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平成13年(行ケ)第369号 特許取消決定取消請求事件(平成15年3月26
日口頭弁論終結)
          判        決
       原      告   株式会社イー・ピー・ルーム
       被      告   特許庁長官 太田信一郎
       指定代理人      板 谷 一 弘
       同          森 田 ひとみ
       同          一 色 由美子
       同          宮 川 久 成
       被告補助参加人    住友石炭鉱業株式会社
       訴訟代理人弁護士   鈴 木   修
       同          小 林 邦 聡
       同    弁理士   神 田 藤 博
          主        文
      原告の請求を棄却する。
      訴訟費用は原告の負担とする。
          事実及び理由
第1 請求
   特許庁が平成10年異議第70682号事件について平成13年7月4日に
した決定を取り消す。
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
   原告は,名称を「放電焼結装置」とする特許第2640694号発明(平成
2年9月18日特許出願(特願平2-23962号〔同年2月2日特許出願,以
下,その願書に最初に添付した明細書又は図面を「優先権明細書等」という。〕に
基づいて国内優先権主張),平成9年5月2日設定登録,以下「本件発明」とい
い,この特許を「本件特許」という。)の特許権者である。
 原告は,平成7年3月14日付け手続補正書により明細書等の補正(以下
「本件補正」という。)をし,さらに平成8年12月20日付け手続補正書により
明細書の補正(以下「平成8年補正」という。)をした。
   本件特許につき特許異議の申立てがされ,平成10年異議第70682号事
件として特許庁に係属した。
   特許庁は,同特許異議の申立てについて審理した上,平成13年7月4日,
「特許第2640694号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。」との決定
(以下「本件決定」という。)をし,その謄本は,同月24日,原告に送達され
た。
 2 本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)の特
許請求の範囲の記載
【請求項1】大径のピストンを有する油圧シリンダと,この大径のピストンを
往復移動する為に油路を切り換え中立位置で油路をフロックする切換弁と,低圧高
圧を発生する油圧源と,油圧シリンダ内の油を加圧するロットと,このロットの加
圧力を変えるロット駆動装置と,前記ロットによって押し出した油圧シリンダ内の
油をタンクに戻す切換弁と,からなる加圧装置。
【請求項2】加圧台と,この加圧台の先端に設けた絶縁体と,この絶縁体を介
して前記加圧台に取り付けた電極とを一対備え,加圧装置で被加圧体を加圧し通電
する一対の電極の端面の平行度を前記加圧台のねじ又は楔で調整する加圧及び通電
装置。
【請求項3】加圧台と,この加圧台に設けた絶縁体と,この絶縁体を介して前
記加圧台に取り付けた電極とを一対備え,この加圧台内に高周波振動子を備えた加
圧及び通電装置。
【請求項4】被加圧体を収容するチャンバと,このチャンバと電極とを絶縁体
を介してベローズで接続した加圧及び通電装置。
3(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
【請求項1】先端部にジャケットを設けこのジャケットに冷却水を送る給水路
と排水路とを備えた一対の電極と,一方の電極に移動出来るように嵌合したテフロ
ン等電気絶縁性のフランジと,このフランジで電極と電気的に絶縁して支持し周囲
に流れる水壁と端部に水平な接合面とを有するチャンバーと,このチャンバーを鉛
直方向に移動するチャンバーの移動装置と,他方の電極に嵌合する電気絶縁性のフ
ランジと,このフランジで電極と電気的に絶縁して支持し前記チャンバーの水平な
接合面と接合してチャンバー内の雰囲気を変える装置を接続するチャンバー受け台
と,を備えた放電焼結装置。
【請求項2】電極の基端部を電気的に絶縁して固定した揺動板と,この揺動板
に設けた押しねじと,引きねじと,で電極の先端面の傾きを調整する放電焼結装
置。
【請求項3】チャンバーをチャンバーの移動装置と,電極の移動装置と,で移
動する放電焼結装置。
(2)本件補正により追加された発明の詳細な説明の記載
「電極32の円筒状部分に,内面にOリング等のシール部材を有する耐熱温度
260℃のテフロン等の電気の絶縁部材で作ったフランジ60を摺動することが出
来,しかも気密を保つように嵌合する。そのフランジ60に椀状のチャンバー61
を図示していないねじで気密に固定する。」(平成7年3月14日付け手続補正書
〔甲6〕5頁最終段落)
