弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告理由第一点について。
 本件残代金四五、〇〇〇円の支払及び山林の所有権移轉登記の期日について、原
判決の確定するところは、本件売買契約の締結せられた際、上告人の側からは、こ
れを昭和二〇年一一月三〇日に定めることを申入れたが、被上告人は、金策の関係
で今少し先きに期日を定めることを希望したので、その後仲介人Dにおいて、両者
の間に交渉した結果、右期日を同年一二月二〇日とし、同日双方の債務を同時に履
行する合意が成立したというのである。すなわち、この期日は、右債務の履行につ
いて、双方合意の上、最初に定められた確定の履行期であつて、所論のように、そ
の以前に、上告人が一方的に履行期を定めて履行を催告したのに対し、被上告人が
衷情を訴えて延期を求めた結果、定められた最終の履行期というがごときものでな
いことはきわめてあきらかである。従つて、被上告人が右一二月二〇日の期日を徒
過したからといつて、所論のごとく直ちに、上告人に契約解除の権利が発生すると
いう関係にないことは勿論である。所論は、原判決の確定していない事実に基いて、
民法第五四一条に関する獨自の見解を表明するものであつて、採用に値しない。
 同第二点について。
 上告人被上告人間に本件山林の売買契約が成立した事実は本訴において當事者間
に争いのないところである。従つて、原審が右契約の成立を認定するにあたつて、
所論のように、右契約は當事者間に直接になされたか、又は代理人若しくは使者を
通じてなされたか等所論の各項について、特段の釋明を試み仔細に審理をする必要
のないことはいうまでもないところである。次にDは、本件において、終始仲介人
として関与したものであつて、両當事者いづれの代理をもしたものでないとの原判
決認定の事実は原判決挙示の証拠によつて認めることができるのであつて、同人が
本件契約について、両者の間に立つて斡旋した事実は本件において當事者双方の主
張するところであるから、裁判所が同人をもつて、當事者いずれの代理人にもあら
ず、両者の間に立つて仲介人として斡旋したに過ぎないと認定しても、當事者の主
張を逸脱した事実の認定ということはできない。かつ、前点に説明した履行期の取
極めについても、同人が仲介してこれを確約するに至つた経緯は原判決の説示する
ところによつて明瞭である。しかして、上告人主張にかゝる同人が被上告人の代理
人として上告人との間に、若し前掲一二月二〇日の期日に代金の支払のないときは、
上告人は催告を要しないで契約を解除する旨の特約が成立したとの事実については、
原判決は本件における各証拠を検討した結果右のごとき事実は認められず、むしろ、
被上告人が右のような特約に同意したことのないことが認められるとしたのであつ
て、既にこの特約の存在を否定する以上、その交渉の経過等について、特にこれを
判示する必要のないことはいうまでもなく、また、上告人側において、Dを被上告
人の代理人と誤信したために本件に及ぼした法律上の効果に関しては、上告人は原
審において何等主張するところはないのである。論旨は、畢竟、右特約存在の主張
をくり返して、原審の事実上の判断を攻撃するに歸着するのであつて、上告の理由
として、採用することはできない。
 同第三点について。
 原判決は、上告人の本件仮登記抹消の請求を理由なしとして、排斥したものに過
ぎない。上告人に対して本登記を命じたものでなければ、被上告人に代金の支払を
命じたものでもないのであるから、遅延利息を云々する本論旨は全く見當違いであ
る。
 よつて、民訴第四〇一条、第九五条、第八九条に従い、主文のとおり判決する。
 右は、全裁判官一致の意見である。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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