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平成25年3月29日判決言渡
平成24年(行ケ)第10275号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成25年2月18日
判決
原告三洋電機株式会社
訴訟代理人弁護士尾崎英男
同日野英一郎
同上野潤一
同今田瞳
同鷹見雅和
訴訟代理人弁理士廣瀬文雄
同豊岡静男
被告日亜化学工業株式会社
訴訟代理人弁護士古城春実
同牧野知彦
同堀籠佳典
同加治梓子
訴訟代理人弁理士蟹田昌之
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
特許庁が,無効2011-800201号事件について,平成24年6月21日
にした審決のうち,「特許第3650000号の請求項1~4に係る発明について
の特許を無効とする。」及び「審判費用は,その5分の1を請求人の負担とし,5
分の4を被請求人の負担とする。」の部分を取り消す。
第2当事者間に争いのない事実
1特許庁における手続の経緯等
原告は,発明の名称を「窒化物系半導体レーザ素子および窒化物半導体レーザ装
置の製造方法」とする特許第3650000号(平成12年7月4日出願,平成1
7年2月25日設定登録。以下「本件特許」という。)の特許権者である。
被告は,平成23年10月7日,本件特許を無効にすることを求めて審判の請求
(無効2011-800201号事件)をし,原告は,同年12月26日付けで,
本件特許の請求項1及び5,並びに,段落【0007】,【0016】,【002
5】及び【0090】について特許請求の範囲の減縮,明りょうでない記載の釈明
及び誤記の訂正を理由とする訂正請求をした(以下「本件訂正」という。)。特許
庁は,平成24年6月21日,「訂正を認める。特許第3650000号の請求項
1~4に係る発明についての特許を無効とする。特許第3650000号の請求項
5に係る発明についての審判請求は成り立たない。審判費用は,その5分の1を請
求人の負担とし,5分の4を被請求人の負担とする。」との審決(以下「審決」と
いう。)をし,その謄本は,同月29日,原告(無効審判における請求人代理人)
に送達された。
2特許請求の範囲
本件訂正に基づく訂正後の本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし5の記載
は,次のとおりである(以下,請求項1ないし5に係る発明を,それぞれ「本件発
明1」ないし「本件発明5」という。)。また,上記訂正後の本件特許の特許請求
の範囲,明細書及び図面を総称して「本件明細書」ということがある(甲13)。
別紙1の本件明細書の【図1】は,発明の参考例に係る窒化物系半導体レーザ素子
の第1の例を示す模式的な透視斜視図,【図2】は,図1の半導体レーザ素子を上
側及び下側から観察した場合の模式的な平面図である。
【請求項1】導電性を有する透明基板の一方の面上に第1導電型の第1の窒化物系
半導体層,能動素子領域,および共振器長方向に延びるストライプ状のリッジ部を
有する第2導電型の第2の窒化物系半導体層が形成され,前記透明基板の他方の面
上に第1のオーミック電極が形成されるとともに,前記第2の窒化物系半導体層上
に第2のオーミック電極が形成されてなる窒化物系半導体レーザ素子であって,
前記第1のオーミック電極は,共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域
を除く領域に形成され,
前記第2のオーミック電極は,前記リッジ部上のストライプ領域の両端部近傍上
および前記ストライプ領域を含む所定領域上に形成され,
前記所定領域が,平面視において,前記第2の窒化物系半導体層の領域から前記
共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域ならびに素子の側面側の辺に沿っ
たストライプ状の領域を除く領域であることを特徴とする窒化物系半導体レーザ素
子。
【請求項2】前記第1のオーミック電極は,前記共振器の両端面側の辺に沿ったス
トライプ状の領域ならびに前記窒化物系半導体素子の両側面側の辺に沿ったストラ
イプ状の領域を除く領域に形成されていることを特徴とする請求項1記載の窒化物
系半導体レーザ素子。
【請求項3】前記基板は窒化ガリウムから構成されることを特徴とする請求項1ま
たは2のいずれかに記載の窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項4】前記第1および前記第2の窒化物系半導体層はガリウム,アルミニウ
ム,インジウム,ホウ素およびタリウムの少なくとも一つを含むことを特徴とする
請求項1~3のいずれかに記載の窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項5】窒化物系半導体レーザ素子をサブマウントにジャンクションダウンで
実装する窒化物系半導体レーザ装置の製造方法であって,
導電性を有する透明基板の一方の面上に第1導電型の第1の窒化物系半導体層,
能動素子領域,および共振器長方向に延びるストライプ状のリッジ部を有する第2
導電型の第2の窒化物系半導体層が形成され,前記透明基板の他方の面上に第1の
オーミック電極が形成されるとともに,前記第2の窒化物系半導体層上に第2のオ
ーミック電極が形成され,前記第1のオーミック電極は,共振器の端面側の辺に沿
ったストライプ状の領域を除く領域に形成され,前記第2のオーミック電極は,前
記リッジ部上のストライプ領域の両端部近傍上および前記ストライプ領域を含む所
定領域上に形成され,前記所定領域が,平面視において,前記第2の窒化物系半導
体層の領域から前記共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域ならびに素子
の側面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く領域である窒化物系半導体レーザ
素子を作製する工程と,
前記窒化物系半導体レーザ素子を前記透明基板側を上にして,該透明基板方向か
ら前記ストライプ領域の端部に形成された前記第2のオーミック電極の形状を見な
がら,ジャンクションダウンでサブマウントに実装する工程とを備えたことを特徴
とする窒化物系半導体レーザ装置の製造方法。
3審決の理由
(1)別紙審決書写しのとおりである。その判断の概要は以下のとおりである。
ア本件訂正における訂正事項は,いずれも,(平成23年法律第63号附則2
条18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の)特許法134条
の2第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものに該当し,同条5項におい
て準用する同法126条3項及び4項の規定に適合する。
イ本件発明1~4は,甲6(特開平10-242581号公報)に記載された
発明(以下「甲6発明」という。別紙2の【図2】は,発明の実施例に係るレーザ
