弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成22年(受)第1983号不当利得返還請求事件
平成25年4月11日第一小法廷判決
主文
原判決を破棄する。
本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
理由
上告代理人石井宏治の上告受理申立て理由について
1本件は,上告人が,貸金業者である被上告人との間の継続的な金銭消費貸借
取引について,各弁済金のうち利息制限法(平成18年法律第115号による改正
前のもの。以下同じ。)1条1項所定の制限を超えて利息として支払った部分を元
本に充当すると過払金が発生していると主張して,被上告人に対し,不当利得返還
請求権に基づき,過払金及び民法704条前段所定の利息(以下「法定利息」とい
う。)の支払を求める事案である。上告人は過払金について法定利息が発生した場
合にはまずこれをその後に発生する新たな借入金債務に充当し,次いで過払金をそ
の残額に充当すべきであると主張するのに対し,被上告人は法定利息を新たな借入
金債務に充当することはできないと主張してこれを争っている。
2原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1)上告人は,被上告人との間で,継続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返
される金銭消費貸借に係る基本契約(以下「本件基本契約」という。)を締結し,
これに基づき,昭和57年8月26日から平成20年12月11日までの間,第1
審判決別紙計算書1の「借入金額」欄及び「弁済額」欄記載のとおり,継続的な金
銭消費貸借取引を行った(以下,この取引を「本件取引」という。)。
(2)本件基本契約は,基本契約に基づく借入金債務につき利息制限法1条1項
所定の利息の制限額を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,弁済当
時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債
務に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」という。)を含むものであった。
(3)被上告人は,発生した過払金の取得について民法704条の「悪意の受益
者」であった。
(4)被上告人は,第1審判決後の平成22年3月11日までに,本件取引に係
る過払金返還債務の履行として,上告人に対し882万3802円を支払った。
3原審は,上記事実関係の下において,過払金について発生した法定利息を新
たな借入金債務に充当することはできないと判断した上で,被上告人が平成20年
12月11日の時点で上告人に対して負っていたのは,本件取引により発生した過
払金543万3013円及びこれに対する同日までに発生した法定利息305万2
156円の合計848万5169円であったところ,被上告人が平成22年3月1
1日までに882万3802円を弁済したことにより上告人の被上告人に対する不
当利得返還請求権は消滅したとして,上告人の請求を棄却した。
4しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,
過払金について発生した法定利息を過払金とは別途清算するというのが当事者の合
理的な意思であるとは解し難い。そうすると,継続的な金銭消費貸借取引に係る基
本契約が過払金充当合意を含むものである場合においては,過払金について発生し
た法定利息の充当につき別段の合意があると評価できるような特段の事情がない限
り,まず当該法定利息を新たな借入金債務に充当し,次いで過払金を新たな借入金
債務の残額に充当すべきものと解するのが相当である。前記事実関係によれば,
本件基本契約は過払金充当合意を含むものであり,本件において上記特段の事情が
あったことはうかがわれないから,本件取引については,まず過払金について発生
した法定利息を新たな借入金債務に充当し,次いで過払金を新たな借入金債務の残
額に充当すべきである。
5以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違
反がある。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,過払金の額等に
ついて更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官白木勇裁判官櫻井龍子裁判官金築誠志裁判官
横田尤孝裁判官山浦善樹)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