弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1処分行政庁(高崎市長)が申立人に対し平成21年7月28日付
けでした都市計画法81条1項の規定に基づく建築物除却命令の執
行は,本案事件の判決確定に至るまでこれを停止する。
2申立費用は相手方の負担とする。
事実及び理由
第1申立ての趣旨及び理由並びに相手方の意見
本件申立ての趣旨及び理由は別紙1及び3記載のとおりであり,これに対す
る相手方の意見は別紙2記載のとおりである。
第2当裁判所の判断
1一件記録によれば,以下の事実が認められる。
(1)申立人は,平成18年10月20日付け許可第○号により,市街化調整
区域に位置する別紙物件目録記載1ないし4の土地(以下「本件土地」とい
う。)に係る開発行為につき,都市計画法(以下「法」という。)29条1
項に基づき,高崎市長から,予定建築物等の用途を「休憩所(ドライブイ
ン)」とする開発許可(以下「本件開発許可」という。)を受けた。
(2)申立人は,本件土地上に建築確認を受けて別紙物件目録記載5の建物
(以下「本件建物」という。)を建築し,平成19年5月17日から,本件
建物において,「○○」との名称で,飲食物を提供するほか,農産物等の物
品販売を行うなどの営業を開始した。
本件建物の床面積は2994.69平方メートルであり,事務所及び倉庫
等を除く営業面積が約2670平方メートルであるところ,このうち飲食店
及び飲食スペースは約1670平方メートル,物品販売スペースは約100
0平方メートルである。
(3)高崎市長は,予定建築物の用途をドライブインとする開発許可について
は,ドライブイン内の販売コーナーの面積を50平方メートル以内とするも
のに限って認めるとの運用をしていたため,本件建物が本件開発許可により
開発行為を許可した予定建築物の用途と異なり,法42条に違反していると
して,申立人に対し,平成19年7月20日付け,同年9月11日付け及び
平成20年4月14日付け各指示書により,開発行為を許可した予定建築物
(ドライブイン)以外の用途での使用を停止し,是正するよう指示をし,さ
らに,同年5月8日付け警告書により,同月22日までに開発許可を受けた
使用形態に復帰しない場合は,法81条の規定に基づき開発許可により建築
した建築物の使用停止等の措置を行うことを警告し,かつ,同年8月29日
付け催告書により,同年9月12日までに開発許可を受けた使用形態にする
よう催告した。これに対し,申立人が上記の指示や警告の趣旨に沿った是正
を行わなかったため,高崎市長は,申立人に対し,同月17日付け命令書に
より,申立人の本件土地における開発行為が法42条に違反しているとして,
法81条1項の規定に基づき,本件建物の使用を停止することを命じた。
(4)高崎市長は,申立人に対し,平成21年7月28日付け命令書により,
本件土地に係る開発行為について,申立人が予定建築物の用途を偽った開発
行為をし,法29条1項に違反しているとして,法81条1項の規定に基づ
き,本件開発許可を取り消すとともに,同命令到達の日から90日以内に本
件建物を除却することを命じた(以下「本件除却命令」という。)。
(5)申立人は,平成21年9月1日,本件除却命令の取消しを求める本案訴
訟を提起した。
申立人は,本件除却命令について,法34条9号,法施行令29条の7第
1号の解釈,適用(休憩所の意義,該当性)を誤った違法があること,上記
の休憩所(ドライブイン)につき,販売コーナーの面積を50平方メートル
以内とするものに限って認めるとの運用は,法的根拠を欠く違法違憲なもの
であること,高崎市長が同様の事例で何らの処分をしていないのは公平性の
原則を欠くものであることを主張している。
2重大な損害を避けるための緊急の必要性の有無
(1)損害の回復の困難の程度並びに損害の性質及び程度について
ア疎明資料(甲4)によれば,申立人が本件建物の建築及び設備工事に要
した費用(土地造成工事費用等を除く。)は3億円を上回ることがうかが
えるところ,本件除却命令により本件建物が取り壊された場合の損害の程
度は極めて大きいものであって,確かに金銭賠償による事後的な回復が不
可能であるとはいえないとしても,その規模にかんがみれば,回復は容易
でないというべきである。
イまた,本件建物の規模等に照らせば,本件建物が除却された場合,申立
