弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人田宮敏元の上告理由一について
 民法八二五条の規定は、共同して親権を行うべき父母の一方が、他方の意思に反
して共同名義で未成年者に代わつて法律行為をし又は未成年者がこれをすることに
同意した場合において、その外形を信頼した善意の相手方を保護し、もつて取引の
安全を図ることを目的としたものであつて、取引行為とは異なる訴訟行為には適用
されないものと解するのが相当である。けだし、訴訟行為においては、一つの行為
が他の行為の前提となり、これらが有機的に結合して手続を形成していくのであつ
て、右行為の効力は一義的に明白であることが必要であり、民法八二五条が規定す
るように相手方が善意であるかどうかによつてその効力が左右されるのは妥当でな
いし、また、訴訟行為が外形上父母の共同名義で行われてさえいれば、他の一方の
意思に反した場合でもその効力に影響がないと解することは、民訴法が、親権の共
同行使の原則のもとで、未成年者が適法に代理されているかどうかを職権調査事項
とし、これを看過した場合を絶対的上告理由(民訴法三九五条一項四号)及び再審
事由(民訴法四二〇条一項三号)として規定していることと相容れないからである。
 しかるに、原審は、当時未成年者であつた上告人の父Dが母Eと連名で弁護士に
対してした裁判上の和解の権限を含む訴訟委任の効力について判断するにあたり、
民法八二五条の規定は弁護士に対する訴訟委任のような訴訟行為にも適用されるも
のと解したうえ、仮に右訴訟委任がEの意思に基づかなかつたとしてもその効力は
妨げられないものと判断しているのであつて、右判断には民法八二五条の解釈適用
を誤つた違法があるといわなければならず、右違法が原判決に影響を及ぼすことは
明らかである。
 同二について
 民法八二六条一項の規定による特別代理人の選任申立は、父母が共同で親権を行
う場合においても、その一方のみが単独ですることができるものと解するのが相当
である。けだし、右規定は、親権者と未成年者との間に利益相反の関係がある場合
において、親権者に特別代理人の選任を申し立てるべき義務があることを定めたも
のであつて、未成年者に右義務があることを定めたものではなく、したがつて、親
権者が未成年者に代わつて法律行為をする場合における親権の共同行使の原則は適
用される余地がないからである。これと同旨の原審の判断は正当であり、その過程
に所論の違法はない。
 同三について
 原審は、上告人の親権者であつたDが、本件和解において、F興業株式会社の被
上告人に対する求償債務の支払のため、みずから連帯保証人となるとともに上告人
の法定代理人としてした本件不動産の担保提供につき、のちに上告人の特別代理人
に選任されたGがその追認をしたことの効力について判断するにあたり、Gが本件
和解において右求償債務の連帯保証人となつていたとしても、Gと上告人との間に
利益相反の関係があるとはいえないから、Gに特別代理人としての適格がないとは
いえず、仮に右適格がないとしても、家庭裁判所が選任したものである以上当然に
選任の効力が左右されるものではないと解し、Gが上告人の特別代理人としてした
右担保提供についての追認は有効である、と判断している。
 しかしながら、親権者と未成年者との間に利益相反の関係があるかどうかは行為
自体から外形的に判断すべきものであることは、当裁判所の判例とするところであ
つて(最高裁昭和四〇年(オ)第一四九九号同四二年四月一八日第三小法廷判決・
民集二一巻三号六七一頁、同昭和四三年(オ)第七八三号同年一〇月八日第三小法
廷判決・民集二二巻一〇号二一七二頁)、この理は、家庭裁判所が選任した特別代
理人と未成年者との間にも妥当するものと解すべきところ、仮にGが本件和解にお
いて上告人が担保提供をしたのと同一の債務につき連帯保証人となつていたものと
すれば、その場合には、債権者たる被上告人が上告人に対する担保権の実行を選択
するときは、これによつて被担保債務が消滅する限度においてGの責任が軽減され、
また、被上告人がGに対する連帯保証債務の履行請求を選択してその支払を受ける
ときは、Gと上告人との間で担保権について弁済による代位の問題等の生ずること
が行為自体から外形的に当然予想されるのであるから、本件不動産がその名義どお
り上告人の所有に属するものである限り、Gが上告人の特別代理人としてその担保
提供を追認することは利益相反行為にあたるものといわなければならない。そして、
特別代理人は、親権者と未成年者との間に利益相反の関係がある場合に、親権者に
代わる未成年者の臨時的保護者として家庭裁判所によつて選任されるものであるか
ら、右のようにして選任された特別代理人と未成年者との間に別に利益相反の関係
がある場合には、親権の制限に関する民法八二六条一項の規定が類推適用され、特
別代理人は、選任の審判によつて付与された権限を行使することができず、仮にこ
れを行使しても無権代理行為として新たに選任された特別代理人又は成年に達した
本人の追認がない限り無効である、と解するのが相当である。
 したがつて、右と見解を異にし、Gと上告人との間に利益相反の関係があること
を否定し、Gが特別代理人としてした担保提供についての追認を有効であるとした
原審の前記判断には、民法の解釈適用を誤り、ひいて審理不尽、理由不備の違法が
あるものといわなければならず、右違法が原判決に影響を及ぼすことは明らかであ
る。
 以上のようにみてくると、論旨二は理由がないが、論旨一、三は理由があり、原
判決はその余の論旨について判断するまでもなく破棄を免れない。そして、本件に
ついては更に審理を尽くさせる必要があるからこれを原審に差し戻すのが相当であ
る。
 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判
決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    宮   崎   梧   一
            裁判官    木   下   忠   良
            裁判官    鹽   野   宜   慶
            裁判官    大   橋       進
            裁判官    牧       圭   次

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