4(1)平成8年補正後の特許請求の範囲の記載(以下,この【請求項1】~【請
求項3】に係る発明を「本件発明1」~「本件発明3」という。)
【請求項1】先端部にジャケット33,51を設けこのジャケット33,51
に冷却水を送る給水路34,52と排水路35,53とを備えた一対の電極32,
41と,一方の電極32に嵌合した電気絶縁性のチャンバーフランジ60と,この
チャンバーフランジ60に一端部を支持し,内部に冷却水を通す空間62cを有
し,他端部にチャンバー端部フランジ65を有するチャンバー61と,このチャン
バー61を電極32に対して相対的に移動させるための移動装置71と,他方の電
極41に嵌合した電気絶縁性の受け台フランジ78と,この受け台フランジ78に
一端部を支持し,他端部に前記チャンバー61のチャンバー端部フランジ65と接
合してチャンバー61内を気密に保つ受け台端部フランジ76を有し,側部にチャ
ンバー61内の雰囲気を変える装置を接続する接続口79,81,86を有するチ
ャンバー受け台77と,を備えた放電焼結装置。
【請求項2】電極32の基端部を電気的に絶縁して固定した揺動板30と,こ
の揺動板30に電極32の先端面38の傾きを調整する引きねじ37と,押しねじ
39と,を備えていることを特徴とする請求項1記載の放電焼結装置。
【請求項3】チャンバー61を移動する電極32の移動装置23,24と,チ
ャンバー61を電極32に対して相対的に移動させるための移動装置71と,を備
えていることを特徴とする請求項1記載の放電焼結装置。
(2)平成8年補正により補正された上記3(2)の記載
「電極32の円筒状部分に,内面にOリング等のシール部材を有する耐熱温度
260℃程度の合成樹脂等の電気の絶縁部材で作ったチャンバーフランジ60を摺
動することが出来,しかも気密を保つように嵌合する。そのチャンバーフランジ6
0に椀状のチャンバー61の一端部を図示していないねじで気密に固定して支持す
る。」(平成8年12月20日付け手続補正書〔甲10〕6頁第2段落)
 5 本件決定の理由
   本件決定は,別添決定謄本写し記載のとおり,本件補正は,当初明細書及び
図面(以下,併せて「当初明細書等」という。)の要旨を変更するものと認めら
れ,本件発明1~3についての特許出願は,本件補正について手続補正書を提出し
た時である平成7年3月14日にしたものとみなされ,本件発明1~3は,いずれ
も特開平4-9405号公報(以下「刊行物1」という。)に記載された発明に基
づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項
の規定に違反してされたものであり,同法113条2号に該当し,取り消されるべ
きものであるとした。
第3 原告主張の本件決定取消事由
1 本件決定は,本件補正について,特許法等の一部を改正する法律(平成5年
法律第26号)附則2条の規定によりなお従前の例によるとされる特許法(以下,
同法による改正前の特許法を「旧法」という。)41条を適用せず,明細書又は図
面の要旨を変更するものと誤って判断した(取消事由)ものであり,違法として取
り消されるべきである。
 2 取消事由(本件補正を要旨変更に該当するとした判断の誤り)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に,当初明細書等(甲4)
の図号,名称及び符号を括弧内に記載して対比すると,「先端部にジャケット(第
1図の冷却水路21)を設けこのジャケットに冷却水を送る給水路と排水路(第1
図の冷却水路12,13)とを備えた一対の電極(第5図の電極20,15)と,
一方の電極(第5図の電極20)に移動出来るように嵌合したテフロン等電気絶縁
性のフランジ(第5図のフランジ82)と,このフランジで電極と電気的に絶縁し
て支持し周囲に流れる水壁(14頁「このチャンバ83は二重構造になっていて,
中に水を通して冷却する」)と端部に水平な接合面とを有するチャンバー(第5図
のチャンバ83)と,このチャンバーを鉛直方向に移動するチャンバーの移動装置
(第5図のリフタ89,ロット90)と,他方の電極(第5図の電極15)に嵌合
する電気絶縁性のフランジ(第5図のフランジ104)と,このフランジで電極と
電気的に絶縁して支持し前記チャンバー(第5図のチャンバ83)の水平な接合面
と接合してチャンバー内の雰囲気を変える装置を接続するチャンバー受け台(第5
図のチャンバ受け台91)と,を備えた放電焼結装置」となるから,
本件補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであって,旧法41条の
規定により明細書の要旨を変更しないものとみなされる。
(2)本件決定は,電極に嵌合したフランジでチャンバーを支持する構造は,優
先権明細書等(甲3)により平成2年2月2日以前に公知であったと認定している
ところ,「単なる従来の公知技術方法を記載し,出願の方法もこれによるものであ
ることを明らかにするものであるに過ぎないような場合には,明細書が不完全に作
