができる。
       事   実
(請求の趣旨)
 主文と同旨。
(請求の原因)
一、(原告の著作権仲介業務)
 原告は「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」(昭和一四年法律第六七号)に
基く許可を受けた我国唯一の音楽著作権仲介団体であり、内外国の音楽著作物につ
き各著作者より著作権ないしその支分権(演奏権、録音権等)の移転を受けてこれ
を管理し、国内における放送事業者をはじめレコード、映画、出版、興行、社交
場、有線放送等各種の分野における音楽著作物使用者に対して使用許諾を与え、音
楽著作物の適法な利用を円滑簡易ならしめると共に、右許諾の対価として著作物使
用料規程に定める使用料をこれらの使用者から徴収し、これを内外の著作権者に分
配することを主たる業となしている。そして原告は、現に別添楽曲リスト、同Ⅱお
よび同Ⅲ各記載の音楽著作物(以下、これらを総括して「管理著作物」という。)
について、それぞれ著作者より著作権の信託的譲渡を受けてこれを管理している。
二、(被告らの著作権侵害行為)
1 他人の音楽著作物(作詞・作曲)を公に演奏して使用する者は、法律に別段の
除外規定のない限り、その著作物の使用について、著作権者の許諾を受け対価を支
払う法律上の義務を有する(著作権法二二条、六三条参照)。これは入場料をとつ
て演奏する場合に限らず、カフエー、ナイトクラブ、スナツク等社交場の経営者が
音楽の演奏により直接あるいは間接に営利を目的とする場合にもすべてこれに著作
権が及び、著作物使用者が許諾を得ないで著作物を演奏すれば、著作権侵害の責を
免れない。
2 被告らは、共同経営のもとに、左のとおり各店舗を経営し、同店内において管
理著作物に含まれる音楽を演奏し、もつて原告の音楽著作権の内容である演奏権を
侵害した。即ち、
(1) 被告らは、昭和五〇年七月二〇日北九州市<以下略>において、スナツク
「ニユーエメラルド」を開業し、その後昭和五一年一二月二〇日店名を「スナツ
ク・水晶」と変更したが、更に昭和五四年二月一九日同店の営業をカフエに変更し
店名も「ミニクラブ・水晶」と改め、今日に至るまでこれを経営している。そして
被告らは、前記昭和五〇年七月開業以来引続き今日に至るまでの間、毎日右店内で
その営業時間中、原告の許諾を受けないで管理著作物に含まれる音楽を演奏し、こ
れを来集した不特定多数の客に聞かせ、原告の音楽著作権の内容である演奏権を侵
害した。
(2) 被告らは、昭和五一年一〇月二五日同市<以下略>においてカフエ「クラ
ブ・キヤツツアイ」を開業し、爾来引続き今日に至るまでの間、毎日右店内でその
営業時間中、原告の許諾を受けないで管理著作物に含まれる音楽を演奏し、これを
来集した不特定多数の客に聞かせ、原告の音楽著作権の内容である演奏権を侵害し
た。
(3) 更に被告らは、昭和五三年三月二四日前同所同番地ニユー南国ビル一階に
おいてカフエ「クラブ・ダイガーアイ」を開業し、爾来引続き昭和五四年四月三〇
日廃業するまでこれを経営していたが、その間、毎日右店内でその営業時間中、原
告の許諾を受けないで管理著作物に含まれる音楽を演奏し、これを来集した不特定
多数の客に聞かせ、原告の音楽著作権の内容である演奏権を侵害した。
3 被告らは、右の各店舗において、それぞれ開店以来、管理著作物を使用して楽
団演奏およびピアノ又はエレクトーンあるいばギターによる生演奏をおこなつてお
り、それは今日まで反復継続してなされている。
被告らの右各店舗における生演奏は、毎日の午後六時半頃から深夜に及ぶ営業時間
のうち、客入りの多い一定の時間帯に、来客の好みに合うその時々の流行の音楽あ