素子の構造を示す斜視図である。)並びに甲2(特開平11-330610号公
報)及び甲3(特開2000-114664号公報)に記載された技術から当業者
が容易に発明することができたものである。
本件発明5は,甲2~7,9に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明を
することができたものとはいえない。
ウ本件訂正後の特許請求の範囲の記載が,特許法36条6項1号及び2号に規
定された要件を満たしていないとはいえない。
エ以上検討したとおり,訂正請求は認めることができる。そして,本件発明1
~4は,無効理由4により,特許法29条2項の規定により特許を受けることがで
きない発明であるため,本件発明1~4についての特許は,同法123条1項2号
に該当し,無効とすべきものである。一方,本件発明5についての特許は,請求人
(被告)の主張する無効理由及び証拠方法によっては,無効とすることができない。
(2)審決が,上記判断に際して認定した甲6発明の内容,本件発明1との一致点
及び相違点は,以下のとおりである。
ア甲6発明の内容
導電性のGaN基板1の一方の面上にn型窒化物半導体層2,活性層3,および
共振器長方向に延びるリッジストライプ4’を有するp型窒化物半導体層4が形成
され,前記GaN基板1の他方の面上に負電極7が形成されるとともに,前記p型
窒化物半導体層4上に正電極5とパッド電極6とが形成されてなる窒化物半導体レ
ーザ素子であって,前記負電極7は,共振器の側面側の辺に沿ったストライプ状の
領域を除く領域に形成され,前記正電極5とパッド電極6とは,前記リッジストラ
イプ4’上のストライプ領域の両端部近傍上および前記ストライプ領域を含む所定
領域上に形成され,前記所定領域が,平面視において,前記p型窒化物半導体層4
の領域から素子の側面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く領域である窒化物
半導体レーザ素子。
イ一致点
導電性を有する透明基板の一方の面上に第1導電型の第1の窒化物系半導体層,
能動素子領域,および共振器長方向に延びるストライプ状のリッジ部を有する第2
導電型の第2の窒化物系半導体層が形成され,前記透明基板の他方の面上に第1の
オーミック電極が形成されるとともに,前記第2の窒化物系半導体層上に第2のオ
ーミック電極が形成されてなる窒化物系半導体レーザ素子であって,前記第2のオ
ーミック電極は,前記リッジ部上のストライプ領域の両端部近傍上および前記スト
ライプ領域を含む所定領域上に形成され,前記所定領域が,平面視において,前記
第2の窒化物系半導体層の領域から素子の側面側の辺に沿ったストライプ状の領域
を除く領域である窒化物系半導体レーザ素子。
ウ相違点(審決の表記に合わせて,相違点5,6と記載する。)
(ア)相違点5
本件発明1では第1のオーミック電極が「共振器の端面側の辺に沿ったストライ
プ状の領域を除く領域に形成」されているのに対して,甲6発明では,「共振器の
端面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く領域に形成」されているのか否か不
明である点。
(イ)相違点6
本件発明1では第2のオーミック電極が形成される所定領域から,「平面視にお
いて,前記第2の窒化物系半導体層の領域から前記共振器の端面側の辺に沿ったス
トライプ状の領域」が除かれるのに対して,甲6発明では第2のオーミック電極が
「平面視において,前記第2の窒化物系半導体層の領域から前記共振器の端面側の
辺に沿ったストライプ状の領域」にも形成されている点。
第3当事者の主張
1取消事由に係る原告の主張
審決は,本件発明1と甲6発明との相違点5,6を,上記第2の(2)ウのとおり
認定した上,相違点5に係る本件発明1の構成ついては,甲6発明及び甲3から容
易想到であり,相違点6に係る本件発明1の構成については,甲6発明及び甲2か
ら容易想到であるとして,本件発明1は,甲6発明並びに甲2及び甲3に記載され
た技術から当業者が容易に発明することができた旨判断したが,この判断には,以
下のとおりの誤りがあり,審決の結論に影響を及ぼすから,審決は取り消されるべ
きである。
(1)相違点5の認定の誤り
審決は,甲6発明のn電極に関して,「共振器の端面側の辺に沿ったストライプ
状の領域を除く領域に形成」されているかどうか不明であると認定し,この点にお
いて,第1のオーミック電極が「共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域
を除く領域に形成されている」本件発明1と相違するとして,相違点5を認定した。
しかし,甲6には,第1のオーミック電極に相当する負電極7が共振器の端面側
の辺に沿ったストライプ状の領域を除く領域に形成されているなどとは一切記載さ
れておらず,また,負電極7の共振器の端面側の基板に対する位置関係が示されて
いる甲6の図2によると,負電極7が共振器の端面側の辺の位置まで形成されてい
ることは明らかである。
甲6の図2における基板1の共振器長方向の長さをL1,負電極7の共振器長方
向の長さをL2とすると,図2ではL1=L2となっており,負電極7の共振器長
方向の長さは基板1と等しいことが明らかである(別紙2の原告主張図参照)。仮
に,図2において,負電極7の共振器長方向の長さL2が,基板1の共振器長方向
の長さL1よりも短い(L1>L2)のであれば,図2における素子の奥側におけ
る基板1の稜線と負電極7の稜線の図面上水平方向の間隔(M1)と,素子の手前
側における基板1の稜線と負電極7の稜線の図面上水平方向の間隔(M2)とは等
しくないはずであるが,図2では両者は等しくなっている。このことは,基板1の
稜線と負電極7の稜線とのずれが,素子の水平方向のみであり,共振器長方向には
両者がずれていないことを意味している。すなわち,甲6の図2においては,負電
極7の共振器長方向の長さは基板1と等しいことは明らかである。
以上によれば,甲6の図2から,負電極7の端は,共振器の端面(劈開面)と面
一であり,負電極7は,共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く領
域に形成されていないことは明らかであり,甲6には,本件発明1のn電極に関す
る「前記第1のオーミック電極は,共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領
域を除く領域に形成され」との構成について記載がなく,p電極に関する「前記第
2のオーミック電極は,前記リッジ部上のストライプ領域の両端部近傍上および前
記ストライプ領域を含む所定領域上に形成され,」,「前記所定領域が,平面視に
おいて,前記第2の窒化物系半導体層の領域から前記共振器の端面側の辺に沿った
ストライプ状の領域ならびに素子の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く
領域であることを特徴とする」との構成の記載が存在しないばかりか,n電極につ
いても,p電極についても,共振器端面と面一に形成されている。
したがって,甲6発明において,n電極が,「共振器の端面側の辺に沿ったスト