成された場合における不明瞭な記載の釈明と解すべく,これによっては要旨の変更
を来さない」(東京高裁昭和37年6月28日判決・行裁例集13巻6号1178
頁)から,公知の「フランジにチャンバーを支持した構成」を記載した本件補正は
明細書の要旨変更と解すべきではない。
(3)本件決定は,「本件請求項1に係る発明は,刊行物1に記載された発明に
基づいて当業者が容易に発明をすることができた」(決定謄本8頁第2段落)と
し,刊行物1(甲5)は当初明細書等(甲4)の公開公報であって当初明細書等と
一致し,「本件請求項1に係る発明」は本件補正により補正された請求項1記載の
発明と実質的に同一であるから,上記決定の記載を言い換えると,「本件補正によ
り補正された請求項1記載の発明は当初明細書等に基づいて当業者が容易に発明を
することができた」ことにほかならず,本件補正は当初明細書等の要旨変更には当
たらない。
(4)本件決定は,「電極に嵌合したチャンバーフランジにチャンバーの一端部
を支持する構造とすることは・・・公知であった」(決定謄本8頁第1段落)と認
定しており,そうであれば,「電極にフランジを移動出来るように嵌合し,ベロー
ズを介さずにフランジでチャンバ(チャンバー)を支持することは,出願時におい
て,周知,慣用技術であったとは認められず,・・・自明な事項であるとも認めら
れない」(4頁最終段落)との認定は誤りである。
(5)本件決定は,「『当初明細書等』には・・・『電極39にテフロン等のフ
ランジ40を固定し,その,フランジ40にベローズ41の一端を気密に固定し他
端をチャンバ42に取付ける。』(第7頁8~11行)・・・と記載されている。
すなわち,当初明細書等には,発明の作用効果であるチャンバ(チャンバー)内の
気密を保つために,チャンバ(チャンバー)と電極との接続手段についての『発明
の構成に関する技術的事項』として,電極にテフロン等電気絶縁性のフランジを固
定し,そのフランジにベローズの一端を気密に固定し他端をチャンバ(チャンバ
ー)に取付けてシールすることが示されているだけで,電極にフランジを移動出来
るように嵌合し,ベローズを介さずにフランジでチャンバ(チャンバー)を支持す
ることは示されていない」(決定謄本4頁第3~第4段落)とし,当初明細書等
(甲4)に記載されたベローズが本件補正により省略されているが,当初明細書等
には,ベローズを省略した記載はないと認定している。しかし,上記認定は,当初
明細書等の第1図で例示した第1実施例であって,本件補正の根拠とした第5図
(第2実施例)の構成と異なるから,誤りである。
  当初明細書等でベローズを設けた理由は,当初明細書等の請求項3で高周
波振動子により電極を振動することを構成要件としているから,請求項4で電極の
振動をチャンバーに伝えないためであるところ,本件補正は,高周波振動子を省略
するのに伴い,ベローズを省略(減少)したのであるから,旧法41条の「特許請
求の範囲を増加し減少し又は変更する補正は,明細書の要旨を変更しないものとみ
なす」の規定に該当する。「チャンバー83」のシールに関するところは,「電極
20」と「フランジ82」との間と,「フランジ85」と「チャンバー受け台9
1」との間の2箇所であって,「フランジ82にベローズ84の一端を気密に固定
し他端を椀状のチャンバー83に気密に固定した」構成の「ベローズ84」を省略
して「フランジ82に椀状のチャンバー83を気密に固定した」構成に補正しても
「チャンバー83」のシール性は変わらない。水平に調整されている端面に平行度
を調整する場合は,電極を「すきまばめ」するフランジとのすきまの範囲内に収ま
るように動かすので,ベローズは不用である。
(6)本件決定は,本件補正により,「発明の詳細な説明に,『電極32の円筒
状部分に,内面にOリング等のシール部材を有する耐熱温度260℃・・・のテフ
ロン等・・・の電気の絶縁部材で作ったフランジ・・・60を摺動することが出
来,しかも気密を保つように嵌合する。そのフランジ・・・60に椀状のチャンバ
ー61・・・を図示していないねじで気密に固定して支持する』・・・という記載
が追加された」(決定謄本3頁最終段落~4頁第1段落)ことを理由に,本件補正
は,「チャンバーと電極との接続手段についての『発明の構成に関する技術的事
項』を,『一方の電極32に移動出来るように嵌合した電気絶縁性のフランジ60
と,このフランジ60で支持するチャンバー61』とした」(同4頁第2段落)と
認定するが,誤りである。移動する円筒をOリングでシールすることは周知,慣用
技術であるから,優先権明細書等(甲3)においては,従来技術を開示した第1図
の「スリーブ19」にOリングを入れる溝を描いてOリングは省略したが,本件補
正においては,電極とフランジとの気密を保つ構成を念のため記載したにすぎな
い。本件補正による上記固定は,優先権明細書等(甲3)の第1図,「スリーブ1
9を介して軸方向に移動する電極20を保持する」(6頁)の記載及び当初明細書
等(甲4)の「チャンバを電極とは別に移動させ」(21頁最終段落)の記載か
