弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中上告人敗訴部分を破棄する。
     右部分につき本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人清水正雄の上告理由について。
 原審の確定したところによれば、本件宅地はDの所有であつたが、昭和三六年二
月二七日同人からEが買い受け、更に同年四月一一日同人から上告人が買い受け、
そして、上告人は同日所有権取得登記を経由したものであり、一方被上告人は、昭
和三一年七月五日Dから右宅地を買い受け、同三二年五月末までに代金全額の支払
を完了したのであるが、Dに対し右売買によつて被上告人が取得した本件宅地の所
有権を保全するため、仮登記手続をすることを求めたところ、同人はこれを承諾し、
該登記手続をするための書類の作成方を司法書士に依頼するに際し、司法書士をし
て、登記原因を証する書面として、被上告人がDに対し金一〇万円を弁済期昭和三
三年一二月末と定めて貸しつけ、Dはその担保として本件宅地に抵当権を設定する
旨の「借用証書」と題する書面(乙第一号証)および該貸金債務をDが弁済期限に
弁済しないことを停止条件として本件宅地の所有権を被上告人に代物弁済として移
転する旨の「停止条件付代物弁済契約書」と題する書面(乙第二号証)を作成させ
たうえ、被上告人に対し右各書面に押印することを求めたので、被上告人は、右書
面を前記売買による本件宅地に対する所有権を保全するための仮登記手続に必要な
ものであると信じ、これに押印し、Dとともに同司法書士に登記手続を委任し、同
司法書士は、右委任に基づき、前記書面により、本件宅地につき、福岡地方法務局
大牟田出張所昭和三三年五月一二日受付第二七九一号抵当権設定登記および同出張
所同日受付第二七九二号所有権移転請求権保全の仮登記を経由したものであるとい
うのである。
 ところで、「1」不動産について売買の予約がされていないのにかかわらず、相
通じて、その予約を仮装して所有権移転請求権保全の仮登記手続をした場合におい
て、外観上の仮登記権利者がほしいままに右仮登記に基づき所有権移転の本登記手
続をしたときは、外観上の仮登記義務者は、右本登記の無効をもつて善意無過失の
第三者に対抗することができないと解すべきであることは当裁判所の判例とすると
ころであり(最高裁判所昭和四一年(オ)第二三八号、昭和四三年一〇月一七日第
一小法廷判決、民集二二巻一〇号二一八八頁)、また、「2」貸金債権担保のため、
不動産に抵当権設定と停止条件付代物弁済契約とが併用されているときは、特別の
事情のないかぎり、右の停止条件付代物弁済契約を清算型担保契約と解すべきであ
ることは、当裁判所の判例とするところである(最高裁判所昭和四〇年(オ)第一
四六九号、昭和四二年一一月一六日第一小法廷判決、民集二一巻九号二四三〇頁)。
そして、本件において、上告人は、昭和三八年一二月二三日被上告人に対し、Dの
被上告人に対する債務金一〇万円およびこれに対する昭和三三年五月九日から右同
日まで民事法定利率年五分の利息および損害金二八、一三五円を弁済のため提供し
たが、受領を拒絶されたとして昭和三八年一二月二四日右金員を弁済供託したと主
張している。したがつて、被上告人が本件宅地について有する権利がかりに抵当権
およびこれと併用された停止条件付代物弁済契約に基づく所有権移転請求権である
とすれば、被上告人は、上告人の適法な弁済供託により、上告人に対し抵当債権を
有しないことになり、抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記を抹消
しなければならないことは明らかである。ところで、本件においては、被上告人は、
登記の記載上は抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記を有する者で
あるが、真実はDから所有権を取得した所有者であり、その所有権の保全のために
仮登記手続をすべきところを前記のような事情で、登記手続を委任された司法書士
が抵当権設定登記および停止条件付代物弁済契約に基づく所有権移転請求権保全の
仮登記手続をしたものであることは、前記のとおりである。したがつて、右抵当権
設定登記および停止条件付代物弁済契約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記は
被上告人の意思に基づくものというべきである。そうとすれば、前記「1」の判例
の趣旨からみて、被上告人は、善意無過失の第三者に対し、右登記が実体上の権利
関係と相違し、被上告人が仮登記を経た所有権者であり、抵当権者ないし停止条件
付代物弁済契約上の権利者ではないと主張しえないものというべきである。その結
果、右のような第三者が被上告人を抵当権者ないし停止条件付代物弁済契約上の権
利者として取り扱うときは、前記「2」の判例の趣旨に徴し、被上告人はその第三
者に対しては担保権者でない旨を主張することができず、ひいて第三者は、登記に
かかるDの債務の弁済供託をして、被上告人に対し抵当権設定登記および所有権移
転請求権保全の仮登記の抹消を求めることができると解すべきである。
 叙上の見地に立つて考えれば、原審は、すべからく、上告人が右にいう善意無過
失の第三者にあたるかどうか、および上告人のした弁済供託が適法になされたもの
かどうか等について審理を尽くすべきであつたのである。しかるに、原審がなんら
この点について判示するところがないのは、審理不尽の非難を免れない。本件上告
は、この点において理由があり、破棄を免れないものというべきである。
 よつて、右の点に関する事情について審理を尽くさせるため、上告理由中その余
の点についての判断を省略し、民訴法四〇七条一項により、原判決中上告人敗訴部
分を破棄し、右部分につき本件を原審に差し戻すこととし、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   田       誠
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    藤   林   益   三

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