ライプ状の領域を除く領域に形成」されているかどうか不明であることを前提とし
た審決の相違点5の認定は誤りであり,相違点5は,正しくは,「本件発明1では
第1のオーミック電極が『共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く
領域に形成』されているのに対して,甲6発明では,『共振器端面と面一に形成』
されている点。」と認定すべきである。
(2)相違点5,6に関する容易想到性判断の誤り
審決は,相違点5に係る本件発明1の構成ついては,甲6発明及び甲3から容易
想到であり,相違点6に係る本件発明1の構成については,甲6発明及び甲2から
容易想到であるとして,本件発明1は,甲6発明並びに甲2及び甲3に記載された
技術から当業者が容易に発明することができた旨判断した。
しかし,審決の判断は,以下のとおり誤りである。
ア審決は,甲3からはn型電極の部分だけを取り出し,甲2からはp型電極の
部分だけを取り出し,それらによって,甲6のn型電極とp型電極を置き換えれば
本件発明1と同じ構成になるとして,容易想到と判断したものである。
しかし,本件発明1の容易想到性の判断は,本件特許出願当時,半導体素子の分
野の平均的な技術者が,甲6,甲3,甲2から,本件発明1に容易に想到できたか
を判断しなければならないところ,甲6,甲3,甲2は,いずれも被告の出願に係
るものであり,本件発明1の電極形状の組合せは記載されていない。本件発明1は,
実際に,レーザ素子を実用化するためには,n電極の形状とp電極の形状が,とも
に本件発明1の構成要件を充足するように形成されることが必要であることを認識
して発明されたものである。本件特許出願当時,当業者が,甲6,甲3,甲2から,
この必要性を容易に認識できたのであれば,被告の発明者は,甲6,甲3,甲2か
ら,本件発明1の電極形状をn電極とp電極の両方に採用したはずである。
また,甲6,甲3,甲2は,n電極とp電極の形状(位置)に関する発明ではな
く,それぞれ別の技術的特徴を有する発明であり,各文献の中に,n電極あるいは
p電極に関する記載が断片的に存在するにすぎない。実際に,レーザ素子を実用化
するためには,n電極とp電極の両方について,その形状(位置)を設計する必要
があるが,甲6,甲3,甲2は,いずれも本件発明1とは異なる,n電極及びp電
極の形状(位置)の組合せを開示するにすぎないものであるところ,審決は,当業
者が,甲6発明と甲3記載の技術の組合せ,甲6発明と甲2記載の技術の組合せに
容易に想到し得ることの合理的理由を示していない。
審決は,本件発明1を知った上で,後知恵により容易想到と判断したものであり,
誤りである。
イ審決は,甲3のp電極に関する記載を全く認定していない。また,審決
は,相違点5に関して,甲6発明においても,共振器面を形成する際に劈開を
行っているとの理由で,甲3の技術を甲6発明に適用するのは容易であると判
断した。
しかし,甲3は,窒化物半導体レーザ素子の発明を開示するが,その特徴は,
リッジ形状のストライプの側面に絶縁性保護膜を形成し,その上にpパッド電
極を有する構成にあり,それによって,劈開による共振面の作製時や,作動中
の,p電極のはがれを防止する作用効果を奏すると記載しており(特許請求の
範囲,【0003】~【0006】),また,n電極とp電極が基板の同一側
に形成された素子(図3,図4)と,n電極がp電極と基板の反対側に形成さ
れた素子(図5)を記載し,どちらの素子にもその発明が実施できることを開
示している。また,甲3には,n電極に関して,「n電極が基板裏面に形成さ
れる場合,基板裏面にベタにn電極を形成後裏面からスクライブスすると,n
電極に阻まれて窒化物半導体までスクライブが達しない場合があり,この問題
点を防止するために,ウエハの基板裏面にパターン形状のn電極を形成するこ
とによりスクライブし易くなり,劈開性が向上する。・・・」(【003
2】)との記載がある一方,p電極に関する記載もあるから,甲3の第2のオ
ーミック電極は,少なくとも,第1の薄膜層が共振器端面と面一に形成されて
いるといえる(【0029】,図5)。
したがって,審決が,甲3のp電極に関する記載を全く認定していないこと
は誤りである。
そして,甲3は,n電極に関して劈開性の向上を記載するが,p電極につい
ては,上記のとおり,本件発明1の「前記所定領域が,平面視において,前記
第2の窒化物系半導体層の領域から前記共振器の端面側の辺に沿ったストライ
プ状の領域ならびに素子の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く領域
であることを特徴とする」との構成に反する構成を記載するのであるから,甲
3の技術を甲6発明に適用する際,n電極についてだけ適用し,p電極につい
ては甲3の記載を無視した審決の容易想到性判断は恣意的であり,誤りである。
ウ審決は,甲2の「n型電極を形成させるために窒化物半導体基板上に格子状
のフォトレジストを用いてn型電極を形成する」(【0051】)との記載に関し,
「格子状」の記載のみでは第1のオーミック電極がどのような形状であるかは明確
に把握できないとしつつ,「甲2において第1のオーミック電極を形成する際に,
格子状のフォトレジストを用いる理由を検討すると,・・・甲3に記載された劈開
性の向上であると推察される」とし,「『基板の共振器の端面側の辺に沿ったスト
ライプ状の領域を除いてn型電極(第1のオーミック電極)を形成すること』は,
・・・甲2に記載されているに等しい事項にすぎない。」と認定した。また,審決
は,相違点6に関し,甲6発明は,甲2に記載された「共振器面を形成する劈開時
にパッド電極が延び積層した窒化物半導体層を被覆することで窒化物半導体レーザ
を短絡することを防止する課題」を有することは明らかであるとして,甲6発明に
甲2の構成を採用することは当業者にとって容易に想到し得る旨判断した。
しかし,「格子状」の記載のみでは第1のオーミック電極がどのような形状であ
るか把握できないのは,「格子」は,「細い角材を縦横,あるいはそのどちらかの
方向に間をすかして組んだもの。」という意味があって(甲12),「格子状のフ
ォトレジスト」を用いてn型電極を形成したとしても,形成されたn型電極が,縦
横方向に基板面が露出している状態か,それとも,一方向に基板面が露出している
状態か,特定されていないからである。
甲2の段落【0051】には,n型電極103に関して,格子状のフォトレジス
トを用いて形成することだけでなく,「フォトレジストを除去することにより窒化
物半導体基板を介してp型電極と対応したn型電極が形成される」という記載もあ
る。p型電極は,甲2の図1,2において101の番号が付されている電極で,
「共振器の長さ方向には共振器端面と面一に形成され,共振器の幅方向には,基板
よりも短い長さで形成され」ているから,格子状のフォトレジストによりp型電極
101に対応したn型電極103が形成されるということは,フォトレジストを用
いて形成されたn電極の形状が,その時点で既に形成されているp型電極の形状と
対応し,n型電極103も,p型電極101と同様に,「共振器の長さ方向には共