ら,「電極に移動できるように」する固定である。嵌合,すなわち「はめあい」
(広辞苑第4版,甲12-1)は「軸が穴にかたくはまり合ったり,滑り動くよう
にゆるくはまり合ったりする関係をいう」(同,甲12-2)ものであり,当業者
は,常用するはめあいを,「すきまばめ」「中間ばめ」「しまりばめ」としている
(財団法人職業訓練教材研究会発行の「一級技能士訓練課程機械製図科〔教科
書〕」,甲13)。当初明細書等の「電極20」と「フランジ82」とは「すきま
ばめ」で,「フランジ82」の「Oリング」の溝にはめたゴム製の「Oリング」の
弾力で「電極20」に「フランジ82」を固定するので,「フランジ82」に「チ
ャンバー83」を取り付けると,「ベローズ84」の有無にかかわらず,「フラン
ジ82」は「チャンバー83」の重量で「チャンバー83」と共に「電極20」に
沿って移動する。したがって,当初明細書等は,「チャンバー82」の移動を案内
する「軸88」と,積極的に移動する「リフタ89」を設け(14頁)
,それを,本件補正により,特許請求の範囲の請求項1に「このチャンバーを鉛直
方向に移動するチャンバーの移動装置」と記載して要件としたものであり,フラン
ジは電極に移動するように固定(嵌合)したものである。本件決定は,当初明細書
等の電極とフランジとの固定が「しまりばめ」であると誤って認定し,フランジと
「ベローズ」とを一つの要素であると誤って認定したものである。
第4 被告及び補助参加人の反論
 1 本件決定の判断は正当であり,原告主張の取消事由は理由がない。
2 取消事由(本件補正を要旨変更に該当するとした判断の誤り)について
(1)本件特許出願の優先権主張の基となった先の出願(特願平2-23962
号)の願書に添付した優先権明細書等(甲3)に記載されているとおり,ベローズ
手段を採用しない従来の放電焼結装置において,スリーブ(フランジ)とそれに支
持(嵌合)され移動する電極からなる従来の装置の構成では,両者の気密を保つた
めにはシールする必要があるが,ベローズでシールする場合のように伸縮機能を有
しないため,電極端面の平行を調整することができないというものであった。そこ
で,当初明細書等(甲4)において,「一方ベローズでチャンバとシールした電極
はその端面の平行を自由に調整することが出来」(4頁第2段落),「電極39に
テフロン等のフランジ40を固定し,その,フランジ40にベローズ41の一端を
気密に固定し他端をチャンバ42に取付ける」(7頁),「電極20にテフロン等
のフランジ82を固定し,その,フランジ82にベローズ84の一端を気密に固定
し他端を椀状のチャンバ83に気密に固定してシール装置を構成する」(14
頁),「移動する電極とチャンバとをベローズによってシールしたのでチャンバ内
の気密を良く保つことができるようになった」(21頁最終段落~22頁第1段
落)と記載されているとおり,当初明細書等に開示された発明において,電極端面
の平行度調整の観点から採用された可動性及び気密性を確保し得る手段はベローズ
であるから,ベローズを省略すると,電極端面の平行度を調整するとともに,電極
とチャンバーとをシールするという目的が達成できなくなることは明らかである。
原告は,「一方の電極(第5図の電極20)に移動出来るように嵌合したテフロン
等電気絶縁性のフランジ(第5図のフランジ82)」と対比しているが,当初明細
書等には,第5図等を用いた第2実施例の説明中に「電極20にテフロン等のフラ
ンジ82を固定し」(14頁)と記載されているから,第5図の「フランジ82」
は「一方の電極に移動出来る」ように嵌合したテフロン等電気絶縁性のフランジに
相当するものではない。また,当初明細書等には,「フランジ82にベローズ84
の一端を気密に固定し他端を椀状のチャンバ83に気密に固定してシール装置を構
成する」(14頁)とも記載されているから,当初明細書等に記載された発明は,
原告の主張するような電極にテフロン等電気絶縁性のフランジを移動できるように
嵌合するものではなく,本件決定の認定したとおり,「電極にテフロン等電気絶縁
性のフランジを固定し,その,フランジにベローズの一端を気密に固定し他端をチ
ャンバ(チャンバー)に取付けてシールする」(決定謄本4頁下から第2段落)も
のである。
(2)本件決定は,「放電焼結装置において,電極に嵌合したチャンバーフラン
ジにチャンバーの一端部を支持する構造とすることは,平成7年3月14日より前
に公知であった」(決定謄本8頁第1段落)と認定するものであり,原告主張のよ
うに,電極に嵌合したフランジでチャンバーを支持する構造は,平成2年2月2日
以前に公知であったとは認定していない。また,「電極に嵌合したフランジでチャ
ンバーを支持する構造」が平成2年2月2日以前に公知であったとしても,本件補
正は,原告の引用する判決にいう「単なる従来の公知技術方法を記載」したもので
も,「明細書が不完全に作成された場合における不明瞭な記載の釈明」でもない。
(3)本件決定の「本件請求項1に係る発明は,刊行物1に記載された発明に基
づいて当業者が容易に発明をすることができたものである」(決定謄本8頁第2段
