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平成16年(行ケ)第146号 特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結日 平成16年7月20日
判          決
原      告    株式会社ニコン
訴訟代理人弁理士    渡辺隆男
同           芝山みゆき
   被      告    特許庁長官 小川洋
    指定代理人       神崎孝之
    同       西川惠雄
    同       小曳満昭
    同       涌井幸一
    同       宮下正之
主           文
1 特許庁が異議2003-71630号事件について平成16年2月26
日にした決定中,「特許第3360610号の請求項1ないし3,5,8,9ない
し11,14に係る特許を取り消す。」との部分を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
1 原告の請求
(1)主文1項と同旨。
(2)訴訟費用は被告の負担とする。
2 当事者間に争いのない事実
(1)特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「検出方法及び検出装置及び研磨装置」とする特許第
3360610号の特許(平成10年6月1日出願(優先権主張平成10年5月2
1日),平成14年10月18日設定登録。以下「本件特許」という。請求項の数
は14である。)の特許権者である。
本件特許に対し,請求項1ないし6,8ないし14につき,特許異議の申立
てがあり,特許庁は,この申立てを,異議2003-71630号事件として審理
した。原告は,この審理の過程で,平成15年12月1日,本件特許の出願に係る
願書に添付した明細書の訂正の請求をした。特許庁は,上記事件につき審理し,そ
の結果,平成16年2月26日,この訂正を認めた上で(以下「本件第1訂正」と
いう。),「特許第3360610号の請求項1ないし3,5,8,9ないし1
1,14に係る特許を取り消す。同請求項4,6ないし7,12ないし13に係る
特許を維持する。」(以下,取り消された請求項に係る発明をまとめて「本件発
明」という。)との決定をし,同年3月13日にその謄本を原告に送達した。
(2)決定の理由
要するに,本件発明は,いずれも公知技術に基づいて当業者が容易に発明を
することができたものであるから,特許法29条2項の規定に該当する,したがっ
て,本件特許は,請求項1ないし3,5,8,9ないし11,14のいずれについ
ても,この規定に違反して登録されたものである,ということである。
(3)訂正審判の確定
  原告は,本訴係属中に,本件特許の出願に係る願書に添付した明細書の訂正
をすることについて審判を請求した。特許庁は,これを訂正2004?39075号
事件として審理し,その結果,平成16年5月18日に訂正(以下「本件第2訂
正」という。)することを認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)を
し,これが確定した。
(4)本件第1訂正後の本件特許の特許請求の範囲
「【請求項1】 半導体装置製造工程における,デバイスパターンが存在し最
上層が金属膜である複数の層を有する半導体素子表面の前記金属層の除去工程にお
いて,前記半導体素子表面の一部または全部に連続的に複数の波長成分を有する多
成分波長光であるプローブ光を照射して得られる前記半導体素子表面からの反射光
の分光特性の信号により前記除去工程の工程終了点を検出する方法であって,前記
金属層の一部または全部にプローブ光を照射する第1の段階と,前記除去工程の進
行に伴い前記金属層の少なくとも一部が除去された状態において,前記プローブ光
が前記デバイスパターンの最小単位の少なくとも数周期分を照射する第2の段階と
を有し,前記第2の段階では,前記反射光は,前記プローブ光が照射されているデ
バイスパターンの前記複数の層の各層からの光波の重ね合わせとなり,前記分光特
性の信号から演算されたパラメータを利用して,工程終了点の判定を行うことを特
徴とする検出方法。
【請求項2】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の積
層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層ある
いは電極層の除去工程において,前記半導体素子表面の一部または全部に連続的に
複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる前記半
導体素子表面からの反射光の分光特性の信号により前記除去工程の工程終了点を検
出する方法であって,前記プローブ光は前記デバイスパターンの最小単位の少なく
とも数周期分を照射し,前記反射光は,前記プローブ光が照射されているデバイス
パターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせであり,前記分光特性の信
号から演算されたパラメータを利用して,工程終了点の判定を行い,前記パラメー
タが,前記分光特性の信号の極大値,または極小値,または(極大値-極小値),
または(極小値/極大値)から選ばれた一つ以上であることを特徴とする検出方
法。
【請求項3】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の積