振器端面と面一に形成され,共振器の幅方向には,基板よりも短い長さで形成さ
れ」ていると考えるのが合理的である。なお,図2が示すように,パッド電極10
2は,縦横の格子状のフォトレジストにより形成されるが,n型電極103を形成
した後,別のフォトレジストにより形成されることが,段落【0053】に記載さ
れている。すなわち,段落【0051】の格子状のフォトレジストは,同段落の記
載全体から,共振器長方向のみに延びた形状であることが明らかである。
また,甲2において格子状のフォトレジストが用いられる理由を,甲3に開示さ
れた劈開性の向上であると推察する合理性はなく,甲2のn型電極103も,甲6
のn(負)電極7も,共振器の長さ方向には共振器端面と面一に形成され,共振器
の幅方向には,基板よりも短い長さで形成されているから,格子状のフォトレジス
トはこれらのn電極を形成するためにも用いられ得ると解すべきである。
したがって,甲2に,「基板の共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域
を除いてn型電極(第1のオーミック電極)を形成すること」(甲3のn電極構
造)が開示されているに等しいとする審決の上記認定は誤りである。
そして,甲2は,p電極に関して劈開性を考慮するが,n電極については,上記
のとおり,本件発明1の「前記第1のオーミック電極は,共振器の端面側の辺に沿
ったストライプ状の領域を除く領域に形成され」とは異なる構成を記載しているの
であるから,甲2記載の技術を甲6発明に適用する際,p電極についてだけ適用し,
n電極については甲2の記載を無視した審決の容易想到性判断は恣意的であり,誤
りである。
2被告の反論
以下のとおり,審決に取り消されるべき違法はない。
(1)相違点5の認定の誤りに対し
原告は,甲6発明において,n電極が,「共振器の端面側の辺に沿ったストライ
プ状の領域を除く領域に形成」されているかどうか不明であることを前提とした審
決の相違点5の認定は誤りであり,相違点5は,正しくは,「本件発明1では第1
のオーミック電極が『共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く領域
に形成』されているのに対して,甲6発明では,『共振器端面と面一に形成』され
ている点。」と認定すべきである旨主張する。
しかし,甲6発明では,n電極(第1のオーミック電極)が「共振器端面と面一
に形成」されていると認定しても,「共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の
領域を除く領域に形成されている」かどうか不明であると認定しても,甲6には,
n電極(第1のオーミック電極)が「共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の
領域を除く領域に形成されている」ことが開示されていない点が相違点になること
には変わりない。そうすると,いずれにせよ,相違点5が認定されるのは同じであ
るから,当該認定の相違は相違点5の認定の誤りとならず(その結果,審決の結論
に影響を与えない。),この点について,審決に違法はない。
なお,原告は,甲6の図2の長さを測定して,L1=L2のため,n電極は共振
器端面に面一に形成されていることは明らかであると主張するが,図2によれば,
n電極が共振器の端面側から後退しているようにも見えるのであり,図2のみから
n電極が「共振器端面と面一に形成」されていると断定することはできないから,
「共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く領域に形成されている」
かどうか不明とした審決の認定は誤りとはいえない。
(2)相違点5,6に関する容易想到性判断の誤りに対し
原告は,①甲6,甲3,甲2は,いずれも本件発明1とは異なる,n電極及びp
電極の形状(位置)の組合せを開示するにすぎないところ,甲3からはn型電極の
部分だけを取り出し,甲2からはp型電極の部分だけを取り出し,それらによって,
甲6のn型電極とp型電極を置き換えれば本件発明1と同じ構成になるとした審決
は,本件発明1を知った上で,後知恵により容易想到性を判断した誤りがある,②
甲3は,n電極に関して劈開性の向上を記載するが,p電極については,本件発明
1の「前記所定領域が,平面視において,前記第2の窒化物系半導体層の領域から
前記共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域ならびに素子の端面側の辺に
沿ったストライプ状の領域を除く領域であることを特徴とする」との構成に反する
構成を記載するところ,甲3の技術を甲6発明に適用する際,n電極についてだけ
適用し,p電極については甲3の記載を無視することは恣意的であり,容易想到性
判断に誤りがある,③甲2は,p電極に関して劈開性を考慮するが,n電極につい
ては,本件発明1の「前記第1のオーミック電極は,共振器の端面側の辺に沿った
ストライプ状の領域を除く領域に形成され」とは異なる構成を記載するところ,相
違点6に関し,甲2記載の技術を甲6発明に適用する際,p電極についてだけ適用
し,n電極については甲2の記載を無視することは恣意的であり,容易想到性判断
に誤りがあるとして,本件発明1は,甲6発明並びに甲2及び甲3に記載された技
術から当業者が容易に発明することができた旨の審決の判断は誤りである旨主張す
る。
しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。
ア上記①の主張に対し
進歩性の判断においては,対象発明と引用発明の一致点・相違点を認定し,
当該相違点を記載した引用発明があるかどうか,及び,これが存在する場合に
は,各相違点を記載した各引用発明を組み合わせるべき動機付けがあるかどう
かで判断されるべきものであって,これらが認められれば,対象発明の進歩性
は否定される。相違点相互の関係を考慮しながら容易想到性を検討しなければ
ならないのは,複数の相違点に係る構成が引用発明や対象発明において機能的
又は作用的に関連しているために,相違点を個別に検討することでは正しい容
易想到性の判断ができないような場合に限られるというべきである。
本件で,甲6,甲2,甲3及び本件発明1が規定するレーザ素子のn電極や
p電極の形状は,他方電極の形状に依拠することなく,各電極に関する劈開性
等の課題や技術的観点から決定されたものであり,一方の電極について上記構
成を採用すると,他方の電極もそれに伴って特定の構成を採用しなければなら
ないという事情はない。
すなわち,甲6では,n電極,p電極に関して述べている記載は,段落【0
014】,【0017】等であるが,当該各段落を含め甲6のいずれの段落に
おいても,両者の形状の関係を述べてはいない。
また,甲2では,p電極の形状(相違点6)の技術的意義に関し,劈開の際
にパッド電極が劈開面に接触することにより短絡することがないことが記載さ
れている(【0012】,【0013】)が,当該技術的意義はp電極の形状
に起因するものであり,n電極の形状との関連性はない。その他,p電極,n
