弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
抗告人が当審で拡張した各申立を却下する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
○ 理由
一 抗告の趣旨及び理由
(抗告の趣旨)
1 原決定を取消す。
2 (一)抗告人の昭和五六年三月二五日付一般廃棄物(し尿)取扱業許可申請に
対し、相手方が同年四月一日付書面をもつて同年五月六日付でなした許可に付され
た条件のうち、処理区域に関する部分の効力を停止する。
(二) (右申立と選択的に)右許可申請に対し、相手方が同年四月一日付書面を
もつて同年五月六日付でなした別紙図面表示の青線部分の処理区域に関する不許可
処分の効力を停止する。
3 Aの昭和五六年度一般廃棄物(し尿)取扱業許可申請に対し、相手方が同年四
月一日付書面をもつてなした許可処分の効力を停止する。
4 手続費用は、第一、二審とも相手方の負担とする。
との裁判を求める。(なお、右2の(二)及び3の申立は、当審において追加拡張
した申立である。)
(抗告の理由)
別紙「抗告の理由」及び「変更部分の理由」記載のとおりである。
二 当裁判所の判断
(一) 当事者の主張及び疎明によれば、次の事実が一応認められる。
1 抗告人は、相手方から「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物
処理法或いは単に法という)七条及び九条並びに「五条市廃棄物の処理及び清掃に
関する条例」(以下、条例という)一三条により、一般廃棄物(し尿)処理業(及
びし尿浄化槽清掃業)の許可を受け、吉田衛生という名称で右営業を行つてきたも
のであるが、右許可には、し尿収集処理区域を、五条市内のうち別紙図面表示の赤
線及び青線部分と定める条件が付されていたので、右区域内において営業が続けら
れていた。
2 抗告人営業の右吉田衛生は、もと抗告人の夫のBが昭和四〇年六月ころ、相手
方から一般廃棄物(し尿)処理業の許可を受け、実弟に当るAと共同で営業を始め
継続してきたのであるが、昭和四六年一〇月二〇日、Bが営業に従事中、バキユー
ム・カーもろとも谷底に転落する事故で死亡したので、そのあと妻の抗告人自身が
右処理業の許可を受けて事業を相続し、以後毎年抗告人の名義で、収集処理区域を
前記の区域と定められて許可を受け、営業を維持してきた。
3 もつとも、B死亡後の吉田衛生の事業は、Aが従業員としての登録を受けてい
たにすぎなかつたが、自らバキユーム・カーを購入して実質上経営に当り、その利
益の一部を抗告人に交付していたところ、昭和五一年九月、抗告人の二女CがDと
結婚し、当初DがAの仕事を手伝ううち、昭和五二年五月ころから抗告人自身バキ
ユーム・カーを購入し、Dをして独自に処理業を開始させるにいたり、両者が同一
の処理区域内で入り乱れて業務を行う事態となつて混乱したため、五条市の衛生事
業を監督する民生部が介入して両者の調整につとめ、互いに処理区域を分担して営
業を行うよう勧告した。
4 抗告人とAは、一時和解ができ、昭和五三年九月から吉田衛生が処理してきた
区域のうち、抗告人が六〇パーセント、Aが四〇パーセントと、それぞれ区域割り
をして処理区域を定め、両者それぞれ営業を行つたが、昭和五四年二月抗告人がA
を解雇し、昭和五四年度の営業許可申請に当り、Aを従業員として登録しなかつた
ところから、同人は業務に就くことができなくなり、いよいよ争いが激化し、再び
双方から五条市民生部に対して調整の申入れが相次ぎ、同部において双方に説得を
重ねたものの、妥協は成らなかつた。
5 一方Aは、昭和五五年二月一九日、し尿浄化槽維持管理者の資格を取得し、相
手方に対し、同年度におけるし尿処理業の営業許可申請書を提出したため、抗告人
との争いは混迷を深め、相手方としては、抗告人及びAの両者に対し、営業区域の
調整等円満な折合いを願つて説得を重ね妥協を勧めたが、両者それぞれ我を張つて
調整ができなかつた。
