弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人三宅西男の上告理由第一、三点について。
 土地区画整理法施行令(昭和三〇年政令四七号)附則七条二項は、「この政令の
施行の際現に旧戦災復興土地区画整理施行地内区建築制限令二条の規定に違反して
いる者又は……に対する同令五条の規定の適用については、なお従前の例による」
と定めており、旧戦災復興土地区画整理施行地区内建築制限令(昭和二四年政令三
六〇号、同政令による改正前の戦災都市における建築物の制限に関する勅令)五条
は、同令二条違反の建築物については原状回復を、四条による存続期間経過後の建
築物については除却を命じうる旨規定している。ところで、前記土地区画整理法施
行令附則七条二項、旧戦災復興土地区画整理施行地区内建築制限令五条は、違反建
築物に対する原状回復および期間経過後の建築物に対する除却の場合に関する規定
であり、土地区画整理の必要上なされる移転除却の場合とはその性質を異にし、同
条による除却命令は、規定の文理上違反者すなわち建築主たる建物所有者に対しな
されるべきものと解すべきである。そして、建築主たる建物所有者が右命令による
除却義務を履行しない場合には、行政代執行法に基づく代執行により右義務の実現
をはかるのであるが、その場合における戒告、通知は,義務者すなわち右命令をう
けた建物所有者に対してなされるべきものであつて、建物の単なる占有者に対して
は通知をなす必要はないものと解するのが相当である。
 第一審判決を引用する原判決の確定するところによれ訓ば、訴外D所有の本件建
物は旧戦災復興土地区画整理施行地区内建築制限令二条違反の不法建築物であつた
ので、被上告人は昭和三一年一〇月三一日土地区画整理法施行令附則七条に基づき
訴外Dに対し右建物除却の原状回復命令を発したが、同訴外人において右命令によ
る原状回復義務の履行をしなかつたので、原判示の手続を経て同三五年二月二四日
本件建物除却の代執行がなされたのであるが、その際右建物に上告人らが居住して
いたので、被上告人において、上告人らに対し原判示の方法で原判示の内容の通告
をしたのみで、原判示の方法で本件建物内から上告人所有の本件動産を搬出して右
建物除却の代執行を実施し、爾後原判示のとおり右動産の盗難紛失等の予防につき
相当の注意を払いこれを保管していたというのであり、原審の右認定は、挙示の証
拠により是認することができる。右の事実によれば、本件建物除却の代執行は適法
になされたものと認めるべく、その際上告人らに対し所論の手続がとられなかつた
ことはなんら違法ではなく、本件建物除却の代執行が上告人らに対する関係におい
ても適法になされたとする原審の判断は、結論において正当である。所論は、違憲
をいう点もあるが、その実質は独自の見解に基づき原判決を非難するに帰し、採用
のかぎりでない。なお、損失補償に関する所論主張は原審においてなされていない
し、前記適法な執行行為による損失を国家賠償法により請求しうると解するのは相
当でないから、この点に関する所論も採用できない。
 同第二点について。
 原審の確定するところによれば、上告人らは本件建物から退去させるために被上
告人において上告人らに直接強制を加えたとの証拠はなく、上告人ら所有動産の搬
出は原判示の経緯よりなされたのであつて、本件における原判示の事実関係のもと
においては、建物占有者たる上告人らに対し建物所有者に対する代執行手続とは別
個に所論のごとく代執行手続をとらなければならない法律上の理由はないというの
であり、原審の右認定判断は挙示の証拠により是認することができる。原判決に所
論の違法はなく、所論は、原審の前記認定にそわない事実を前提とし、独自の見解
に基づき原判決を非難するものであつて、採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、九三条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