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判決 平成14年6月24日 神戸地方裁判所 平成14年(レ)第31号 仮執行
の原状回復及び損害賠償請求事件
主文
1 当庁平成14年(レ)31号仮執行の原状回復及び損害賠償請求事件は,平成
14年3月18日の被控訴人による請求の放棄により終了した。
2 控訴人の平成14年4月5日付書面による口頭弁論期日指定申立て以後の訴
訟費用は,控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
神戸簡易裁判所平成12年(ハ)第3179号貸金請求事件について,同裁判
所が平成13年3月16日に言い渡した下記の原判決が取り消され,被控訴人の請
求が棄却されたときは,被控訴人は,控訴人に対し,34万7819円及びこれに
対する平成13年9月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

1 被告は,原告に対し,19万6335円及びこれに対する平成12年7月2
7日から支払済みまで年26.28パーセントの割合による金員及び5万8043
円を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は仮に執行することができる。
第2 事案の概要
本件は,上記原判決を受けた控訴人が,控訴を提起するとともに,仮執行宣
言付原判決に基づき,平成13年9月3日,被控訴人に対し29万7819円を支
払ったとして,原判決が取り消され,被控訴人の請求が棄却される場合には,民事
訴訟法260条2項に基づき,仮執行の原状回復及び損害賠償請求として上記既払
金の返還及び仮執行によって被った精神的損害として5万円を被控訴人に対して請
求した事案である。
1 争いのない事実等
以下の事実は争いがないか,当裁判所に顕著な事実である。
(1) 神戸簡易裁判所平成12年(ハ)第3179号貸金請求事件について,同裁
判所は,下記のとおり平成13年3月16日に判決を言い渡した。
ア 被告は,原告に対し,19万6335円及びこれに対する平成12年7
月27日から支払済みまで年26.28パーセントの割合による金員及び5万80
43円を支払え。
イ 訴訟費用は被告の負担とする。
ウ この判決は仮に執行することができる。
(2) 控訴人は,同年3月29日,神戸簡易裁判所に控訴状を提出して控訴提起
した(当庁平成13年(レ)36号貸金請求控訴事件(以下,「本案事件」とい
う。)。
(3) 控訴人は,本案請求にかかる貸金債権について,平成13年9月3日,被
控訴人に対し,29万7819円を支払い,被控訴人は,控訴人に対し,その残債
務を免除するとの意思表示をした。
(4) 控訴人は,平成14年1月28日の本案事件第1回口頭弁論期日におい
て,平成13年11月14日付控訴理由書を陳述し,上記(3)の支払いにつき,民事
訴訟法260条2項に基づき,仮執行の原状回復請求を申し立てる旨述べ,平成1
4年3月18日に同日付本件申立書を提出した。
  被控訴人は,同日の本案事件第2回口頭弁論において,本訴請求を放棄す
ると陳述した。
(5) 控訴人は,同年4月5日付期日指定の申立書を当裁判所に提出し,本件に
ついて,期日指定の申立てを行った。
2 争点
本件が,本案事件における被控訴人の請求放棄により終了しているか。
3 争点に対する当事者の主張
(控訴人)
(1) 仮執行の原状回復及び損害賠償請求の申立て(以下,「原状回復等の申立
て」という。)は,一種の訴訟係属中における訴え提起であり,反訴に類するもの
であるが,反訴と異なり控訴審においても相手方の同意を要しないものである。
  そして,被控訴人は,擬制陳述された平成14年1月22日付答弁書にお
いてこれに対して弁論をしているから,本件は反訴に類する請求として攻撃防御の
対象となっており,控訴人が取り下げない限り終了せず,裁判所はこれに対して判
断するべきである。
(2) 被控訴人が行った請求放棄の陳述は,控訴人の本件原状回復等の申立てを