るいはいわゆるナツメロ曲を生演奏することによつて、店の雰囲気づくりをして盛
りあげ、客を楽しませることを目的としておこなわれているものであり、右は、こ
の種のクラブ、スナツクの店舗一般に共通する「通常の営業手段」であつて、これ
まで被告らが右各店舗の経営を維持し継続する上に、必要且つ不可欠な手段となつ
ていたものである。
 被告らは、従来、原告九州支部から再三にわたり、右各店舗における管理著作物
の演奏について使用許諾手続の督促を受けながら、これを無視して右使用許諾契約
を締結せず、終始無許諾で演奏を続けていた。しかもその間、原告の担当者が被告
方に出向いて何回も面談し、被告らも前記店舗における音楽の使用状況、演奏者に
ついての説明をしており、従来の継続的演奏の事実は今更否定しえないところであ
る。
三、(差止請求)
 被告らは、前記「ミニクラブ・水晶」および「クラブキャツツアイ」の各店舗に
おいて、現在も依然として管理著作物の演奏を継続している。しかして、被告らの
右営業の性格上、音楽演奏不可欠なものであり、これまでに演奏された曲目の殆ん
どすべてが管理著作物に属する事実および従来の経過に徴すれば、将来更に著作権
侵害行為を継続するおそれがあることは明らかである。よつて、原告は著作権法第
一一二条に基き、被告らに対し、著作権侵害の停止ならびに予防請求として管理著
作物の演奏の禁止を求める。
四、(被告らの不法行為)
 被告らの前記二記載の各店舗の営業においては、いずれも客に対し飲食を提供す
るばかりでなく、店内の設備によつて客に音楽の演奏を聞かせているであり、その
際使用する音楽は、クラブ、カフエ等社交場特有の雰囲気、来客の好み、その時々
の世間の流行によつて選ばれる歌謡曲、ジヤズ、シヤンソンなどの軽音楽でかつそ
の殆んどが管理著作物ばかりであり、前記各店舗における一日平均の使用管理曲数
は、「ニユーエメラルド」、「スナツク・水晶」および「ミニクラブ・水晶」がそ
れぞれ延四五曲以上、「クラブ・キヤツツアイ」が延六〇曲以上、「クラブ・タイ
ガーアイ」が延四五曲以上に及んでいる。しかして、被告らは営利を目的とし、こ
れらの軽音楽を営業時間間中絶え間なく演奏して店内に顧客を誘引するにふさわし
い快適な雰囲気を醸成し、その営業を維持してきたものであつて、音楽著作物の利
用は営業の不可欠的要素である。それ故右事業の経営者たる被告らとしては、音楽
著作物の利用に際し他人の著権を侵害することがないよう相当の調査をなすべき義
務があり、管理著作物を使用することについては原告の使用許諾を受け且つ原告が
著作物使用料規程によつて決定した相当の使用料を支払う義務があるにもかかわら
ず、その開業以来今日に至るまで何らの相当の措置をとることなく無断で管理著作
物を演奏使用していたものである。したがつて、被告らは故意又は過失により、前
記各店舗において営業した全期間を通じ、継続して原告の著作権の内容である演奏
権を侵害したものである。
五、(損害賠償請求)
 原告は、被告らの右著作権侵害行為により、管理著作物の使用許諾の対価として
徴収し得る使用料に相当する得べかりし利益を喪失し、これと同額の損害を蒙つた
のであるが、その損害額の算定は次のとおりである。
1 原告は、「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」第三条第一項に基づき、昭
和一五年二月二九日主務大臣の認可を受けて「著作物使用料規程」を定め、その内
容はその後数次の変更を経たが、同規程のうち演奏の使用料の規定に関しては、昭
和三五年五月三一日の認可により料率が変更され、更に演奏の内、キヤバレー、カ