落)との判断は,両発明の相違点を認定した上で,その相違点について,出願日と
みなした平成7年3月14日の時点で,その容易想到性を判断したものであり,他
方,要旨変更についての判断は,平成7年3月14日にされた本件補正が,本件特
許出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において特
許請求の範囲を増加し減少し又は変更する補正であるか否かを,本件特許出願時
(平成2年9月18日)を基準に判断したものであるから,これらは別の事項を別
の時点で判断したものである。原告の主張は,両者を混同したものであって,失当
である。
(4)本件決定の「電極にフランジを移動出来るように嵌合し,ベローズを介さ
ずにフランジでチャンバ(チャンバー)を支持することは,出願時において周知,
慣用技術であったとは認められず」(本件決定4頁最終段落)とした「出願時」
は,本件の国内優先権主張日である平成2年2月2日であり,他方,「放電焼結装
置において,電極に嵌合したチャンバーフランジにチャンバーの一端部を支持する
構造とすることは,平成7年3月14日より前に公知であったと認められる」(同
8頁第1段落)との認定は,優先権明細書等(甲3)が本件出願後に公知になった
ことを前提にするものである。したがって,両者は,認定の基準とする時点が異な
るのであり,原告の主張は,両者を混同したものであって,失当である。
(5)本件決定は,当初明細書等(甲4)には,単にベローズを省略した記載は
ないとするものではなく,「電極にフランジを移動出来るように嵌合し,ベローズ
を介さずにフランジでチャンバ(チャンバー)を支持することは示されていない」
(決定謄本4頁第4段落)とするものであり,これを明らかにするために,当初明
細書等におけるチャンバ(チャンバー)と電極との接続手段についての記載を,第
1図(第1実施例)及び第5図(第2実施例)を含めてすべて挙げたものであるか
ら,原告の主張は理由がない。本件補正の根拠が第5図(第2実施例)の構成にあ
るとしても,当初明細書等(甲4)には,第5図(第2実施例)の構成として,
「電極20にテフロン等のフランジ82を固定し,その,フランジ82にベローズ
84の一端を気密に固定し他端を椀状のチャンバ83に気密に固定してシール装置
を構成する」(14頁)と記載されており,これは,第1図(第1実施例)の構成
と同様のものである。本件決定は,この第5図(第2実施例)の構成等に基づい
て,当初明細書等には,「電極にテフロン等電気絶縁性のフランジを固定し,その
フランジにベローズの一端を気密に固定し他端をチャンバ(チャンバー)に取付け
てシールすることが示されている」(決定謄本4頁第4段落)と認定したものであ
るから,誤りはない。
  当初明細書等(甲4)の請求項4は,請求項3を引用する形式の請求項で
はなく,発明の内容的にも請求項3に係る発明とは別の発明を規定しており,請求
項3と請求項4とは相互に独立のものであるから,請求項4で電極の振動をチャン
バーに伝えないためにベローズを設けたものとはいえない。電極自体はフランジに
よってチャンバーに固定されているから,「電極端面」の平行度を調整するととも
に,電極とチャンバーとをシールするためには,ベローズは,必要な構成であるか
ら,省略することはできない。また,単なる省略であれば電極は「固定フランジ」
を介して直接チャンバーに固定されることになるが,本件補正後は「固定フラン
ジ」ではなく移動可能なフランジに変更されており,ベローズの省略に伴いフラン
ジに関する構成が変更されているものである。
(6)当初明細書等(甲4)には,「電極20にテフロン等のフランジ82を固
定し,その,フランジ82にベローズの一端を気密に固定し他端を椀状のチャンバ
83に気密に固定してシール装置を構成する」(14頁)等と記載されているだけ
で,電極にフランジを移動できるように嵌合し,電極とフランジとの気密を保つた
めにOリングでシールすることは記載されていないから,本件補正により「電極3
2の円筒状部分に,内面にOリング等のシール部材を有する耐熱温度260
℃・・・のテフロン等・・・の電気の絶縁部材で作ったフランジ・・・60を摺動
することが出来,しかも気密を保つように嵌合する。そのフランジ・・・60に椀
状のチャンバー61・・・を図示していないねじで気密に固定して支持する」(決
定謄本4頁第1段落)という記載が追加されたものであることは明らかである。
「固定」の意味は,広辞苑第2版補訂版(乙1)によれば,「ひと所に定まって移
動しないこと。また,動かぬようにすること」であり,「移動できるようにする」
ことを排除するものであるから,当初明細書等に記載された「電極20にテフロン
等のフランジ82を固定」が,原告の主張するように「電極に移動できるように」
する固定であるということはあり得ない。また,電極とフランジとの固定に関して
は,「嵌合」「はめあい」であるとの文言の記載はなく,仮に,図面から看取する
ことが可能であるとしても,その種類(「すきまばめ」「中間ばめ」「しまりば