6 結局、昭和五五年度は抗告人に対し、従前どおりの収集処理区域を定めてし尿
処理業の営業許可が与えられたが、許可を受けられぬことに業を煮やしたAは、相
手方に圧力をかけるため、同年八月ころ、五条市が誘致した工業団地に通ずる農道
の通行妨害行為に出るなどの強硬措置をとるにいたつた。対策に苦慮した相手方
(前市長E)は、Aに対し、抗告人が営業許可を受けている処理区域のうちから、
約三〇パーセントの区域を抽出し、これを処理区域と定めてし尿処理業の営業許可
を昭和五五年一一月一日付で付与し、また昭和五六年四月一日からは右処理区域を
四〇パーセントに拡張のうえ許可を付与する旨約定し、その実現を進めた。
7 そして、相手方は、昭和五五年一一月一二日付内容証明郵便をもつて、抗告人
に対し、同年四月一日付で許可した抗告人のし尿処理業の処理区域のうち一部を同
年一一月一四日から削減変更する旨の通知をなした。さらに抗告人から提出された
昭和五六年度のし尿処理業許可申請に対し、相手方は、同年四月一日付で、処理区
域を別紙図面表示の赤線部分と定め(ただし、同年四月一日から同年五月一五日ま
での処理区域については昭和五五年度(従来の)処理区域とする)、また許可期限
を同年四月一日から同五七年三月三一日とする旨の許可(以下、本件許可処分とい
う)をなし、該許可は同五六年五月六日ころ抗告人に通知された。結局、抗告人の
行うし尿処理業の営業許可の処理区域は、従来の許可では別紙図面表示の赤線及び
青線部分であつたところ、本件許可処分においては、青線部分が削減されて赤線部
分のみとされるにいたつたが、一方、右青線部分の区域は、これを処理区域と定め
て、Aに対し、し尿処理業の許可処分がなされた。
8 相手方が抗告人に対し、処理区域を別紙図面表示の赤線部分と定めて本件許可
処分をなし、一方Aに対し、処理区域を同図面表示の青線部分と定めてし尿処理業
の営業許可をなすにいたつたのは、もともとAが抗告人の夫Bと共同でし尿処理業
を始め、同人死亡後の昭和四六年から昭和五二年五月ころまでは、吉田衛生を実質
的に経営して営業に従事していたものであるところ、抗告人との間に紛争が生じ、
遂には吉田衛生が内部的に分裂してそれぞれ独自に営業を行わざるをえない破目に
いたつたものと判断したためであり、そこで五条市において処理業を営む他の三業
者の処理区域については手を加えることなく、従来吉田衛生に認められてきた処理
区域を両者の実績等を考慮してほぼ六対四の割合で分割することを相当とし(なお
両者の昭和四六年から同五五年までの処理実績及び昭和五六年度処理予定の比較
は、原決定添付別表(一)(二)のとおりである。)、前記の各許可処分をなし
た。
(二) ところで、抗告人は、本件許可処分は、条件として付された処理区域につ
き、従前の許可処分において認められていた別紙図面表示の赤線及び青線部分の処
理区域から青線部分を削減して赤線部分のみとしているところ、かかる条件を付し
た本件許可処分に違法事由が存すると主張し、まず本件許可処分に付された条件の
うち処理区域に関する部分の効力の執行停止を求め、それが認められないときは、
処理区域を赤線部分のみとした本件許可処分は、同時に青線部分を処理区域として
なした許可申請に対する不許可処分に当るから青線部分の処理区域に関する不許可
処分の効力の執行停止を求めると主張するので、右執行停止申立の当否について検
討する。
一般廃棄物(し尿)処理に関する事業は市町村の固有事務であつて、市町村がその
区域内で自ら処理することが原則であるけれども、これをすべて市町村が自ら処理
することは実際上できないため、許可を与えた業者をして代行させることにより自
ら処理したと同様の効果を確保しようとするのであり、そこで市町村長から右処理
業者が受ける営業許可は、当該市町村の区域内においてのみ効力を有し、それ以外
の区域に及ぶことはないわけであるが、許可権者である市町村長は、当該年度の処
理計画に適合した廃棄物処理の円滑な遂行と業者間における秩序ある処理事業の運
営の調整を図るため、その裁量により、右営業許可に、当該市町村の区域内におい