電極の形成方法に関しては,段落【0050】,【0051】,【0053】
等に記載があるが,当該各段落を含め甲2のいずれの段落においても,両電極
の形状が相互に関連するとするような記載はない。
さらに,甲3では,n電極の形状(相違点5)の技術的意義に関し,スクラ
イブをし易くすることが記載されているが(【0032】),当該技術的意義
はn電極の形状に起因するものであり,p電極の形状との関連性はない。また,
p電極(相違点6)の技術的意義に関し,p電極の劈開性の向上であることが
記載されているが(【0029】),当該技術的意義もまたp電極の形状に起
因するものであり,n電極の形状との関連性はない。その他,甲3のいずれの
段落においても,両電極の形状の関連性を指摘するような記載はない。
一方,相違点5,6に係る本件発明1の構成の技術的意義に関すると考えら
れる本件明細書では,相違点5に係る構成については,n電極を所定の形状と
することにより,基板をスクライブする際に基板が露出した領域を「目印」と
するための構成である旨が記載される(【0052】,【0062】)。また,
相違点6に係る構成については,p電極を所定の形状とすることにより,スト
ライプ領域全体に均一に電流を注入し,劈開を容易に行い,あるいは共振器端
面にp電極がかぶさらないようにするための構成である旨が記載される(【0
061】,【0066】,【0069】)。その他,本件明細書において,本
件発明1の相違点5に係る構成(n電極の形状)と相違点6に係る構成(p電
極の形状)を組み合わせることによる特別な効果や両電極の形状の関連性につ
いての記載はない(なお,段落【0071】の記載は請求項5に関する記載で
あって,本件訴訟の対象である請求項1ないし4に関する記載ではない。)。
以上のとおり,甲6,甲2,甲3及び本件発明1において,相違点5に係る
構成(n電極の形状)と相違点6に係る構成(p電極の形状)とは,相互に独
立した目的を有する構成に過ぎないから,甲6発明をもとに,甲3からはn電
極の構成を,甲2からはp電極の構成を採用し,甲6に組み合わせることは可
能である。
したがって,本件発明1は,甲6発明に甲3及び甲2記載の技術を適用する
ことは容易であるとした審決の判断に誤りはない。
イ上記②の主張に対し
甲3には,窒化物半導体よりなるレーザ素子に関して,n電極を「共振器の端面
側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く領域に形成」することにより,「スクラ
イブしやすくなり,劈開性が向上する」ことが記載される(【0032】,【図
5】)から,これを相違点5に係る構成の容易性を判断する際に公知の技術的事項
として考慮することに何ら問題はなく,当該事項をp電極の形状と一緒でなければ
適用できないとする理由もない。当業者は,各電極の課題,技術的観点,工程等に
即し,甲3からはn電極の形状の構成のみを取り出して適用することも当然可能で
あり,両電極の構成を両方とも適用しなければならないとの主張に理由はない。
ウ上記③の主張に対し
甲2において,p型電極101の形状とn型電極103の形状は異なっているか
ら(図1,図2),甲2の段落【0051】の「対応した」との記載は,段落【0
029】の「対向して設けられる」と同義であり,仮にそうでないとしても,p電
極とn電極が「一対となっている」程度の意味でしかなく,形状の同一性に言及す
るものではないというべきである。
また,甲2においては,フォトレジストの形状を表現する際に,n型電極に関す
る形状である「格子状」とp型電極に関する形状である「ストライプ状」という文
言を明確に使い分けられている。p型電極101の形成方法については,段落【0
050】には,「フォトレジストをストライプ状に形成させ」との記載があり,こ
の「ストライプ状」のフォトレジストで形成されたp型電極101は図1,図2の
とおり,共振器の一方向(側面側)の基板が露出している電極である。一方,「格
子状」は,一方向である「ストライプ状」とは異なるものとして使い分けられ,縦
横両方向のものを指すことは明らかである。甲2の記載に即して,「格子状」とす
るn型電極の形成方法を解釈すると,縦横方向に(共振器の端面側の辺と共振器側
の辺に沿って)基板が露出していること(縦横方向にn型電極がない部分が存在す
ること)となる。すなわち,甲2の段落【0051】「前記n型電極103は,窒
化物半導体基板上に格子状のフォトレジストを用いて形成される」との記載は,窒
化物半導体基板の他方の面上に格子状のフォトレジストを塗布した後,フォトレジ
ストが塗布されていない領域にn型電極103となる材料を設け,その後,格子状
のフォトレジストを除去して,n型電極103となる材料が設けられていない格子
状の領域(フォトレジストが塗布されていた領域)でウエハを切断し,個々のチッ
プを得るということであり,「格子状」のフォトレジストによる場合は,その個々
のチップは,窒化物半導体基板の他方の面上において,切断されずに残ったストラ
イプ状の領域が「n型電極103」の四方に沿って(すなわち,チップの端面側の
辺と側面側の辺に沿って)存在することになる。そうすると,「ストライプ状」の
フォトレジストによる場合は上記のp型電極101のとおり一方向に基板が露出す
るようにしているのに対し,n型電極の形状である「格子状」の場合には,これと
は異なり,縦横方向に基板が露出するようにしている形状を意味すると解される。
甲2では,n型電極103となる材料が設けられていない格子状の領域(フォト
レジストが塗布されていた領域)でウエハを切断することは明記されていないが,
甲2において「格子状」のフォトレジストを用いる理由は,甲3と同様に劈開性の
向上にあると解され,劈開はフォトレジストが存在するためにn電極が形成されな
い空隙として残った「格子状」の部分において行うのが自然であるから,n電極が
形成される領域は「共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く領域」
といえる。
したがって,甲2のn電極は共振器端面と面一に形成されているのではなく,共
振器端面から後退するように形成されているのであるから,「基板の共振器の端面
側の辺に沿ったストライプ状の領域を除いてn型電極(第1のオーミック電極)を
形成すること」は,甲2に記載されているに等しいとした審決の認定に誤りはない。
また,仮に,両電極の形状の組合せの容易想到性を検討しなければならないとの
原告の主張によったとしても,甲2には,当該組合せが開示されている。すなわち,
甲2には,n電極が「共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く領域
に形成」されていることが開示されており(相違点5),p電極が「平面視におい
て,第2の窒化物系半導体層の領域から共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状
の領域」形成されているのであるから,甲2には相違点5及び6に係るn電極及び
p電極の形状の組合せが開示されている。