め」,はめのきつさ具合の程度)についてまでは示されていない。そして,その種
類のいかんによらず,「固定」である以上,「移動できるように」嵌合されるもの
は排除されるものと解すべきである。また,本件決定は,フランジとベローズとを
一つの要素であるとしたものではない。
第5 当裁判所の判断
 1 取消事由(本件補正を要旨変更に該当するとした判断の誤り)について
  (1)当初明細書等(甲4)には,チャンバーと電極との接続関係について,
a.「被加圧体を収容するチャンバと,このチャンバと電極とを絶縁体を介してベ
ローズで接続した加圧及び通電装置」(2頁特許請求の範囲4),b.「チャンバ
と電極とを絶縁体を介してベローズで接続するようにしたものである」(4頁第1
段落),c.「電極39にテフロン等のフランジ40を固定し,その,フランジ4
0にベローズ41の一端を気密に固定し他端をチャンバ42に取付ける」(7頁,
第1実施例),d.「電極20にテフロン等のフランジ82を固定し,その,フラ
ンジ82にベローズ84の一端を気密に固定し他端を椀状のチャンバ83に気密に
固定してシール装置を構成する」(14頁,第2実施例),e.「移動する電極と
チャンバとをベローズによってシールしたのでチャンバ内の気密を良く保つことが
できるようになった」(21頁最終段落~22頁第1段落)との記載がある。そう
すると,上記a.b.の記載によれば,当初明細書等には,「チャンバと電極とを
絶縁体を介してベローズで接続」することが記載され,上記e.の記載によれば,
ベローズは電極とチャンバとをシールするものであって,チャンバの気密を保つ作
用を有するものであることが認められ,上記c.d.の記載によれば,当初明細書
等の第1,第2実施例は,いずれも電極にテフロン等のフランジを固定し,そのフ
ランジにベローズの一端を気密に固定し他端をチャンバーに取り付けたものである
ことが認められる。また,当初明細書等の「第2実施例と異なる点はその駆動装置
にあって」(17頁第3段落,第3実施例),「前記第1,2,3の実施例に於け
る油圧シリンダ65内の油に高圧を発生させる装置を第9図で説明する」(18頁
第2段落,第4実施例),「前記実施例と異なる点はその駆動装置にあって」(1
9頁最終段落,第5実施例),「第5実施例と異なる点はその駆動装置にあって」
(20頁最終段落,第6実施例)と記載されていることから,当初明細書等に記載
された第3,第5,第6実施例は第1,第2実施例の駆動装置を変更したもの,第
4実施例は第1~第3実施例における油圧シリンダ内の油に高圧を発生させる装置
に関するものと認められるから,結局,当初明細書等に記載されたすべての実施例
が,電極にテフロン等のフランジを固定し,そのフランジにベローズの一端を気密
に固定し他端をチャンバーに取り付けたものであることが認められる。そして,当
初明細書等には,「電極にフランジを移動できるように嵌合し,ベローズを介さず
にフランジでチャンバを支持する」との構成が実質的に開示されていると認めるに
足りる記載はないから,同構成は,当初明細書等の記載から自明であるとは認めら
れない。そうすると,当初明細書等には,チャンバーと電極との接続関係に関して
は,専ら,電極にフランジを固定し,そのフランジにベローズの一端を気密に固定
し他端をチャンバーに取り付けて,チャンバー内を気密に保つことが記載されてい
ることが認められ,「電極にフランジを移動できるように嵌合し,ベローズを介さ
ずにフランジでチャンバを支持する」ことが記載されていると認めることはできな
い。
    原告は,本件補正後の「一方の電極に移動出来るように嵌合したテフロン
等電気絶縁性のフランジ」が当初明細書等の「第5図のフランジ82」に対応する
として,本件補正は旧法41条の規定により明細書の要旨を変更しないものとみな
されると主張するが,当初明細書等には第5図の説明として「電極20にテフロン
等のフランジ82を固定し」と記載されていることは上記d.の記載のとおりであ
り,フランジ82が電極に移動できるように嵌合されたものであるとは認められな
い。したがって,本件補正後の「一方の電極に移動出来るように嵌合したテフロン
等電気絶縁性のフランジ」を当初明細書等の「第5図のフランジ82」に記載した
事項の範囲内のものということはできず,原告の上記主張は理由がない。
(2)原告は,本件決定は,電極に嵌合したフランジでチャンバーを支持する構
造は,優先権明細書等(甲3)により平成2年2月2日以前に公知であったと認定
していると主張する。しかし,本件決定は,「放電焼結装置において,電極に嵌合
したチャンバーフランジにチャンバーの一端部を支持する構造とすることは,平成
7年3月14日より前に公知であった」(決定謄本8頁第1段落)と認定するもの
であり,原告主張のように,電極に嵌合したフランジでチャンバーを支持する構造
は,平成2年2月2日以前に公知であったとは認定していないことが明らかであ
る。
  また,原告は,公知の「フランジにチャンバーを支持した構成」を記載し
