弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

        主      文
      1 原判決主文第1項を取り消す。
2 控訴人らの主位的請求(控訴人らが当審において追加した無名
契約解除無効確認請求を除く)をいずれも棄却する。
3 控訴人らの予備的請求のうち,次の請求を福岡地方裁判所に差
し戻す。
(1) 無名契約上の地位確認請求
(2) 法務活動妨害禁止請求
4 原判決主文第2項に関する本件控訴を棄却する。
5控訴人らが当審において追加した無名契約解除無効確認請求を
いずれも却下する。
      6 訴訟費用については,福岡地方裁判所に差し戻す予備的請求に
かかる部分を除き,第1,2審を通して控訴人らの負担とする。
      事実及び理由
第1 控訴の趣旨
 1 原判決を取り消す。
 2(1) 控訴人らと被控訴人との間において,控訴人らが原判決添付別紙「法
中担当町内一覧表」(以下「本件法中担当町内一覧表」という。)の各
担当地域の被控訴人の門徒に対し,単独もしくは,被控訴人と共同して
法務活動を行い,被控訴人と独立して,門徒からお布施を受け取る旨の
無名契約(小寺契約)上の地位を有することを確認する。
  (2) 控訴人らと被控訴人との間において,控訴人らは小寺契約とも称すべ
き無名契約(控訴人らが被控訴人の門徒を本件法中担当町内一覧表のと
おり地域ごとに分けて担当し,住職と独立してあるいは共同して,別紙
「法務活動の内容」のとおりの法務活動を行い,控訴人らが,門徒から
受け取るお布施を自己の収入とすることができる契約)上の地位を有す
ることを確認する(控訴人らが当審において追加した請求)。
 (3) 控訴人らと被控訴人との間において,控訴人らは小寺契約とも称すべ
き無名契約(控訴人らが被控訴人の門徒を本件法中担当町内一覧表のと
おり地域ごとに分けて担当し,住職と独立してあるいは共同して,葬
儀,法事,月忌参り等の法務活動を行い,控訴人らが,門徒から受け取
るお布施を自己の収入とすることができる契約)上の地位を有すること
を確認する(上記(2)の交換的変更請求)。
 (4) 控訴人らと被控訴人との間において,控訴人らは小寺契約とも称すべ
き無名契約(控訴人らが被控訴人の門徒を本件法中担当町内一覧表のと
おり地域ごとに分けて担当し,被控訴人の僧侶として,葬儀,法事,月
忌参り等の法務活動を行い,控訴人らが,門徒からお布施を受けとるこ
とができる契約)上の地位を有することを確認する(上記(3)の交換的変
更請求)。
 3 被控訴人は,控訴人ら及び控訴人らの地位を承継した者以外に,被控訴人
の法務活動をさせてはならない。
 4 被控訴人が,平成8年11月9日,控訴人らに対してなした小寺契約とも
称すべき上記2(1)ないし(4)記載の各無名契約の解除が無効であることを確
認する。
 5(1) 被控訴人は,控訴人らが,被控訴人の門徒に対して,別紙「法務活動
の内容」のとおりの法務活動を行うことを妨害してはならない(控訴人
らが当審において追加した請求)。
(2) 被控訴人は,控訴人らが,被控訴人の門徒に対して,葬儀,法事,月
忌参り等の法務活動を行うことを妨害してはならない(上記(1)の交換的
変更請求)。
6 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2 事案の概要
 1 本件は,被控訴人において法中という地位にあった控訴人らが,法中の地
位を無名契約上の地位であるとして,(1)主位的に,明治25年に,その当
時の被控訴人の住職と控訴人らの被承継人らとの間において,被承継人らに
法中の地位を認め,かつ被控訴人が続く限り,その地位を承継した者に永代
法中たる地位を認める旨の契約が締結され,控訴人らがその地位を承継して
いるとし,(2)予備的に,仮に上記明治25年の契約の締結が認められない
としても,控訴人らが長年法中として被控訴人の法務活動を行ってきたもの
であるから,控訴人らと被控訴人との間で黙示の契約が成立しているか,も
しくは契約上の地位を時効取得している(これらは選択的主張と解される)
として,上記(1),(2)のいずれの場合も,正当な理由がないのに被控訴人か
ら解任され,控訴人らの法務活動が妨害されているなどと主張し,主位的請
求として控訴の趣旨第2項ないし5項の,予備的請求として控訴の趣旨第2
項,4項,5項の裁判を求めた事案である。
 2 事実経過等
 (争いのある部分は,証拠(甲1,2,5ないし29,31の1,2,3
8,88,89,124,127ないし129,130の1,2,145な
いし150,乙18,20,証人A,控訴人B1,同B2,被控訴人代表者
(いずれも原審),控訴人B3,同B4,同B5(いずれも当審)),及び
弁論の全趣旨によって認定した。)
  (1) 被控訴人は,浄土真宗本願寺派の寺であり,控訴人らは,被控訴人に
おいて,法中と呼ばれる衆徒(僧侶)の地位にあった者である(争いが
ない)。
  (2) 被控訴人は,a地区において,他の浄土真宗の寺と比較して,大勢の門
徒を有する寺であり,1人の住職が行う法務活動だけでは多数の門徒の
需要に十分に応えることができず,また組織的にみてもその門徒全体を
維持管理することも困難であった。そのため,かなり以前から住職以外
の法中をもって各地域を担当させ,法中は,住職とともに,あるいは単
独で,被控訴人の門徒に対して様々な法務活動を行うという体制をとっ
てきた。
  (3) 控訴人らは,それぞれ得度するなどして被控訴人から法中と呼ばれる
地位を取得してから,次のような法務活動(以下「本件法務活動」とい
う。)を行ってきた。
   ア 葬儀
     門徒が亡くなると,その遺族が担当地区の法中(以下「地域担当法
中」という。)に連絡し,法中が臨終勤行(枕経)を行う。その際,
葬儀の日時については,地域担当法中が,遺族の意向と住職の予定を
調整して決定し,当番法中(10軒の法中家が順番で,住職,地域担
当法中と共同して葬儀を行うことになっている。)へ連絡する。葬儀
は,住職,地域担当法中,当番法中が共同して行う(なお,b地区で
は,地域担当法中がいないため当番法中が地域担当法中の役割を行
う。)。地域担当法中は,遺族と共に火葬場に同行し,勤行(読経)
を行う。住職は,これには同行しない。
   イ 法事(中陰,年忌参り,初盆など)
   遺族が地域担当法中と相談し,日程を決めて法事を行う。その際,遺
族の意向によって住職を招く場合もあるが,住職の日程が空いていな
ければ,住職は出席しない。中陰の初七日の法事については,住職は
出席しないことになっており,門徒と地域担当法中主体で進められ
る。住職単独で法事を行うことはなく,地域担当法中が同席する。
   ウ 布教活動
    地域担当法中が,その地域担当地区において,「ご縁(法座)」(法
事の後,新たに席を持ち,親族または縁者や町内の人を集め,法話を