フエー、ナイトクラブ、ダンスホール、喫茶店、ホテル等の社交場における演奏に
ついては減額した料率の規定が新設され、これらの規定の内容はその後料率自体に
は変更がなく、昭和四六年四月一日の認可による表現整理のための変更を経て現行
の規程に踏襲されている。現行使用料規程によると、管理著作物の演奏の内、軽音
楽一曲一回の「演奏会形式による演奏」の使用料は、定員、平均入場料、使用時間
によつて類別区分された料金表により別表(一)のとおり定められており、これを
カフエー、クラブ、スナツク等の社交場において使用する場合は、右演奏会形式に
よる演奏の使用料の一〇〇分の五〇すなわち五割の範囲内で使用状況等を参酌して
具体的な使用料を決定することとされている。そして原告においては、使用状況等
の参酌の方法として、①定員五〇〇名未満のものを更に一〇〇名単位で段階的に区
分し、各社交場の客席数に応じて逓減することとしているほか、②平均入場料につ
いては、入場料金を明示しないクラブ、スナツク等の場合は、当該社交場の営業料
金中の一セツト料金(飲食税、サービス料を含む)又は同相当額に三〇%を乗じた
金額(テーブルチヤージ、席料がある場合は更にその料金を加算した額)を入場料
とし、③使用時間については、一曲一回の演奏五分以上一〇分未満の場合でも原則
として五分未満として取扱うこととしている。
2 一方、被告らの前記各店舗の使用料算定上の参酌基準となる管理著物の使用状
況等は次のとおりである。すなわち、①「ニユーエメラド」および「スナツク・水
晶」は、いずれも定員五〇〇名未満、平均入場料五〇〇円以上一〇〇〇円満、客席
数は一〇〇名未満、管理著作物の一日平均の使用曲数は四五曲、一か月平均の営業
日数は二五日である。②「ミニクラブ・水晶」は定員五〇〇名未満、平均入場料二
五〇〇円以上三〇〇〇円未満、客席数は一〇〇名未満、管理著作物の一日平均の使
用曲数は四五曲、一か月平均の営業日数は二五日である。③「クラブ・キヤツツア
イ」は定員五〇〇名未満、平均入場料二五〇〇円以上三〇〇〇円未満、客席数は一
〇〇名未満、管理著作物の一日平均の使用曲数は開業日の昭和五一年一〇月二五日
から同五二年四月三〇日までについては三二曲、同五二年五月以後については六〇
曲、一か月平均の営業日数二五日である。④「クラブ・タイガーアイ」は定員五〇
〇名未満、平均入場料三〇〇〇円以上三五〇〇円未満、客席数は一〇〇名未満、管
理著作物の一日平均の使月曲数は四五曲、一か月の営業日数は二五日である。
3 そこで、前記使用料規程を被告らの各店舗のそれぞれの条件下における管理著
作物の使用の場合に適用してその使用料を算出すると、別表(二)、(三)(但
し、同表1の部分)、(四)(但し、同表1、2の部分)および(五)の各計算表
に記載するとおりであり、すなわち、①「ニユーエメラルド」および「スナツク・
水晶」については、いずれも一曲当りの使用料五〇円、一日四五曲分の使用料二、
二五〇円、一か月(平均二五日)の使用料は五六、二五〇円。②「ミニクラブ・水
晶」については、一曲当り九〇円、一日四五曲分の使用料は四、〇五〇円、一か月
(平均二五日)の使用料は一〇一、二五〇円。③「クラブ・キヤツツアイ」につい
ては、一曲当り九〇円、昭和五一年一〇月二五日から六か月間について一日三二曲
分の使用料は二、八八〇円、一か月(平均二五日)の使用料は七二、〇〇〇円、昭
和五二年五月一日以後について一日六〇曲分の使用料は五、四〇〇円、一か月(平
均二五日)の使用料は一三五、〇〇〇円。④「クラブ・タイガーアイ」について
は、一曲当り一〇〇円、一日四五曲分の使用料は四、五〇〇円、一か月(平均二五
日)の使用料は一一二、五〇〇円となる。