阻止すべく行われたもので,時機に遅れたものであり却下されるべきであるから,
裁判所は本案判決をすべきである。
(被控訴人)
被控訴人は,控訴人から本件貸金の弁済として29万7819円の支払いを
受け,残額を免除したことを受けて本案事件第2回口頭弁論期日において本訴請求
を放棄したものであり,控訴人はこのような経過を認識しているのであるから,上
記請求放棄が時機に遅れてなされたものとする控訴人の主張は失当である。
第3 当裁判所の判断
1 民事訴訟法(以下,「法」という。)260条2項は,本案判決を変更する
場合には,裁判所は,被告の申立てにより,その判決において,仮執行の宣言に基
づき被告が給付したものの返還及び仮執行により又はこれを免れるために被告が受
けた損害の賠償を原告に命じなければならないと規定しており,同条2項により原
状回復及び損害賠償を命ずる裁判をなすには,本案判決を変更する判決の言渡しが
なされることが前提となっており,その意味で,原状回復等の申立ては本案事件に
付随するものであると解される。
しかるに,本件において,本案事件は,前記争いのない事実等(4)記載のとお
り,被控訴人により請求放棄がなされたことにより終了しているのであるから,当
裁判所は本訴請求の当否を判断して本案判決を変更する判決の言渡しをすることが
できない。
したがって,法260条2項により本案事件に付随して申し立てられた本件
原状回復等の申立ても,上記請求放棄によって終了したと解すべきである。
2 控訴人は,原状回復等の申立ては,反訴に類する一種の訴訟係属中における
訴え提起であり,被控訴人もこれに対する弁論をしているのであるから,本案事件
とは独立の攻撃防御の対象として,控訴人がこれを取り下げない限り終了しないと
主張する。
  控訴人の上記主張は,原状回復等の申立てが反訴に類するものであることを
前提に,控訴審における反訴の提起に関する擬制同意の規定(法300条2項)と
同趣旨のものをいうと解されるが,前記1に認定説示した原状回復等の申立ての本
来的性格に照らせば,仮に被控訴人が異議を述べないで同申立てに対する弁論を一
旦なしたとしても,その後本案事件が終了した場合にまで,本案事件の訴訟手続か
ら離れて裁判所が同申立ての当否を判断しなければならないと解するのは困難であ
るのみならず,仮にこの点をさて措くとしても,被控訴人の前記答弁書は,被控訴
人による請求放棄以前の,本案事件の係属中である本案事件第1回口頭弁論期日に
おいて(擬制)陳述されたものであり,同答弁書中の原状回復等の申立てに対する
答弁部分(4頁第3
項)も,あくまで本案事件に付随するものとしての原状回復等の申立てに対してな
されたものにすぎないのであるから,これをもって,原状回復等の申立てに異議を
述べることなく弁論をしたとは認められないというべきである。
  したがって,控訴人の上記主張は理由がない(なお,このように解しても,
控訴人は,原状回復等の申立てと同内容の請求を別訴の提起によりなしうるのであ
るから,特段控訴人に不利益を与えるものではない。)。
3 また,控訴人は,控訴人の請求放棄は控訴人の原状回復等の申立てを阻止す
べく行われたものであり,時機に遅れたものとして却下されるべきであると主張す
るが,被控訴人の請求放棄により本案事件の完結を遅延させることになるとは認め
られないから,少なくともこの点において控訴人の上記主張は失当たるを免れな
い。
4 結論
以上のとおり,控訴人の期日指定の申立ては理由がないから,本件仮執行の
原状回復及び損害賠償請求の申立ては,本案事件における請求放棄によって終了し
たとの判決をすることとし,控訴人の平成14年4月5日付書面による口頭弁論期
日指定申立て以後の訴訟費用につき,民事訴訟法67条1項,61条を適用して,
主文のとおり判決する。
神戸地方裁判所第5民事部
裁判長裁判官  前   坂   光   雄
裁判官  寺   本   明   広
裁判官  窪   田   俊   秀

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