弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人成富信夫、回筧勝家の上告理由第一点について。
 原判決は、所論のように被上告人Bを訴外Dの会計主任とは認定せず、Dは本件
請負工事に要する資金の融通をうけていた被上告人Bに対して本件債権を譲渡し債
務者たる上告会社はこれを承諾した事実を認定判示しているのであつて、この原判
示事実の認定はその挙示する証拠によつてこれを肯認するに足りるのである。され
は仮りに上告会社がその主張のごとく本件債権の譲渡及び承諾の日の後において金
円を上告会社が訴外Dに支払つたとしても、その支払は当然に本件債権の譲受人た
る被上告人に対する弁済とならないことはいうまでもないところであるし、他にこ
の支払が特に被上告人に対し弁済の効力を生ずるような事実については上告会社は
原審において主張していないこと記録上明らかであるから、原審が上告人主張の弁
済の事実の有無について判断しないで上告人のこの点に関する抗弁を排斥したのは
当然であつて原判決には所論のような審理不尽の違法はない。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 原審は訴外Dが昭和一九年九月五日上告会社から原判示のような約旨で本件工事
を請負い、同年同月末日現在における出来高に対し、上告会社が右約旨により訴外
Dに支払うべき報酬金額は約一三万円であつてこれに対し当時上告会社が支払つた
のは五千円だけでその余は未払であつたところ訴外Dは右報酬債権の内本件七万二
千円の債権を被上告人Bに譲渡したと認定判示しているのであつて、この認定は原
判決の挙示する証拠でこれを肯認するに足りその間経験則違背の違法もない。そし
て所論上告会社と訴外Dとの間の請負報酬金の総額が所論のように二〇万円程度で
あるか否かは本件債権の成立と認定する限度においては必要な事実ではないから、
原審がこれを確定しなかつたからといつて違法とはいえない。そしてその他の所論
は結局本件債権の譲渡及びその承諾の後に、上告会社が譲渡人たる訴外Dに対して
なしたと主張する七万二千円の支払が被上告人に対する債務の弁済としての効力を
有することを前提とする議論であつて、その前提が失当であることは第一点におい
て説明するとおりであるから、論旨は理由がない。
 同第三点について。
 原審において上告会社は本件五万円の債権譲渡に対する上告会社の承諾は、訴外
Eが無権限でなしたものであるから無効であると抗弁したのである。(上告論旨は
二万二千円の債権譲渡に対する上告会社の承諾も右Eが無権限でなしたものの如く
いうのであるが、二万二千円の分については原審においてかかる抗弁はなされてい
ないのであるから原判決も該事実について言及していないのは当然である。されば
この点に関する右論旨は初めから問題にならない。)原審は本件五万円の債権につ
いての譲渡の承諾書には上告会社の代表権を有する訴外Fの記名捺印があることを
認定しているのである、されば右譲渡の承諾は前記Fの意思に基ずくものと推定さ
れるのであるから、右譲渡の承諾がその効力なきものであるためにはまず前記のよ
うな推定を覆すに足りる事実の立証を上告会社においてなすべきであることはいう
までもないところである。しかるに原審は挙示の証拠資料を検討した結果前記のよ
うな推定を覆すに足りるものがないと判断したのであつて右判断は相当であるから、
原判決には所論の如く「無証拠による速断」の違法はない。そして爾余の所論は原
審の適法になした証拠の取捨選択ないし事実の認定を非難するに帰し上告適法の理
由とならない。
 同第四点について。
 論旨は、上告会社が特別経理会社であることを前提とする立論であるが、かかる
事実については原審において上告会社は何等主張も立証もしていないし、原審も認
定しなかつたところであるから、到底採用することをえない。しかのみならず、仮
執行に関する控訴審の裁判に対しては不服を申立てえないのである(民訴三七六条
一項)から、原審のした仮執行の宣言を非難する本論旨はこの点からも失当たるこ
と明白である。
 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員の一致で主文のとおり判
決する。
     最高裁判所第一小法廷
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎
 裁判長裁判官沢田竹治郎は退官につき署名捺印することが出来ない。
            裁判官    真   野       毅

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