弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人森整治、原矢八の上告理由は別紙記載のとおりである。
 上告理由第一について。
 論旨は、原判決主文をもつてしては、本件買収計画中の如何なる部分についての
訴願裁決を取り消したのか不明である。このような内容の不確定な原判決は当然破
棄さるべきであるというのである。
 しかし、在村地主がいわゆる保有面積を超えて小作地を所有している場合に、小
作地のどの部分を保有せしめるかは農地委員会が自作農創設特別措置法六条四項の
趣旨に従い買収計画で定めるべきことであつて、本件の場合においても裁判所が本
件買収計画のうち如何なる部分を買収から除外するかを定めるべきではない。従つ
て原判決が如何なる部分について取消すかを特定しなかつたことは正当であつて、
原判決の趣旨は、上告人が本件訴願裁決で、被上告人に保有面積を認めないで定め
た買収計画を是認したことを違法とし、如何なる小作地を買収から除外するかは農
地委員会をして特定せしめる趣旨であつて、結局原判決は如上の趣意において、所
論判決全部を取消すというに帰するものと解するを相当とする。従つて原判決に所
論のような違法はなく論旨は理由がない。
 同第二について。
 論旨は原判決がすでに削除せられた自作農創設特別措置法附則二項を適用し本件
買収計画の当否を判断したのは違法であるというのである。
 しかし、行政処分の取消又は変更を求める訴において裁判所の判断すべきことは
係争の行政処分が違法に行われたどうかの点である。行政処分の行われた後法律が
改正されたからと言つて、行政庁は改正法律によつて行政処分をしたのではないか
ら裁判所が改正後の法律によつて行政処分の当否を判断することはできない。本件
買収計画は昭和二二年一二月二六日法律二四一号による改正前の自作農創設特別措
置法附則二項によつて定められたのであるから、原判決が本件買収計画が右附則二
項による計画として適法であるかどうかを審理したのは当然である。前記法律二四
一号附則二条は改正法施行前に前記附則二項による買収計画に関してされた手続は
改正後の法律の六条の二、三、五の規定によりされた手続とみなす旨の規定である
ことは論旨のとおりであるが、右は改正前の法律による手続が改正法による手続と
しての効力を有する趣旨の規定に過ぎず、改正前の法律にてらして違法であつた計
画が法律の改正によつて適法になる理由はないのであるから、所論のように本件買
収計画が適法であるかどうかについて改正後の法律によつて判断すべきものではな
い。論旨は理由がない。
 同第三について。
 論旨は要するに、原判決は前記改正前の法律附則二項の「相当」に関する解釈を
誤つているというのである。
 しかし、右附則第二項は「第三条第一項の規定による農地の買収については、市
町村農地委員会は相当と認めるときは、命令の定めるところにより、昭和二十年十
一月二十三日現在における事実に基いて第六条の規定による農地買収計画を定める
ことができる」と規定しているのであつて、市町村農地委員会は相当と認められる
場合に限つて右買収を行うことができるものであることは当然であり、原判決は判
示諸般の事情を勘考して、本件買収は相当でないと判断したものであつて、原判決
認定の諸般の事情からみれば本件買収を以て相当ならずとした原判決の判断は正し
いと云わなければならない。所論はその独自の見解に基いて、右「相当性」を争う
に過ぎないものであつて採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い全裁判官一致の意見により主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