弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を禁錮八月に処する。
     原審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は弁護人平原昭亮提出の控訴趣意書記載のとおりであるからここ
にこれを引用する。これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。
 右弁護人の控訴の趣意第一点の一について。
 論旨は、原判決は本件道路交通法違反の罪について同法第百十九条第二項(過失
犯)として処断すべきを同法第百十九条第一項第二号(故意犯)をもつて処断した
違法がある、というのである。よつて、原判決を査閲すると、原判決は被告人がダ
ンプ式大型貨物自動車を運転し、八王子方面から横浜方面に向け進行し、相模原市
ab番地先道路の国鉄横浜線第三種踏切(通称A踏切)を通過しようとした際自動
車運転者としては右踏切の直前で一旦停止し、前方左右を注視し、交通の安全を確
認して右踏切を通過すべきにかかわらず、これを怠り右一時停止をなさずして右踏
切を通過しようとして踏切上に進行した所為につき、道路交通法第三十三条第一項
に違反し、同法第百十九条第一項第二号に該当するものとしていることは判文上明
らかな<要旨第一>ところであつて、右のごとく被告人が踏切の存在を認識してこれ
を通過しようとした際一時停止をしなかつた以上直ちに右道路交通法第
三十三条第一項に違反する故意犯が成立し、これをもつて過失犯に該当するものと
なすことはできないから、所論は到底採用し難い。論旨は理由がない。
 同第一点の二について。
 論旨は、原判決は本件道路交通法違反の罪と過失往来危険の罪及び業務上過失傷
害の罪の三個の犯罪を併合罪として処断しているけれども、右は観念的競合(刑法
第五十四条第一項前段)に該当するものであるから、<要旨第二>原判決には法令の
適用に誤があるというのである。よつて按ずるに、本件道路交通法違反の罪は前記
のごとくこれを故意犯と認むべきであるから、これと過失犯たる過失往
来危険の罪及び業務上過失傷害の罪とは法律上<要旨第三>一個の行為で数個の罪名
に触れる場合に該当するものとはなし難いけれども、記録によれば本件過失往来危
の罪と業務上過失傷害の罪とは、所論のごとく、一個の過失行為によ
り同時に犯かされたものと認めるを相当とし、したがつて、右は刑法第五十四条第
一項前段、第十条により重い業務上過失傷害罪の刑に従い処断すべきであるから、
この法令適用の誤りが判決に影響を及ぼすことは明らかなところといわなければな
らない。すなわち、論旨はこの点において理由がある。
 そこで、原判決には前記のごとく、判決に影響を及ぼすべき法令適用の誤りがあ
るので、刑事訴訟法第三百九十七条、第三百八十条に則り原判決を破棄し、同法第
四百条但書に則り更に当裁判所において、弁護人主張の量刑の点をも考慮して、次
のとおり判決する。原判決が証拠により認定した事実(但しB駅とあるのをC駅と
訂正する。)を法律に照すと、被告人の所為中道路交通法違反の点は同法第三十三
条第一項に違反し、同法第百十九条第一項第二号罰金等臨時措置法第二条に、過失
により電車を脱線させてその往来の危険を生ぜしめた点は刑法第百二十九条第一
項、罰金等臨時措置法第二条、第三条に、業務上過失傷害の点は各刑法第二百十一
条前段罰金等臨時措置法第二条、第三条に各該当するところ、道路交通法違反の罪
については所定刑中懲役刑を選択し、過失往来危険の罪と各業務上過失傷害の罪と
は一個の行為で数個の罪名に触れる場合であるから、刑法第五十四条第一項前段、
第十条により犯情の最も重いと認めるDに対する業務上過失傷害罪の刑に従い処断
すべきものとし、所定刑中禁錮を選択し、これと前記道路交通法違反の罪とは刑法
第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十七条、第十条により重い業務上過失
傷害の罪につき定めた刑に同法第四十七条但書の制限に従い法定の加重をした刑期
範囲内において被告人を禁錮八月に処すべきものとし、原審における訴訟費用につ
いては刑事訴訟法第百八十一条第一項本文に則り全部これを被告人に負担させるこ
ととする。
 (その余の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 藤嶋利郎 判事 山本長次 判事 荒川省三)

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