層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層ある
いは電極層の除去工程において,前記半導体素子表面の一部または全部に連続的に
複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる前記半
導体素子表面からの反射光の分光特性の信号により前記除去工程の工程終了点を検
出する方法であって,前記プローブ光は前記デバイスパターンの最小単位の少なく
とも数周期分を照射し,前記反射光は,前記プローブ光が照射されているデバイス
パターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせであり,前記分光特性の信
号から演算されたパラメータを利用して,工程終了点の判定を行い,前記パラメー
タが,前記分光特性の信号の最大極大値,または最小極小値,または(最大極大値
-最小極小値),または(最小極小値/最大極大値)から選ばれた一つ以上である
ことを特徴とする検出方法。
【請求項4】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の積
層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層ある
いは電極層の除去工程において,前記半導体素子表面の一部または全部に連続的に
複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる前記半
導体素子表面からの反射光の分光特性の信号により前記除去工程の工程終了点を検
出する方法であって,前記プローブ光は前記デバイスパターンの最小単位の少なく
とも数周期分を照射し,前記反射光は,前記プローブ光が照射されているデバイス
パターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせであり,前記分光特性の信
号から演算されたパラメータを利用して,工程終了点の判定を行い,前記パラメー
タが,前記分光特性の信号の波長毎の信号値列の分散値であることを特徴とする検
出方法。
【請求項5】 前記パラメータが,前記分光特性の信号の適当なフーリエ変
換の成分であることを特徴とする請求項1記載の検出方法。
【請求項6】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の積
層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層ある
いは電極層の除去工程において,前記半導体素子表面の一部または全部に連続的に
複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる前記半
導体素子表面からの反射光の分光特性の信号により前記除去工程の工程終了点を検
出する方法であって,前記プローブ光は前記デバイスパターンの最小単位の少なく
とも数周期分を照射し,前記反射光は,前記プローブ光が照射されているデバイス
パターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせであり,前記分光特性の信
号と工程終了点に対応する予め記憶された参照分光特性の信号との相互相関関数を
利用して,工程終了点の判定を行うことを特徴とする検出方法。
【請求項7】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の積
層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層ある
いは電極層の除去工程において,前記半導体素子表面の一部または全部にプローブ
光を照射して得られる反射光または透過光の分光特性の信号により前記除去工程の
工程終了点を検出する方法であって,前記プローブ光は前記デバイスパターンの最
小単位の少なくとも数周期分を照射し,前記反射光または透過光は,前記プローブ
光が照射されているデバイスパターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わ
せであり,前記分光特性の信号と工程終了点に対応する予め記憶された参照分光特
性の信号との相互相関関数を利用して,工程終了点の判定を行い,研磨の進行に伴
い変化する分光反射特性信号がf(λ),参照分光反射特性信号がg(λ)とし,
前記相互相関関数の定義式Rxy(τ)を,
  【数1】
(判決注・数式省略)
で表すことを特徴とする検出方法。
【請求項8】 請求項1~7の検出方法から選ばれた二つ以上を併用して判
定を行うことを特徴とする検出方法。
【請求項9】 半導体装置製造工程における,デバイスパターンが存在し最
上層が金属膜である複数の層を有する半導体素子表面の前記金属層の除去工程の工
程終了点を前記半導体素子表面の一部または全部に連続的に複数の波長成分を有す
る多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる反射光の分光特性の信号によ
り検出する検出装置において,前記照射光源を有し,前記照射光源から発したプロ
ーブ光を前記半導体素子表面の一部または全部に照射し,前記半導体素子表面の一
部または全部にて反射された反射光の分光特性を検出する測定光学系と,前記検出
された分光特性の信号が入力される信号処理部と,を備え,前記測定光学系は,前
記除去工程の進行に伴い前記金属層の少なくとも一部が除去された状態において,
前記プローブ光が前記デバイスパターンの最小単位の少なくとも数周期分を照射
し,前記反射光が前記プローブ光が照射されているデバイスパターンの前記複数の