て、さらにその収集処理区域を限定する条件(附款)を付すことができることとし
ている(法七条三項)。本件許可処分は、収集処理区域を五条市の区域内のうち別
紙図面表示の赤線部分と限定の附款を付してなされた営業許可であるが、仮に抗告
人主張のように本件許可処分に付された収集処理区域を赤線部分と限定の附款に違
法事由が存し、その取消を求めうるとして、右収集処理区域に関する附款の効力に
つき、その執行停止が許されるとするならば、結局、抗告人に与えられるし尿処理
業の許可処分は、収集処理区域限定の附款がないことになり、五条市の区域全部に
おいてし尿処理業を行うことのできる営業許可ということになつてしまうところ、
もともと抗告人が相手方から受けていた従前のし尿処理業の営業許可は、附款の付
されない単純な許可ではなく、その収集処理区域を五条市の区域内のうち別紙図面
表示の赤線及び青線部分に限定の附款が付されていたのであつて、単純に五条市の
区域全部が収集処理区域とされていたものではないから、本件許可処分に付された
収集処理区域に関する附款の効力の執行停止は、かえつて本件許可処分に過大な効
力を認容する結果になる。しかしながら抗告人に対する本件許可処分に右の過大な
効力を認めなければならない必要性は存しないから、右附款の効力の執行停止を求
める申立は、爾余の点の判断に及ぶまでもなく、理由がないので失当といわなけれ
ばならない。
もつとも抗告人は、さらに、本件許可処分に条件として付される収集処理区域につ
いては、従前の許可処分の場合と同様、別紙図面表示の赤線及び青線部分と予定し
て許可申請に及んだところ、本件許可処分は、その収集処理区域を赤線部分のみと
し、青線部分を削減した許可処分であつたから、相手方は、抗告人の許可申請に対
し、青線部分の収集処理区域に関しては不許可処分をしたものと解せられるとこ
ろ、右青線部分の収集処理区域に関する不許可処分には違法事由が存し取消を免れ
ないので、右不許可処分の効力の執行停止を申立てるというのであるが、なるほど
右のように構成された不許可処分に対する取消訴訟の当否はともかく、不許可処分
に対し執行を停止してみても、許可申請に対し許否の処分がされなかつた状態が現
出するにとどまり、これによつて不許可処分が許可されることにはならないのであ
るから、不許可処分に対する執行停止の申立は、申立自体理由がなく失当というべ
きである。
(三) 相手方がAに対し昭和五六年四月一日付書面をもつて一般廃棄物(し尿)
処理業の許可処分をなしたこと、右許可処分に付された収集処理区域が別紙図面表
示の青線部分であることは前記のとおりであるところ、抗告人は、進んでAに対す
る右許可処分の執行停止を求めるが、元来営業許可の内容は、一般的禁止の解除で
あつて権利の設定ではなく、一般廃棄物処理業を許可制としているのは、専ら廃棄
物を適正に処理し、及び生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公
衆衛生の向上を図る(法一条)という公益的見地からその行政目的実現のためにな
される規制であり、既設業者の営業上の利益を保護するものではない。既設業者が
右許可によつて享受する営業上の利益は単なる反射的利益にすぎないと解されるか
ら、もともと抗告人は、相手方がAに対してなした右許可処分の取消はもとより、
右許可処分の執行停止を求める法律上の利益を欠いているものというべきである。
してみれば右執行停止の申立は不適法といわなければならない。
(四) 以上の次第で抗告人の本件各執行停止の申立はいずれも失当であり、原決
定は相当というべきである。してみると本件抗告は理由がないからこれを棄却し、
かつ抗告人の当審で拡張の各申立を却下することとし、抗告費用は抗告人に負担さ
せることとして主文のとおり決定する。
(裁判官 今富 滋 坂詰幸次郎 亀岡幹雄)
抗告の理由
一 区域指定について
原決定は「区域の指定は許可の効力を地域的に限定するに止まり、当該区域内にお
ける営業を一律全面的に許すものであり、いわば許可の内容そのものであつて許可