た本件補正は明細書の要旨変更と解すべきではないとも主張するが,本件決定は,
「当初明細書等に記載された『チャンバと電極とを絶縁体を介してベローズで接続
する方法』を,『電極にフランジを移動出来るように嵌合し,ベローズを介さずに
フランジでチャンバ(チャンバー)を支持する方法』に変更し」(決定謄本5頁第
3段落)たことを要旨変更と判断したものであり,「フランジにチャンバーを支持
した構成」を要旨変更であると判断したものではない。したがって,本件決定の上
記判断は,「電極に嵌合したフランジでチャンバーを支持する構造」が公知であっ
たか否かに左右されないから,原告の上記主張は,前提において誤っており,失当
というほかない。なお,原告が引用する東京高裁昭和37年6月28日判決・行裁
例集13巻6号1178頁は,明細書等の訂正補充が,これによってその発明を特
徴付けているような新規な技術方法の開示ではなく,単なる従来の公知技術方法を
記載し,出願の方法もこれによるものであることを明らかにするものであるにすぎ
ないような場合には,明細書が不完全に作製された場合における不明瞭な記載の釈
明と解すべく,これによっては要旨の変更を来さないとするが,本件補正は,当初
明細書等に記載された「電極にフランジを固定し,そのフランジにベローズの一端
を気密に固定し他端をチャンバに取り付ける」構成を,「電極にフランジを移動で
きるように嵌合し,ベローズを介さずにフランジでチャンバを支持する」構成に変
更するものであって,同判決にいう「単なる従来の公知技術方法を記載し,出願の
方法もこれによるものであることを明らかにするもの」ということはできない。
(3)原告は,本件決定の「本件請求項1に係る発明は,刊行物1に記載された
発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた」(決定謄本8頁第2段
落)との判断は,言い換えると,「本件補正により補正された請求項1記載の発明
は当初明細書等に基づいて当業者が容易に発明をすることができた」ことにほかな
らず,本件補正は当初明細書等の要旨変更には当たらないと主張する。しかしなが
ら,本件決定の容易想到性の上記判断は,平成8年12月20日付けで補正された
請求項に係る発明が,出願日とみなされた平成7年3月14日の技術水準に基づい
て,当業者にとって容易に想到できるものであったと判断したものであるのに対
し,要旨変更の判断は,本件補正が,本件特許出願時(平成2年9月18日)の技
術常識を参酌して,当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かを判
断するものであって,両者は,判断の対象及び基準時が全く異なるから,原告の主
張は,それ自体失当というほかはない。
(4)原告は,「電極に嵌合したチャンバーフランジにチャンバーの一端部を支
持する構造とすることは・・・公知であった」(決定謄本8頁第1段落)のであれ
ば,「電極にフランジを移動出来るように嵌合し,ベローズを介さずにフランジで
チャンバ(チャンバー)を支持することは,出願時において,周知,慣用技術であ
ったとは認められず,・・・自明な事項であるとも認められない」(4頁最終段
落)との認定は誤りであると主張する。しかし,本件決定の前者の認定の基準時
は,本件特許出願の国内優先権主張日である平成2年2月2日であり,他方,後者
の認定は,優先権明細書等(甲3)が本件出願後に公知になったことを前提にする
ものであって,両者は,認定の基準とする時点が異なるのであるから,原告の主張
は,両者を混同した誤りがあり,また,本件補正に係る要旨変更の判断が,「電極
に嵌合したフランジでチャンバーを支持する構造」が公知であったか否かによって
左右されないことは上記(2)のとおりであって,理由がない。
(5)原告は,本件決定は,当初明細書等(甲4)に記載されたベローズが本件
補正により省略されているが,当初明細書等には,ベローズを省略した記載はない
と認定しているところ,この認定は,当初明細書等の第1図で例示した第1実施例
であって,本件補正の根拠とした第5図(第2実施例)の構成と異なるから,誤り
であると主張する。しかしながら,本件決定は,「『当初明細書等』・・・には,
『チャンバと電極とを絶縁体を介してベローズで接続』(特許請求の範囲の請求項
4,明細書第4頁3~4行),『ベローズでチャンバとシールした電極はその端面
の平行を自由に調整することが出来』(第4頁16~17行,『作用』の欄),
『電極39にテフロン等のフランジ40を固定し,その,フランジ40にベローズ
41の一端を気密に固定し他端をチャンバ42に取付ける。』(第7頁8~11
行),『電極20にテフロン等のフランジ82を固定し,その,フランジ82にベ
ローズ84の一端を気密に固定し他端を椀状のチャンバ83に気密に固定してシー
ル装置を構成する。』(第14頁6~9行),『チャンバ受け台91は・・・ジャ
ケット103を設け,そのジャケット103と電極15に固定したテフロン等のフ
ランジ104との間にベローズ105を設けてシール装置を構成している。』(第
