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平成19年9月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成19年(ワ)第12863号商号使用差止等請求事件
口頭弁論終結日平成19年8月22日
判決
東京都文京区<以下略>
原告エーザイ株式会社
同訴訟代理人弁護士田中克郎
同中村勝彦
同藤井基
同太田知成
同新谷美保子
東京都足立区<以下略>
被告有限会社エーザイ
主文
1被告は,「有限会社エーザイ」の商号を使用してはならない。
2被告は,その営業上の施設及び活動並びに商品に「エーザイ」,
「E−ZAI」の表示を使用してはならない。
3被告は,「e−zai.com」のドメイン名を使用してはな
らない。
4被告は,別紙登記目録記載の商号「有限会社エーザイ」の抹消
登記手続をせよ。
5原告のその余の請求を棄却する。
6訴訟費用は,これを5分し,その1を原告の負担とし,その余
は被告の負担とする。
7この判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することが
できる。
事実及び理由
第1請求
1主文第1項ないし第4項同旨
2被告は,平成16年7月16日付けで,ベリサインインク(VeriS
ignInc)にて登録された「e−zai.com」のドメイン名の
登録抹消申請手続をせよ。
第2事案の概要
本件は,自己の商品等表示として「エーザイ」及び「Eisai」の文字
(これらを併せて以下「原告表示」という。)並びに「eisai.co.
jp」のドメイン名(以下「原告ドメイン名」という。)を使用して,企業
活動をしている原告が,「有限会社エーザイ」の商号(以下「被告商号」と
いう。)の被告に対し,被告は,「エーザイ」及び「E−ZAI」の表示
(以下「有限会社エーザイ」,「エーザイ」及び「E−ZAI」を併せて
「被告表示」という。)を商品等表示として使用するとともに,「e−za
i.com」のドメイン名(以下「被告ドメイン名」という。)を使用して,
営業活動をしていると主張して,不正競争防止法3条,2条1項1号,同項
2号,同項12号に基づき,被告表示等の使用の差止め,及び被告商号の抹
消登記手続等を求めている事案である。
1原告の主張
()原告表示1
原告は,昭和16年12月に設立された医薬品の研究開発,製造,販売
及び輸出入等の業務を行う株式会社であり,昭和30年5月21日以降現
在に至るまでの間,自己の営業表示及び商品表示として原告表示を継続し
て使用している。また,原告は,原告の開設するウェブサイトのドメイン
名としても,原告ドメイン名を使用している。
()被告の行為2
ア被告は,平成16年7月20日に,ペットフード,釣餌の販売及び輸
出入並びに医薬品の製造,販売及び輸出入などを目的として設立された
有限会社であり,設立以降,被告商号で,被告表示を商品等表示として
使用して,魚の餌である赤虫等の販売等をしている。
イまた,被告の前代表取締役の甲は,平成16年7月16日,被告ドメ
イン名を使用する権利を取得し,以後,被告は,ドメイン名として被告
ドメイン名を使用したウェブサイト(以下「被告サイト」という。)を
開設している。
()原告表示の著名性,周知性3
原告は,市販向け医薬品及び医療用医薬品を多数販売しており,その売
上高は,平成11年以降,年間3000億円以上となっているが,原告は,
これらの商品に原告表示を付している。
また,原告は,莫大な宣伝広告費をかけて,全国紙,雑誌,テレビ及び
ラジオ等による積極的な宣伝活動を行い,平成7年度から平成18年度ま
での宣伝広告費を見ても,毎年30億円前後の巨費が投じられている。
上記の事実からすれば,原告の商号である「エーザイ株式会社」及び原
告表示は,被告が営業を開始した平成16年7月20日よりはるか以前か
ら,原告の商品等表示として周知・著名なものとなっていたことは明らか
である。
()類似性,混同のおそれ4
被告表示のうち,「有限会社エーザイ」中の「エーザイ」及び「エーザ