と一体不可分の関係に立つものである。従つて右区域の指定に不服ある者はこれを
一体となす許可処分自体の効力を争うべきであり、執行停止においても地域指定部
分のみの効力につき停止を申立てるのは相当でないと解される」とする。
しかし右見解は相当でない。許可の内容は「一般廃棄物の収集運搬又は処分を業と
して行う」(法七条一項)ことである。
右許可に「期限を付し一般廃棄物の収集を行うことができる区域を定め、又は生活
環境の保全上必要な条件を付することができる」(法七条三項)のである。
理論上からみてもまた法文上かみても区域の指定は許可に付された条件である。原
決定の考え方に従うときは原決定も認めるとあり、「本件許可処分自体の効力を停
止すると申立人は本年度分の事業につぎ何らの許可を受けていない状態が惹起され
る」という不都合が生ずることなる。また原決定の考え方によれば相手方が処理区
域を全く取り上げてしまつても抗告人に救済手段がないことになる。
これでは行政事件訴訟法が行政処分の取消訴訟を認め、違法な行政処分を排除しよ
うとする趣旨に反することになる。そして抗告人主張のとおり考えても実際上も格
別の不都合はないのである。相手方は条件たる区域指定に付き決定の趣旨に従い改
めて処分する(行政事件訴訟法三三条二項)こととなる。
二 本案について理由
(一) 原決定は「Aに対する許可はAによる通告妨害行為の結果でなく同人が許
可取得資格を得、正式な許可申請をなした結果である」と認定している。
右認定は誤つている。
それは疎甲七号証八号証等の疎明資料の評価を誤つたものである。(1)疎甲七号
証の念書の宛名がAでなく通行妨害事件のFであること、通行妨害が昭和五五年八
月から九月にかけてなされ本件念書が作成されないときは和弘プラスチツク工業お
よびイズミ送付機に相手方が理事長をしている開発公社が代替土地を提供しかつ約
四千万円という莫大な損害賠償を支払わねばならない状況であつたところ右念書が
十月に作成されてF、A両名が通行妨害行為を中止し、その結果約五〇〇万円の損
害のみの支払ですんだこと、(2)さらに許可処分は従来一年の期限が付され抗告
人に対する許可は昭和五五年四月一日から五六年三月三一日までとなつていたのに
(疎甲一号証)右許可の期限に反して抗告人に何ら責められるべき点がないのにそ
の期間中である五五年一一月一二日に右念書どおり約三〇%の削減を行つたこと
(疎甲二号証)、(3)また昭和五五年八月頃から一一月一〇日(疎甲二号証の変
更通知の前日)までの間に相手方前E市長、前G助役、H民政部長が抗告人に会い
たい旨申入れたところ抗告人は実兄Iに委しているから実兄に会つて話して欲しい
と答えた。それで前市長らはIと六、七回(うち前市長は二回)会つて交渉した。
その際前市長は「今日の昼、A兄弟が申立てている道路の現場を見て来た、Aの味
方でないが大物三人が何とかしてやつてくれと云われ困つている」「助けて欲しい
のはこちらの方や」又その後の会談においても前市長は「無理はわかつているから
こゝまで頭を下げて頼んでいる。市の行政のため説得してくれ」とIに言つた。又
前助役、部長らは「市長の言うことは無理を言つていることは承知しているが宮仕
えの私らは市長のいうとおりにしないといけない」と頼み込んだ。しかしIは筋が
通らないことは聞けない、親戚のことであるので抗告人から直接Aに区域の一部を
ゆずるように説得すると申出たが相手方は処理区域を分割して市に返してこれをA
に渡すことに固執した。それでIは十一月十日に最終的にこれを拒否した。すると
十一月十二日付で相手方は抗告人から処理区域を取り上げこれをAに与えた。又こ
れにより前の十月には、Fに対し念書を作成交付していたことになる。すべてが決
つており、単に抗告人の了解を取ろうとしたにすぎないのである。(4)そして本
件処分により右念書の四〇%削減をしこれをそのままAに与えていることならびに
A自身「申請却下され、このままではなんとも承服しがたく、たしかに工業団地で
妨害をするようなことをしました(乙三号証)と認めていることなどから、F、A