するという活動)又は「会合」(門徒を教化するための活動)におい
て,月に2,3回の割合で法話を行う。「ご縁」及び「会合」は,地
域担当法中が行い,住職や当番法中が行うことはない。
   エ 月忌参り
    毎月の忌日参りは,地域担当法中が行い,これを住職が行うことはな
い。
   オ 法要
    被控訴人が行う法要として,永代経,春彼岸,婦人会,御誕会,皆作
盆会,秋彼岸,戦没者,御正忌法要の年8回の法要がある。これらの
法要は,それぞれ昼夜5日間行われ,特別な事情がない限り,住職を
はじめ,控訴人ら法中16人全員が勤める。その際には,法中10軒
は,当番制で1日ずつ,本堂の給仕や講師の案内等法要の世話を担当
する。また,法中の妻達も,法中坊守として,門徒の接待等,法要の
給仕をする。
   カ 3日の番
     被控訴人において連日行われる朝6時からのお勤めについて,法中1
0軒は,当番で3日ずつ,時鐘から給仕・お勤めまでを行う。
   キ 報恩講
    報恩講とは,親鸞聖人の遺徳を偲ぶ浄土真宗門徒の行事であるが,被
控訴人の門徒の各町内会がそれぞれ年1回勤める。住職,地域担当法
中,当番法中が,その町内会すべての門徒の家をお勤めしてまわり,
住職と当番法中が法話をする。
   ク 法中の報恩講
    法中の報恩講とは,法中10軒と住職であるC家の11軒で,年に1
度,全員ですべての家でお勤めを行う。この11軒が毎年順番に当番
になり,当番に当たった家は,布教使を招いて法座を営む。
ケ 上記法務活動の際,門徒から支払われるお布施については,門徒が住
職や担当した法中に対してそれぞれこれを直接渡し,受け取った者は
これを自己の収入とすることができる。
(4) 被控訴人は,平成8年7月頃,控訴人らに対し,被控訴人が控訴人ら
のためにしていた社会保険料の半額負担を打ち切る旨を連絡した。これ
に反発した控訴人らは,被控訴人に対して,当初は上記措置の撤回を求
めたが,その後,これを受け入れることとし,これとは別に,主として
経済的な基盤を確保しておくために法中の権利を主張して,それを書面
化することを求めるようになった。しかし,被控訴人がこれを拒否した
ことなどから,被控訴人と控訴人らとは次第に対立を深めていった。
  (5) 被控訴人は,平成8年11月21日,控訴人らの僧籍の削除を申請す
る旨の書面を本山である西本願寺に送付し,また遅くとも平成9年8月
頃には,控訴人らに対し,法中の地位を解任する旨の意思表示をした。
そして,被控訴人は,控訴人らが被控訴人において法中の地位にあるこ
とを認めない旨を門徒に知らせ,住職は控訴人らから要請があっても控
訴人らとともに葬儀などの法務活動をすることを拒絶するようになっ
た。その結果,控訴人らは,それぞれの担当地区において従前どおりの
法務活動ができなくなり,門徒から受け取っていたお布施による収入が
かなり減少した。
  (6) そこで,控訴人らは,本件訴訟に先立って平成9年12月に,被控訴
人を相手方として,小倉簡易裁判所に民事調停を申し立てた(同庁平成
9年(ノ)第2702号)が,同調停は,平成10年8月21日,不調に
終わった(争いがない)。
 3 主たる争点
  (1)控訴人らの各請求と法律上の争訟性(本案前の主張)
    控訴人らの主張する無名契約上の地位(法中の地位)を前提とする各請
求(以下「本件請求」という。)は,法律上の争訟といえるか。
  (2) 仮に,本件請求が法律上の争訟といえる場合,本件請求の前提となる
控訴人らの主張する無名契約上の地位を控訴人らは有するか。
    ①被控訴人の住職と控訴人らの被承継人らとの間の明治25年の契約締
結の有無,②控訴人らと被控訴人との間の黙示の契約,もしくは無名契約
上の地位の時効取得の成否,③控訴人らと被控訴人との間に契約関係が認
められる場合のその契約内容など。
(3) 控訴人らが当審において追加した無名契約解除無効確認請求(控訴の
趣旨第4項)は,訴えの利益があるか。
  (4) 控訴人らが当審において追加した法務活動妨害禁止請求(控訴の趣旨
第5項)について,被控訴人が控訴人らの法務活動を妨害しているか。
 4 各争点についての各当事者の主張
(1) 争点(1)(本案前の主張・本件請求と法律上の争訟性)について
(被控訴人)
 ア 控訴人らが明治25年の契約や黙示の契約等に基づいて取得したと主
張している控訴人らの地位,すなわち法中の地位は,被控訴人におけ
る一定の法務活動を行い得る地位であるから,まさに宗教上の地位と
いうことができ,そこには市民的・経済的な地位ないし権利義務は一
切含まれていないので,このような法中の地位を有することを前提と
する控訴人らの本件請求は,主位的請求,予備的請求のいずれも法律
上の争訟に当たらない不適法なものである。
イまた控訴人らの「住職から独立して,あるいは住職と共同して」,
「法務活動に際し,門徒から受け取るお布施を自己の収入とすること
ができる」とか,「門徒からお布施を受け取ることができる」という
主張を判断する過程において,被控訴人の教義との関連性を切断する
ことはできず,「住職から独立して,あるいは共同して」,「法務活
動」,「お布施を受け取る」という意味は宗教上の教義に照らして判
断せざるを得ない。また,被控訴人の門徒に対して,被控訴人の「住
職から独立して,あるいは住職と共同して」法務活動を行い得るとす
る控訴人らの主張は,浄土真宗本願寺派の教義に違背し,少なくと
も,かかる控訴人らの主張が成り立つか否かを検討するためには教義
の解釈を避けて通れない。これらの点からしても本件請求は法律上の
争訟性を欠いている。
ウ よって,本件請求は司法審査の対象とはならないから,これを却下す
べきである。
(控訴人ら)
   ア 控訴人らは,法中として,住職とともにまたは独立して,法務活動を
行い,その際,門徒からお布施を受け取り,これによって生活を維持
している。この点において,本件は財産上の利益に関する紛争であ
り,控訴人らはこのようにお布施を受け取ることができる無名契約上
の地位(契約に基づく世俗的地位)を有することを主張しているので
あるから,本件請求は,具体的な権利義務または法律関係をめぐる紛
争である。
   イ また控訴人らが主張する無名契約上の地位を有するか否かの判断過程
において,契約内容に法務活動やお布施など宗教上の活動に関する事
項が含まれるが,それらの事実関係の存否を判断するうえで,被控訴
人の信仰の内容や宗教上の教義に立ち入る必要はない。
     たとえば,「お布施を受け取る」ということについても,どこの僧侶
も行っていることであり,何ら宗教上の教義に照らし判断されるべき
ことではない。
   ウ したがって,本件請求は,法律上の争訟性を有するのであって,被控
訴人の本案前の主張は失当である。
(2) 争点(2)(無名契約上の地位(法中の地位)の取得原因等)について
(控訴人ら)
 ア 主位的請求関係
