弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人向江璋悦の上告趣意第一点のうち、憲法三一条違反を主張する点は、検察
官が被疑者を取り調べる際、最初の取調にあたつて供述拒否権を告知している以上、
その後の取調にあたつてあらためてこれを告知しなくても刑訴法一九八条二項に違
反するものとは云えないから(昭和二六年(あ)第二四三四号同二八年四月一四日
第三小法廷判決、集七巻四号八四一頁参照)、その点に違法のあることを前提とす
る右論旨は、その前提を欠き、上告適法の理由とならない。また、憲法三八条違反
を主張する点は、被疑者の取調にあたつて、供述拒否権のあることをあらかじめ告
知しなかつたからといつて、その取調に基く被疑者の供述がただちに任意性を失う
ということにはならないことは、昭和二二年(れ)第一〇一号同二三年七月一四日
大法廷判決(集二巻八号八四六頁)の趣旨に徴して明らかであるから、所論は理由
がない。
 同弁護人のその余の論旨は、憲法三一条違反をいう点もあるが、実質はすべて単
なる法令違反の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
 弁護人垂水克己の上告趣意は、憲法三一条違反をいう点もあるが、実質はすべて
単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらな
い。
 よつて、同法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
  昭和四三年一二月一九日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎

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