の通行妨害-念書-一一月一二日の処分の結びつきは明らかである。
許可申請のないところに許可処分があり得ないこと当然で原決定の理由づけは全く
意味がない。なおBがAと共同営業であつたことはない。
また坑告人はA排除の申入をしたが調整の申入をしたことはない。Aが解雇される
までは同人は抗告人の従業員であり同人の実績があることなく決定の別表(一)は
誤つている。
Bは、日付収集先、収集台数、売上高、Aへのその日の支払額を記帳していた。た
とえば昭和四四年七月九日から同月二六日までの右日記帳をみれば右の状況が明ら
かに認められAへの支払額は備考欄に記入されておりこの金額は実働時間を基準に
して決められ、その日に日給として支払われていた。右金額の決定はBがなして自
から記帳していた。その計算は娘のCがしていた。
Bが経営者であつた。すなわち妻である抗告人は汲取希望者から一日約五〇軒の電
話がかかつてくるがこれを聴取し要約して書取るこの電話聴取がないと「し尿」収
集業務は成り立たない。タクシー業務と同じである。組合費も抗告人が年間七万円
払いつづけた。
Bが夕方帰つて来てこれを見て汲取計画を立てこれに基づき自からバキユーム車を
運転してし尿を収集し処理場に投入しこれを一日に数回くり返すわけである。そし
てBは収集業務終了後の夜、くみ取時に留守であつたところへ一人でミゼツトに乗
り集金しこれを日記帳に記帳していた。又、小中学校保育所駅役場など公共施設な
どについては個別にBが交渉契約した。これに反し、Aは汲取のうち、ホースをひ
つぱつて行つてその先をこえつぼに入れ終ればホースを元にもどす仕事をしてい
た。
そして収集業務が終れば同人はすぐ帰つた。そしてB死亡後は抗告人及び抗告人の
娘が電話聴取をしこれに基づいて抗告人がAに収集の指示していた。
Aはわずか半月くらいは売上金を吉田衛生に入れていたが以後自から売上金を不法
に取得してしまうようになつた。
B死亡後も抗告人とAとの関係は従来と同じであつてAは従業員であつたのであ
り、同人の実績とはならないのである従業員である。
(二) Aは抗告人の夫B死亡後長年にわたり、売上金を抗告人に渡さず、又し尿
不法投棄するなどして問題となり改まる様子が認められなかつたので遂に抗告人は
昭和五四年二月一三日同人を解雇した(疎甲九号証の一、二、三)。しかるにその
後も相手方はAが許可なく違法にし尿を収集するのを認め同人を処理場で受入れて
いた。
ところがたまたまJ市議がこれを市会で取上げ問題となつてようやく相手方はAの
収集を排除した。その後すぐ同人が許可申請をするや年度途中であるに拘らず五五
年一一月一二日に抗告人から処理区域の約三〇%を取上げそして五六年四月一日付
で合計で約四〇%を取上げそれぞれその区域(処理)をAに与えている。
またAはその指定外の処理区域である抗告人の処理区域を侵奪した。たとえば昭和
五六年六月六日、三在のK宅のし尿を収集し金四、五〇〇円を受領している(疎甲
一〇号証)。以上によりAは法七条二項四号ロ「第一一項の規定により許可を取り
消されその取消しの日から二年を経過しない者」に実質的に該当しかつ同ハ「その
業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由
がある者」に該当する。よつてAへの許可処分は違法である。
抗告人は本件許可処分の処理区域の指定の執行停止を求め、最終的には昭和五五年
四月当時の処理区域が指定されることを目的としているが右目的を達するため、本
件許可処分と表裏の関係にあり密接な関係を有する。
Aの昭和五六年一般廃棄物(し尿)取扱業許可申請に対し相手方が同年四月一日付
書面をもつてなした許可処分の効カの停止を求める。
(三) また原決定は「申立人主張のような本件許可処分の動機の不正及び公平原
則違反につきいずれも疎明がない」としているが誤つている。
前記(一)のとおりでありこれは動機に不正があり公平原則違反(不正行為を重ね
る同人に不正行為の全くない抗告人から処理区域を取上げこれをそのまま与える理
由は全くない)である。
