弁護士法人ITJ法律事務所

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       主   文
債権者が金五〇〇万円の保証を立てるときは、
一、債務者は、食料品の製造並びに販売業に関し、「株式会社本家峰屋本陣」なる
商号、もしくは「峰屋」なる表示を使用し、または、右商号もしくは右表示を使用
した商品を製造、販売してはならない。
二、債務者の、右商号もしくは表示を使用した看板、店内掲示物件、包装紙、ラベ
ル、什器備品の占有を解いて、これを債権者の委任した福岡地方裁判所執行官の保
管に付する。
三、訴訟費用は債務者の負担とする。
       事   実
第一 当事者双方の求めた裁判
一 債権者
主文と同旨(立保証を除く)
二 債務者
1 債権者の本件仮処分申請を却下する。
2 訴訟費用は債権者の負担とする。
第二 当事者の主張
一 申請の理由
1 債権者は、その商号を「有限会社新天町峰屋」とし、食料品の製造並びに販売
を目的として昭和三三年三月七日に設立された有限会社である。
2 債権者の右商号及びその略称または通称である「峰屋」なる表示は、債権者の
営業またはその商品を示すものとして広く消費者の間に認識されいわゆる「峰屋の
蒲鉾」として、九州地方で知られていた。
3 債務者は、その商号を「株式会社本家峰屋本陣」とし、飲食店の経営、海産物
珍味及び蒲鉾の製造、販売を目的として、昭和五四年五月九日に設立された株式会
社である。
4 債務者の代表者であるA(Bとも略称する)は、もと債権者の代表取締役をし
ていたが、債権者が昭和四五年に和議申請をなし、同四九年に、債務の二〇パーセ
ントを一〇年間の分割払いにするという条件で和議認可決定を受け、その再建にか
かつたにもかかわらず、旧態依然とした放漫経営で再びその経営が危機に瀕したた
め、昭和五三年一一月、現在の代表取締役であるCが債権者の取締役に請われて、
その代表取締役として就任し、Aは取締役に格下げとなり、続いて同五四年一月三
一日にはその取締役も辞任し、債権者の経営から一切手を引くこととなつた。
5 しかるに、Bは、右取締役辞任後わずか三か月後の昭和五四年五月九日、債権
者の営業または商品の表示として周知のものとなつている「峰屋」なる表示の有す
る信用を自己の営業に利用しようと企て、即ち不正競争の目的をもつて、多数の選
択考案の余地ある商号の中から、敢えて債権者の商号と類似する「株式会社本家峰
屋本陣」なる商号を選択して債務者会社を設立し、右商号を債務者の商号として使
用し始めた。
6 のみならず、昭和五五年四月に至り、債権者が蒲鉾、天ぷら等の食料品を販売
するために、従前から、福岡市<以下略>所在のいわゆる西鉄地下街に有している
店舗の僅か二〇メートル先に、不正競争の目的をもつて、債権者の商号と類似した
右商号もしくは「峰屋」なる表示を使用した看板、のれん等を備え付けた店舗を設
置し、同所において、右債権者の店舗において販売している商品と全く同一の商品
を販売し始めた。
7 このような債権者の右商号もしくは表示の不正使用により、一般消費者は債務
者の商品を債権者の商品と誤認混同して購入している。
8 よつて、債権者は債務者に対し、商法第二〇条又は不正競争防止法第一条第一
項第一、二号に基づき、債権者の商号と類似した債務者の商号(商号が類似するか
否かは一般取引市場において世人が誤認混同するおそれがあるか否かによつて判定
すべきものであるが、その判定をするについては、商号の主要部分はどこにあるか
を見て決すべきであるところ、債権者の商号は消費者においてそのフルネームで通
用していたというよりは、単に「峰屋」として呼称され、その名で通用し、広く認
識されていたものであるから、その部分が主要部分というべきであり、債務者の商
号と債権者の商号は「峰屋」の部分において同一であるから、両者は全体として類
似する。)の使用禁止、および「峰屋」なる表示の使用禁止、また、右商号もしく