(ア) 被控訴人における法中制度
  被控訴人には,被控訴人という大寺の下に,法中10軒という各
小寺があり,各小寺も1個の寺としての法務活動を行いながら,全
体としては被控訴人という1つの寺を維持しているという実態にあ
る。
 (イ) 法中の権利
  被控訴人において,控訴人ら法中に認められている権利の内容
は,具体的には,以下のとおりである。
① 法中は,本件法中担当町内一覧表のとおり,被控訴人の門徒を
地域ごとに分けて担当し,住職から独立して,あるいは住職と共
同して,後記(ウ)記載の法務活動を行う。
② 法中が門徒から受け取るお布施は,自己の収入となる。法中か
ら住職へ上納金を納めることもないし,住職から法中へ給料が支
払われることもない。
③ 法中の権利は,被控訴人が存続する限り法中の直系子孫に受け
継がれ,法中の権利を有する者及びその地位を承継した者以外が
被控訴人の法務活動を行うことはできない。
(ウ) そして,前項①の法務活動の具体的な内容,同法務活動を行う
際の住職と法中の担当等は,別紙「法務活動の内容」のとおりであ
る。
(エ) 法中の地位の発生原因
  被控訴人において,前記のとおりの法中の権利が認められるよう
になったのは,小倉戦争で焼失した被控訴人の本堂の再建資金を調
達するために,明治25年,当時の第5代住職D,E,F,G,
H,I,J,K,L,M,以上10名の者(原判決添付別紙「系
図」の各ルートの一番左に記載されている者。以下,この10名を
「明治25年の当事者」という。)が,金500円をそれぞれ出資
し,これと引換えに,被控訴人が存続する限り,法中の地位を明治
25年の当事者及びその承継人のみに認める旨の無名契約を締結し
たことによる(以下,この無名契約を「本件明治25年契約」とい
う。)。
    (オ) 控訴人らへの法中の地位の承継
  控訴人らは,原判決添付別紙系図のとおり,明治25年の当事者
から法中の地位を承継した者である。
 なお,同系図に記載されている,「預り」という制度(控訴人B
2のルートの部分)は,法中の権利(法中株)を取得したわけでは
ないが,これを預かった後に返還を求められるまで被控訴人の僧侶
として法務に携わることができるというものである。 
    (カ)解任等
被控訴人は,平成8年11月9日に,控訴人らに対し,解任と称
して,控訴人らの法中の地位を消滅させる旨の意思表示を一方的に
してきたが,控訴人らには解任されるような理由は何もなかったの
であるから,被控訴人の解任の意思表示は法的効力を生じない。
 また被控訴人は,上記の時期頃以降,法務活動上必要であるのに
住職を派遣してくれないなど,控訴人らの行っている法務活動を妨
害している。
イ 予備的請求関係
    (ア) 上記主位的請求関係の主張のうち,(ア),(イ)(但し,法中の権
利につき,③の主張(便宜上,「世襲性等」という言葉を用い
る。)を除いたもの),及び(カ)と同一であるから引用する。
    (イ) 法中の地位の発生原因
① 黙示の契約
   控訴人らは,寺内得度をしたとき,仮にそのような制度が認め
られない場合には,控訴人らが被控訴人の新任僧侶として被控訴
人から認められて法中と呼ばれるようになった時から,別紙「法
務活動の内容」記載のとおりの法務活動を行い,それに対するお
布施を自己の収入とすることができた。したがって,この時点
で,控訴人らと被控訴人との間で上記主位的請求関係の主張の
(イ)①②及び(ウ)を内容とする黙示の契約が成立した。
   そして,この黙示の契約の成立は,その時から,被控訴人にお
いて,控訴人らが法中としてそれぞれの担当地域の門徒に対して
法務活動を繰り返し行い,これに対する門徒からのお布施を自己
の収入としてきたところ,被控訴人は,控訴人らに対し,これら
につき何らの異議も唱えなかったことなどの事情から推定され
る。
② 時効取得(上記①との関係は選択的)
控訴人らは,明治25年の当事者が被控訴人の本堂の再建資金
を出資したため,被控訴人において法中の地位が認められ,控訴
人らがその地位を承継した者であると信じて,少なくとも上記主
位的請求関係の主張の(イ)①②のような権利(世襲性等を除いた
もの)につき,昭和61年11月10日から平成8年11月9日
までの10年間,同(ウ)のような法務活動を行って権利を行使し
てきた(控訴人B6については,父B1の昭和61年11月10
日から平成2年5月14日までの権利行使を承継し,これと併せ
てその後の平成8年11月9日までの自己の権利行使を主張す
る)。
   よって,控訴人らは,所有権以外の財産権を,自己のためにす
る意思をもって,平穏かつ公然に,善意かつ無過失で,10年間
行使してきたことによって,上記無名契約上の地位(権利)を時
効取得したので,この取得時効を援用する。
(被控訴人)
 ア 主位的請求関係
(ア)そもそも,控訴人らの主張のように,被控訴人の本堂が小倉戦争
で焼失し,明治25年頃,現在の被控訴人の本堂を建て直した事
実はない。したがって,被控訴人の本堂の再建資金を調達するた
めに,被控訴人が明治25年の当事者から金500円ずつの出資
を受けた事実もなく,また本件明治25年契約の締結という事実
もない。
(イ) 本件明治25年契約が存在しない以上,控訴人らが,それに基づ
く法中の地位を承継するということもありえない。
(ウ) 控訴人らの主張する法中の権利の内容は争う。
イ 予備的請求関係
(ア) 控訴人らの主張するような黙示の契約の成立は否認する。被控
訴人には,寺内得度という制度はない。また一定の事実が一定期
間継続したからといって,それが当然に当事者間の契約内容とな
るものではない。控訴人らが行っていたという法務活動のうち,
少なくとも,控訴人らの担当地域につき控訴人らが住職から独立
して法務活動を行うことを被控訴人が認めていたという事実はな
い。
(イ) 控訴人らの主張する無名契約上の地位の時効取得は争う。
(ウ)控訴人らの主張する法中の権利の内容は争う。
ウ 両請求関係
(ア) 被控訴人が控訴人らを解任したのは,平成9年8月である。控
訴人らの主張する平成8年11月頃は,被控訴人が控訴人らを解
任した時期ではなく,控訴人らが法中として被控訴人の法務活動
を行うことを拒否した時期である。
(イ) 平成9年8月の控訴人らの解任について,仮にその解任の有効
性が問題となり得るとしても,被控訴人と控訴人らとの間の契約
関係は,控訴人らの主張するような無名契約でも雇傭契約でもな
く,いわば準委任契約のようなものであるから,上記解任によっ
て,契約関係は適法かつ有効に終了している。
  (3)争点(3)(無名契約解除無効確認請求における訴えの利益の有無)につ
いて
(控訴人ら)
無名契約上の地位確認請求(控訴の趣旨第2項)が法律上の争訟にあ
たらないと判断された場合に備えて請求するものであるから,訴えの
利益がある。
(被控訴人)
 控訴人らの請求は過去の法律関係の存否の確認を求めるものである