層の各層からの光波の重ね合わせとなるように構成され,前記信号処理部は,前記
分光特性の信号からパラメータを演算し,このパラメータを利用して研磨終了点を
検出することを特徴とする検出装置。
【請求項10】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の
積層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層あ
るいは電極層の除去工程の工程終了点を前記半導体素子表面の一部または全部に連
続的に複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる
反射光の分光特性の信号により検出する検出装置において,前記照射光源を有し,
前記照射光源から発したプローブ光を前記半導体素子表面の一部または全部に照射
し,前記半導体素子表面の一部または全部にて反射された反射光の分光特性を検出
する測定光学系と,前記検出された分光特性の信号が入力される信号処理部と,を
備え,前記測定光学系は,前記プローブ光が前記デバイスパターンの最小単位の少
なくとも数周期分を照射し,前記反射光が前記プローブ光が照射されているデバイ
スパターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせとなるように構成され,
前記信号処理部は,前記分光特性の信号から前記分光特性の信号の極大値,または
極小値,または(極大値-極小値),または(極小値/極大値)から選ばれた一つ
以上をパラメータとして演算し,このパラメータを利用して研磨終了点を検出する
ことを特徴とする検出装置。
【請求項11】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の
積層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層あ
るいは電極層の除去工程の工程終了点を前記半導体素子表面の一部または全部に連
続的に複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる
反射光の分光特性の信号により検出する検出装置において,前記照射光源を有し,
前記照射光源から発したプローブ光を前記半導体素子表面の一部または全部に照射
し,前記半導体素子表面の一部または全部にて反射された反射光の分光特性を検出
する測定光学系と,前記検出された分光特性の信号が入力される信号処理部と,を
備え,前記測定光学系は,前記プローブ光が前記デバイスパターンの最小単位の少
なくとも数周期分を照射し,前記反射光が前記プローブ光が照射されているデバイ
スパターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせとなるように構成され,
前記信号処理部は,前記分光特性の信号から前記分光特性の信号の最大極大値,ま
たは最小極小値,または(最大極大値-最小極小値),または(最小極小値/最大
極大値)から選ばれた一つ以上をパラメータとして演算し,このパラメータを利用
して研磨終了点を検出することを特徴とする検出装置。
【請求項12】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の
積層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層あ
るいは電極層の除去工程の工程終了点を前記半導体素子表面の一部または全部に連
続的に複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる
反射光の分光特性の信号により検出する検出装置において,前記照射光源を有し,
前記照射光源から発したプローブ光を前記半導体素子表面の一部または全部に照射
し,前記半導体素子表面の一部または全部にて反射された反射光の分光特性を検出
する測定光学系と,前記検出された分光特性の信号が入力される信号処理部と,を
備え,前記測定光学系は,前記プローブ光が前記デバイスパターンの最小単位の少
なくとも数周期分を照射し,前記反射光が前記プローブ光が照射されているデバイ
スパターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせとなるように構成され,
前記信号処理部は,前記分光特性の信号から前記分光反射特性の信号の波長毎の信
号値列の分散値をパラメータとして演算し,このパラメータを利用して研磨終了点
を検出することを特徴とする検出装置。
【請求項13】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の
積層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層あ
るいは電極層の除去工程の工程終了点を前記半導体素子表面の一部または全部に連
続的に複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる
反射光の分光特性の信号により検出する検出装置において,前記照射光源を有し,
前記照射光源から発したプローブ光を前記半導体素子表面の一部または全部に照射
し,前記半導体素子表面の一部または全部にて反射された反射光の分光特性を検出
する測定光学系と,前記検出された分光特性の信号が入力される信号処理部と,を
備え,前記測定光学系は,前記プローブ光が前記デバイスパターンの最小単位の少
なくとも数周期分を照射し,前記反射光が前記プローブ光が照射されているデバイ
スパターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせとなるように構成され,
前記信号処理部は,前記分光特性の信号と予め記憶された参照分光特性の信号との
相互相関係数をパラメータとして演算し,このパラメータを利用して研磨終了点を
検出することを特徴とする検出装置。
【請求項14】 請求項9から13のいずれか1項に記載の検出装置と研磨
パッドと被研磨部材を保持する研磨ヘッドとを具え,前記研磨パッドと前記被研磨
部材との間に相対運動を与えることにより前記被研磨部材を研磨する研磨装置。」
(5)本件第2訂正後の本件特許の特許請求の範囲(下線部が本件第1訂正後の
ものと比較した場合の訂正箇所である。)
「【請求項1】 半導体装置製造工程における,デバイスパターンが存在し
最上層が金属膜である複数の層を有する半導体素子表面の前記金属層の除去工程に
おいて,前記半導体素子表面の一部または全部に連続的に複数の波長成分を有する
多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる前記半導体素子表面からの反射
光の分光特性の信号により前記除去工程の工程終了点を検出する方法であって,前
記金属層の一部または全部にプローブ光を照射する第1の段階と,前記除去工程の
進行に伴い前記金属層の少なくとも一部が除去された状態において,前記プローブ
光が前記デバイスパターンの最小単位の少なくとも数周期分を照射する第2の段階
とを有し,前記第2の段階では,前記反射光は,前記プローブ光が照射されている
デバイスパターンの前記複数の層の各層からの光波の重ね合わせとなり,前記分光
特性の信号から演算されたパラメータを利用して,該パラメータが急激に変化する
タイミングで工程終了点の判定を行うことを特徴とする検出方法。
【請求項2】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の積
層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層ある
いは電極層の除去工程において,前記半導体素子表面の一部または全部に連続的に
複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる前記半
導体素子表面からの反射光の分光特性の信号により前記除去工程の工程終了点を検
出する方法であって,前記プローブ光は前記デバイスパターンの最小単位の少なく
とも数周期分を照射し,前記反射光は,前記プローブ光が照射されているデバイス
パターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせであり,前記分光特性の信
号から演算されたパラメータを利用して,該パラメータが急激に変化するタイミン
グで工程終了点の判定を行い,前記パラメータが,前記分光特性の信号の極大値,
または極小値,または(極大値-極小値),または(極小値/極大値)から選ばれ
た一つ以上であることを特徴とする検出方法。
【請求項3】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の積
層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層ある
いは電極層の除去工程において,前記半導体素子表面の一部または全部に連続的に
複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる前記半
導体素子表面からの反射光の分光特性の信号により前記除去工程の工程終了点を検
出する方法であって,前記プローブ光は前記デバイスパターンの最小単位の少なく
とも数周期分を照射し,前記反射光は,前記プローブ光が照射されているデバイス
パターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせであり,前記分光特性の信
号から演算されたパラメータを利用して,該パラメータが急激に変化するタイミン
グで工程終了点の判定を行い,前記パラメータが,前記分光特性の信号の最大極大
値,または最小極小値,または(最大極大値-最小極小値),または(最小極小値
/最大極大値)から選ばれた一つ以上であることを特徴とする検出方法。
【請求項4】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の積
層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層ある
いは電極層の除去工程において,前記半導体素子表面の一部または全部に連続的に
複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる前記半
導体素子表面からの反射光の分光特性の信号により前記除去工程の工程終了点を検
出する方法であって,前記プローブ光は前記デバイスパターンの最小単位の少なく
とも数周期分を照射し,前記反射光は,前記プローブ光が照射されているデバイス
パターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせであり,前記分光特性の信
号から演算されたパラメータを利用して,工程終了点の判定を行い,前記パラメー
タが,前記分光特性の信号の波長毎の信号値列の分散値であることを特徴とする検
出方法。
【請求項5】 前記パラメータが,前記分光特性の信号の適当なフーリエ変
換の成分であることを特徴とする請求項1記載の検出方法。