は右表示を使用した商品の製造、販売の禁止等の本案訴訟を提起すべく準備中であ
るが、本案判決のあるまで放置すれば、債権者の営業が消費者の誤認混同により著
しく侵害され、その損害ははかり知れないものがあり、その回復も不可能となるお
それがあるので、その保全のため本申請に及ぶ。
二 認否
1 申請の理由1の事実は認める。
2 同2の事実は否認する。
3 同3の事実は認める。
4 同4の事実は、Bが旧態依然として放漫経営をしたという点、債権者会社の現
代表取締役Cが請われて代表取締役に就任したという点を除き、その余の事実は認
める。
5 同5の事実中、昭和五四年五月九日Bが「株式会社本家峰屋本陣」という商号
で設立された債務者会社の代表取締役となり、右商号を使用し始めたことは認める
が、その余の事実は否認する。
6 同6の事実は否認する。債務者が債権者主張の場所で「さしみ天ぷら」と「お
でん」の販売を始めたのは、昭和五五年八月末である。
7 同7、8の各事実は否認する。
三 債務者の主張
1 債務者はAの出願に係る別紙商標権目録記載の「峰屋」ならびに「峰屋のかま
ぼこ」なる登録商標の使用権を商標権者Dより許諾されている者であり、これら商
標を使用した商品の製造、販売、商品の展示、広告をなすことは当然の権利の行使
である。
2 債権者は「峰屋」なる表示は債権者自体の商号の略称であり、ひいては債権者
の営業又は商品を指称するものの如く主張するが、それは甚しい思いあがりか、全
くの謬見と謂わねばならぬ。債権者はその設立の沿革、現実の営業活動の実績に照
らしても、あくまで「新天町(の)峰屋」なる商号表示に於てのみ個別性・独自性
を主張し得るに過ぎないのである。
3 債務者には世人をして自己の営業を債権者の営業と誤認混同させて、債権者の
商号ないし信用を自己の営業に利用しようとの意図は全くない。
 否、むしろ債務者の営業活動及びその製造販売にかかる商品は、債権者の営業お
よびその商品とは一切無関係で独自のものであることを広く世間に周知徹底せしめ
たいと念願し、債務者商品の包装紙、ラベルには、有限会社新天町峰屋と一切関係
がない旨の付記をなし、その旨のちらしを配布している。
四 債権者の反論
 債務者の主張する商標は、もともと、債権者が設立されてこの方使用して来た未
登録周知商標であつて、Bが個人としては全く使用していなかつたのである。とこ
ろが、Bは、本来債権者会社がなすべき商標登録を秘かに個人名義でなしたもので
あるが、その登録後さえ、個人として右商標を使用した事実は全くなかつた。とこ
ろが、債権者会社を辞任した直後に、たまたま、右の如き個人名義にして登録され
た商標権があることを奇貨として、全く同一の営業を営むために、債権者会社の未
登録周知商標と同一の商標を、極めて近接した場所において使用することは、不正
競争以外の何ものでもなく、このような行為は、不正競争防止法六条にいわゆる権
利の行使に該当しないものであり、信義に反するものである。
第三 証拠(省略)
       理   由
一 債権者が、昭和三三年三月七日「有限会社新天町峰屋」の商号で、食料品の製
造、販売を目的として設立された会社であること、債務者会社の代表者であるB
は、もと債権者会社の代表取締役であつたこと、Bが代表取締役当時の昭和四五年
一月六日、債権者は支払手形の決済ができず手形の不渡を出し、銀行取引停止処分
を受けて福岡地方裁判所に和議手続の申請をし、その認可決定を受けて再建にとり
かかつたが、再度、経営危機を招き、昭和五三年一一月代表取締役を辞任してCに
その地位を譲り、続いて同五四年一月三一日取締役たる地位をも辞任し、債権者会
社の経営から一切手を引いたこと、しかるに、Bは右辞任の三か月後の昭和五四年
五月九日、飲食店の経営、海産物珍味及び蒲鉾の製造販売を目的として、「株式会
社本家峰屋本陣」なる商号の債務者会社を設立し、蒲鉾、天ぷらの製造販売をなし
ていることは当事者間に争いがない。
