弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人家本為一の上告理由は、末尾添付の補充上告理由と題する書面記載の
とおりである。
 論旨第一、二点について。
 自作農創設特別措置法五条五号にいう「近く土地使用目的を変更することを相当
とする農地」に当るものとして同号に基く指定をするかどうかは、農地委員会の無
条件な裁量に委ねられているものと解すべきではなく、委員会がその裁量により右
の指定をしないことが許されない場合に、右の指定をしないで買収を実施すること
は違法と解すべきである(昭和二七年(オ)第八五五号第二小法廷昭和二八、一二、
二五判決)。しかし、本件において、当事者間に争いのない事実と原審の認定する
ところによれば、本件土地は、現況農地であつて、新見駅より三〇〇米内外のとこ
ろにあり、幹線道路に沿つてはいるが、附近の状況は、小規模の工場、住宅が散在
している程度で、いわゆる工場地帯とまではなつていないというのである。かよう
に四囲の環境上、近い将来非農地化が必至と認められる程度に至らない農地につい
ては、委員会が同号に基く指定をしないで買収を実施したとしても、これをもつて
裁量権の範囲を越えるものとして違法視すベきではなく、論旨の主張するような事
情は、仮にかような事情が認められるとしても、それだけでは右判断に影響を及ぼ
すものではない。それ故、論旨は理由がない。
 論旨第三点について。
 同法五条六号は、自作農が自作農(すなわち賃貸人)の側のやむを得ない事情に
よりその所有地を一時他に賃貸した場合に関する規定であることは明らかであつて、
同号は、一時賃貸の原因が賃貸人の側のやむを得ない事情に基かない場合にはその
適用がないものと解するのが相当である。本件において、上告人の主張によれば、
上告人は本件土地を昭和一六年に訴外Dに賃貸し、昭和一九年一二月に翌二〇年末
をもつて返還を受けることの同意を得たが、同二〇年一月に同人は死亡し、二男E
が相続して右土地の耕作を続け、約束の期限を過ぎてもこれを返還しないというの
であつて、原審の認定するところによれば、右返還の約束は認められず、また上告
人が農地委員に選任されたのは、上告人の主張する返還期限の翌年に当る昭和二元
年一二月であつたというのである。してみると本件土地は、賃貸人である上告人の
側のやむを得ない事情に基き一時賃貸されたものでないことは明らかである。従つ
て、原審が本件土地を同号に該当しないと判断したことは、結局、正当であつて、
論旨は理由がない。
 論旨第四点について。
 論旨は、農地委員会が同法五条五号に基く指定をしないで買収を実施したことの
違法を本件訴訟において攻撃し得ないことを前提とするものと解すべきであるが、
本件訴訟において右違法を攻撃し得るものであることは、すでに述べたとおりであ
るから、論旨は前提を欠くものであつて、理由がない。
 論旨第五点について。
 本件上告は、所論の法律を適用するまでもなく、理由がないことは明らかである
から、論旨は判断の必要をみない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で、主文のとお
り判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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