弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴は之を棄却する。
     控訴費用は控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は、原判決を取消す、被控訴人が昭和二十三年六月二十三日為した裁
決(昭和二十三年四月二十八日行われた下江川村農地委員会の委員選挙に於ける控
訴人の当選に関する異議申立を却下した下江川村選挙管理委員会の決定を取消し控
訴人の当選を無効とする)を取消す、訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とす
る旨の判決を求め、被控訴代理人は主文第一項同旨の判決を求めた。
 当事者双方の主張事実は、控訴代理人に於いて、原判決は、控訴人が原審に於い
て、昭和二十三年十一月八日附にて、被控訴人の指定代理人Aは、栃木縣選挙管理
委員会の委員であつて、昭和二十二年十二月十七日法律第百九十四号「国の利害に
関係のある訴訟についての法務総裁の権限等に関する法律」第五条に定める職員で
はないから該指定代理は不適法であるとの申立をしたのに対し、何等の判断をしな
かつたのは違法である。昭和二十四年八月十八日の選挙によつて後任の下江川村農
地委員会の委員が選挙せられたことは認めると述べ、被控訴代理人に於いて、Aは
後に被控訴人の委員長として従前の訴訟行為を追認したから適法である。昭和二十
三年四月二十八日の選挙によつて選出せられた農地委員は昭和二十四年六月三十日
任期が満了し、同年八月十八日の選挙に於いて後任者が選ばれて就任したから本訴
裁決取消の利益はなくなつたと述べた外は、原判決事実に摘示するところと同一で
あるから之を引用する。
 証拠として控訴代理人は甲第一乃至第十三号証、第十四号証の一、二、第十五号
証を提出し、原審証人B、CD、E(第一、二回)F、当審証人G、H、I、Jの
各証言、原審における控訴本人訊問の結果を援用し乙第四号証の成立は不知、その
余の乙号証の成立を認め、乙第二号証、第三号証の乃至三を援用し、被控訴代理人
は乙第二号証、第三号証の一乃至三、第四号証を提出し、原審証人K(第一、二
回)L、当審証人I、Jの各証言を援用し、甲第四、第五号証第八乃至第十一号証
の成文は不知、その余の甲号証の成立を認めた。
         理    由
 原審において被控訴人委員会の委員Aが被控訴人から代理人に指定せられて訴訟
行為をしたことは記録上明かであるが、記録第八十三丁の「資格変更の申立」と題
する書面並びに之に添附せられた会議録の写(当裁判所は右会議録は真正に成立し
たものと認める)によれば、Aは昭和二十三年十一月五日被控訴人委員会の委員長
に就任したことが認められ、次で昭和二十三年十一月八日の口頭弁論調書によれ
ば、同人は同口頭弁論に被控訴人の代表者として出頭の上、Aが従前指定代理人と
して為した訴訟行為を追認したことが明白であるから仮に従前の訴訟行為に何等か
の瑕疵があつたとしても追完され適法となつたものでこの点に関する控訴人の主張
は理由がないから排斥する。
 よつて内容え入つて判断するに、昭和二十三年四月二十八日a村農地委員会の委
員の選挙が行われ控訴人が小作層の委員として当選し、之に関し控訴人主張のよう
な異議の申立、異議申立却下の決定、訴願、裁決の各行われたことは当事者間に争
がない。
 然るに昭和二十三年法律第二百三十七号「市町村農地委員会及び都道府縣農地委
員会の委員の任期等に関する特例に関する法律」第一条によれば、前記選挙によつ
て選挙せられた委員の任期は昭和二十四年六月三十日までとすることに定められ、
更に昭和二十四年法律第二百十五号「農地調整法の一部を改正する等の法律」第四
条により同法律施行後最初に行われる総選挙の日まで存任することゝなり、次で同
年政令第二百二十四号によつて、市町村農地委員会の委員の総選挙は同年八月十八
日行われることに定められたことは当裁判所に顯著であるところ、本件a村に於て
も同日村農地委任会の委員の選挙が行われ後任の委員が選挙せられたことは当事者
間に争がない。
 然らば仮に控訴人主張のとおり控訴人の当選が有効であつたとしても、控訴人の
本件a村農地委員会の委員たる任期は満了し、既にその資格は消滅したこと明かで
あるところ、本件訴訟は被控訴人の為した裁決は、控訴人に被選挙権があるのに之
を無視して控訴人の当選を無効と認めたのは違法であるから之が取消を求めると云
うのであつて、控訴人に被選挙権の有るか無いかを判定するのは結局之によつて当
選の効力、即ち控訴人の委員たる資格の存否を確認するために必要であつて、本訴
は元より単純に被選挙権の有無丈を決定すること<要旨>を目的としたものでないこ
とは明白である。従つて本訴のような当選に対する不服の訴は、唯委員たる資格
あることを主張するものだけが之を為すことが出来るのであつて、任期満
了により既に委員たる資格を失つた以上、本件裁決の違法なるか否かを判断するの
実益は最早存在せざることとなり、本訴は、その理由がないものと認める。よつて
控訴人の本訴請求はその理由がなく、控訴人の請求を排斥した原判決は結局相当で
本件控訴を理由がないものと認め、民事訴訟法第三百八十四条、第九十五条、第八
十九条に則り主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 渡辺葆 裁判官 山口嘉夫 裁判官 牛山要)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