4 したがつて、被告らの前記著作権侵害に基づく損害額は、右の著作物使用料額
を基準とし、右各店舗の一か月当りの使用料額に営業期澗の月数を乗じて算定すべ
きものである。それによれば、①「ニユーエメラルド」については、同店の前示一
か月の使用料五六、二五〇円に前記昭和五〇年七月二〇日の開業日から同五一年一
二月一九日までの営業期間の月数一七か月を乗じた金九五万六、二五〇円であり、
②「スナツク・水晶」については、同店の前示一か月の使用料五六、二五〇円に前
記昭和五一年一二月二〇日から同五四年二月一八日までの営業期間の月数二六か月
を乗じた金一四六万二、五〇〇円であり、③「ミニクラブ・水晶」については、同
店の前示一か月の使用料一〇一、二五〇円に昭和五四年二月一九日から同五五年七
月までの営業期間の月数一七か月を乗じた金一七二万一、二五〇円である。④「ク
ラブ・キヤツツアイ」については、同店の前示一か月の使用料七二、〇〇〇円に前
記昭和五一年一〇月二五日から同五二年四月三〇日までの営業期間の月数六か月を
乗じた金四三万二、〇〇〇円、および同店の前示一か月の使用料一三五、〇〇〇円
に前記昭和五二年五月一日から同五五月七月までの営業期間の月数三九か月を乗じ
た金五二六万五、〇〇〇円であり、⑤「クラブ・タイガーアイ」については、同店
の前示一か月の使用料一一二、五〇〇円に前記昭和五三年三月二四日開業以来昭和
五四年四月三〇日廃業するまでの営業期間の月数一三か月を乗じた金一四六万二、
五〇〇円である。それ故、使用料相当額の損害金は右①②③④⑤を合計した金一、
一二九万九、五〇〇円となるのであり、被告らは連帯して原告に対し右損害金を賠
償する義務がある。
5 被告らは、本訴提起後も引続き今日に至るまで前記「ミニクラブ・水晶」およ
び「クラブ・キヤツツアイ」を経営しており、その営業において、従前と同様管理
著作物を無断使用し、原告の音楽著作権を継続的に侵害したので、原告は右侵害行
為により使用料相当額の損害を受けた。
 その損害額の算定は以下のとおりである。
(一) 被告らの右各店舗の使用料算定上の参酌基準となる管理著作物の使用状況
等は次のとおりである。すなわち、①「ミニクラブ・水晶」は昭和五五年八月一日
以降は定員五〇〇名未満、平均入場料二五〇〇円以上三〇〇〇円未満、客席数は一
〇〇名未満、管理著作物の一日平均の使用曲数は二四曲、一か月平均の営業日数は
二五日である。②「クラブ・キヤツツアイ」は昭和五五年八月一日から同五六年五
月三一日までは従前と同様であり、昭和五六年六月一日から同五七年三月三一日ま
では定員五〇〇名未満、平均入場料三〇〇〇円以上三五〇〇円未満、客席数は一〇
〇名未満、管理著作物の一日平均の使用曲数は二四曲、一か月平均の営業日数は二
五日である。
(2) これを基礎としてその使用料を算出すると、別表(三)2および別表
(四)2.3.の各計算表に記載するとおりであり、すなわち、①「ミニクラブ・
水晶」については一曲当り九〇円、一日二四曲分の使用料は二、一六〇円、一か月
(平均二五日)の使用料は五四、〇〇〇円。
②「クラブ・キヤツツアイ」については、昭和五六年五月三一日までは従前同様面
当り九〇円、一日六〇曲分の使用料は五、四〇〇円、一か月の使用料は一三五、〇
〇〇円および同五六年六月一日から同五七年三月三一日までは一曲当り一〇〇円、
一日二四曲分の使用料は二、四〇〇円、一か月の使用料は六〇、〇〇〇円となる。
(3) したがつて、被告らの右著作権侵害にもとづく損害額は、右各店舗の一か
月当りの使用料額に営業期間の月数を乗じて算定すべきものである。それによれ
ば、①「ミニクラブ・水晶」については、同店の前示一か月の使用料五四、〇〇〇
