弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中上告人の敗訴部分を破棄する。
     前項の部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。
     被上告人は、上告人に対し、五九四万四三六〇円及びこれに対する昭和
五二年七月二三日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
     前項の裁判に関する費用は被上告人の負担とする。
         理    由
 一 昭和五二年(オ)第一〇八六号事件
 上告代理人仁科康、同池田映岳の上告理由第一点について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決拳示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審
の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用するこ
とができない。
 同第二点及び第三点について
 本件記録によれば、(一) 被上告人は、当初、訴状の記載に基づき、上告人らの
不法行為によつて、治療関係費用、休業損害、逸失利益、慰藉料として合計四九六
万〇二四六円の損害を被つたところ、すでにその賠償として、自動車損害賠償責任
保険から七八万六〇九五円、第一審相被告Dから一万二八二〇円合計七九万八九一
五円の支払を受けたとして、これを控除した四一六万一三三一円(附帯請求である
遅延損害金の請求についてはしばらくおく。以下同じ。)を請求金額としてその支
払を求める旨を主張したこと、(二) 被上告人は、その後、その請求を拡張し、第
一審の口頭弁論終結当時においては、前記各損害費目の合計額七九〇万四三九三円
に弁護士費用相当額として七〇万円を付加した八六〇万四三九三円を損害額とし、
右金額から前記弁済受領額七九万八九一五円を控除した七八〇万五四七八円の支払
いを求める旨を主張していたこと、(三) しかるに、被上告人は、第一審判決に対
する控訴後、原審第一回口頭弁論期日において控訴の趣旨を陳述するに際し、その
理由を付することなく、支払を求める金額を七三二万〇七九八円に減縮したが、更
に、原審第五回口頭弁論期日には、昭和五一年一月二八日付準備書面の記載に基づ
き、損害費目中休業損害についての主張を整理して二五万二三四一円を減額した結
果、損害額を八三五万二〇五二円とする旨、また、前記Dから第一審判決言渡し後
新たに四八万四六八〇円の弁済を受けた旨、陳述し、その趣旨に従い請求金額を六
五八万三七七七円に減縮したこと、が認められる。
 ところで、原判決によれば、原審は、上告人が被上告人に対し、被上告人の請求
にかかる弁護士費用相当額を除く前記各費目につき合計三九五万八二六七円の損害
賠償債務を負担したことを認めたのであるが、前段説示のように、被上告人は、D
その他から右債務に対する弁済として合計一二八万三五九五円を受領したことを自
認し、上告人に対する請求金額を算出するにあたつても、みずからその主張にかか
る損害額から右弁済受領分の金額を控除したうえ、その残額(控訴の趣旨の陳述に
際し減額した四八万四六八〇円についてはしばらくおく。)をもつて本訴の請求金
額としているのであるから、原審としては、右申立の趣旨に従い、その認定にかか
る上告人の損害賠償債務額から右一二八万三五九五円の全額を控除しなければなら
なかつたものといわなければならない(なお、弁護士費用相当の損害額を算定する
にあたり、右控除前の債務額を基準とするか、控除後の債務額を基準とするかは、
右弁済を受けえたについての訴訟代理人の関与の程度いかんによるものと解される。)。
しかるに、原審は、上告人が弁済の抗弁を提出していないことを理由として、その
認定にかかる損害賠償債務額から被上告人の受領した弁済金額の一部にすぎない二
六万六三〇五円を控除するにとどめ、これによつて得た金額に弁護士費用相当額の
損害額を加え、上告人に対しその支払を命じているのであつて、右は、ひつきよう、
民訴法一八六条の解釈適用を誤つた違法をおかしたことに帰し、この違法は原判決
の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨中この点をいう部分は理由が
ある。したがつて、原判決中上告人の敗訴部分は、その余の論旨につき判断を加え
るまでもなく破棄を免れず、上告人の負担する損害賠償債務額について更に審理を
尽くさせるため、右部分につき本件を原審に差し戻すべきものとする。
 二 昭和五二年(オ)第一〇八七号事件
 上告人は、本判決末尾添付の申立書記戦のとおり民訴法一九八条二項の裁判を求
める申立をし、その理由として陳述した同申立書記載の事実関係は被上告人の争わ
ないところである。そして、右事実関係によれば、上告人が原判決により履行を命
じられた債務につきその弁済としてした給付は右条項所定の仮執行の宣言に基づく
給付にあたるものというべきであるところ、原判決中上告人の敗訴部分が破棄を免
れないことは前記説示のとおりであるから、原判決に付された仮執行の宣言がその
効力を失うことは明らかである。したがつて、右仮執行の宣言に基づいて給付した
五九四万四三六〇円及びこれに対する右支払の日の翌日である昭和五二年七月二三
日から支払ずみに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求め
る上告人の申立は、正当として認容すべきである。
 よつて、民訴法四〇七条、一九八条二項、八九条に従い、裁判官全員一致の意見
で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    江 里 口   清   雄
            裁判官    天   野   武   一
            裁判官    高   辻   正   己
            裁判官    服   部   高   顯
            裁判官    環       昌    一

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