弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成19年9月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成18年(ネ)第10032号不正競争行為差止等・損害賠償等反訴請求控訴事
件(原審・東京地方裁判所平成17年(ワ)第14972号(本訴),同第2249
6号(反訴))
平成19年8月30日口頭弁論終結
判決
控訴人フルセル株式会社
訴訟代理人弁護士大津卓滋,原田活也,前田修弥,黒崎祥
被控訴人日本マクドナルド株式会社
訴訟代理人弁護士鹿児嶋康雄,金井高志,笹原直和
主文
1控訴人の当審における新たな請求を棄却する。
2前項の請求に関する訴訟費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1控訴人
(1)被控訴人は控訴人に対し,2億1461万6052円及びこれに対する平
成18年5月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)前項の請求に関する訴訟費用は被控訴人の負担とする。
2被控訴人
主文同旨
第2事案の概要
被控訴人(原審本訴原告・反訴被告。以下「原告」という。)は控訴人(原
審本訴被告・反訴原告。以下「被告会社」という。)との間で,平成8年6月
1日,フランチャイズ契約(以下「本件FC契約」という。)を締結し,原告
は原審本訴被告A(以下「被告A」という。)及び原審本訴被告B(以下「被
告B」という。)との間で,本件FC契約から生ずる被告会社の債務を被告A
及び被告Bが連帯保証する契約を締結していた。
原審における本訴請求は,①フランチャイザーである原告がフランチャイジ
ーである被告会社に対し,本件FC契約に基づき,未払ロイヤルティ料等の支
払を求めるとともに,連帯保証人である被告A及び被告Bに対し,連帯保証契
約に基づき,同額の支払を求める請求,②本件FC契約の解除に伴う原状回復
請求権に基づき,原告が被告会社に対し,リース物件の引渡しを求める請求及
び③本件FC契約の解除により,被告会社が著名な原告の標章を使用すること
が不正競争防止法2条1項2号所定の不正競争行為に該当するとして,同法3
条に基づき,被告会社に対し,原告の標章の使用の差止め等を求める請求であ
る。
原審における反訴請求は,④被告会社が原告に対し,原告の営業政策が本件
FC契約の債務不履行に当たるとして,民法415条による損害賠償請求権に
基づき,損害の一部(平成17年1月から6月分)として1185万3685
円の支払を求める請求及び⑤原告が受領した営業権の対価のうち,契約解除後
の約20年間分については,原告が法律上の原因がなく利得したものであると
主張して,不当利得返還請求権に基づき,1億6333万円の支払を求める請
求である。
原審は,原告の本訴請求をいずれも認容し,被告会社の反訴請求をいずれも
棄却したため,被告会社,被告A及び被告B(以下,この3名をまとめて「被
告ら」という。)は,これを不服として控訴を提起した。
当審において,原告は原判決主文第1項から第3項までに係る請求について
訴えを取り下げ,被告会社はこれに同意した。また,第3回弁論準備手続期日
(平成19年6月12日)おいて,被告会社は原判決主文第4項についての控
訴を,被告らは同第5項についての控訴をいずれも取り下げた。さらに,当審
において,被告会社は,原審における反訴請求(上記④及び⑤)に代えて,新
たな請求(前記第1の1(1))について審理判断を求める訴えの交換的変更を
行い,原告はこの変更に同意した。
以上の経緯により,当審における審理判断の対象は,被告会社の原告に対す
る新たな請求(前記第1の1(1))のみである。
1被告会社の新たな請求についての請求原因
(1)本件売買契約の無効による不当利得返還請求
ア原告は被告会社との間で,平成8年5月31日,福岡新天町店(以下「本
件店舗」という。)における原告所有の①有形固定資産を1616万969
7円,②無形固定資産を2億1461万6052円で原告が被告会社に売り
渡し,③原告が負担する残存リース料債務361万7640円を被告会社が