から,訴えの利益がない。
 また被控訴人は,控訴人らに対して,平成8年11月9日に控訴人
らの主張するような解任の意思表示をしていないのであるから,この
点からも訴えの利益がない。
(4) 争点(4)(被控訴人による控訴人らの法務活動妨害の有無)について
(控訴人ら)
被控訴人は,何ら正当な理由もないのに控訴人らの法中の地位を否定
し,控訴人らの行ってきた法務活動を妨害し,生活の基盤を奪ってし
まった。
(被控訴人)
被控訴人は,控訴人らに対して,平成9年8月に法中の地位を解任す
る旨意思表示をしており,これが有効であるから,控訴人らの法務活
動を妨害しているとはいえない。
また控訴人らのいう妨害行為は,住職に控訴人らと一緒に葬式,法要
に出席することを求めるというものにすぎず,訴え自体失当である。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(本案前の主張・本件請求と法律上の争訟性)について
被控訴人は,控訴人らの本件請求は法律上の争訟にはあたらない旨,本案
前の答弁として主張するので,まずこの点について判断する。
裁判所法3条にいう「法律上の争訟」というためには,①当事者間の具体
的権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であること,②紛争が法令の
適用によって終局的に解決できるものであることの2点が要件となる。な
お,形式上は①の要件を充たす紛争であっても,その解決のための前提問題
として判断しなければならない争点が,宗教上の教義,信仰内容に立ち入る
ことなくしては判断ができないような紛争については,②の要件を欠くこと
となり,紛争全体が法律上の争訟性の要件を欠くことになると解される。
   そこで,まず上記①の要件について検討する。前記「第1 控訴の趣旨」
欄及び「第2 事案の概要」欄において摘示したように,控訴人らの本件請
求の内容は,控訴の趣旨第2ないし5項記載のとおり地位確認請求等であ
り,これら請求の各請求原因事実は,控訴人らの主張する控訴人らと被控訴
人との間の無名契約の成立ないし無名契約上の地位の存在を共通の前提事実
としている。すなわち,具体的には,主位的請求関係においては,本件明治
25年契約とその契約上の地位の承継であり,予備的請求関係においては,
黙示の契約,もしくは黙示の契約と同一内容の地位(権利)の時効取得であ
る。これら請求や請求原因事実自体をみる限りでは,控訴人らは,控訴人ら
と被控訴人との間における契約の成立ないし時効取得等に基づく地位(権
利)を主張し,これに基づいて本件請求をしているものであるから,本件請
求は,当事者間の具体的権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であ
り,上記「法律上の争訟」の2つの要件のうち,①の要件は充足していると
いうことができる。
この点について,被控訴人は,控訴人らの主張する無名契約上の地位は,
法中という宗教上の地位にほかならない旨主張する。確かに,控訴人らの主
張する無名契約上の地位は,法中の地位をいうものであって,被控訴人の寺
則(乙16)や浄土真宗本願寺派の宗門基本法規集(乙17)には法中につ
いて何ら記載するところはない(したがって宗教法人としての被控訴人の規
則等に明定された機関ではない)し,また前記第2の2の「事実経過等」の
とおり,法中は,被控訴人において,住職とともにあるいは単独で,本件法
務活動を行い,これに対して門徒からお布施を受け取っているというのであ
るから,その行為が宗教的性質をも併せ有することが明らかであり,法中の
地位は宗教的な地位を意味しているといえる。
   しかしながら,本件の場合は,控訴人らは,あくまでも控訴人らと被控訴
人との間の無名契約上の地位の確認等を求めているのであって,上記のとお
り,その地位は契約ないし時効取得に基づく具体的な権利義務ないし法律関
係として法律構成され主張されているのである。したがって,その地位の内
容(どのような地域でどのような法務活動を行うのか,門徒から提供される
お布施をどのように扱うのかなど)は,宗教上の教義によって定まるもので
はなく,その契約ないし時効取得の法的な解釈によって定まるものである。
このような場合には,たとえその地位にある者が同時に宗教的な地位にある
ことを意味する法中と呼称され,主張される契約内容の中に本件法務活動と
いう宗教的性質を帯びた行為が含まれているとしても,そのことによって,
直ちに①の要件を充足しないということにはならないと解される。
   被控訴人は,最高裁昭和55年1月11日第三小法廷判決を引用して,住
職たる地位という宗教上の地位の存否の確認を求める訴えが許されないのと
同様の理由によって,控訴人らの主張する無名契約上の地位確認等の訴えも
許されないと主張する。
しかしながら,上記判例は,宗教上の地位としての住職の地位は,その発
生原因やその地位の内容が当該宗教の教義と深くかかわるからその地位自体
が高度の宗教性を持ち,信教の自由や宗教団体の自治の面からみて,その地
位の存否の確認の訴えは法律上の争訟性を有しないとしているものと解さ
れ,本件のように,その地位の発生原因や地位の内容が,控訴人らと被控訴
人間の私的な契約ないし時効取得の解釈によって定まるような場合にまで適
用することはできない。
そこで進んで,上記②の要件,すなわち,本件請求の争点について,事実
認定や法律的判断をするうえで,被控訴人の宗旨である浄土真宗の教義,信
仰内容に立ち入ることなくして判断が可能か否かについて検討する。
控訴人らの主張する無名契約上の地位の前提となる無名契約の内容をみて
みると,上記認定のとおり,控訴人らが,各担当地域の被控訴人の門徒に対
して,住職とともにあるいは単独で,葬儀,法事(中陰,年忌参り,初盆な
ど),布教活動,月忌参り,法要,3日の番,報恩講,法中の報恩講などの
法務活動を行い,その際,門徒からお布施を受け取ることができるというも
のである。
確かにこのような契約内容をみると,控訴人らの行う法務活動は宗教的行
為であり,その意味を明らかにするためには宗教上の概念の解釈が問題とな
り得る。しかしながら,本件における争点は,その各行為自体の意味内容が
何であるのかという点について,被控訴人の宗旨である浄土真宗の教義,信
仰内容に深く立ち入って解釈しなければならないようなものではなく,判断
すべき事項は,主位的請求においては,本件明治25年契約の存否,及びそ
の承継の有無であり,予備的請求においては,黙示の契約ないし時効取得の
成否に止まる。そして,そこにおいて控訴人らが真に判断を求めていること
(換言すれば,本件紛争の本質的争点)は,控訴人らがお布施という形式で
門徒から金銭を受け取ることができる経済的地位ないし財産的権利の有無で
あって,契約内容となっている法務活動の宗教的意義や内容等の確定ではな