したがって,いずれにしても,原告の主張は理由がない。
第4当裁判所の判断
当裁判所は,以下のとおり,原告の主張にはいずれも理由がないものと判断する。
1相違点5の認定の誤りについて
原告は,甲6発明において,n電極が,「共振器の端面側の辺に沿ったストライ
プ状の領域を除く領域に形成」されているかどうか不明であることを前提とした審
決の相違点5の認定は誤りであり,相違点5は,正しくは,「本件発明1では第1
のオーミック電極が『共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く領域
に形成』されているのに対して,甲6発明では,『共振器端面と面一に形成』され
ている点。」と認定すべきである旨主張する。
しかし,原告の上記主張は,甲6の図2の記載を根拠とするものであるところ,
特許出願に際して願書に添付された図面は,特許を受けようとする発明の内容を明
らかにするための説明図であり,実際の縮尺どおりに記載されたものではないから,
同図の記載のみから,負電極7の端が,共振器の端面(劈開面)と面一であるとは
いえないし,負電極7が,共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域を除く
領域に形成されていないともいえない。また,甲6において,他に,本件発明1に
おける第1のオーミック電極に相当する負電極7が,共振器の端面側の辺に沿った
ストライプ状の領域を除く領域に形成されているかどうか(負電極7の端が共振器
の端面(劈開面)と面一に形成されているかどうか)を明らかにする記載は見当た
らない。
したがって,甲6発明において,n電極が,「共振器の端面側の辺に沿ったスト
ライプ状の領域を除く領域に形成」されているかどうか不明であることを前提とし
た審決の相違点5の認定に誤りがあるとは認められず,原告の主張は採用できない。
2相違点5,6に関する容易想到性判断の誤りについて
原告は,①甲6,甲3,甲2は,いずれも本件発明1とは異なる,n電極及びp
電極の形状(位置)の組合せを開示するにすぎないところ,甲3からはn型電極の
部分だけを取り出し,甲2からはp型電極の部分だけを取り出し,それらによって,
甲6のn型電極とp型電極を置き換えれば本件発明1と同じ構成になるとした審決
は,本件発明1を知った上で,後知恵により容易想到性を判断した誤りがある,②
甲3は,n電極に関して劈開性の向上を記載するが,p電極については,本件発明
1の「前記所定領域が,平面視において,前記第2の窒化物系半導体層の領域から
前記共振器の端面側の辺に沿ったストライプ状の領域ならびに素子の端面側の辺に
沿ったストライプ状の領域を除く領域であることを特徴とする」との構成に反する
構成を記載するところ,甲3の技術を甲6発明に適用する際,n電極についてだけ
適用し,p電極については甲3の記載を無視することは恣意的であり,容易想到性
判断に誤りがある,③甲2は,p電極に関して劈開性を考慮するが,n電極につい
ては,本件発明1の「前記第1のオーミック電極は,共振器の端面側の辺に沿った
ストライプ状の領域を除く領域に形成され」とは異なる構成を記載するところ,相
違点6に関し,甲2記載の技術を甲6発明に適用する際,p電極についてだけ適用
し,n電極については甲2の記載を無視することは恣意的であり,容易想到性判断
に誤りがある,として,本件発明1は,甲6発明並びに甲2及び甲3に記載された
技術から当業者が容易に発明することができた旨の審決の判断は誤りである旨主張
する。そこで,以下,検討する。
(1)上記①の主張について
原告の上記①の主張は,要するに,本件発明1は,レーザ素子を実用化するため
のn電極の形状とp電極の形状の組合せに特徴を有する発明であるところ,甲6,
甲3,甲2は,n電極とp電極の形状(位置)に関する発明ではなく,本件発明1
とは異なるn電極及びp電極の形状(位置)の組合せを開示するにすぎないにもか
かわらず,当業者が,甲6発明と甲3記載の技術,甲6発明と甲2記載の技術を,
それぞれ独立に組み合わせることを容易に想到し得るとして,相違点5,6に係る
本件発明1の構成を容易想到とした審決の判断は誤りであるというものである。
そこで,甲6発明と甲3記載の技術,甲6発明と甲2記載の技術を,それぞれ独
立して組み合わせることの当否について,まず,検討する。
ア認定事実
(ア)甲6には次の記載がある。
【0004】【発明が解決しようとする課題】このように世界で初めて窒化物半導
体により短波長のレーザ光源が出現したわけであるが,未だパルス発振であり,連
続発振させるためには,さらに改良が必要である。具体的には閾値電流をもっと下
げて発熱量を少なくして,長寿命とする必要がある。従って,本発明はこのような
事情を鑑みて成されたものであって,その目的とするところは,連続発振して,長
寿命を保持できる新規な窒化物半導体の構造を提供することにある。
【0005】【課題を解決するための手段】本発明の窒化物半導体レーザ素子は,
基板(1)上部に,n型窒化物半導体層(2)と,活性層(3)と,p型窒化物半
導体層(4)とを順に有し,そのp型窒化物半導体層の一部にリッジストライプ
(4’)が形成されてなる窒化物半導体レーザ素子であって,前記p型窒化物半導
体層の一部に形成されたリッジストライプ幅の中央線(a)が,基板に向かう鉛直
方向で,活性層幅の中央線(b)とずれていることを特徴とする。
【0006】さらに,前記レーザ素子のp型窒化物半導体層側には正電極(5)が
形成され,その正電極にはボンディング用のパッド電極(6)が電気的に接続され
ており,そのパッド電極に,ボンディングの中心から基板に向かう鉛直線(c)が
前記リッジストライプ幅の中央線とずれるように,ワイヤーボンディングされてい
ることを特徴とする。
【0007】さらにまた,前記レーザ素子のp型窒化物半導体層側には正電極と,
n型窒化物半導体層側には負電極(7)とが形成されて,その正電極と負電極とが
同一面側にあり,さらに前記リッジストライプ幅の中央線が,活性層幅の中央線よ
りも負電極側に接近していることを特徴とする。
【0014】さらに,本発明のレーザ素子ではリッジ最上部に形成した正電極5と
電気的に接続したボンディング用のパッド電極6を設けている。パッド電極6は実
質的に正電極5の表面積を大きくしてワイヤーボンディング,ダイボンディング等
のボンディング時にレーザ素子を他の部材と接続しやすくしている。本発明の請求
項2に係る素子では,このパッド電極6に例えば金線,アルミニウム線,銀線等よ
りなるワイヤー8でもってワイヤーボンディングされており,このワイヤーボンデ
ィングの中心からの鉛直線cが前記リッジストライプの中央線aとずれるようにさ
れている。なおワイヤーボンディングの中心とは,図3及び図4に示すようにワイ
ヤーがボールと接する点を指し,その点からの鉛直線cが,リッジストライプの中
央線cと断面方向で一致していないことを特徴としている。レーザ素子に正電極側
にワイヤーボンディングすると,ワイヤー接続時に衝撃が係る。この衝撃がリッジ
ストライプの真上に係ると,リッジ部の窒化物半導体の結晶が損ねられる可能性が
ある。特に窒化物半導体はダイヤモンドに近い非常に硬い物質であるため,衝撃が