人が本件土地上に本件建物と同等の建物を新たに建築して営業を開始する
までには相当の期間を要することが見込まれるところ,疎明資料(甲8)
によれば,申立人の本件建物における営業につき1か月平均約205万円
の営業利益のあることが認められるから,本件建物が除却され,本件建物
における営業活動ができなくなることにより,申立人は相当額の得べかり
し営業利益を失うことがうかがえる。もっとも,疎明資料(甲8,乙3)
によれば,申立人は,本件建物における営業のほか,群馬県,埼玉県及び
東京都内の合計17店舗において農業資材専門店や農産物等の直売所を経
営しており,インターネットを利用した商品販売も行っていること,申立
人の営業全体の年間売上高が60億8300万円である一方,本件建物に
おける売上高は1か月平均5731万6000円であり,申立人の営業全
体の売上高に占める比率は1割程度であることが認められ,申立人の事業
全体をみれば,本件建物における営業ができなくなることによる損害が多
大であるとはいえないかもしれない。しかし,本件建物における売上高自
体が相当な金額であって,本件建物が除却されることによる損害が重大な
ものであると評価することが困難であるとはいい難い。
ウ本件除却命令が執行された場合,本件建物における営業の規模からして,
申立人について,顧客や取引先からの信用が一定程度毀損されることが容
易に想定されるところ,いったん失われた信用の回復は,その性質上,著
しく困難である。
(2)本件除却命令の内容及び性質について
法は,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,もって国土の均衡ある発
展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とし(1条),法81条1項は,
指定都市等の長は,法に違反した者等に対し,都市計画上必要な限度におい
て,違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができる旨規定
する。本件土地が位置する市街化調整区域(法7条3項)は,一体の都市と
して総合的に整備し,開発し,及び保全する必要がある区域である都市計画
区域(法5条1項)について,無秩序な市街化を防止し,計画的な市街化を
図るため,市街化を抑制すべき区域として定められたものであるから,本件
除却命令は,法の目的に沿うよう,市街化調整区域における市街化を抑制し,
都市計画区域について計画的な市街化を図るという公益を実現しようとする
ものであると解される。
本件建物の使用形態は前記1(2)のとおりであり,約1000平方メート
ルの物販施設を有することが問題とされているところ,本件除却命令の効力
が本案事件の解決まで停止されることによって,関係者の利害に著しい影響
を及ぼすとか,公益が大きく損なわれるといった事情はうかがえないし,本
件建物を直ちに除却しなければ事後的に同様の効果を得ることが困難になる
という事情も見当たらない。
(3)以上のとおりであるから,本件除却命令の執行により申立人に生ずる損
害は,損害の回復の困難の程度を考慮し,さらに,損害の性質及び程度並び
に処分の内容及び性質を勘案すると,行政事件訴訟法25条2項本文が規定
する重大な損害に該当し,その重大な損害を避けるため,本件除却命令の執
行を停止すべき緊急の必要があるというべきである。
3本案の理由の有無
申立人は,本件除却命令について,法34条9号,法施行令29条の7第1
号の解釈,適用を誤った違法があるなどの主張をしているところ,その主張に
ついて,本案の審理を待つまでもなく明らかに理由がないとはいえないのであ
って,行政事件訴訟法25条4項にいう「本案について理由がないとみえると
き」には当てはまらないというべきである。
4結論
よって,本件申立ては,理由があるからこれを認容することとし,申立費用
の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条をそれぞれ適用して,主
文のとおり決定する。
平成21年10月23日
前橋地方裁判所民事第1部
裁判長裁判官内藤正之
裁判官城内和昭
裁判官大友真紀子

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