弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を懲役5年に処する。
未決勾留日数中120日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
第1被告人は,当時株式会社A銀行の職員であったBのほか,C,D,E,F及
びGと共謀の上,A銀行H支店(福岡市a区bc丁目d番e号所在)内の金庫
を壊して現金を窃取する目的で,平成28年8月8日午後4時41分頃,Gが,
被告人,C,D及びEを通じてBから伝えられた暗証番号を入力してH支店の
職員専用出入口ドアを解錠し,H支店支店長Iの看守するH支店に侵入し,同
日午後5時7分頃,Fが,Gと同じ方法で上記支店長の看守するH支店に侵入
した。
第2被告人は,B,C及びDのほか,J及びKと共謀の上,A銀行L支店(福岡
市f区gh丁目i番j号所在)内の現金を窃取する目的で,D及びJが,平成
28年10月6日午後10時36分頃,Bが不正に入手したL支店の職員専用
出入口ドアの鍵等を用いて同ドアを解錠し,L支店支店長Mの看守するL支店
に侵入した上,その頃から同日午後10時41分までの間に,L支店内設置の
自動精査現金バスをこじ開けて現金5430万円(上記支店長管理)を窃取し
た。
(中略)
(法令の適用)
罰条
第1の行為包括して刑法60条,130条前段
第2の行為
建造物侵入の点刑法60条,130条前段
窃盗の点刑法60条,235条
(中略)
(量刑の理由)
本件各犯行はいずれも,被害銀行の内情に通じたBのもたらす情報等を悪用し,
高額の現金を必要とする顧客を騙って被害銀行の支店内の金庫等にあらかじめ多額
の現金を準備させるなどし,また,被害銀行の支店への侵入及び現金窃取を実行す
る者,支店の近くで見張りをする者,実行役及び見張り役との間で連絡を取り合う
者などと,役割を分担した上で,組織的かつ計画的に敢行された。窃盗の被害額は
非常に高額である上,被害銀行に対する信用の失墜等の本件各犯行により生じ得る
営業上の悪影響も見過ごせない。結果が相当重大であることと,上記の犯行態様に
照らすと,本件は建造物侵入,窃盗事件の中でも悪質性の強い事案である。
本件は,第1の犯行前から面識のあったBと被告人との間で被害銀行から現金を
窃取する旨の話が持ち上がり,被告人がこれをBと面識のないCに持ち掛け,更に
CがDに犯行を持ち掛け,Dが実行犯等を誘い込んだことに端を発したものである
が,本件各犯行を最初に発案するなどして主導的な立場にあった者は必ずしも明ら
かでない。しかし,被告人は,多額の金銭を必要とする事情も犯行に関与しないこ
とが困難であった事情も特にうかがわれないのに,また,Bや実行犯のように本件
各犯行にとってその関与が不可欠でもないのに,第1の犯行において,Bが提供し
た暗証番号等の内部情報をCを通じて実行犯らに伝え,実行犯がH支店に侵入でき
ないでいる旨の連絡をCから受けると,Bに対処方法を尋ねるなどして,これをC
を通じて実行犯らに伝えて侵入を可能にするなどし,第1の犯行の目的である窃盗
が着手にすら至らず失敗した後も,第2の犯行において,Kを通じてその知人2名
を見張り役等として誘い込み,犯行前後もこれらの者と行動を共にするなどして,
Bが不正に入手した鍵等を受け取ってC及び実行犯に渡したり,自らも見張り役と
してL支店の周辺の状況を実行犯が犯行を終えて戻るのを待っていたCに連絡した
りするなど,本件各犯行の遂行上重要な役割を果たした。そして,被告人は,窃盗
が成功すれば相当額の報酬を得る前提で第1の犯行に関与し,第2の犯行において
は,その供述を前提としても,窃取された現金の中から300万円を受け取った。
これらの事実は,被告人の本件各犯行への関与が積極的であったことに加え,被告
人が本件各犯行において他の共犯者に比して従属的立場にあったなどとはいえない
地位にあったことを示すものである。
(中略)
以上の事情を踏まえると,被告人の刑事責任は相当重く,被告人が本件各罪を認
め,被害銀行に対し,謝罪の弁を述べ,被害の一部弁償として300万円の支払を
申し出,これを拒絶した被害銀行から損害賠償請求があれば誠実に対応する旨述べ
ていること,被告人の伯父でもある養父が被告人の更生を支援する旨法廷で述べて
いること,小学生の子2名がいることなどの被告人のために酌むべき事情を十分考
慮しても,主文の刑はやむを得ないと判断した。
(求刑-懲役7年)
平成29年10月10日
福岡地方裁判所第2刑事部
裁判官蜷川省吾

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