直接リッジのような微小領域に係ると,そのリッジ内部の結晶が他の半導体に比べ
て壊れやすい。しかしながら,本発明のレーザ素子ではリッジ部とボンディング部
をずらしてあるため,リッジには直接真上から衝撃を受けないので,結晶が壊れに
くくなって,素子寿命が長くなる。
【0015】さらにまた,請求項3のレーザ素子は図1及び図3に示すように,p
型窒化物半導体層4側には正電極5と,n型窒化物半導体層2側には負電極7とが
形成されており,その正電極5と負電極7とが同一面側にある。同一面側に正電極
5と負電極7とがある場合,リッジストライプ幅の中央線aを活性層幅の中央線b
よりも負電極7側に接近させることにより,閾値が低下する。図3で示すと,リッ
ジ中央の鉛直線a’が活性層幅中央の鉛直線b’よりも負電極7に接近しているこ
とを意味する。これは正電極5と負電極7との間の距離が実質的に短くなって,窒
化物半導体電極間のシリーズ抵抗が小さくなるために,閾値電流が低下する。正電
極5に接近した側にある負電極7の端面と,リッジ中央の鉛直線a’との距離は2
00μm以下,さらに好ましくは150μm以下,最も好ましくは100μm以下
に調整することが望ましい。
【0017】[実施例1]サファイア(C面)よりなる基板1を反応容器内にセッ
トし,容器内を水素で十分置換した後,水素を流しながら,基板の温度を1050
℃まで上昇させ,基板のクリーニングを行う。基板1にはサファイアC面の他,R
面,A面を主面とするサファイア,その他,スピネル(MgAl2O4)のような絶
縁性の基板の他,SiC(6H,4H,3Cを含む),ZnS,ZnO,GaAs,
GaN等の半導体基板を用いることができる。絶縁性基板を用いた場合は,正電極
と負電極とは同一面側から取り出されるが,導電性基板の場合は図2,図4に示す
ように基板裏面側から負電極を形成することもできる。但し導電性基板を用いても,
同一面側に正と負の電極を取り出す構造としても良い。
(イ)甲3には次の記載がある。
【0029】また,本発明において,上記のような幅の狭いリッジ形状のストライ
プを有す(判決注・「有し」の誤記)得る場合,p電極上に形成されるpパッド電
極としては,特に限定されないが,好ましくは,少なくともストライプ長さと同一
の長さでp電極全面を覆って形成された金属を含む第1の薄膜層と,該第1の薄膜
層上にストライプ長さより短い長さで形成された金属を含む第2の薄膜層とから形
成され,または第1と第2の薄膜層との間に第3の薄膜層を形成してなると,pパ
ッド電極の劈開性が向上し,p電極の剥離を防止するのに好ましい。例えば,後述
の実施例で用いられている図3等に示されている第1の薄膜層31上に第2の薄膜
層32を形成してなるpパッド電極101が挙げられる。
【0032】また,n電極が基板裏面に形成される場合,基板裏面にベタにn電極
を形成後裏面からスクライブスすると,n電極に阻まれて窒化物半導体までスクラ
イブが達しない場合があり,この問題点を防止するために,ウエハの基板裏面にパ
ターン形状のn電極を形成することによりスクライブし易くなり,劈開性が向上す
る。パターン形状としては,ウエハを劈開して得られる1チップの形状が得られや
すいように,チップの大きさとほぼ同程度の形状,例えば400μm×400μm
の形状,であることが好ましい。つまりスクライブライン上及び/または劈開面上
にn電極が存在しないようにパターンをつけてn電極を形成する。更にメタライズ
電極もn電極と同様のパターン形状でn電極上に形成されると,スクライブし易く
なり劈開性が向上する。・・・n電極が裏面にパターン形状に形成される場合のチ
ップ化の方法としては,例えば,裏面のn電極パターン間を裏面からスクライブに
よりバー状サンプルを作製し,端面へ反射ミラー形成後裏面からスクライブにより
チップ化を行うことができる。
【図5】は,別紙3のとおりである。
(ウ)甲2には次の記載がある。
【発明が解決しようとする課題】・・・
【0009】・・・本発明は,比較的局所的な力が掛かりにくい,リッジやストラ
イプ状導波路領域とは離れた平坦な絶縁層上のパッド電極を介してワイヤボンディ
ングさせることができるものである。また,絶縁層のパッド電極を伝って,リッジ
上に設けられた電極のみに集中して電力を供給することにより,闘値の低下及び信
頼性とを同時に満たしたものである。
【0010】【課題を解決するための手段】本発明は導電性基板上に設けられた凸
型ストライプ状導波路領域と,導波路領域から連続する略平滑面とを有する窒化物
半導体レーザーである。特に,導波路領域上に設けられたストライプ状の第1電極
と,第1電極と電気的に接続され絶縁性保護膜を介して窒化物半導体の平滑面上に
配置されたワイヤボンディング用のパッド電極と,導電性基板を介して第1電極と
対向して設けられた第2電極とを有する窒化物半導体レーザーである。
【0011】これにより,ワイヤボンディングをストライプ状の導波路領域をさけ
て形成できるため,ストライプ状の導波路領域や絶縁層に何ら影響を与えることな
く,ワイヤボンディングすることができる。また,ストライプ状の導波領域と異な
る位置にワイヤボンディングさせても窒化物半導体を介して垂直方向(層厚方向)
に効率よく電流を注入することができる。そのため,偏在がなく効率よく半導体層
に電流を流し闘値を下げることができる。
【0012】本発明の請求項2に記載の窒化物半導体レーザーは,第1電極がスト
ライプ状導波路領域の端面に設けられた劈開面上まで延びていると共にパッド電極
のストライプ状導波路領域と平行な方向は第1電極より短く劈開部まで達していな
い。
【0013】そのため,劈開時にパッド電極が延び積層した窒化物半導体層を被覆
することで窒化物半導体レーザーを短絡することがない。即ち,ワイヤボンディン
グ時にワイヤ及び第1電極とオーミック接触をさせ効率よく電流を注入可能な金属
や合金を選択した場合,金属の延性が大きい傾向にある。しかしながら,パッド電
極を予め劈開端面から離して形成させてあるため劈開による短絡がない。
【0025】(第1電極101)第1電極101は窒化物半導体のコンタクト層1
14と直接接触するものであり,窒化物半導体とオーミック接触できる金属や合金
さらにはこれらの多層膜が挙げられる。第1電極101は窒化物半導体と接触する
だけでなく,第1の保護膜104上にも部分的に形成することができる。また,第
1電極101はストライプ状導波路領域115に形成された窒化物半導体に均一に
電力を供給する必要があるためストライプ長方向の全面に渡って形成されることが
望ましい。また,窒化物半導体レーザー100の共振面を劈開によって形成する場
合,窒化物半導体ウエハなどの劈開に伴って劈開面に金属片が接触することがなく,
延性の少ない材料を選択することがより望ましい。第1電極を構成する金属片(バ
リなど)が延性によって各半導体層と接触すると短絡や半導体層の破壊を生ずる場
合がある。
【0026】第1電極101の具体的材料として,窒化物半導体がn型の場合,具
体的にはAu,Pt,Ni,Al,W,In,Cu,Ag,Ir,Pd,Rh,T
i,Co,Sn,Pbなどの金属,合金,これらの積層体やPt,W,Moのシリ