いし,その確定が本件の争点について法律的な判断をするうえで不可欠な前
提になっているともいえない。したがって,控訴人らの主張する無名契約上
の地位(法中たる地位)の存否の判断については,宗教上の教義,信仰の内
容に立ち入ってその意義・内容を解釈することを要することなく判断するこ
とが可能であるというべきであるから,本件請求は,上記②の要件をも充た
している。
この点に関連して,被控訴人は,「法務活動」,「お布施」などの概念は
被控訴人の宗教上の教義を解釈しなければ内容が定まらない旨主張する。な
るほど仏教の各宗派によって「法務活動」,「お布施」などの概念が異な
り,また宗教的にはそれぞれに深遠な意味が含まれていることはそのとおり
である。しかし,本件においては,控訴人らの主張する「法務活動」,「お
布施」などの意味を明らかにするについて,それらの有する宗教的意義や内
容等を認定する必要は全くなく,単に控訴人らが被控訴人との関係において
日常的に行っている法務活動を特定し,門徒が法中に葬儀や法事などの法務
活動をしてもらった際に法中に渡す「金銭」を意味するお布施を受け取るこ
とができる地位(権利)があったか否かさえ認定できれば十分であるという
べきである。
更に被控訴人は,控訴人らが主張する無名契約上の地位は,浄土真宗本願
寺派の教義に違背するものであり,少なくとも控訴人らの主張が成り立つか
否かを検討するためには,教義の解釈を避けて通れないとも主張する。
しかしながら,控訴人らの主張を前提とする限り,被控訴人の上記主張
は,被控訴人の代表役員である住職の(黙示の)契約締結行為あるいは控訴
人らの地位の黙認が教義に反しているか否かという問題に過ぎず,控訴人ら
の主張する地位確認等の訴えの法律上の争訟性を失わせるものとはいえない
し,また上記のとおり,その地位の内容も外形的に特定できるものであるか
ら,仮に,成立した契約上の地位ないし時効取得された地位の有効性が教義
との関係で問題となるとしても(この場合,自らが締結しあるいは黙認した
控訴人らの地位の有効性を被控訴人が自らの教義違背を理由に否定できるか
という信義則上の問題もある。),その教義の解釈にまで立ち入る必要はな
いというべきである。
   よって,被控訴人の主張は採用できない。
2 争点(2)(無名契約上の地位(法中の地位)の取得原因等)について
(主位的請求関係)
 本件明治25年の契約の締結の有無を判断するにあたり,まず本件明治2
5年契約の締結に至る経緯(小倉戦争による被控訴人の本堂の焼失,及び本
堂再建の有無),次いで同契約が締結されたか否かについて,順次検討す
る。
(1) 本件明治25年契約の締結に至る経緯
  証拠(甲1,36,37,53ないし64,乙1の1ないし3,2の
1及び2,3の1ないし3,4の1ないし5,5ないし7,8の1及び
2,9の1ないし7,10,15,24の1ないし3,25の1ないし
3,26ないし29,証人A,被控訴人代表者(いずれも原審))及び
弁論の全趣旨によれば,次のとおり判断するのが相当である。
  第1に,Nが作成した「O寺履歴の一齣」と題する冊子(甲1)に
は,小倉戦争の際,長州軍による焼き討ちにあい,被控訴人の本堂が焼
け落ちた旨の記載がある。
  しかし,同冊子は,Nが,控訴人B1及び同B6の被承継人である
P,控訴人B7及び同B8の被承継人であるQ,R及び同B5の被承継
人であるSが口述するところを筆録してそれを整理したものであり,そ
れ以外の正確な資料に基づくなどして作成したものではないことが認め
られる。
  次に,郷土史等には,小倉戦争の際,c(被控訴人の所在地の当時の
字)から,d及びeまでにわたって焼かれ,T寺他,被控訴人の付近の寺
が焼失したことなどの記載がある。
  しかし,被控訴人の本堂等の焼失に関する記載はないこと,被控訴人
のところにあった古文書(甲36)には,「慶應2年8月,本堂焼失」
と記載されているが,同古文書には,作成日時,作成者等の記載がない
こと,明治25年より前に作成され,明治25年当時,被控訴人の本堂
にあったと思われる「親鸞聖人絵像」等の掛け軸が被控訴人に現存して
いること,「御堂創建百年なり。時に禍難あり,古には苦節あれども,
門信徒一同よくこれに耐え,乏しき浄財の中より懇念篤く」という記載
がある「O寺勤行聖典」と題する書面(甲37)も確かな資料に基づい
て作成されたものではないことが認められる。
 以上によれば,被控訴人の本堂が小倉戦争で焼失し,明治25年に被
控訴人の本堂が建築されたことについては,言い伝えの域を出ないもの
というべきであり,他にこの事実を認めるに足りる証拠はない。
(2)本件明治25年契約締結の有無
 ア 以上のとおり,被控訴人の本堂が小倉戦争で焼失し,明治25年に
被控訴人の本堂が建築されたことを認めるに足りる証拠がないとして
も,控訴人らは,本件明治25年契約が締結されたことを立証するた
めに次のような各書証を提出しているので,これらについて検討し,
本件明治25年契約が締結されたか否かについて判断する。
 イ 各書証の記載内容の要旨は次とおりである。 
 ①「O寺畧歴と衆徒の関連」と題する書面(甲3)
   同書面は,被控訴人の先代住職であるU1(以下「先代住職」と
いう。)が作成したもので,それには,明治25年のO寺落成時に
本件明治25年契約が締結された旨の記載がある(前半部分平成1
0年2月16日付け,後半部分同月17日付け。なお,本件明治2
5年契約締結についての記載があるのは,後半部分である)。
 ②「確認書」と題する書面(甲4)
   同書面には,「1,昭和26年6月1日,O寺衆徒となることの
できる権利を譲渡した。2,右1項の権利は,いわゆる『株』と呼
ばれ,この『株』は,終身O寺の衆徒の地位を認めるものであり,
乙の代々の直系子孫にもO寺の衆徒の地位が認められるものであ
る。3,この『株』は,O寺本堂再建資金を出資した衆徒に認めら
れたものであり」,「乙(控訴人B2のこと)に譲渡された『株』
は,V氏が有していたものをO寺7代住職U2が預かっていたもの
であった」旨の記載があり,その末尾に先代住職及び控訴人B2の
署名押印がある(平成10年7月1日付け)。
 ③「認書」と題する書面(甲34)
   同書面には,「O寺本堂完成時である明治25年頃より,衆徒十
軒は,本堂建立資金を出資した事に由り,当時のO寺5代住職U3
師と門徒總代の間において終身O寺の衆徒の地位が約束され,代々
の直系子孫にも世襲制としてO寺現本堂の存在する限り,O寺衆徒
としての地位が認められる」旨の記載があり,先代住職と控訴人ら
のうち10名の者の署名押印がある(平成10年7月28日付
け)。
 ④「前住職よりすべての御門徒様に訴えます」と題する書面(甲3
5)
  同書面には,「O寺の百年来の歴史に鑑み,従来通りに門徒・法
中・住職の三者が一体となったO寺の繁栄」等を望むものである旨
の記載があり,先代住職の署名押印がある(平成10年7月28日
