弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件抗告を却下する。
     抗告費用は抗告人の負担とする。
         理    由
 本件抗告の趣旨および理由は別紙記載のとおりである。
 まず本件抗告の適否について判断する。
 本件記録によると、札幌地方裁判所は、申立人北海道地方労働委員会、被申立人
抗告人間の昭和四〇年(行ク)第四号緊急命令申立事件について、労働組合法第二
七条第八項に基づき、同年一〇月二一日、「被申立人は原告第一小型ハイヤー株式
会社、被告北海道地方労働委員会、参加人第一ハイヤー労働組合間の当裁判所昭和
四一年(行ウ)第九号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決確定にいたるま
で、右参加人組合の組合員A、B、C、D、E、F、G、H、IおよびJを原職
(いずれも運転手)に復帰させ、かつ右一〇名に対し各復帰の日からそれぞれ各人
が受けるべき給与相当額を支払わなければならない。」との右労働委員会の救済命
令とほぼ同趣旨の緊急命令を発し、これに対して抗告人から、(一)右緊急命令の
前提となつた救済命令に事実誤認、法律解釈の誤りなどの違法がある、(二)緊急
命令の対象となつたAら一〇名は原職復帰適格を有しない、(三)右Aらは解雇当
時から別途収入により生活を維持しており緊急命令の必要性がない、との理由によ
り右緊急命令の違法、不当を主張してその取消の申立をしたが、原裁判所は昭和四
一年一二月二三日、右取消申立を却下した。以上の事実が認められる。
 緊急命令は、労働委員会の救済命令に対し行政訴訟が提起され、救済命令の確定
が遅延することによつて労働者の生活あるいは労働者の団結権が侵害されることを
防止するため、労働委員会の申立により、救済命令の取消訴訟が現に係属している
受訴裁判所が、使用者に対し判決の確定に至るまで救済命令の全部又は一部に従う
べき旨を命ずる暫定的応急の措置である。このような制度の本質および即時抗告を
許した規定のないところからみて、緊急命令の申立を認容した決定に対しては、使
用者は抗告の方法により上級裁判所にその当否の判断を求める方途を有しないもの
であることは異論の存しないところである。もつとも、緊急命令が上記のような暫
定的応急の措置であり、受訴裁判所は、労働委員会から右命令の申立を受けたとき
は、そのときまでに訴訟に現れた資料に基づいて右申立の当否を判断するのである
から、右命令を発した後においても、訴訟の進行中に先に発した命令が適当でない
と認めるときは何時でも職権で自由に一旦発した緊急命令を取り消し、変更するこ
とができるものとされ、当事者にも右取消し変更の申立をすることが許容されてい
る。
 <要旨>しかしながら、裁判所が右当事者(主として使用者)の申立を却下した決
定に対しては、当事者は抗告をなし得ないものと解するを相当とする。けだ
し緊急命令の取消し又は変更に関する裁判は受訴裁判所の再度の考案としてなされ
るものであり当事者の申立を却下する決定は、その実質において先になした緊急命
令を相当として維持するものに外ならない。したがつて、取消し変更の申立を却下
した決定に対して抗告をなし得るものとすれば、実質的には緊急命令そのものに対
する不服申立としての抗告を許容するのと選ぶところがなくなるばかりでなく、裁
判所が職権でその命令を取り消し又は変更した決定に対し労働委員会に抗告の方途
が認められていないこととの均衡上からも、上記当事者の取消し又は変更の申立を
却下する決定に対しては民事訴訟法第四一〇条の規定にかかわらず抗告を許容すべ
きでないと解せざるを得ないからである。
 よつて、本件抗告はその余の判断に入るまでもなく不適法としてこれを却下する
こととし、抗告費用は抗告人の負担として主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 杉山孝 裁判官 田中恒郎 裁判官 島田礼介)

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