円に昭和五五年八月一日から同年一〇月三一日までの営業期間の月数三か月を乗じ
た金一六万二、〇〇〇円であり、②「クラブ・キヤツツアイ」については、同店の
前示一か月の使用料一三五、〇〇〇円に昭和五五年八月一日から同五六年五月三一
日までの営業期間の月数一〇か月を乗じた金一三五万円および同店の前示一か月の
使用料六〇、〇〇〇円に同五六年六月一日から同五七年三月一日までの営業期間の
月数一〇か月を乗じた金六〇万円である。それ故、使用料相当額の損害金は右①②
を合計した金二一一万二、〇〇〇円となる。
六、結論
 よつて、原告は、被告らに対し、右損害合計金一、三四一万一、五〇〇円(その
内訳は別表(六)の損害金算定表記載のとおり)および右の内金一、一二九万九、
五〇〇円に対する本件訴状送達の翌日から、内金二一一万二、〇〇〇円に対する訴
変更の申立書送達の翌日から、各完済に至るまで法定の年五分の割合による遅延損
害金の支払を求め、かつ、著作権侵害の停止ならびにその予防請求として管理著作
物の演奏禁止を求める。
(被告らの答弁)
一、請求原因一の事実は不知。
二、請求原因二のうち、被告Aが昭和五二年六月二三日から現在まで原告主張の場
所においてカフエ「クラブ・キヤツツアイ」を開業している事実、被告Bが昭和五
〇年七月二五日から同年九月三〇日までスナツク「ニユーエメラルド」を、昭和五
三年三月二四日から昭和五四年四月三〇日まで「クラブ・タイガーアイ」を各開業
している事実はいずれも認めるが、その余の事実は否認する。
三、請求原因三、四、五の事実はすべて否認する。
(証拠)(省略)
       理   由
一、原告が主張する場所において、被告Bが、昭和五〇年七月二五日から同年九月
三〇日までスナツク「ニユーエメラルド」を、昭和五三年三月二四日から昭和五四
年四月三〇日まで「クラブ・タイガーアイ」を各開業していたこと、および、被告
Aが昭和五二年六月二三日から現在までカフエ「クラブ・キヤツツアイ」を開業し
ていたことは、いずれも当事者間に争いがない。
二、いずれもその成立に争いがない甲第五号証の二、第八ないし一二号証の各二、
第一三号証の二、三、第一四号証の二ないし四、第一九号証の一ないし六、第二〇
号証の一、二、第二六号証、第二七号証の一ないし一八、第二八号証の一ないし一
二、第三一、三二号証の各三、第四〇号証、第四一号証の一、二、第四二号証、第
四四号証、証人Cの証言および弁論の全趣旨によつていずれもその成立を認める甲
第一、二号証、第三号証の一ないし三、第五号証の一、第八ないし一四号証の各
一、第一五ないし一八号証、第二一号証の一ないし三、第二三ないし二五号証、証
人Dの証言(第一、二回)によつていずれもその成立を認める甲第三〇号証、第三
一号証の一、二、第三二号証の一、二、第三三号証の一ないし四、第三五号証の一
ないし六、同号証の九、第三六ないし三八号証、第四一号証の三、弁論の全趣旨に
よつてその成立を認める甲第四五、四六号証、証人E、C、D(第一、二回)、
F、Gの各証言、被告ら各本人の供述および弁論の全趣旨に前記当事者間に争いが
ない事実を総合すると、請求原因事実(但し、前項の事実を除く。)をすべて認め
ることができ、右認定に反する前掲各証人並びに本人の供述部分は措信できない。
三1 なお、被告ら各本人の供述中には、「クラブ・キヤツツアイ」を除く店舗に
ついては、被告Bがその経営者であつて、被告Aはその共同共同経営者ではない旨
の供述部分がある。
 しかしながら、前記甲第二〇号証の一、二、第二六号証、証人C、D(第一回)
の各証言、被告ら各本人の供述に弁論の全趣旨を総合すると、被告らは昭和四〇年