また抗告人は法目的違反(許可処分は廃棄物の処理及び清掃に関する法律七条二項
に規定する目的にそつてなされるべきであるのにこれとは無関係な通行妨害行為に
属してなされたものである)および手続上の違法(法第七条十二項)違反、相手方
は(前市長)抗告人実兄Iに「道路問題で困つている。それで大物が来て困つてい
る市のために助けてくれ何も言わず承知してくれ」というばかりであつた)の各主
張をしている。
しかしこれらに対する判断がない。
(株)その他
1 し尿処理の知識経験
抗告人も夫Bとともに処理業に従事していたのでその知識経験があつた。
し尿処理業に高度な知識経験が必要なはずがなく抗告人の有する知識経験で十分で
ある。
また浄化槽清掃に必要な免許は抗告人の娘で従業員のCが取得し従業員として働い
ていた。
従つて抗告人のし尿処理の資格は十分である。
2 バキユーム車の購入代金
昭和四六年に購入したバキユーム車の購入代金は吉田衛生の売上金をもつて購入し
たものである。
Aは個人的には全く支出していない。しかるに同人はBが死亡して約一ヶ月後の抗
告人の目の行き届かないのを奇貨として新車の名儀を自己名義にしたものである。
さらには以後売上金の大部分を抗告人にわたさなくなつたのである。
3 Aの不法行為と相手方関与
Aは売上金め着服ばかりでなくし尿の不法投棄をくり返し問題となつた。そのため
抗告人はAの反省を求めるため同人の業務を停止させようとして五条市の担当者に
Aの収集したし尿の処理場への投入を受入れないよう申入れた。しかし五条市の当
時の衛生課長は雇主の右申入を受入れずかえつてAに第一吉田衛生という名称を与
え、抗告人を第二吉田衛生と呼び両名を区別しAを独立の業者として認める態度に
出てそれは右の市の担当者らがAと癒着しておりAの意のままになつていたのであ
る。
そしてAは相手方のうしろだてにより自から従業員を雇い抗告人の処理区域を次々
と侵奪していつた。
そして相変らずAは不法投棄をくり返しある時は川や山へ一〇〇台分ものし尿を不
法投棄したため、警察や市議会で問題となつた。
市はAを独立のし尿業者と扱つて来ていたが問題が発生すると抗告人の従業員とみ
てすべての責任を抗告人になすりつけようとした。こういつた不法投棄は抗告人の
前記申入を受入れてくれていたら又、処理業の許可のうけていなかつたAを排除し
ていたら起つておらず市民にも迷惑をかけることはなかつたはずである。相手方は
抗告人にAの従業員であることを認めさせ、抗告人名儀の始末書を書くよう強く求
めて来た。「そうしたら少しは仕事ができるようにしてやる」と言う始末であつ
た。
しかし抗告人はあくまで始末書を書くのを拒否した。
そしてAに処理区域を大幅にとられ五条市以外の村など遠くまで出かけてし尿の仕
事を求めて生活を支えた。
遂に抗告人は昭和五三年九月二一日Aに今後不法投棄を一切しない。もし不法投棄
など一切の不法行為をしたら解雇されても異議ない旨の誓約書を書いてもらつた。
相手方提示する区域する区域割(当初の相手方の案では七対三くらいであつたが抗
告人が異議を申し立てて延台数で五対五くらいになつた。現在六対四である)をの
んだ。
なお抗告人は昭和五二年以来許可申請書に従業員としてAの名前を書いて提出した
ことない。
しかし相手方の担当者が強く書き込むように指示したので止むをえず書き込んだり
又相手方の担当者が自から書きこんだりした。
ところが昭和五四年四月J市議がし尿処理場の問題を取上げたときにAの無許可の
し尿収集が違法とされ以後五条市での収集が禁止されるに至つた。そして通行妨害
念書作成本件許可処分に至る訳です。
4 処理区域の割合
処理区域は本件許可処分前(昭和五五年十一月以前)の処理区域に比し実質的なバ
キユーム車の延台数を基準(世帯数は地方のくみとりをしない世帯もあり実質的基
準となるものでない)として約四〇%になつている。
5 本件許可処分するについての理由告知
相手方は本件許可処分するについて理由を告知していない。ただ念書があるのでと
言うだけであつた。そのこと自体本件許可処分が法目的違反動機不正平等原則違反