イ」の表示は,原告表示「エーザイ」と同一である。また,「E−ZA
I」の表示は,原告表示「Eisai」と称呼が同一であること,外観上
も,大文字の「E」で始まり,「AI」又は「ai」で終わっている点で
上記原告表示と酷似していること,「有限会社エーザイ」,「エーザイ」
の表示と常に一緒に用いられているという使用態様に鑑みれば,原告表示
と類似しているというべきである。同様に,被告ドメイン名も原告表示と
類似している。
また,消費者が,被告表示や被告ドメイン名,被告表示の付された商品
を見た場合,被告が原告又は原告と関係のある同一グループ内の会社であ
り,被告の商品が原告又は原告と関係のある同一グループ内の会社の商品
であると誤認混同する蓋然性は高い。
()不正の利益を図る目的5
被告は,平成16年以降,原告表示が著名であることを知りつつ,これ
と実質的に同一の被告表示を使用した上,ドメイン名として被告ドメイン
名を使用していることからすれば,原告が長年にわたって築き上げてきた
知名度や社会的信頼にただ乗りして,不正の利益を得ようとする目的を有
していることは明らかである。
()被告の営業活動継続のおそれ6
被告は,平成19年6月20日に解散しており,今後は被告表示を使用
しない旨主張する。
しかし,被告は,解散手続を行ったものの,清算手続は終了しておらず,
以下のとおり,今後も,清算事務の一環と称して,従前と同様の態様にて,
在庫品の販売を継続していく可能性がある。
すなわち,まず,被告が販売している魚の餌である赤虫は,在庫の数が
膨大にあり,被告自身も,従前,原告に対し,「現在社名変更方向ですが,
在庫,仕掛品,社名変更諸経費他多大な損失を発生させることはできませ
ん。在庫終了めどがつきますまでお待ち頂きたくご報告致します。冬場,
魚は冬眠しお客様がどれだけ買って頂けるのか。終了期日はわかりませ
ん。」と述べていることからしても,被告が従前と同様,被告表示を付し
て,商品を販売する可能性は高い。また,インターネット上の楽天市場の
ウェブサイト(以下「楽天市場」という。)には,依然として,被告の会
社名及び商品名が掲載されており,被告が解散した以降の平成19年7月
11日に,原告が依頼した第三者が,楽天市場の上記会社名及び商品名を
クリックすると表示される電話番号に電話をかけたところ,被告は,「は
い,エーザイです」と述べて電話を取り,その後,商品の販売を行い,後
日,被告から配達された商品は,「E−ZAI」と大きく記載された段ボ
ール箱に入っており,その包装には,大きく「エーザイのレッドワーム」,
「エーザイ」,「E−ZAI」との文字が印刷されていた。以上の事実か
らすれば,被告が,その営業及び商品に被告表示を使用し続けていること
は明らかである。
また,被告は,解散手続と同時に被告ドメイン名の抹消登録の手続をし
た旨主張する。
しかし,被告は,現在も被告サイトを開設して被告ドメイン名を使用し
ており,また,被告ドメイン名の有効期限は平成20年7月16日まで延
長されており,被告が,今後も被告ドメイン名を使用していくことは明ら
かである。
()したがって,被告の前記()アの行為は,不正競争防止法2条1項2号,72
1号の不正競争行為に,前記()イの行為は,同項12号の不正競争行為に2
該当し,被告は,現在も,同不正競争行為を継続している。
よって,原告は,被告に対して,不正競争防止法3条,2条1項2号又
は同項1号に基づき,被告表示の使用の差止めと被告商号の抹消登記手続
を,同法3条,2条1項12号に基づき,被告ドメイン名の使用の差止め
と被告ドメイン名の抹消登録手続を請求する。
2被告の認否,反論
()原告の主張の()ないし()は明らかに争わない。115
()原告の主張()は否認する。26
被告は,平成19年6月20日に解散しており,以降,被告表示を使用
して営業活動を行っていない。また,被告は,既に,被告ドメイン名の抹
消登録の手続を行い,楽天市場での営業についての退店届けも提出した。
第3当裁判所の判断