引き受ける契約(以下「本件売買契約」という。)を締結した(甲第50号
証)。
イ本件売買契約中,無形固定資産の売買については,以下のとおり原告が被
告会社に対して優越的な地位にあることを濫用して,原告に本件売買契約を
締結させたものであるから,公序良俗に反するものである。
本件店舗は,原告が直営店として経営していたものであるが,店舗に使用
する建物は,株式会社新天町商店街公社(以下「新天町公社」という。)か
ら株式会社九州長崎屋(以下「長崎屋」という。)が賃借し,原告に転貸し
ているものであった(乙第101号証)。ところが,平成5年4月ころ,長
崎屋からの原告に対する上記転貸が無断転貸に当たるとして問題となり,長
崎屋は原告との上記賃貸借契約を解除することとなった(乙第102号証)。
しかし,新天町公社は,本件店舗の新規賃借人について地元企業優先の意向
を有していたため(乙第103号証),被告らが原告のフランチャイジーと
なって本件店舗の営業を行うこととし,同年7月10日,長崎屋,原告及び
被告らの間で合意が成立した(乙第104号証)。そして,被告会社が原告
のフランチャイジーとなるまでの間,原告が本件店舗における営業を継続す
ることができるように,同日付けで原告と被告らは,委託販売契約を締結し,
原告は本件店舗における売上金の10パーセントを被告らに支払うことを約
した(甲第12号証)。
被告らは,フランチャイジーとなって本件店舗の営業を行うため,7億5
000万円で本件店舗の賃借権を買い取った(乙第110号証)が,この資
金の融資を受けていたため,上記売上金の10パーセント相当額は,借入金
の返済額に足りず,毎月300万円から400万円の赤字が発生した。被告
らは,フランチャイズ契約の締結を望んだが,原告はフランチャイジーとし
ての審査があるとの理由で,上記委託販売契約のまま約2年半が経過した。
この間,被告らは,追加の融資を受けるなどして凌ぎ,フランチャイズ契約
締結の見通しがついた平成8年2月20日,原告は,フランチャイズ契約締
結の条件として,本件店舗の無形固定資産を2億1461万6052円で被
告会社が原告から買い取ること(上記ア②)を提示した(乙第105号証)。
そのため,被告会社は,選択の余地なくこの条件を受け入れるしかなかった。
ウよって,本件売買契約は公序良俗違反により無効であり,不当利得返還請
求権に基づき,原告は無形固定資産の対価として支払った分2億1461万
6052円及びこれに対する平成18年5月23日から支払済みまで年5分
の割合による金員の支払を求める。
(2)買戻の債務不履行(履行請求)
仮に,本件売買契約が公序良俗違反により無効と認められない場合におい
ても,本件FC契約が終了したのであるから,原告は,「固定資産等の買戻
に関する覚書」(乙第100号証。以下「覚書」という。)に基づき,本件
店舗の無形固定資産を買い戻す義務がある。
覚書第1項の「乙が甲に対し本契約第2条第1項第1号記載の営業場所を
賃貸し,甲が賃借する契約が成立すること」との条件については,平成18
年5月12日,被告会社が株式会社新天町エステート(以下「新天町エステ
ート」という。)に対し,本件店舗の賃借権を譲渡し(乙第97号証),原
告が新天町エステートから本件店舗を賃借する契約(乙第96号証)が締結
されているから,実質的に条件が成就している。
(3)被告会社が本件店舗の価値を維持したことによる不当利得返還請求
仮に,買戻条項の条件が成就していないとしても,被告会社が本件店舗で
営業していた間,店舗の価値を維持したから,前記(2)のとおり,原告が本
件店舗の営業実績を再度承継した以上,原告は被告会社に対し,その対価を
不当利得として支払うべきである。
2請求原因事実に対する認否及び原告の反論
(1)本件売買契約の無効による不当利得返還請求について
ア本件売買契約を締結した事実は認める。
イ本件売買契約締結に際し,原告が被告会社に対して優越的な地位にあるこ
とを濫用して,無形固定資産の売買についての契約を締結させたことはなく,
公序良俗に反する事情はない。
そもそも,優越的地位の濫用は,フランチャイジーに対するフランチャイ
ザーのように,継続的取引関係に立った後に問題となるものである。本件売
買契約は,従来,原告が直営店として経営していた本件店舗をフランチャイ