付け)。
ウしかし,これら書証の記載内容は,いずれもこれを信用することが
できない。
  まず甲3について,先代住職は,平成11年4月28日にこれを同
人の認識に基づいて書いたものではなく,法中に言われるままに書い
た部分が多い旨述べている(乙14)。確かに甲3の前半部分(平成
10年2月16日付け分)には,加除訂正が多く,先代住職の真情が
見てとれる内容が含まれている。しかし,その後半部分(同月17日
付け分)は,予め用意されていた文案を書き写したものといわざるを
得ない。
  次に甲4については,控訴人B2本人自身が,平成8年に被控訴人
と控訴人らとの間に,法中の権利を巡る紛争が起こった際に作成した
ものである旨原審において供述している。またその内容についても,
法中株の取得時期が,被控訴人の過去帳(乙38)には,控訴人B2
が昭和26年2月に法務活動に関わっていたことが記載されているの
であって,甲4と整合性のないものとなっている。
  更に甲34及び35の作成経緯について,控訴人B1は,甲34
は,ワープロで作成された文章に先代住職がその内容を確認のうえ署
名押印した旨,甲35は,控訴人らの身内の者らが揉め事を解決する
ために先代住職にその作成を依頼した旨原審において供述している。
 これらを併せ考慮すれば,前記ア①ないし④(①については,平成
10年2月17日付けの後半部分)は,いずれも本件紛争が発生した
後に,法中らが紛争解決を望む先代住職に対して作成を迫った結果,
記載されたものであり,その文案はいずれも,控訴人ら法中が検討し
たうえ作成したものと推認するのが相当であって,先代住職が,その
内容につき正確な知識等を有していて,それに基づき記載したものと
は認められない。
エこれに加えて,明治25年の当事者が拠出したという金額について
検討するに,乙20には,「伍十円(一説に伍百円)」との記載が,
乙32の1には,控訴人B9はその祖父から20円だった旨聞いたこ
とがあるが,結局,その額はよく分からない旨の発言をしている記載
があり,控訴人B1は,原審において,500円か50円というふう
に言い伝えられている旨供述している。
  これら証拠からは,明治25年の当事者が拠出したという金額につ
いて,控訴人らの認識が必ずしも一致しているとはいえず,その内容
も確かな根拠に基づくものではないことが明らかである。
オまた本件においては,明治25年の当事者に交付されていたはずの
契約書や覚書等の証拠が存在しない。証拠(乙19)及び弁論の全趣
旨によれば,明治25年当時の500円という金額の価値は,現在で
いえば,1000万円を優に超える金額であったことが窺えるとこ
ろ,そのような高額な寄付がなされた場合には何らかの書面が作成さ
れたり記録が残されることが多いと考えられるうえ,被控訴人が,明
治25年の当事者に対し,控訴人らが主張するような法中の地位(権
利)を与え,同地位(権利)をその承継人に永代認めるという,被控
訴人にとって,組織上の根幹に関わるような約束を交わすような場合
であれば,契約締結の際,契約書に相当するような書面や覚書等の書
面が作成され,明治25年の当事者に交付されるのが通常であるとい
える。
  控訴人らの主張する契約の時期は,100年以上も前のことである
から,その間に控訴人らが覚書等の書面を紛失してしまった可能性が
ないとはいえないが,その点を考慮したとしても,上記のような書面
が控訴人らのいずれにも一つも現存していないというのは,やはり不
自然であるといわざるを得ない。
カ以上検討したところを総合考慮すると,被控訴人と明治25年の当
事者との間で,本件明治25年契約が締結されたことは,これを認定
することができない。
(3) まとめ
以上のとおり,本件明治25年契約が成立していたことが認められな
いので,その余の点について更に検討するまでもなく,これを前提とす
る控訴人らの主位的請求(但し,後記のとおり,控訴人らが当審におい
て追加した無名契約解除無効確認請求は,これを却下すべきであるから
除く。)はいずれも理由がない。
 (予備的請求関係)
 (1) 黙示の契約の成否について
    前記第2の2で認定したとおり,控訴人らは,被控訴人において,法中
と呼ばれていたものであり,これまで被控訴人の住職とともに,あるい
は単独で,本件法務活動を行ってきたものである。
    そして,証拠(甲1,4,42ないし52,64,89,114ないし
118,124,131ない133,135ないし158,乙37の1
ないし3,38,控訴人B1,同B2(いずれも原審),同B4,同B
5,同B3(いずれも当審))及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が
認められる。
ア 控訴人らは,それぞれ以下のとおり得度し,その前又は後に行われた
新任僧侶となる者のお披露目を目的とした儀式(寺内得度と称され,
住職や坊守,他の法中等を招いて,儀式を行い,披露宴を催すことが
ある。)を経て,法中と呼ばれるようになり,その頃から本件法務活
動を行ってきた。
   (ア) 控訴人B10は,昭和22年2月15日に得度し(寺内得度は昭
和21年頃),同B4は,昭和50年9月15日に得度し(寺内得
度は昭和51年頃),それぞれその頃から本件法務活動を行ってき
た(甲117,124,145,147)。
(イ) 控訴人B11は,昭和51年9月15日に得度し(寺内得度は
昭和60年頃),その頃から本件法務活動を行ってきた(甲14
8)。
(ウ) 控訴人B2は,昭和18年8月15日に京都W寺で得度し,昭
和26年頃に被控訴人に移籍し(寺内得度はその頃),その頃か
ら本件法務活動を行ってきた(甲115,152,控訴人B2
(原審))。
(エ) 控訴人B12は,昭和47年8月11日に得度し(寺内得度は
昭和48年頃),同B3は,昭和61年2月27日に得度し(寺内
得度は平成3年6月20日),それぞれその頃から,本件法務活動
を行ってきた(甲114,131ないし133,153,154,
控訴人B3(当審))。
 (オ) 控訴人B13は,昭和61年9月15日に得度し(寺内得度は昭
和62年4月頃),その頃から,本件法務活動を行ってきた(甲1
57)。
 (カ) 控訴人B14は,昭和37年3月15日に得度し(寺内得度は昭
和30年頃),及び同B15は,昭和57年3月15日に得度し
(寺内得度は昭和60年頃),それぞれその頃から,本件法務活動
を行ってきた(甲149,151)。
 (キ) 控訴人B1は,昭和37年10月15日に得度し(寺内得度は昭
和39年頃),同B6は,平成2年5月15日に得度し(寺内得度
は平成6年頃),それぞれその頃から,本件法務活動を行ってきた
(甲146)。
 (ク) 控訴人B9は,昭和21年11月15日に得度し(寺内得度も同
じ頃),同B16は,昭和53年10月15日に得度し(寺内得
度は昭和62年頃),それぞれその頃から,本件法務活動を行っ
