弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とし、参加により生じた費用は参加人等の負担
とする。
         理    由
 上告人及び補助参加人の上告理由について。
 論旨は、本件訴訟物の価額を争い之を前提として原審の法令違背を主張するけれ
ども、記録によると、本訴は係争不動産の登記簿上の所有名義人である上告人A1
に対して、右不動産につき上告人のため昭和二八年一一月一一日に為された所有権
取得登記が、当初から全く何等の登記原因なく、恰もA2により所有者たるA3観
光株式会社と右上告人との間に売買契約が締結されたかの如く偽装して為されたに
すぎないことを理由とし、右所有者に代位してその所有権の確認と所有権移転登記
の抹消とを訴求するものであつて、右売買契約がA2により、所有者の代表取締役
として亦相手方たる上告人の代理人として締結されたものであることその他係争不
動産に関する所有者の法律行為の存在を主張し、更に当時に於ける右所有者の資産
の多寡その他に言及してその詐害行為取消権を行使する訴旨であつたことを確認す
るに足る事迹は顕われて居ないのであるから、本件訴訟物の価額は被上告人等がそ
の管理処分権を有する債権(右所有者に対する金一三、三九四、四三七円の金銭債
権)の額をその基準とすべきではなく、被上告人等が本訴に於て行使する右所有者
の権利利益乃ち右権利を行使することにより所有者に齎らす利益を基準とすべきで
あり、それは結局本訴提起当時に於ける係争不動産の価額にほかならないものと謂
わなければならない。ところが、記録就中岐阜市長作成の証明書によれば右不動産
の価額が当時一、四四七、〇〇〇円であつたことを認められるから、之に相応する
印紙を貼用したことの明らかな本件訴状及び本訴につき第一審裁判所が所論措置に
出でなかつたことを相当とし直ちに本案につき審判して右点に関する上告人等の主
張を排斥した趣旨の看取される原審に何等所論の如き違法はなく、論旨は到底採用
し得ない。
 論旨は更に、原審が被上告人等に本訴の基本たる債権者代位権を認めたのは違法
である旨主張するけれども、破産管財人はその破産財団に属する債権の管理処分権
を有しその債権保全のため債務者に属する権利をも行使し得るものと解すべきであ
るから、原審認定に係る株式会社D総本社がA3観光株式会社に対して金銭債権を
有して居たが昭和二九年八月四日破産宣告を受け、被上告人三名がその破産管財人
に選任された事実、その他によれば、原審が被上告人三名に右債権者代位権を認め
たのは違法でない。この点に関する論旨も理由がない。
 論旨はまた、原審の訴訟手続に法令違背の点があると主張するけれども、記録に
よると所論証人Eは所論の如き所謂唯一の証拠方法でないことが明らかである許り
でなく、第一審裁判所に送付された乙第一乃至第三二号証の写本と題する書面は第
一審裁判所或は原審に適法有効に提出された証拠資料ではないことが容易に看取さ
れるのであり、記録を精査しても原審訴訟手続に何等の違法を見出し得ない。され
ば、右違法を前提とする違憲の主張も採用し得ない。
 而して憲法二九条違反を言う点は結局係争不動産の所有権が上告人A1に属する
ことを主張するに帰着するけれども、原審認定に係る事実関係の下に於ては右不動
産所有権は依然としてA3観光株式会社に存するものと謂うべく、右点に関する原
審の判断の相当であることを肯認し得られるから、論旨は理由がない。
 その余の論旨は、原審の事実認定、証拠の取捨判断を単に非難し、或は原審の否
定した事実、原判示に副わない事実に基いて法令違背を言い、或は原判決に影響を
及ぼすものと認められない法令違背を主張するものであつて、すべて採用に由ない。
 よつて、民訴四〇案、九五条、八九条、九四条に従い、裁判官全員の一致で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    島           保
            裁判官    垂   水   克   己

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