ズ店に転換するに際し,本件FC契約締結の前日,締結されたものであり,
継続的取引関係が生ずる前であるから,優越的地位の濫用は問題にならない。
被告会社の主張する「赤字」については,事実の証明がないし,赤字が事
実であったとしても,被告会社の経営上の見込み違いに起因するものである。
(2)買戻の債務不履行(履行請求)について
原告が被告会社との間で覚書(乙第100号証)を締結したことは認める。
しかし,その条項中の「乙が甲に対し本契約第2条第1項第1号記載の営
業場所を賃貸し,甲が賃借する契約が成立すること」との条件は成就してい
ない。
また,本件FC契約は,被告会社によるロイヤリティ支払義務の債務不履
行によって解除されたのであるから,覚書第2項但書の場合に該当し,原告
に買戻の義務はない。
(3)被告会社が本件店舗の価値を維持したことによる不当利得返還請求につい

被告会社の主張は,根拠が不明で,それ自体失当である。本件FC契約が
終了した場合については,契約書(甲第1号証)20条1項4号に定められ
ており,原告がのれん代等の無体財産に対する対価を支払う必要がないから,
被告会社の主張する対価については,支払義務のないことが明示されている。
第3当裁判所の判断
1本件売買契約の無効による不当利得返還請求について
(1)本件売買契約の締結は,当事者間に争いがなく,その経緯は次のとおりで
あると認められる。
本件店舗は,原告が直営店として経営していたものであるが,店舗に使用
する建物は,新天町公社から長崎屋が賃借し,原告に転貸しているものであ
ったが,平成4年末ころ,長崎屋の上記転貸が無断転貸に当たるものとして
新天町公社から問題とされた(乙第1及び第101号証)。しかし,上記無
断転貸問題の解消後も本件店舗での営業を希望する原告の意向を実現するた
め,新天町公社と原告による直接の賃貸借契約の締結の方法又は大渕観光株
式会社(以下「大渕観光」という。)が新天町公社と賃貸借契約を締結する
方法の二つの希望が長崎屋から新天町公社に伝えられた(乙第102号証)。
これに対し,新天町公社から地元企業を優先させたい旨の意向が示されたた
め(乙第103号証),平成5年7月10日,長崎屋と原告は,建物賃貸借
契約を一旦合意解約し,長崎屋は大渕観光に新天町公社の株式を譲渡し,そ
の名義書換手続が完了するまで長崎屋と原告が従来と同一内容の建物賃貸借
契約を締結した上で,大渕観光が原告との間で委託販売契約を締結し,同委
託販売契約は上記名義書換手続完了日から発効することとする旨の合意が成
立した(乙第104号証)。上記委託販売契約は,大渕観光及び被告Aと原
告との間で締結され,大渕観光及び被告Aが原告に,本件店舗においてハン
バーガーその他の飲食物を販売することを委託するもので,原告は本件店舗
における売上金の10パーセントを大渕観光及び被告Aに支払って直営店と
しての営業を続けるものであった(甲第12号証)。また,上記委託販売契
約においては,将来,大渕観光及び被告Aが原告の「ライセンシー」として
営業をする目的であることが記載され,平成6年12月1日以降,そのため
の「トレーニング」を受け,原告が「ライセンシーとして適格であると」判
断するまでは,原告が直営店として営業を継続することが特約されていた。
被告Aは,平成5年8月24日,7億5000万円で長崎屋から本件店舗
の賃借権を譲り受ける契約を締結し,新天町公社もこれを承諾した(乙第1
10号証)。
平成8年2月20日,原告は被告Aに対し,フランチャイズ契約締結の条
件を提示した(乙第105号証)。その内容は,同年6月1日から本件店舗
を原告の直営店からフランチャイズ店に移行させるものとし,本件店舗の店
舗資産を直近12か月(平成7年2月1日から平成8年1月31日まで)の
総売上に55パーセントを乗じた額で原告が被告Aに売却することなどが含
まれていた。その後,原告は被告会社との間で,平成8年5月31日,本件
売買契約を締結し(甲第50号証),その翌日付けで本件FC契約を締結し
た(甲第1号証)。
(2)被告会社は,長崎屋から本件店舗の賃借権の譲渡を受けるために支払った
対価の7億5000万円については,資金の融資を受けており,上記委託販