二 成立に争いのない疎甲第一号証の一、二、同第四号証、同第六号証、同第八、
九号証(同第八、九号証は原本の存在も当事者間に争いがない。)、疎乙第一号証
の一、二、同第三号証、同第五号証、同第一一号証ないし第二〇号証、債務者の店
舗の写真であることにつき争いのない疎甲第二号証の一ないし三、債権者の各店舗
の写真であることにつき争いのない同第七号証の一ないし五、疎乙第八号証の一、
二、同第九号証の四ないし八、債務者の店舗の写真であることにつき争いのない同
第一〇号証の一ないし八、証人E、同F、同G、同Hの各証言及び債務者会社代表
者尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると、蒲鉾の製造、販売を営業とする
「峰屋」の表示は、もともとBの父I(初代I)が明治末期、福岡市<以下略>に
おいて、「峰屋」の屋号で蒲鉾店を開いたことに始るが、昭和二五年頃、Bの兄J
がこれを承継し、Bとともに個人経営を法人組織とし、福岡市<以下略>(債権者
の本店に同じ)に株式会社峰屋を設立しこゝで「峰屋」の屋号は右会社の商号に取
り入れられた。その後、Bが独立して蒲鉾屋を始めることとなり、同所に債権者で
ある有限会社新天町峰屋を設立したので、株式会社峰屋は本店はそのままとし、店
舗を福岡市<以下略>に移し、冠婚葬祭、給食用蒲鉾などの製造販売を主力とし、
Bの経営する有限会社新天町峰屋は、店頭販売用の蒲鉾の製造を主力商品とするこ
ととなつた。ところが、株式会社峰屋は昭和三八年頃倒産し、兄Jは二代目Iを襲
名したものの、福岡市において蒲鉾の製造販売をすることをやめて大阪へ移り住む
ことになつたので、Bが三代目Iを襲名した。当時、債権者会社はB夫婦の出資に
よる個人会社の域を出なかつたが、Bの蒲鉾、てんぷら製造における優れた技術、
新製品開発への努力や熱意により、債権者会社の商品はその味と品質においても優
れ、福岡市及びその周辺の消費者に広く親しまれるようになつた。その間の昭和三
八年一二月三一日、Bは、加工食料品などを指定商品とし、別紙商標権目録記載の
「峰屋」なる商標を出願し、同四〇年七月一二日その登録を受け、更に、蒲鉾を指
定商品として同四五年二月二四日「峰屋のかまぼこ」の商標を出願し、同四八年六
月一日その登録を受け、専ら債権者会社の商品、包装紙、ラベル、店頭のれん、提
灯などに使用し、株式会社峰屋が倒産してその営業を廃止した後は、蒲鉾、天ぷら
の製造、販売における「峰屋」なる表示は「新天町」の表示を冠するといなとにか
ゝわらず、債権者会社の営業主体営業活動の表示として、「峰屋のかまぼこ」なる
表示は債権者会社の製品たる蒲鉾の表示として福岡市及びその周辺における当業者
及び消費者に広く知られるに至つた。ところが、Bは債権者会社の事業拡張に失敗
し、前記争いのない事実のとおり、福岡地方裁判所に和議手続開始の申請をなして
和議認可の決定を受け、再建にとりかかつたが、再び債権者会社の経営危機を招
き、F(現債権者会社取締役)、Kから営業資金の融通を受けるにつき、その担保
として債権者会社の経営権を委ねざるを得なくなつた。そして昭和五三年一一月佐
賀県鹿島市で蒲鉾製造販売を営むCがFらの要請で、債権者会社の代表取締役に就
任することとなつて、Bは取締役として残留することとなつたものの、現実の職務
は、鹿島市所在の蒲鉾の原料製造工場で、一職人として技術指導を担当するに過ぎ
ず、その待遇もBの蒲鉾作りの技術や評価についての自負心から満足のいくもので
なかつたため、昭和五四年一月三一日に債権者会社の取締役を辞任し、その保有株
式を譲渡して債権者会社の経営から全く手を引くこととなつた。債権者会社は現在
新天町に本店店舗を構えて蒲鉾、天ぷらの製造販売をしているほか、西鉄名店街、
井筒屋百貨店、ダイエー原店内にそれぞれ直営店を出店し、蒲鉾、天ぷらを製造し
て店頭販売するほか、卸販売をしている。
