弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
       事   実
一 控訴代理人は、「原判決を取り消す。控訴人らが被控訴人との間で雇用契約上
の権利を有する地位にあることを確認する。被控訴人は昭和五八年二月一日以降毎
月二〇日限り、控訴人Aに対し金二一万九八〇〇円ずつを、控訴人Bに対し金三〇
万四一〇〇円ずつを、各支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とす
る。」との判決を求め、被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。
二 当事者双方の主張と証拠の関係は、控訴人らにおいて別紙のとおり主張を補足
し、当審における証拠関係が当審記録中の証拠目録記載のとおりであるから、ここ
に、これを引用する。
       理   由
一 当裁判所も、原審と同様に、控訴人らの請求を理由がないものとして棄却する
のを相当と判断するのであるがその理由は次項以下のとおり附加、訂正及び当審に
おける主張に対する判断を加えるほかは、原判決理由説示と同様であるから、ここ
に、これを引用する。
二 附加、訂正
1 原判決二五枚目裏七行目の次に、行を変えて次のとおり加える。
 「国鉄は、昭和五七年一一月二六日、仙台鉄道管理局長名により、控訴人Aに対
し、兼職の承認の取扱いが改訂されたのに伴い、同年一一月一日以降に改選により
公職の議席を得た者に対しては兼職の承認を行わず、また同人が現に兼職の承認を
得ている点については昭和五八年一月三一日以降承認を行わない旨を文書で通知し
た(乙第五号証。)。」
2 原判決三〇枚目裏七行目の「他方」以下同三一枚目表三行目の「首肯しうるも
のである」までを次のとおりに改める。
 「しかし、前記兼職基準規程三条のとおり、職員が市町村議会議員に立候補した
ときはその旨を所属長に届け出なければならないものとされ、また、同規程五条に
より、市町村の議会の議員に当選した職員のうち、兼職を希望する者は、直ちに所
属長に兼職の承認願を提出し、その承認を受けなければならないものとされている
のであつて、この規定を国鉄法二六条二項本文により、地方公共団体の議会の議員
は職員であることができず、同項但し書により、総裁の承認を受けた者のみが職員
であることができるものとされている規定の趣旨とを総体的に把握すれば、職員が
市町村の議会の議員に当選したときは、総裁の承認がない限り、職員の地位を有す
ることはできないのであり、右兼職基準規定の取扱いは、職員が市町村の議会の議
員に立候補したときは、所属長において当選の際に兼職の承認をなしうるや否やを
事前に審査し、適宜の指導ないし承認の内示をなしうる体制にして、職員が当選後
兼職を認められないこととなる場合に生じるであろう混乱を未然に防止するととも
に、当選者に対しては兼職を認めるのを相当とする場合にのみ事後的に承認を与え
ることによつて兼職を認めることとしたものであると解釈されるのである。
 もつとも、前述の如く昭和五七年の閣議決定及び総秘達第六六六号通達により、
昭和五七年一一月一日以降、新たに又は改選により、公職の議席を得た者に対して
は兼職の承認を行わないものとされるに至つたが、当審における証人Cの証言及び
弁論の全趣旨によれば、その以前には国鉄職員の市町村議会議員との兼職はむしろ
推奨され、或は推奨されないまでも、兼職を認められない例が殆んどなく、職員か
ら所属長に対し、前記兼職基準規程三条の立候補届出がなされても、所属長から職
員に対して事前に指導や承認の内示等の措置がなされずにすごし、当選後、兼職の
承認がなされるという取扱いがなされてきた実情であつたことが認められるのであ
るが、このような取扱いの実情は、従前、当選者の兼職を不承認とする例が殆んど
なかつたため、事前の措置を講じなくても何ら混乱が生じるおそれがなかつたこと
によるものと思われかつての前記取扱いの実情をもつて前記の解釈を左右すべきも
のではない。
三 当審の補足主張一について
 この点については前記二2の訂正部分の説示のとおりであつて、確かに当選の事
前において、指導や承認の内示等の措置が採られずに、当選後の兼職承認がなされ
てきた大方の実情であつたことを認めうるものの、このようなかつての取扱の実情
があつたとしても、「承認を得ることによつてのみ職員の地位を兼ねることがで
き、承認が得られなければ当選の告知とともに職員の地位を失う」ものと解するこ
との妨げとなるものではない。
四 以上のとおり、原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、控訴
費用の負担について民事訴訟法八九条、九五条、九三条を適用し、主文のとおり判
決する。
(裁判官 奈良次郎 伊藤豊治 石井彦壽)
別紙(控訴人らの補足主張)
 国鉄には、昭和三九年一二月一〇日に発せられた内部通達である「公職との兼職
基準規程」三条の「職員が市町村議会議員に立候補したときは、その旨を所長に届
出で、兼職承認に問題のある職員については、不承認を示唆するなどして事前に対
策を取り、問題のない職員に対しては、当選の告知前に、当選を停止条件とする明
示ないし黙示の承認を与えていた」との事実関係は国鉄の現場には存在しなかっ
た。したがつて、当選後に兼職承認願を提出させる扱いが、停止条件の兼職承認を
手続上明確にするためのものであるということはありえない。

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