ころ事実上の婚姻をし、昭和四五年一〇月二七日婚姻の届出をした夫婦であるこ
と、被告Bは、木下観光もしくは木下観光株式会社の名のもとに(右はいずれも法
人組織ではない。)クラブ等の経営に当つているものであるところ、被告らが居住
する自宅は右木下観光の事務所を兼用し、被告Aは右事務所もしくは店舗において
被告Bに助力していること、「クラブ・キヤツツアイ」は被告Aが営業名義人とな
り、かつ、その事業資金は同被告の名で金融機関から借入れていること、などの事
実を認めることができ、右事実によれば、木下観光の経営は、被告Bが主となつて
これを営んでいるものであるとは云え、被告Aもその妻としてその経営に参加しい
ると認めるのが相当である(「クラブ・キヤツツアイ」についてのみ被告らが共同
経営者であり、他の店舗は被告Bのみが経営者であるとみるべき特段の事情も認め
られない)。
2 次に、被告B本人の供述中には、「スナツク・水晶」および「ミニクラブ・水
晶」の店舗は、昭和五一年一〇月一日から昭和五三年一〇月末日までは訴外Hに、
同年一一月一日以降は訴外Iに、いずれも賃貸しており、同人らがその経営者であ
り、被告らは右の期間、右各店舗における経営者ではないとの供述部分があり、乙
第一、二号証にもその旨の記載がなされている。
 しかしながら、被告B本人の供述および右乙第一、二号証の記載によると、訴外
HおよびIはいずれももと木下観光の一従業員(ボーイ)にすぎないこと、乙第一
号証の契約書作成時の右Hの住所は被告ら方であり、当時、Hは被告方の同居人で
あつたこと、右の各期間中、店名はもとより従業員および店舗内の模様等はすべて
従前のままであり、酒類その他の仕入れおよびその代金の支払は他店舗の分と一緒
に被告Bによつてなされていたことなどの事実が認められ、前記供述内容もあいま
いであることなどに照らすと、前記の供述部分および乙第一、二号証の記載内容は
これをにわかに措信することはできないと云わざるをえない。
3 さらに、被告Bの供述中には、各店舗における音楽の演奏期間および演奏時間
の点について、前記二の認定と異る供述部分があり、乙第三号証にもその旨の記載
があるが、右乙第三号証の記載内容は、その記載の根拠となつた資料があいまいで
あり、被告B本人の右供述部分も前記二に掲示した各証拠と対比してにわかにこれ
を措信することはできない。
4 そして、他に前記二の認定をくつがえすに足る証拠はない。
四、従つて、被告らは、原告に対し、著作権法一一二条に基き、被告らが現に経営
している「ミニクラブ・水晶」および「クラブ・キヤツツアイ」において、別添楽
曲リスト、同Ⅱおよび同Ⅲ各記載の音楽著作物を営業のために演奏してはならない
義務を負うとともに、不法行為に基く損害賠償として金一、三四一万一、五〇〇円
および右の内金一、一二九万九、五〇〇円に対する本件訴状送達の翌日であること
記録上明らかな昭和五五年七月二五日から、内金二一一万二、〇〇〇円に対する訴
変更の申立書送達の翌日であること記録上明らかな昭和五七年五月一日から、各完
済に至るまで法定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。
 よつて、原告の本訴請求はすべて理由があるからこれを認容することにし、訴訟
費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条を、仮執行の宣言につき同法一九六条
を各適用して、主文のとおり判決する。
別表(一)~(六)、楽曲リスト、同(Ⅱ)および同(Ⅲ)(省略)

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