 しかるに、Bは、昭和五四年五月九日、福岡市<以下略>に債務者会社を設立
し、当初、債務者は、ドライブインでうどん屋を営んだが、熊本市の岩田屋伊勢丹
百貨店地階における催事コーナーにおいて、さしみ天ぷらなどの製造販売で好評を
博したことにより、福岡市天神の岩田屋百貨店地階の催事コーナーにも蒲鉾、天ぷ
らの製造販売の出店を許され、その後、常設コーナーに移動して引続き蒲鉾、てん
ぷら等の製造販売を続けているほか、福岡市<以下略>に岩田屋百貨店が開店した
ことに伴い、同所にも出店し、蒲鉾、天ぷらの製造販売を行つている。そして、債
務者の岩田屋百貨店地階の催事コーナーは、債権者の前記西鉄名店街の直営店と同
一階で連なり、直線距離にして約三六メートル内外に過ぎなかつたし、債務者の右
常設コーナーも約二五〇メートル内外の距離にあり、債権者、債務者の両店舗の店
頭のれんや、提灯に書かれた「峰屋」の書体は、前記Bが出願登録した商標ではあ
るが、Bが債権者会社を経営していた当時から債権者会社において専ら使用してい
たものであり、債権者会社のそれには「新天町」、債務者会社のそれには「総本
家」又は「本陣」の付記がなされているものの、一般消費者から見ればその色調や
その他の紋様、販売商品ともども極めて類似していて一見して異同の区別ができな
い状態であることが一応認められる。
三 以上認定の事実によれば、債権者会社の商号中「新天町」の部分は、もともと
は、同じく初代Iの製法を承継する兄Jの株式会社峰屋との識別のために冠せられ
たもので、新天町峰屋と峰屋とは独立別個の表示であつたが、昭和三八年株式会社
峰屋が倒産して営業を廃止し、Bが兄の跡を継いで三代目Iを襲名してからは、殊
更「新天町」を冠する必要性もなくなり、かつまた、前記の「峰屋」「峰屋のかま
ぼこ」の登録商標を一五年余も、専ら債権者会社の営業活動や商品に使用したこと
により、債権者会社の営業主体ないし営業活動は、「新天町」を冠することなく
「峰屋」の呼称ででも福岡市及びその周辺における当業界、消費者に広く知られる
に至つていたと認められる。
 そうだとすると、両商号の主要部分をなす「峰屋」は双方に共通であり、債務者
会社の商号は「峰屋」なる文字の前後に「本家」と「本陣」なる文字を付加しては
いるが、それはとりもなおさず、峰屋であり、峰屋の本店舗であることを誇示すに
とどまり、債権者会社の営業と個別化しうる表示とみることはできず、商号自体だ
けからみても、消費者その他の取引関係者から混同誤認のおそれがあると認められ
るので、債務者会社の商号は債権者会社の商号に類似するというべきである。
 しかして、債権者会社の代表取締役であつたBは、前叙認定の経緯により債権者
会社の経営から手を引いたのに、その三か月後に、早くも債権者会社の商号に類似
する商号の債務者会社を設立し、現在では福岡市内の債権者会社と近接した場所
で、一般消費者からしてはその異同の区別が困難な態様の店頭表示のもとに同一商
品を製造販売し、営業主体表示としても、商品の出所の表示としても債権者のそれ
と混同誤認のおそれを生ぜしめている状況であるから、債務者は債権者が峰屋ない
し峰屋の蒲鉾について有する営業上の信用、商品の品質についての評価を自己の営
業に利用する目的を有するものと推認するに十分というべきである。このことは、
「峰屋」なる商号が、債務者会社代表者たるB個人の先代からの未登録商号であつ
て、かつまた蒲鉾屋としての「峰屋」の表示が広く知られるに至つたのがBの功績
によるものであるとしても、Bが「峰屋」なる表示を債権者会社の商号にとり入れ
て使用し、その営業表示として広く知られるに至つたものである以上、右事実をも
つて、不正競争の目的を否定する根拠となし難い。
四 債務者は、別紙商標権目録記載の「峰屋」並びに「峰屋のかまぼこ」なる登録
商標の使用権を有するから、「峰屋」の表示を使用して商品の製造、販売、商品の
展示、広告をなすのは当然の権利行使である旨主張する。なるほど、成立に争いの
