弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人金田登志治の上告理由第一点について。
 所論の点に釈明義務があるとの主張は、独自の見解にすぎず、記録ならびに原判
決に徴し、原審に釈明権不行使の違法は見当らないから、所論は採用の限りでない。
 同第二点について。
 原判決は、挙示の証拠関係に基づいて、所論丁地域が被上告人原町財産区の所有
にかかる字ab番の一部に該当することを認定しているのであつて、その認定は肯
認できる。原判決は、所論のように漫然とこれを認定しているのではないから、同
所論を前提として審理不尽をいう論旨も採用できない。
 同第三点について。
 所論は、乙三号証の和解示談書は所論紛争の再燃を避けるために作成されたもの
であるから、その係争の杉立木の生立する丁地域か、ないしは右紛争、訴訟事件に
おいて問題とされている土地に関するものとみるのが当然であつて、右紛争、訴訟
事件に関係のない丙地域を問題として取り上げているとは常識上到底考えられない
というが、同書証を見れば、所論紛争解決に関連して上告人主張の三筆の山林のこ
とが記載されているから、これを原判決引用の第一審判決が所論丙地域に関する事
実認定の証拠に供したからといつて何らの違法もない。右所論は、右三筆の山林と
丙地域とは無関係であるという原審認定に反する主張を前提とするものであつて、
採用できない。
 所論は、「所論和解により本件土地を被上告人原町財産区所有の字ab番山林三
九町一反二五歩のうち三反二〇歩と主張する訴外Dの主張を認めることになつた」
との原判決引用の第一審判決の事実認定は、証拠によらない不法なものであるとい
うが、右判決挙示の乙三号証、第一審証人Eの証言、同証人Fの証言、同証人Dの
証言(第二回)に徴し、右認定は肯認できる。
 また、所論は、原判決引用の第一審判決が「更に今後の紛争を避けるため本件土
地を訴外G所有の三筆の山林であると主張する訴外Hらに対し、間違いをおこさな
いよう、且つ前記Dが前記Gの親族であつたので、右三筆の山林名義を同人の単独
所有にせず訴外G、F、I、J、K、Lの六名の共有としたものであること」を認
定判示しているのは、証拠によらぬ不法のものであるというが、右判決挙示の証拠
(第一審証人Fの証言、同証人D第二回証言)に徴し、右認定は肯認できる。
 従つて、原判決が虚無の証拠によつて所論事実の認定をしたとの論旨は、すべて
採用できない。
 その余の所論は、原判決の審理不尽、理由不備をいうが、所論和解示談書(乙三
号証)の証拠判断につき原審と異る見解を述べるにすぎず、ひつきよう原審の専権
事項を云為するものであつて、上告理由として採用の限りでない。
 同第四点について。
 所論は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定について異見を述べる
にすぎず、採用できない。
 所論町役場備付の字限図の謄本(甲一四号証、同三一号証)、県庁備付み地積図
(同一八号証、二一号証、三〇号証)が上告人の所論主張事実を認定するに足りな
いとする原審の証拠判断は、首肯できて、その点に理由不備はない。地積図、字限
図といえども、絶対的証拠力があるものではないから、これを排斥したからといつ
て採証法則に違反することはない。論旨挙示の判例(昭和三〇年(オ)第五〇七号
同三二年一〇月三一日第一小法廷判決、民集一一巻一〇号一七七九頁)は、事案が
本件に適切でない。
 よつて、所論は、すべて採用できない。
 同第五点について。
 甲一四号証と乙一号証とが同一の字限図の謄本であることは、所論指摘のとおり
であるが、原判決は、甲一四号証等の書証ならびに上告人に有利な原判示鑑定結果
では、まだ上告人の主張を支持するに足りないと説示しているにすぎず、右甲一四
号証の信憑性を否定するとは判示していないのであるから、被上告人の所論主張事
実を認定する証拠資料の一つに乙一号証を供したからといつて、理由に矛盾そごが
あるといわねばならないことはない。その余の所論は、原判決の理由不備をいうが、
原審の専権たる所論証言の採用およびこれに基づく事実認定について異見を述べる
にすぎず、採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
 裁判官山田作之助は外国出張につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    奥   野   健   一

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