売契約による売上金の10パーセント相当額は,借入金の返済額に足りず,
毎月300万円から400万円の赤字が発生し,フランチャイズ契約の早期
締結を望んだが,原告はフランチャイジーとしての審査があるとの理由で,
上記委託販売契約のまま約2年半が経過し,この間,被告らは,追加の融資
を受けるなどして凌ぎ,フランチャイズ契約締結の見通しがついた時点で本
件売買契約という条件を提示されたため,被告会社は,選択の余地なくこの
条件を受け入れるしかなかったとして,原告による優越的地位の濫用があっ
たと主張する。
甲第50号証によれば,本件売買契約において,「無形固定資産」とは,
「営業権すなわち得意先または仕入先関係,営業上の秘訣,販売の機会,経
営の内部的組織など多年の営業活動から生じる営業上の価値をいう。」とさ
れている。本件FC契約は,被告会社が原告のフランチャイジーとして新規
に店舗の営業を開始するものとして締結されたものではなく,原告の直営店
として営業されてきた実績のある本件店舗を直営店からフランチャイズ店に
転換するものであるから,本件売買契約は,原告が直営店として営業してき
たことによって形成した上記の無形固定資産を被告会社に売却し,被告会社
はこの資産を継承し,利用して本件店舗における営業を行うことができ,フ
ランチャイズ店の新規開店よりもはるかに効率的かつ早期に安定的な経営の
実現が見込まれるものと推測される。したがって,被告会社が相当の対価で
無形固定資産を取得するのは,十分に経済的に合理性のあることであって,
本件全証拠を検討しても被告会社に不当に不利益な内容であることを認める
に足りる証拠はない。
被告会社は,委託販売契約による売上金の10パーセント相当額は,長崎
屋から本件店舗の賃借権の譲渡を受けるために支払った対価のための借入金
の返済額に足りず,毎月300万円から400万円の赤字が2年半も続いた
というが,この事実を的確に裏付けるに足りる証拠はない上,委託販売契約
の契約期間は大渕観光及び被告Aと新天町公社との賃貸借契約締結日から1
0年間とされ(甲第12号証第11条),原告のフランチャイジーとなるた
めの「トレーニング」は,平成6年12月1日以降に開始される(同号証特
約事項2)から,原告のフランチャイジーとなることができるのは,最短で
も委託販売契約の締結から約1年5か月経過後であることは明らかである。
しかも,その間,大渕観光及び被告Aは本件店舗における営業努力をするこ
となく,本件店舗の売上金の10パーセント相当額を得られるのである(同
号証第4条,第5条)。したがって,仮に,被告会社のいう「赤字」が発生
したとしても,それは,本件店舗の賃借権の譲渡を受ける対価のために用意
した資金の調達方法に起因するものであって,原告の地位や行動とは何ら関
係がない。
のみならず,本件売買契約が締結されたのは,本件FC契約締結の前日で
あり,本件売買契約締結の時点では,原告は被告会社と継続的取引関係に立
っておらず,フランチャイザーの地位を優越的な地位として利用したもので
ないことは明らかである。また,上記委託販売契約の内容からすれば,この
契約は,原告にとって,本件店舗における営業継続に必須のものであり,本
件店舗の売上金の10パーセント相当額は,実質的には本件店舗の賃料に相
当するものであったことが認められる。これらの事実によれば,本件売買契
約締結の時点において,原告が被告会社に対し優越的な地位にあったものと
いうことはできない。
さらに,乙第1号証によれば,被告会社は,「本件店舗の営業権」を原告
に売却し,その売却代金をロイヤルティ未払分に充当するよう交渉をしてき
たことが認められ,控訴理由書においても,被告会社は,本件FC契約の終
了とともに本件売買契約も解除されていると主張しており,いずれも本件売
買契約が有効に成立したことを前提とする主張をしていたものである。
(3)以上のとおり,本件売買契約締結に際し,原告が被告会社に対して優越的
な地位にあることを濫用して,契約を締結させたことはなく,公序良俗に反
する事情を認めるに足りる証拠はない。したがって,原告の上記主張を採用
することはできない。
2買戻の債務不履行(履行請求)について
原告は,仮に,本件売買契約が公序良俗違反により無効と認められない場合