【請求項6】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の積
層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層ある
いは電極層の除去工程において,前記半導体素子表面の一部または全部に連続的に
複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる前記半
導体素子表面からの反射光の分光特性の信号により前記除去工程の工程終了点を検
出する方法であって,前記プローブ光は前記デバイスパターンの最小単位の少なく
とも数周期分を照射し,前記反射光は,前記プローブ光が照射されているデバイス
パターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせであり,前記分光特性の信
号と工程終了点に対応する予め記憶された参照分光特性の信号との相互相関関数を
利用して,工程終了点の判定を行うことを特徴とする検出方法。
【請求項7】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の積
層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層ある
いは電極層の除去工程において,前記半導体素子表面の一部または全部にプローブ
光を照射して得られる反射光または透過光の分光特性の信号により前記除去工程の
工程終了点を検出する方法であって,前記プローブ光は前記デバイスパターンの最
小単位の少なくとも数周期分を照射し,前記反射光または透過光は,前記プローブ
光が照射されているデバイスパターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わ
せであり,前記分光特性の信号と工程終了点に対応する予め記憶された参照分光特
性の信号との相互相関関数を利用して,工程終了点の判定を行い,研磨の進行に伴
い変化する分光反射特性信号がf(λ),参照分光反射特性信号がg(λ)とし,
前記相互相関関数の定義式Rxy(τ)を,
  【数1】
(判決注・数式省略)
で表すことを特徴とする検出方法。
【請求項8】 請求項1~7の検出方法から選ばれた二つ以上を併用して判
定を行うことを特徴とする検出方法。
【請求項9】 半導体装置製造工程における,デバイスパターンが存在し最
上層が金属膜である複数の層を有する半導体素子表面の前記金属層の除去工程の工
程終了点を前記半導体素子表面の一部または全部に連続的に複数の波長成分を有す
る多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる反射光の分光特性の信号によ
り検出する検出装置において,前記照射光源を有し,前記照射光源から発したプロ
ーブ光を前記半導体素子表面の一部または全部に照射し,前記半導体素子表面の一
部または全部にて反射された反射光の分光特性を検出する測定光学系と,前記検出
された分光特性の信号が入力される信号処理部と,を備え,前記測定光学系は,前
記除去工程の進行に伴い前記金属層の少なくとも一部が除去された状態において,
前記プローブ光が前記デバイスパターンの最小単位の少なくとも数周期分を照射
し,前記反射光が前記プローブ光が照射されているデバイスパターンの前記複数の
層の各層からの光波の重ね合わせとなるように構成され,前記信号処理部は,前記
分光特性の信号からパラメータを演算し,このパラメータを利用して該パラメータ
が急激に変化するタイミングで研磨終了点を検出することを特徴とする
検出装置。
【請求項10】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の
積層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層あ
るいは電極層の除去工程の工程終了点を前記半導体素子表面の一部または全部に連
続的に複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる
反射光の分光特性の信号により検出する検出装置において,前記照射光源を有し,
前記照射光源から発したプローブ光を前記半導体素子表面の一部または全部に照射
し,前記半導体素子表面の一部または全部にて反射された反射光の分光特性を検出
する測定光学系と,前記検出された分光特性の信号が入力される信号処理部と,を
備え,前記測定光学系は,前記プローブ光が前記デバイスパターンの最小単位の少
なくとも数周期分を照射し,前記反射光が前記プローブ光が照射されているデバイ
スパターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせとなるように構成され,
前記信号処理部は,前記分光特性の信号から前記分光特性の信号の極大値,または
極小値,または(極大値-極小値),または(極小値/極大値)から選ばれた一つ
以上をパラメータとして演算し,このパラメータを利用して該パラメータが急激に
変化するタイミングで研磨終了点を検出することを特徴とする検出装置。
【請求項11】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の
積層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層あ
るいは電極層の除去工程の工程終了点を前記半導体素子表面の一部または全部に連
続的に複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる
反射光の分光特性の信号により検出する検出装置において,前記照射光源を有し,
前記照射光源から発したプローブ光を前記半導体素子表面の一部または全部に照射
し,前記半導体素子表面の一部または全部にて反射された反射光の分光特性を検出
する測定光学系と,前記検出された分光特性の信号が入力される信号処理部と,を
備え,前記測定光学系は,前記プローブ光が前記デバイスパターンの最小単位の少
なくとも数周期分を照射し,前記反射光が前記プローブ光が照射されているデバイ
スパターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせとなるように構成され,
前記信号処理部は,前記分光特性の信号から前記分光特性の信号の最大極大値,ま
たは最小極小値,または(最大極大値-最小極小値),または(最小極小値/最大
極大値)から選ばれた一つ以上をパラメータとして演算し,このパラメータを利用
して該パラメータが急激に変化するタイミングで研磨終了点を検出することを特徴
とする検出装置。
【請求項12】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の
積層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層あ
るいは電極層の除去工程の工程終了点を前記半導体素子表面の一部または全部に連
続的に複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる
反射光の分光特性の信号により検出する検出装置において,前記照射光源を有し,
前記照射光源から発したプローブ光を前記半導体素子表面の一部または全部に照射
し,前記半導体素子表面の一部または全部にて反射された反射光の分光特性を検出
する測定光学系と,前記検出された分光特性の信号が入力される信号処理部と,を
備え,前記測定光学系は,前記プローブ光が前記デバイスパターンの最小単位の少
なくとも数周期分を照射し,前記反射光が前記プローブ光が照射されているデバイ
スパターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせとなるように構成され,
前記信号処理部は,前記分光特性の信号から前記分光反射特性の信号の波長毎の信
号値列の分散値をパラメータとして演算し,このパラメータを利用して研磨終了点
を検出することを特徴とする検出装置。
【請求項13】 半導体装置製造工程における,二次元的に分布した複数の
積層薄膜パターンから成るデバイスパターンが存在する半導体素子表面の絶縁層あ
るいは電極層の除去工程の工程終了点を前記半導体素子表面の一部または全部に連
続的に複数の波長成分を有する多成分波長光であるプローブ光を照射して得られる
反射光の分光特性の信号により検出する検出装置において,前記照射光源を有し,
前記照射光源から発したプローブ光を前記半導体素子表面の一部または全部に照射
し,前記半導体素子表面の一部または全部にて反射された反射光の分光特性を検出
する測定光学系と,前記検出された分光特性の信号が入力される信号処理部と,を
備え,前記測定光学系は,前記プローブ光が前記デバイスパターンの最小単位の少
なくとも数周期分を照射し,前記反射光が前記プローブ光が照射されているデバイ
スパターンの前記積層薄膜の各層からの光波の重ね合わせとなるように構成され,
前記信号処理部は,前記分光特性の信号と予め記憶された参照分光特性の信号との
相互相関係数をパラメータとして演算し,このパラメータを利用して研磨終了点を
検出することを特徴とする検出装置。
【請求項14】 請求項9から13のいずれか1項に記載の検出装置と研磨
パッドと被研磨部材を保持する研磨ヘッドとを具え,前記研磨パッドと前記被研磨
部材との間に相対運動を与えることにより前記被研磨部材を研磨する研磨装置。」
3 当裁判所の判断
上記当事者間に争いのない事実によれば,本件第2訂正前の特許請求の範囲
(本件第1訂正後の特許請求の範囲)請求項1ないし3,5,8,9ないし11,
14の記載に基づき,その発明を認定し,これを前提に,特許法29条2項の規定
に違反して登録された特許であることを理由に,同請求項のいずれについても本件
特許を取り消した決定の取消しを求める訴訟の係属中に,当該特許に係る特許請求
の範囲の減縮を含む訂正の審判が請求され,特許庁は,これを認める本件訂正審決
をし,これが確定したということができる。
決定は,これにより,結果として,上記請求項1ないし3,5,8,9ないし
11,14のいずれについても判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったこ
とになり,この誤りが上記各請求項のいずれについても決定の結論に影響を及ぼす
ことは明らかである。したがって,決定は,上記各請求項のすべてにつき,取消し
を免れない。
4 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負
担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟
法62条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所知的財産第3部
  裁判長裁判官      佐  藤  久  夫
  裁判官      設  樂  隆  一
  裁判官      高  瀬  順  久

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