てきた(甲150)。
 (ケ) 控訴人B7は,昭和37年10月15日に得度し(寺内得度は昭
和26年頃),同B8は,昭和59年7月に得度し(寺内得度は昭
和60年3月頃),それぞれその頃から,本件法務活動を行ってき
た(甲155,156)。
 (コ) 控訴人B5は,昭和46年10月15日に得度し(寺内得度は昭
和48年6月頃),その頃から本件法務活動を行ってきた(甲15
8)。
イ 被控訴人の住職(先代住職及び現住職)は,昭和20年頃以降,平
成8年11月頃までは,控訴人らが,法中として本件法中担当地区一
覧表記載の各担当地域において,それぞれ住職とともにもしくは単独
で,本件法務活動を行い,門徒からお布施を受け取ることについて,
少なくともこれを黙示的に承認し,また何ら明示的に異議を述べたこ
とはなかった。
ウ現住職の妻である坊守やXの事務長も,控訴人らが法中の地位にあ
ったことを認めるが如き発言をしており,また熊本県f郡のY寺には
被控訴人における法中と同様な地位にある衆徒(僧侶)がいる。
(2) 以上の事実によれば,控訴人らのうちの多くの者は,本山による得度
を受け,その後寺内得度を経て被控訴人から新任僧侶として認められ,
法中と呼ばれるようになった頃から,本件法務活動を行い,それに対す
るお布施を門徒から受け取って自己の収入とすることができるようにな
り(但し,一部の者は正式に得度する前に寺内得度を受けているが,こ
のような場合には,その者には浄土真宗における衆徒(僧侶)の資格が
ないので,それまでの間はいわば見習のような地位にあったものであ
り,本山による得度を受けた時点で法中の地位を確定的に取得すると解
するのが相当である。),その後,このような被控訴人との関係を平成
8年11月頃まで継続してきたこと,これに対し,被控訴人は,控訴人
らがそれぞれ法中の地位に就いたことを認識し,住職が控訴人らと本件
法務活動をともに行うなど法中となった控訴人らの行為を承認していた
ものであるから,控訴人らと被控訴人との間で,被控訴人が控訴人らを
それぞれ法中と認めた時点(正式な得度が先行している場合には,寺内
得度が行われた頃,寺内得度が先行している場合には,正式な得度を受
けた頃)において,上記控訴人らの予備的請求関係の主張(ア)において
引用する主位的請求関係の主張(イ)①②及び(ウ)に記載のとおりの内容
の黙示の契約が成立したものと認めるのが相当である。
なお,控訴人らは寺内得度が法中の地位の承継儀式であり,正式な得
度を受けていない者もこの時点で被控訴人との間で無名契約が成立する
旨主張する。しかし,前掲証拠によれば,寺内得度という制度は,本山
や被控訴人の寺院規則などに定められた正規の僧侶就任制度ではなく,
法中家が主催する非公式の新任僧侶のお披露目のための儀式と認めるの
が相当であって,それによって正規の僧侶の資格を取得できるものでは
ない。したがって,僧侶となっていない段階で僧侶の呼称である法中と
いう地位を取得するとは考えられないので,寺内得度が先行した場合に
は,本山において得度を認められてから法中となり,これが被控訴人に
認知されて法中として活動を開始した頃に黙示の契約が成立すると解す
るのが相当である。
一方,被控訴人は,寺内得度という制度はそもそも存在しないと主張
し,それに沿う証拠として門徒らが作成した上申書(乙56の2)を提
出する。確かに法中の地位の承継儀式としての寺内得度という制度は認
められないが,法中家が主催する非公式な新任僧侶のお披露目のための
儀式としては上記のとおり存在し,控訴人らがこれを契機に本件法務活
動を開始していたことは認められるので,その限りで被控訴人の主張及
び上記証拠は採用できない。
(3) まとめ
    このように控訴人らの予備的主張が認められ,控訴人らと被控訴人と
の間に控訴人らが主張するような無名契約が成立しているとすると,次
に被控訴人の主張する同契約の解除(解任の意思表示)の成否等が問題
となる。しかし,原審は,控訴人らの主張する無名契約上の地位の確認
については,法律上の争訟にあたらないとして訴えを却下し,被控訴人
の主張する抗弁については判断していないし,被控訴人においても,こ
の点について主張立証を尽くしているとはいえない。なお控訴人らが当
審において追加した法務活動妨害禁止請求についても同様に妨害の有無
の判断の前提として契約の解除(解任の意思表示)の成否が問題とな
る。
    よって,これらの点を更に審理させるため,予備的請求(但し,無名
契約解除無効確認請求は除く。)を福岡地方裁判所に差し戻すのが相当
である。
 3 争点(3)(無名契約解除無効確認請求における訴えの利益の有無)につい

この点について判断するに,被控訴人が指摘するとおり,控訴人らの無名
契約解除無効確認請求(控訴の趣旨第4項)は,控訴人らと被控訴人との間
で,被控訴人によってなされたという平成8年11月9日付けの無名契約解
除が無効であることの確認を求めるものであって,この請求は,過去の法律
関係の存否の確認を求めるものである。
   ところで確認の訴えは,原告の権利ないし法律関係に危険や不安定が現存
し,かつそれを除去する方法として原・被告間で判決することが有効かつ適
切である場合に認められる訴えである。したがって,確認の訴えの対象は,
原則として現在の権利ないし法律関係でなければならず,過去の権利ないし
法律関係の存否の確認は,迂遠であるとともに,その後の法律関係の変動が
考慮されないので,それによって必ずしも現在の紛争が解決されるわけでは
ないから,訴えの利益がない。但し,過去の権利ないし法律関係の存否の確
認でも,現在の権利ないし法律関係の個別的な確認が必ずしも紛争の抜本的
な解決をもたらさず,かえって,それらの権利関係の基礎にある過去の基本
的な法律関係を確定することが,現存する紛争の直接かつ抜本的な解決のた
め適切かつ必要と認められるような場合には,訴えの利益が認められる。
これを本件についてみるに,控訴人らは,無名契約上の地位確認請求(控
訴の趣旨第2項)をしており,これによって現在の紛争を解決することがで
きるのであるから,本件においては,そもそも過去の法律関係の存否の確認
を求める訴えの利益はないというべきである。
 なお,控訴人らは,上記無名契約上の地位確認請求が法律上の争訟にはあ
たらないと判断された場合に備えて請求するものであるというが,上記のと
おり,控訴人らの無名契約上の地位確認請求等は法律上の争訟にあたると解
することができるのであるから,この点においても,無名契約解除無効確認
請求につき訴えの利益があるとの控訴人らの主張は採用することができな
い。
4 争点(4)(被控訴人による控訴人らの法務活動の妨害の有無)について
前記2において説示したように,控訴人らの法務活動妨害禁止請求(控訴
の趣旨第5項)は,無名契約上の地位確認請求とともに福岡地方裁判所ヘ差
し戻すのが相当であるから,この争点については判断するまでもない。