ない疎乙第二号証、債務者会社代表者尋問の結果、同結果により真正に成立したこ
との認められる同第四号証によれば、Bは右商標を借用金の担保として昭和五三年
一一月一五日Dに譲渡し、その移転登録をなしたが、現在債務者会社が同人から使
用の許諾を受けていることを認めることができる。しかし、Bが個人で「峰屋」及
び「峰屋のかまぼこ」の商標の出願をなしてその登録を受けたのは、「峰屋」なる
文字を含む債権者の商号登記後のことで商号登記に劣後するものであり、しかも、
右商標はBがその出願、登録を受けた後も、従来どおり、専ら債権者会社の営業主
体ないし商品の表示として使用されていたのであるから、Bが債権者の経営から手
を引き、債権者会社と類似する商号の債務者会社を設立した現在に至つて、右商標
の使用権があることを主張するのは、
信義則に反する商標権の行使であり、不正競争防止法第六条にいわゆる商標法によ
り権利の行使をする場合に当らないと解すべきである。債務者の右主張は採用し難
い。
五 次に、債務者は、不正競争の意図は全くなく、債務者の営業活動及びその製造
販売にかゝる商品には、債権者の営業及び商品と一切関係がない旨周知徹底せしめ
る方法を施している旨主張する。そして、前掲疎乙第一一号証、同第一三号証ない
し一六号証、債務者会社代表者尋問の結果によると、債務者はその商品の包装紙、
ラベルに、「(有)新天町峰屋と一切関係がありません」と付記し、かつ店頭にお
いて、商品買上げの来客等に「当店の営業並びに商品は(有)新天町峰屋とは一切
関係は御座いません。」と印刷したチラシを配布していることが認められる。しか
し、右のような方法を債務者が講じているからといつて、前記認定の事実関係のも
とにおいては、不正競争の目的を否定することはできない。むしろ、債務者会社の
代表取締役であるBは、自己が債権者会社の代表取締役として永年に亘つて培つた
債権者会社の商品の品質、これに対する世人の評価を知つておればこそ、「峰屋」
なる表示に執着し、店舗ののれんや提灯も類似したものを用いて営業活動の混同誤
認を生ぜしめているのであり、買上げた客に対し前の如きチラシを配布し、また包
装紙やラベルに有限会社新天町峰屋と一切関係がない旨付記しているからといつ
て、債務者が、本家本陣を付加した商号や表示を使用していることに徴すれば、債
務者が正真正銘の峰屋であつて、債権者会社をして「峰屋」の傍系ないしは「峰
屋」の表示を不正に使用しているものであると消費者に印象ずけるおそれがあり、
債権者会社から顧客を奪う結果を招来しかねないからである。
六 以上のとおり、債務者がその営業主体の表示ないし営業活動及びその製造販売
にかゝる商品に、「本家峰屋本陣」又は「峰屋」なる表示を使用しているのは、不
正競争の目的を以て債権者の商号と類似の商号を使用する場合に当るばかりでな
く、
債権者の周知商号と類似の表示を使用して債権者の営業上の施設又は活動及び商品
と混同を生ぜしめる行為を行つている場合にも当るから、債権者は債務者に対し商
法第二〇条第一項、不正競争防止法第一条第一項一、二号により、主文第一項記載
の請求をなす権利があるというべきである。
 そして債権者は、債務者の前叙認定のような債権者の営業活動ないし商品との混
同誤認を生ぜしめる行為により、営業上重大な打撃を受けていることが推認される
ところ、本案判決の確定までこれを放置するときは、債権者の受けた営業上、信用
上の打撃は回復することが出来ない状態に立ち到ると思料されるので、債権者は本
案確定前に保全処分を求める必要性があるというべきである。
 よつて、債権者の本件仮処分申請は相当であるからこれを認容し、訴訟費用の負
担につき民訴法第八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 松島茂敏)
<12301-001>

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