弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人佐久間和の上告理由第一、二点について
 本件再審の訴は、東京高等裁判所昭和三〇年(ネ)第二二六四号所有権取得登記
等抹消請求控訴事件について同裁判所が昭和三九年四月二七日に言い渡した判決に
対し、民訴法四二〇条一項九号所定の判断遺脱を理由として提起されたものである
が、かかる判断遺脱のような再審事由の存在は、その事柄の性質上、通例、判決正
本の送達を受けてこれを閲読することにより知りうべき筈のものであるから、これ
を知りえなかつたとする特段の事由の主張立証のないかぎり、当事者において右判
決正本の送達を受けた当時に右事由の存在を知つたものと推定することができる(
最高裁判所昭和二七年(ヤ)第三号同二八年四月三〇日第一小法廷判決・民集七巻
四号四八〇頁、昭和三三年(オ)第一〇号同三六年九月二二日第二小法廷判決・民
集一五巻八号二二〇三頁、昭和四一年(オ)第八三三号同年一二月二二日第一小法
廷判決・民集二〇巻一〇号二一七九頁参照)。そして、本件においても、上告審判
決正本の送達を受けて精査しなければ控訴審判決の再審事由を適確につかみえない
場合があるという所論は、独自の見解であつて(前掲昭和二八年四月三〇日第一小
法廷判決は、上告審判決の判断遺脱を理由とする再審事件に関するものであるから、
所論の趣旨において引用されるべきものではない。)、ここにいう特段の事由を主
張するものとはいえず、他に前記控訴審判決における判断遺脱の存在を知ることを
妨げられたとなしうるような特段の事由の主張立証はないのであるから、上告人が
右控訴審判決正本の送達された昭和三九年四月二八日当時に再審事由の存在を知つ
たものと認めた原審の判断は相当である。
 つぎに、右判決は、これに対する上告を棄却した上告審判決の言渡のあつた昭和
四二年一月一九日をもつて確定したものであることも、原判示のとおりであり、上
告審判決正本の送達によつて確定したとする所論の採りえないことは、言をまたな
いところであるから、本件は、当事者が判決確定前に再審事由の存在を知つていた
場合にあたることになるが、このような場合における民訴法四二四条一項所定の三
〇日の再審期間は、再審制度の性質および右四二四条の文理に照らし、判決確定の
日からこれを起算すべきものと解するのが相当であり(前掲昭和二八年四月三〇日
第一小法廷判決参照)、前記控訴審判決の確定した昭和四二年一月一九日から起算
して三〇日を経過した後においては、不変期間の追完の許される場合を除いては、
右判決に対する再審の訴を適法に提起しうる余地は存しないものというべく、これ
と同旨の見解に立ち、同年二月二〇日に提起された本件再審の訴をもつて、再審期
間経過後の不適法な訴として却下した原審の判断は、正当であるといわなければな
らない(もつとも、本件のように当事者が控訴審判決の送達を受けた当時に再審事
由の存在を知つた場合には、右事由は本来これを上告理由として主張すべきもので
あつて、現に上告人は右判決に対して上告しているのであるから、上告審において
主張の排斥された点についてはもとより、上告理由として主張しなかつた点につい
ても、それを事由として上告棄却判決の言渡後に再審の訴を提起することの許され
ないことは、民訴法四二〇条一項但書により明らかであり、この意味においても、
本件再審の訴は不適法たるを免れないところである。)
 叙上と異なる見解を前提として、本件再審の訴を不適法とした原判決の違法をい
う論旨(違憲をいう論旨第二点も、その実質は、原判決が民訴法四二四条に違反す
ることを主張するものにほかならない。)は理由がなく、採用することができない。
 同第三点について。
 所論は、憲法その他の法令違背を云々するが、その実質は、本件再審の訴の対象
である前記控訴審判決が本案についてした認定判断を非難するものであつて、右訴
を不適法として却下した原判決を違法とすべき理由たりうるものではないから、採
用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    関   根   小   郷

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