弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告人らの上告理由第一点について。
 論旨は、被上告人a村の代表者a村長は、地方自治法九六条一項一〇号によつて
訴訟行為をなすに必要とされている村議会の議決による授権を欠いているから民訴
三九五条一項四号に該当し、また村議会の議長の議決証明書の提出がないから民訴
五二条に違背していると主張する。
 なるほど、地方自治法九六条一項一〇号ほ、普通地方公共団体が当事者である訴
訟に関することについて議会が議決すべき旨を定めている。しかし普通地方公共団
体が被告となつて本件のような応訴をする場合には、地方自治法第二四三条の二第
四項の規定による請求に関する規則(昭和二三年最高裁判所規則二八号)二項、行
政事件訴訟特例法一条、民訴五八条、五〇条一項の規定により、議会の議決を必要
としないものと解するのが相当であり、従つて所論の村議会議長の議決証明書も必
要でない。論旨はすべて理由がない。
 同第三点について。
 論旨は、原判決が地方自治法二四三条の二の遡及適用がないとしたのは、憲法九
二条、九四条、九八条に違反すると主張する。しかし憲法九二条は、地方公共団体
の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める、
と規定しているだけで、「地方自治の本旨」が何であるかを具体的に明示してはい
ない。そして地方自治法二四三条の二のような訴訟の制度を設けるか否かは立法政
策の問題であつて、これを設けないからとて、地方自治の本旨に反するとはいえな
い。従つてかかる制度を設けていなかつた、昭和二三年七月の改正以前の地方自治
法を憲法九二条に違反するものということはできないし、また右の改正によつて始
めてかかる制度を設けた規定の遡及適用を否定した原判決を同法条に違反するもの
ということもできない。原判決が憲法九四条、九八条に違反しないことはいうまで
もない。
 次に憲法適否の問題を離れて、地方自治法二四三条の二の遡及適用があるかどう
かを考えてみるに、同条によつて住民が監査の請求をしさらに訴訟を提起すること
ができるのは、手続法上の権利ではなく実体法上の権利であり、昭和二三年七月法
律一七九号によつてはじめて住民に与えられた権利である。従つて、右の権利の認
められる以前の事実に関して右の権利を行使することは、法律の経過規定に特別の
規定がない以上ゆるされないものと解するのが相当である。
 論旨はまた、原判決が地方自治法二条八項(現在では一一項)に反する旨を主張
するのであるが、同法二四三条の二の訴が、前述のように地方公共団体の住民の当
然の権利として認められるものでない以上、右二条八項によつても、二四三条の二
の遡及適用を認めなければならないものではない。論旨はすべて理由がない。
 なお論旨は、本件売買等の無効である所以をるる説明するのであるが、上告人の
本訴のような請求がゆるされない以上、右売買等の効力について審理すべき限りで
はない。
 その余の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」
(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、また同
法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文
のとおり判決する。
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    高   橋       潔
            裁判官    高   木   常   七
            裁判官    石   坂   修   一

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