5控訴人らの当審における訴えの変更について,被控訴人の主張に鑑み,当
裁判所の見解を付言する。
   被控訴人は,控訴人らの当審における訴の追加的変更の申立て,及び変更
された訴えについての2回にわたる交換的変更の申立てに関して,前者は,
請求原因事実が異なるなど請求の基礎を異にするものであり,かつ著しく訴
訟手続を遅滞させるものであるから許されない旨,後者は,著しく訴訟手続
を遅滞させるものであるから許されない旨それぞれ主張する。
しかしながら,控訴人らが当審において追加した請求,及び後に交換的変
更をした請求は,いずれも控訴人らの主張する無名契約上の地位の存否を前
提とする紛争に関するものであって,請求原因事実や法律構成に違いはある
ものの,新旧両請求の紛争の実態や利害関係が社会生活上は共通していて,
一連の紛争に関するものということができるうえ,従前の裁判資料を新請求
の審理,裁判にも利用することができることは論をまつまでもないことであ
るから,請求の基礎に変更がないというべきである。また控訴理由に関する
事項とともに追加ないし変更された新請求を審理するために,当審におい
て,控訴人らから申請された人証のうち3名と提出された書証を取り調べた
が,これらによって当審における訴訟手続を著しく遅滞させることになると
はいえなかったことも明らかである。
よって,控訴人らの訴えの追加的変更申立て及び交換的変更申立ては,い
ずれも民訴法143条所定の要件を充たした適法なものというべきであるか
ら,被控訴人の主張は採用できない。
なお,被控訴人が控訴人らの訴えの交換的変更の申立てに同意していない
ので,旧請求は依然係属した状態となっており,結果的に訴えの追加的変更
と同様の状態が存続していると解される。
6 まとめ
以上によれば,本件請求は,法律上の争訟といえるので,その限りではい
ずれも適法な訴えである。但し,本件請求のうち,控訴人らが当審において
追加した無名契約解除無効確認請求は,主位的請求及び予備的請求とも過去
の法律関係の存否の確認を求めるものであるから訴えの利益がなく不適法で
ある。その余の控訴人らの主位的請求(控訴人らが当審において追加した無
名契約解除無効確認請求を除いたもの)は,控訴人らの主張する本件明治2
5年契約の締結の事実が認められないので,いずれも理由がない。控訴人ら
の予備的請求のうち,無名契約上の地位確認請求と法務活動妨害禁止請求
は,黙示の契約による控訴人らの主張する無名契約の存在までは認められる
ものの,同契約の解除(解任の意思表示)の効力については,更に審理する
必要があるので,これを福岡地方裁判所に差し戻すのが相当である。
第4 結論
よって,原判決中,無名契約上の地位確認請求(控訴の趣旨第2項(1)に
相当する請求)を却下した部分は不当であるから,原判決主文第1項を取り
消し,同請求のうち主位的請求(控訴の趣旨第2項(1)ないし(4))は理由が
ないのでこれを棄却することとし,不作為請求(控訴の趣旨第3項)を棄却
した部分は相当であるから本件控訴をいずれも棄却することとし,当審にお
いて追加した無名契約解除無効確認請求(控訴の趣旨第4項)は不適法であ
るからいずれも却下し,当審において追加した法務活動妨害禁止請求(控訴
の趣旨第5項(1),(2))のうち,主位的請求は理由がないのでいずれも棄却
し,同請求の予備的請求は,上記無名契約上の地位確認請求(控訴の趣旨第
2項(1)ないし(4))の予備的請求とともに福岡地方裁判所に差し戻すことと
し,主文のとおり判決する。
福岡高等裁判所第2民事部
  裁判長裁判官石   塚   章   夫
              裁判官   山   田   和   則
裁判官山   本善   彦
(別 紙)
法 務 活 動 の 内 容
 1 葬儀
門徒が亡くなると,その遺族が担当地区の法中に連絡し,法中が臨終勤行
(枕経)を行う。その際に葬儀の日時を,遺族の意向と住職の予定を調整
して決定して当番法中へ連絡する。当番法中とは,10軒の法中家が順番
で,住職,地域担当法中と共同して葬儀を行うことになっているものであ
る。葬儀は住職,地域担当法中,当番法中が共同して行う。なお,地域担
当法中は遺族と共に火葬場に同行し,勤行(読経)を行う。住職は同行し
ない。お布施は直接門徒が上記三者にそれぞれ直接渡し,受け取った者の
収入となる。
なお,b地区では,地域担当法中がいないため,当番法中が地域担当法中
の役割を行い,葬儀は住職と当番法中が行う。
 2 法事(中陰,年忌参り,初盆など)
遺族が地域担当法中と相談し日程を決めて法事を行う。その際,遺族の意
向によって住職を招く場合もあるが,住職の日程が空いていなければ住職
は出席しない。なお,中陰の初七日の法事には住職は出席しないことなっ
ている。あくまで法事を営むことにおいては門徒と地域担当法中主体で進
められている。
   なお,住職単独で法事を行うことはない。必ず地域担当法中が同席する。
 3 布教活動
被控訴人独特の風習に「ご縁(法座)」がある。法事の後,新たに席を持
ち,親族または縁者や町内の人を集め法中が法話をする。
また,門徒教化の立場から「会合」と称して法中が自分の地域担当地区で
月に2,3回の割で法話をする。
これらの「ご縁」や「会合」は地域担当法中がするもので,住職や当番法
中がすることはない。
 4 月忌参り
毎月の忌日参りのことである。これは地域担当法中が参ることになってい
る。これも住職が行うことはない。
 5 法要
被控訴人が行う法要が年に8回ある。永代経,春彼岸,婦人会,御誕会,
皆作盆会,秋彼岸,戦没者,御正忌法要である。
これらの法要は,それぞれ昼夜5日間行われ,特別な事情がない限り,住
職をはじめ,法中16人全員が法要に出勤(お勤めをすること)してい
た。その中で法中家10軒が当番制で1日ずつ法要の世話(本堂のお給仕
や講師の案内など様々の雑用)を担当する。
また,法中の妻達も法中坊守として法要のお給仕(門徒の接待や様々な雑
用)をする。
 6 3日の番
被控訴人において連日行われる朝6時からのお勤めについて,法中家10
軒が当番で3日ずつ時鐘からお給仕・お勤めまでを行っている。これも法
中の義務のひとつである。
 7 報恩講
報恩講とは,親鸞聖人の遺徳を偲ぶ浄土真宗門徒の大事な行事である。一
般の御門徒が勤める報恩講は「お取越し」とも呼ばれている。被控訴人の
門徒の各町内会がそれぞれ年1回勤める行事で,住職と地域担当法中と当
番法中がその町内会のすべての門徒の家をお勤めしてまわり,住職と当番
法中が法話をする。
 8 法中の報恩講
法中の報恩講とは,法中家と住職(C家)を含む11軒で,年に1度全員
ですべての家でお勤めを行う。この11軒が毎年順番に当番になり,当番
に当たった家は布教使を招いて法座を営む。
以 上

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