してなされていることを物語つている。
6 実績について
昭和四六年から昭和五十一年までは抗告人名儀でし尿処理の許可を受け従業員とし
てAを雇い抗告人がし尿処理の営業をしていた相手方は抗告人の実績を認めていた
からこそ抗告人の許可申請を受付け抗告人に許可を与えて来た。
くみ取り希望者から一日に約五〇件くらい電話がかかつていたが、これを抗告人自
から適切に処理し従業員のAに指示してくみとり行為をさせていたのである。
これは他の業者であるLの営業においても同じである。
従業員の島田がくみとりに行つていたが、Lの実績となつている。
一般に従業員を雇つている場合はみなそうである。
抗告人の娘むこDが従業員として働き出した後の昭和五二年からAの営業を第一吉
田衛生、抗告人の方を第二吉田衛生と区別されるに至つたのである。M作成にかゝ
る報告書添付の投入実績表はこの点から誤まつている。
三 回復困難な損害
1 原決定は「申立人は本件許可処分による生活困難を訴えるが具体的な疎明がな
いのみでなく従前の収入の減少のようなことは金銭的賠償によつて賄いうるもので
あり」としている。
右のような認定は抗告人及び従業員Dの家族、従業員Nの家族が五条市におけるし
尿処理業によつてのみ生活している実体生活実体に目をつぶり人は金さえあれば生
活できるという考えに基くものと思われる。抗告人及びその従業員の家族すべて
は、そのよつて立つし尿処理業を毎日つつがなく行うことにより生活が充実し生き
がいが生れるものである。従来月のうち平均二一日仕事ができたのに今や八日ない
し九日でその余は何もすることがない。本件却下決定が確定すれば、相手方は裁判
所によつて認められたとし原状に復しないのは勿論さらに削減しないとも限らな
い。これに対し、原決定のいうように、「執行停止を求めることによつて申立人は
目的を達することができない」とするならば全くやられ損でありどうすることもで
きない。
これに対し金銭的賠償のみ救済(これとてその立証は困難であること顕著な事実で
ある)のみであるとするならば正義がどこにあるかといいたい。
原決定の判断は誤まつているといわねばならない。
現在Nが日給を得たいために毎日抗告人の家に出勤して来てバキユーム車に乗つて
各家庭をまわつて汲取申込がないのに汲取しましようかと積極的に仕事をさがして
いる状況である。そのため抗告人はこの分の日給を払わざるを得ない状況である。
2 次のとおり昭和五三年九月当時に比較しても本件許可処分を前提とする限りし
尿処理だけでは生活ができなくなること明かである。
A 五三年九月                     B昭和五六年五月以

(1) 五条市における収集量 通常の約五割       (1)通常の約四割
(2) 五条市以外の地方の村での収集で収益を補充    (2)現在他の業者
がやつており抗告人は収集できない
(3) 従業員 二名                  (3)従業員 三名
一方Aは五条市以外でのし尿処理を五条市で行つている量の二倍以上行つている。
そして従業員は一名である。Aは農業も営んでおり、それのみでも生活ができ得る
ほどである。
変更部分の理由
抗告人は長年にわたり別紙図面責線赤線両部分の処理区域について許可をうけて、
同区域内のし尿の収集運搬業をなして来た。昭和五六年度の許可申請も当然右区域
について許可申請したものである。
しかるに相手方は、右申請に対し、別紙図面赤線部分のみについて許可した(疎甲
四号証の一、二)。右許可処分は、同時に別紙図面青緑部分の処理区域の申請につ
いての不許可処分である。そして相手方は、右不許可とした処理区域についてAに
五六年四月一日付書面で許可した。
右不許可処分は、すでに主張した理由により違法であるので、抗告の趣旨のとおり
の裁判を求める。
別紙図面(省略)

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採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