1原告の主張()ないし()は,被告において明らかに争わないから自白した15
ものとみなす。
2被告は,既に解散しており,現在は,被告表示を使用して営業活動を行っ
ていない旨主張するので,本件において,原告の営業上の利益の侵害ないし
そのおそれがあるかについて検討する。
()証拠(甲12,13,15,16ないし27。枝番も含む。)及び弁論1
の全趣旨によれば,以下の各事実が認められ,これに反する証拠はない。
ア被告の営業形態
被告は,平成16年7月20日に設立され,赤虫等の観賞魚用の餌を,
被告表示「エーザイ」を付して販売している。
また,被告は,「E−ZAI」の店名で楽天市場に出店しており,同
サイトにおいては,5種類の商品を出品し,同商品をインターネットを
通じて販売している。さらに,被告は,被告ドメイン名をドメイン名と
した被告サイトを開設しているが,同サイトには,「商品などに関する
お問い合わせは下記まで御願い致します。」との表示及び同表示の下に
被告の住所と電話番号の表示がある。
イ本件訴訟に至る経緯等
原告は,「エーザイ」の表示を商号に使用している被告の存在を知り,
平成18年8月,被告に対して,社名の変更を求め,以後,原告と被告
との間で,社名変更のための交渉がされるようになった。被告は,この
交渉の中で,平成19年2月20日,原告からの社名変更時期の報告の
要求に対する回答として,在庫品の販売終了まで社名の変更の猶予を嘆
願する書面を原告に送付した。
原告は,被告との交渉の結果,被告は,任意には商号変更,被告表示
及び被告ドメイン名の使用の中止をしないものと考え,平成19年5月,
本件訴訟を提起した。
被告は,平成19年6月20日,臨時株主総会を開催し,同総会にお
いて被告を解散する決議をし,同月21日付けで解散の登記がされ,同
月28日付けの本訴答弁書において,前記「被告の認否,反論」(第2,
2())記載のとおり主張した。2
ところが,平成19年7月5日ころ,原告代理人中村勝彦の妻である
乙が,被告サイト及び楽天市場に被告の電話番号として表示してある電
話番号に電話をかけ,商品についての問い合わせをしたところ,被告従
業員と思われる相手方は,乙に対し,販売している商品の説明をした。
さらに,同月11日,乙が,同様に,電話により,上記の説明にあった
商品である「キューブタイプ赤虫」を注文すると,相手方は,これを承
諾し,同月13日,上記商品が乙の自宅に届き,同商品の包装には「有
限会社エーザイ」,「エーザイのレッドワーム」及び「E−ZAI」の
表記がなされていた。
なお,被告ドメイン名登録の有効期限は,本件提訴時点では,平成1
9年7月16日であったが,その後,平成20年7月16日まで延長さ
れている。
()上記()で認定した事実からすれば,被告は,既に解散し,現在は,法21
律上清算中の会社ではあるが,現在も,被告表示を付して被告の商品の在
庫品を販売しており,また,被告サイトを開設していることから,今後も,
上記の販売及び被告ドメイン名の使用を継続していくことは明らかである。
したがって,原告の営業上の利益は侵害されているものと認められる。
3そうすると,原告の請求のうち,被告表示及び被告ドメイン名の使用の差
止め並びに被告商号の抹消登記手続の請求は理由がある。
しかしながら,被告ドメイン名の登録抹消申請手続の請求については,被
告ドメイン名の登録名義人が甲であって被告ではない以上,被告に対して上
記請求をすることはできない。
第4結論
以上の次第で,本訴請求は,主文第1項ないし第4項の限度で理由がある
からこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却し,主文第4項につ
いては,相当でないので仮執行宣言を付さないこととして,主文のとおり判
決する。
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官清水節
裁判官佐野信
裁判官國分隆文

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