弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被上告人B1の上告人に対する請求に関する控訴を棄却した部
分を破棄し、右部分につき本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
     上告人のその余の上告を棄却する。
     前項の部分に関する上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人堤千秋の上告理由第一点について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することがで
きない。
 同第二点について
 原判決は、被上告人らがいずれも宅地建物取引業者であること、被上告人B2は
本件取引の売主である上告人より、また、被上告人B1は買主であるD大学よりそ
れぞれ本件土地売買の仲介を委託され、被上告人らは各自委託者の提出する売買条
件を交換しながら価格の調整に努めたが奏功せず、売買成立の見込みもなく、被上
告人らの仲介行為も中断するうち、上告人及びD大学は右仲介委託をそれぞれ黙示
的に解約したのち、直接売買契約を締結したことを認定したうえ、先に被上告人ら
が業者として共同し分担を定めて仲介を行つたことが本件取引の成立に寄与した以
上、被上告人B1は直接委託関係にない上告人に対しても、特にあらかじめ共同仲
介を拒否したなど特段の事情がないかぎり、報酬を請求しうると判示し、上告人に
対し被上告人両名に各金五〇万円及びこれに対する昭和四一年一一月一七日以降完
済まで年五分の割合による金員の支払を命じた第一審判決を是認している。
 おもうに、宅地建物取引業者は、商法上の商人であるから、その営業の範囲内に
おいて他人のためにある行為をしたときは、同法五一二条の規定によりこの他人に
対し相当の報酬を請求しうるが、宅地建物取引業者が売主又は買主の一方から、不
動産の売却又は買受けの仲介の委託を受けたにすぎない場合においては、たとえそ
の仲介行為によつて売主又は買主とその相手方との間に売買契約が成立しても、宅
地建物取引業者が委託を受けない相手方当事者に対し同法五一二条に基づく報酬請
求権を取得するためには、客観的にみて、当該業者が相手方当事者のためにする意
思をもつて仲介行為をしたものと認められることを要し、単に委託者のためにする
意思をもつてした仲介行為によつて契約が成立し、その仲介行為の反射的利益が相
手方当事者にも及ぶというだけでは足りないものと解するのが相当である。
  これを本件についてみると、被上告人らが宅地建物取引業者として共同し、分
担を定めて仲介を行い、その結果として本件取引が成立したとする原判示の事実の
みでは、被上告人B1の右仲介行為は、委託関係にない上告人との関係においては、
委託者であるD大学のためにする意思をもつてした仲介行為の反射的利益が及ぶに
すぎないものというべきであるから、右判示の事実から直ちに被上告人B1の上告
人に対する本件報酬請求を認容した原判決には、商法五一二条の解釈、適用を誤り、
ひいては審理不尽ないしは理由不備の違法があるものというべく、その違法は結論
に影響を及ぼすことが明らかである。この点に関する論旨は理由があり、原判決中
被上告人B1の上告人に対する本訴請求を認容した部分は破棄を免れず、さらに審
理を尽させるため、本件を原審に差し戻す必要がある。
 そして、上告人の被上告人B2に対する上告は、上告理由第一点につき判示した
とおり理由がないから、これを棄却すべきものである。
 よつて、民訴法四〇七条、三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官
全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    吉   田       豊
裁判官小川信雄は退官につき署名押印することができない
         裁判長裁判官    大   塚   喜 一 郎

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