においても,本件FC契約が終了したのであるから,原告は,覚書に基づき,
本件店舗の無形固定資産を買い戻す義務があると主張する。また,覚書第1項
中の条件は,平成18年5月12日,被告会社が新天町エステートに対し,本
件店舗の賃借権を譲渡し(乙第97号証),原告が新天町エステートから本件
店舗を賃借する契約(乙第96号証)が締結されているから,実質的に条件が
成就していると主張する。
乙第100号証によれば,覚書は,本件FC契約締結と同じ日に締結された
もので,本件FC契約が終了したときの被告会社の資産の処理に関するもので
あることが認められる。覚書第1項の「本契約終了後,乙が甲に対し本契約第
2条第1項第1号記載の営業場所を賃貸し,甲が賃借する契約が成立すること
を条件として,甲は営業場所に存する乙の全資産を現状有姿のまま甲の計算に
よる定率簿価価格で買い取るものとする。」とは,本件FC契約が終了し,フ
ランチャイザーとフランチャイジーの関係が解消されたとしても,原告と被告
会社間で本件店舗の建物の賃貸借契約が締結されることによって,原告が直営
店に戻すなどして本件店舗における営業を継続することができるという利益が
保証される場合には,本件店舗に残る被告会社の全資産を買い取るとの趣旨に
解される。
そこで検討するに,上記覚書第1項にいう「乙の全資産」に本件売買契約の
対象である無形固定資産が含まれるか否か,これが肯定されるとして,「甲の
計算による定率簿価価格」が被告会社の請求する金額と一致するか否かについ
ては更なる検討が必要ではあるが,この点はさておくとして,上記趣旨からす
れば,覚書第1項の条件は,被告会社が賃貸人,原告が賃借人である本件店舗
の賃貸借契約が成立したときに限られ,被告会社から本件店舗の賃借権が第三
者に譲渡され,その第三者と原告との間で賃貸借契約が成立した場合を含まな
いと解すべきである。乙第96及び第97号証によれば,平成18年5月12
日,被告会社は本件店舗の賃借権を新天町エステートに譲渡し,原告は新天町
エステートから本件店舗を賃借する契約を締結したのであるから,被告会社の
主張する事実によって覚書第1項の条件が成就したということはできない。
また,本件FC契約は,被告会社によるロイヤリティ支払義務の債務不履行
によって解除された(甲第8号証の1及び2)のであるから,覚書の第2項但
書の「本契約の終了が本契約第18条もしくは第19条による解除」によって
終了した場合に該当し,原告に買戻の義務はない。
以上のとおり,いずれの見地からみても,覚書に基づき原告が本件店舗の無
形固定資産その他の本件店舗における被告会社の資産を買い戻す義務はない。
3被告会社が本件店舗の価値を維持したことによる不当利得返還請求について
原告は,仮に,買戻の条件が成就していないとしても,被告会社が本件店舗
で営業していた間,店舗の価値を維持したから,原告が本件店舗の営業実績を
再度承継した以上,原告は被告会社に対し,その対価を不当利得として支払う
べきであると主張する。
被告会社の主張は,法的根拠が不明であるが,前記2のとおり,被告会社は
本件店舗の賃借権を新天町エステートに譲渡して投下資本の回収を図ったので
あって,本件店舗の営業実績を原告に承継させる行為を行ったとはいえない。
原告が本件店舗の営業実績を承継して営業することが可能となったのは,原告
が新天町エステートから本件店舗を賃借する契約を締結することができたから
であり,被告会社の行為によるものではない。
被告会社が民法上の不当利得返還請求権に基づく主張をしていると解したと
しても,甲第1号証の第20条1項4号によれば,本件FC契約が終了した場
合については,原告がのれん代等の無体財産に対する対価を支払う必要がない
と定められており,被告会社の主張する対価については,支払義務のないこと
が明示されている。
4結論
以上によれば,控訴人の新たな請求には理由がない。よって,この請求を棄
却することとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官
田中信義
裁判官
古閑裕二
裁判官
浅井憲

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