15頁11~15行),『移動する電極とチャンバとをベローズによってシールし
たのでチャンバ内の気密を良く保つことができるようになった』(第21頁下から
1行~第22頁2行,『発明の効果』の欄)と記載されている」(決定謄本4頁第
3段落)と認定しており,原告が指摘する箇所のみではなく,第5図に関する記載
を含む当初明細書等の全体の記載を検討した上で,補正の適否を判断しているので
あり,その判断に誤りはない。
 また,原告は,当初明細書等(甲4)でベローズを設けた理由は,当初明
細書等の請求項3で高周波振動子により電極を振動することを構成要件としている
から,請求項4で電極の振動をチャンバーに伝えないためであるところ,本件補正
は,高周波振動子を省略するのに伴い,「超音波振動子97」及び「ベローズ8
4」を省略(減少)したのであるから,旧法41条の「特許請求の範囲を増加し減
少し又は変更する補正は,明細書の要旨を変更しないものとみなす」の規定に該当
すると主張する。しかしながら,当初明細書等には,「電極15及び20に超音波
振動子97で振動を与えてもよい」(13頁),「移動する電極とチャンバとをベ
ローズによってシールしたのでチャンバ内の気密を良く保つことができるようにな
った上に,チャンバ内の気密を良く保つことによってチャンバ内を真空にし,ある
いは,他のガスを充満して電極を超音波による高周波振動をすることが出来」(2
1頁最終段落~22頁第1段落)と記載されており,この記載によれば,ベローズ
の第一義的な作用はチャンバーと電極とのシールによるチャンバー内の気密化であ
って,高周波振動は,チャンバー内の気密化に付随して行われるものと認められる
から,ベローズを設けた理由は電極の振動をチャンバーに与えないためであるとい
う原告の主張は採用できない。そして,ベローズを省略することについて,当初明
細書等には明示的な記載はなく,また当初明細書等の記載から自明であるとも認め
られないことは上記(1)のとおりであるから,これを省略する補正は,当初明細書等
に記載した事項の範囲内のものということはできない。さらに,原告は,「チャン
バー83」のシールに関するところは,「電極20」と「フランジ82」との間
と,「フランジ85」と「チャンバー受け台91」との間の2箇所であって,「フ
ランジ82にベローズ84の一端を気密に固定し他端を椀状のチャンバー83に気
密に固定した」構成の「ベローズ84」を省略して「フランジ82に椀状のチャン
バー83を気密に固定した」構成に補正しても「チャンバー83」のシール性は変
わらないとも主張する。しかし,当初明細書等(甲4)には,第5図及び第6図の
説明として「電極20にテフロン等のフランジ82を固定し,その,フランジ82
にベローズ84の一端を気密に固定し他端を椀状のチャンバ83に気密に固定して
シール装置を構成する」(14頁)と記載され,同記載によれば,ベローズはフラ
ンジとチャンバの間の気密性に影響を及ぼすものであって,これを省略すればチャ
ンバー内のシール性に悪影響が出ることは明らかというべきであるから,原告の上
記主張も採用することができない。
(6)原告は,本件補正において,発明の詳細な説明に「電極32の円筒状部分
に,内面にOリング等のシール部材を有する耐熱温度260℃・・・のテフロン
等・・・の電気の絶縁部材で作ったフランジ・・・60を摺動することが出来,し
かも気密を保つように嵌合する。そのフランジ・・・60に椀状のチャンバー6
1・・・を図示していないねじで気密に固定して支持する」という記載を追加した
のは,電極とフランジとの気密を保つ構成を念のため記載したにすぎず,本件補正
による上記固定は,「電極に移動できるように」する固定であり,本件決定は,当
初明細書等の電極とフランジとの固定が「しまりばめ」であると誤って認定し,フ
ランジとベローズとを一つの要素であると誤って認定したものであると主張する。
しかしながら,広辞苑第2版補訂版(乙1)によれば,「固定」とは,「ひと所に
定まって移動しないこと・・・動かぬようにすること」を意味する語であり,当初
明細書等における「固定」の用語が通常とは異なる意味で用いられ,原告のいう
「すきまばめ」を意味すると認めることはできない。また,本件決定は,フランジ
とベローズとを一つの要素であるとしたものということもできない。したがって,
原告の上記主張も,理由がない。
(7)以上検討したところによれば,本件補正は明細書又は図面の要旨を変更す
るものであるとの本件決定の判断に,誤りはない。
2 以上のとおり,原告主張の取消事由は理由がなく,他に本件決定を取り消す
べき瑕疵は見当たらない。
   よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決
する。
     東京高等裁判所第13民事部
         裁判長裁判官 篠 原 勝 美
    裁判官 岡 本   岳
    裁判官 長 沢 幸 男

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