サイドなどが好適に挙げられる。また,窒化物半導体がp型の場合,具体的にはR
u,Rh,OsやNi/Au(なお,/は積層体を示す。),Co/Au,Ni/
Ti/Au,Cu/Au,Pd合金やPt合金が好適に挙げられる。このような金
属や合金などはマスクを介してスパッタリング法や真空蒸着法を利用することで所
望の形状に形成することができる。
【0029】(第2電極103)第2電極103は,導電性基板106を介して第
1電極101と対向して設けられるものである。第2電極103は導電性基板10
6上に設けられるものであり,これにより窒化物半導体層を挟んで効率的に電流を
流すことができる。・・・
【0051】(n型電極103)n型電極を形成させるために窒化物半導体基板上
に格子状のフォトレジストを用いてn型電極を形成する。n型電極は予め研磨され,
フォトレジストが形成された窒化物半導体上にスパッタリング法を用いて,W/A
l/W/Auをそれぞれ200オングストローム/2000オングストローム/2
000オングストローム/3000オングストロームで成膜させた。さらにその上
にメタライズ電極を形成させる。メタライズ電極としてはAu-Snなどを厚さ1
から5μmで形成させることが好ましい。フォトレジストを除去することにより窒
化物半導体基板を介してp型電極と対応したn型電極が形成される。なお,p型電
極及びn型電極はp型コンタクト層やn型コンタクト層とオーミック接触させるた
めに熱処理を施す。
【図1】,【図2】は,別紙4のとおりである。
イ判断
(ア)上記ア(ア)認定の事実によれば,甲6発明は,連続発振して,長寿命を保持
できる新規な窒化物半導体の構造を提供することを目的としており(【000
4】),そのため,レーザ素子のp型窒化物半導体層側には正電極と,n型窒化物
半導体層側には負電極(7)とが形成されて,その正電極と負電極とが同一面側に
あり,さらに前記リッジストライプ幅の中央線が,活性層幅の中央線よりも負電極
側に接近していることを特徴とするが(【0007】),甲6において,正電極の
形状,負電極の形状及びそれらの技術的関連性についての記載ないし示唆があると
は認められない(【0014】,【0015】,【0017】)。
また,上記ア(イ)認定の事実によれば,甲3には,第1の薄膜層が,ストライプ
長さと同一の長さでp電極全面を覆って形成されているから(【0029】),少
なくとも,第1の薄膜層は,共振器端面と面一に形成されていること,スクライブ
イン上及び/または劈開面上にn電極が存在しないようにパターンをつけてn電極
を形成することによりスクライブし易くなり,劈開性が向上すること(【003
2】)が記載されているといえるが,n電極の形状とp電極の形状とが互いに技術
的関連性をもって決定されることは,記載も示唆もされていない。
さらに,上記ア(ウ)認定の事実によれば,甲2には,比較的局所的な力が掛かり
にくい,リッジやストライプ状導波路領域とは離れた平坦な絶縁層上のパッド電極
を介してワイヤボンディングさせることができ,絶縁層のパッド電極を伝って,リ
ッジ上に設けられた電極のみに集中して電力を供給することにより,闘値の低下及
び信頼性とを同時に満たす発明を開示すること(【0009】),第2のオーミッ
ク電極がパッド電極及び第1電極からなる窒化物系半導体レーザ素子において,劈
開時にパッド電極が延び積層した窒化物半導体層を被覆することで窒化物半導体レ
ーザーを短絡することがないようにし,また,該窒化物系半導体レーザ素子が,第
1電極からストライプ状導波路領域に形成された窒化物系半導体に均一に電力を供
給するために,「第1電極がストライプ状導波路領域の端面に設けられた劈開面上
まで延びていると共にパッド電極のストライプ状導波路領域と平行な方向は第1電
極より短く劈開部まで達していない」構成を採用すること(【0012】,【00
13】,【0025】,【0026】),n型電極(第2電極103)からなる第
1のオーミック電極は,格子状のフォトレジストを用いて形成され,導電性基板を
介して第1電極と対向して設けられること(【0029】,【0051】)が記載
されているといえるが,第1のオーミック電極(n電極)の形状と第2のオーミッ
ク電極(p電極)の形状とが,互いに技術的関連性をもって決定されることは記載
も示唆もされていない。
そうすると,甲6,甲3,甲2において,いずれもn電極の形状とp電極の形状
は,互いに技術的関連性をもって決定されることは記載も示唆もされていないから,
当業者において,甲6発明を改良するために,n電極の形状については甲3を,p
電極の形状については甲2を,それぞれ独立に参照することが不合理とはいえない。
なお,本件明細書をみても,本件発明1ないし4に関する限り,n電極の形状と
p電極の形状が互いに技術的関連性を有することや,それらの形状の組合せによる
特別な作用効果を示す記載は見当たらない。
(イ)以上によれば,甲6発明と甲3記載の技術,甲6発明と甲2記載の技術を,
それぞれ独立して組み合わせ,相違点5,6に係る本件発明1の構成に想到するこ
とが容易であるとした審決の容易想到性の判断方法に誤りはなく,原告の上記①の
主張は採用できない。
(2)上記②の主張について
上記(1)のとおり,甲6発明に,甲3のp電極の形状を採用するに当たり,n電
極の形状とは独立して採用できるといえる。
したがって,仮に,原告主張のように,甲3において,p電極に関し,本件発明
1の構成と異なる構成が記載されていたとしても,相違点5について,甲3記載の
技術を甲6発明に適用する際,n電極についてだけ適用することが恣意的であると
はいえず,原告の上記②の主張は採用できない。
(3)上記③の主張について
上記(1)のとおり,甲6発明に,甲2の第2のオーミック電極(p電極)の形状
を採用するに当たり,第1のオーミック電極(n電極)の形状とは独立して採用で
きるといえる。
したがって,仮に,原告主張のように,甲2において,n電極に関し,本件発明
1の構成と異なる構成が記載されていたとしても,相違点6について,甲2記載の
技術を甲6発明に適用する際,p電極についてだけ適用することが恣意的であると
はいえず,原告の上記③の主張は採用できない。
第5結論
以上によれば,原告主張の取消事由は理由がなく,他に審決には取り消すべき違
法はない。
よって,原告の請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官
芝田俊文
裁判官
岡本岳
裁判官
武宮英子
別紙
1本件明細書の【図1】(発明の参考例に係る窒化物系半導体レーザ素子の第1
の例を示す模式的な透視斜視図),【図2】(図1の半導体レーザ素子を上側及び
下側から観察した場合の模式的な平面図)
1はn電極,2はp電極,29aはストライプ領域,A,Bは共振器端面を示す。
【図1】【図2】
2甲6
【図2】原告主張図
L2L2L2L2
M1M1M1M1
M2M2M2M2
L1L1L1L1
L1=L2
(M1=M2)
3甲3
【図5】
4甲2
【図1】【図2】

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