弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告理由第一点について。
 本件訴状に被告の表示として
          岡山市上伊福岡山県庁内岡山県選挙管理委員会
          被告委員長   D
との記載があることは論旨の指摘するとおりであり、本件訴は一見岡山県選挙管理
委員会委員長たるDを被告として提起されたかの如き感がないではない。しかし訴
状全般の内容によれば本件訴は前示選挙管理委員会が本件選挙に関する訴願につき
なした裁決を不服とし、右委員会を相手方として提起された当選無効の訴であり、
そして右委員長Dなる記載は該委員会の代表者としての表示に過ぎないものである
ことが了解できるのである。この事は、記録上顕著であるように、右と同様の見地
に立つて原審が委員会を被告として取扱つたことに対し原告は勿論委員会(上告人)
もまた異議なく訴訟を遂行し来つたことに徴しても明らかなのである。されば原判
決には所論のような違法はなく、論旨は理由なきものである。
 同第二点について。
 原判決主文第一項に「被告が昭和二二年八月八日なした裁決はこれを取消す」と
の記載あることは論旨の指摘するとおりである。しかし右主文第一項の趣旨が「昭
和二二年八月八日本件選挙に関する訴願に対し上告人(被告)がなした裁決を取消
す、」意であることは、原判決の事実摘示及び理由説示の記載を斟酌すれば、容易
に理解することができる。されば原判決に所論のような違法はなく論旨は採用に値
しない。
 同第三点について。
 原審は本件係争の四票のうち、所論第一票(乙第一号証の一)については、『二
字のうち下の字は「一」と明瞭に読むことができるが上の字は拙い「ワ」の字型の
略中央に右上方から斜に左下方にかけて相当長い墨痕があつてその色も濃く、従つ
てこれを誤つて附着した墨痕又は投票紙を折畳んだ際にかすれて附着した汚点とは
認められない。そして文字型全体を考察すると不鮮明で通常人には文字として判読
できない』と認定し、所論第二票(同号の二)については『六字のうち上から三字
は「ホリィ」と判読されるが四字目は文字大の墨点であつて如何なる文字なるや全
く判読し難い、そして六字目は「一」とはつきり読めるが五字目の文字もまた頗る
不明瞭で通常人には判読し難い』と認定し、所論第三票(同号証の三)については、
『二字のうち上の字は文字として判読し難いのみならず、下の字は三本横線が並行
して引いてあつて堀井和市の「市」とは判読し難い』と認定し、所論第四票(同号
証の四)については『二字のうち下の字は墨汁がうすく滲んでいるがこれは強いて
「一」と読まれないことはない。しかし上の字は周囲に墨汁が滲んでいる以外に三、
四の墨痕があつて文字頗る不鮮明で通常人では文字として判読し難い』と認定して
いる。そして、この原判決の事実認定は前示乙第一号証の一乃至四に照らし、これ
を肯認するに難くないのである。原審は右係争四票の文字が前示の如く不鮮明の程
度甚しく文字として通常人の判読し得ないものであること、及び本件選挙の候補者
中に堀井和市の外に堀井久一がおること等諸般の事情を綜合して、該四票は堀井和
市の有効投票とは認め難く候補者の何人を記載したかを確認し難いものに該当する
と判示したのである。右判旨は首肯し得るのであり、原判決には所論のような違法
はなく論旨は採用に値しない。
 よつて民訴四〇一条九五条八九条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    澤   田   竹 治 郎
            裁判官    眞   野       毅
            裁判官    齋   藤   悠   輔

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